帰国二世の語る高校生活
虹の会会報41号より
                    残留孤児(高来福)の次男 三村政晴(史高岩)
私は高校二年生です。現在、都立千歳高校に在学しています。自分の高校生活を紹介します。入試の頃、来日して間がなかったので、日本の人情や風習をまだあまり理解していなかったことを覚えています。当時、緊張していたのか恐かったのか分かりません。しかし、幸運なことには、私以外にも九人の帰国してきた学生がいたことです。こうして、風薫り桜が満開の時期に知り合い、皆いっしょに合格して、千歳高校に入学しました。
 千歳高校はなかなか素晴らしい高校です。広い校庭には、大きな時計が立っています。
まるで、学生に遅刻しないように呼びかけているようです。しかし、どういう訳か、毎日たくさんの学生が遅刻していて、増える一方なのです。学校には大小二つの体育館があり他にも柔道館、テニス場、プールもあります。これらの設備は、中国の学校とは比較にならないほど良いものです。入学式後、第一日目に、私は一年五組に振り分けられました。四人の中国系の学生が私と同じクラスでしたが、少し違和感がありました。学校は、私たちに中国語の分かる先生をつけてくれたのですが、私たちの学校生活を管理するためでした。クラスメートは、皆とても好意的で、私たちをよく手助けしてくれました。学校にはいろんなクラブ活動がありますが、私は日本語を上手く使えないので、参加しませんでした。勉強に関しては、あまり苦労することはありませんでした。六月初旬、課外授業のため、福島県にある施設に行きました。この課外授業というのは、生徒に自然を理解してもらうためのもので、自然にふれあうよいチャンスでした。翌日、安達太良山に上がりました。その山は中国の泰山のような雄大さはないのですが、中国の有名な五岳の気迫は感じられました。また、美しい五色沼もあり、さざ波がたって、中国の有名な西湖のようでした。このように美しい風景に囲まれ、絵画の中で遊んでいるような中で、本当の参加意義を味わい知ることが出来ました。それと同時に、日本は経済大国になりましたが、このような美しい自然もあることに、感心しました。
 それから、一年に一度の体育祭がありました。日本の学生は、この行事にとても興味を持っています。しかも結果にはこだわらず、オリンピック精神を充分に表現していました。二学期が始まるとすぐに、みな文化祭の準備に取りかかりました。文化祭では、劇を発表するクラスがあるかと思えば、飲食店関係のものもあり、カラオケ、映画などもありました。その日は一日中、縁日のような混雑ぶりで、賑やかでした。今年四月に、二年生に進級しました。新しい学年がスタートしました。それと同時に、八人の帰国生を交えた新入生を迎えました。一年はあっという間に過ぎて行きます。しかし、その楽しさは、永く心に残って行くでしょう。過ぎ去った一年は、楽しかったのですが、新しい一年にも、新しい楽しさがあります。私の高校生活は、きっと楽しく実り多いものとなっていくでしょう。(訳・佐原宏子)