概要
◎設立の経緯
日中国交正常化(1972年)を契機として、中国残留邦人が次々に帰国することになりました。残留邦人の永住帰国を巡っては、肉親捜し(身元調査)や帰国の手続き及び旅費等の援護のほか、地域社会での定着・適応にかかわる多くの問題について支援が必要とされています。
国は、中国帰国者が地域社会に定着し日本の生活に適応することを促進するために、帰国直後に基礎的日本語や生活習慣などの集中研修を行う施設を設立することを決め、その運営を財団法人中国残留孤児援護基金に委託しました。中国帰国孤児定着促進センターはこのような目的をもつ施設として1984年2月1日に開設されました。
◎あゆみ
1984年(昭和59年)02月 中国帰国孤児定着促進センター開設、判明孤児入所 1985年(昭和60年)12月 身元未判明孤児入所 1986年(昭和61年)12月 宿泊棟開設 1993年(平成05年)09月 中国帰国婦人等入所 1994年(平成06年)04月 「中国帰国者定着促進センター」に名称変更 1998年(平成10年)10月 樺太等帰国者入所 2004年(平成16年)06月 研修期間を6ヶ月に延長 2008年(平成20年)04月 日本語通信教育(遠隔学習支援)開始(中国帰国者支援・交流センターより移管)
◎主な事業
入所者に対する研修等
● 日本語・日本事情の研修
● 定着・職業指導
● 宿泊棟での生活指導
定着地の帰国者やその家族に対する遠隔学習支援
● 日本語遠隔学習課程(通信教育)
● スクーリング支援
日本語指導の研究・情報提供
● 教材開発
● 情報紙の発行等
(研修棟全景)帰国・入所
↓入所式
↓日本語学習開始
↓職業指導開始
↓定着指導開始
↓
(職業指導)
(地域体験実習)職業体験実習
↓地域体験実習
↓修了テスト(水準判定)
↓修了式
↓退所
(修了式)
まだ日本での実生活に入っていない入所者に対して行われる集中研修は、定着後の生活や学習の継続にスムーズにつなぐための研修であり、予備的集中研修という性格をもつものです。当センターでは、この研修の目標を次のように表しています。
日本での生活への自信と意欲、それを下支えする基礎知識、基礎技能を身に付ける
高齢の帰国者の場合は「心身の健康維持」を目標に、学習もその一環として行われます。
●コースの種類
大人Tコース 高齢の帰国者一世を主な対象としたコース。 大人Uコース 比較的年齢の高い二世を主な対象としたコース。 大人Vコース 比較的若い二世と三世を主な対象としたコース。 特別コース 日本語を母語的に保持している高齢の中国/樺太等帰国者や、日本語を既にある程度学んできている二三世を対象としたコース。 小学生コース 小学生年齢の三世を対象としたコース。 中学生コース 中学生年齢の三世を対象としたコース。
●クラス
各期の状況に応じて、コースごとの、あるいは複数のコースを組み合わせたクラス編成を行います。
<大人Tコース>授業風景 <大人UVコース>授業風景 <特別コース>授業風景
・研修時間数: 525時間(約 21週) ・授業時間 : 月曜〜金曜、1日5時限(1時限=50分) 午前 9:15 〜 12:00
午後 1:00 〜 12:50(注)高齢帰国者のクラスは午前のみの授業。
(注)各クラスとも必要に応じて個別補習を実施。
「行動」プログラム : 日常生活に不可欠な行動達成力の養成
… 交通、消費生活、健康、銀行、PC等情報通信、仕事、学校、防災等「知識」プログラム : 日本の社会や暮らし、帰国者事情に関する基本的な知識の習得
… 地理、戦前戦後史、政治・経済、教育、冠婚葬祭、年中行事、異文化適応等「交流」プログラム : 日本人と交流していくためのコミュニケーション力の養成
… 家族、出身地、仕事、趣味、日本と中国/サハリンの生活・文化等「ことば」プログラム : 日本語の基本知識と基礎技能の習得
… 発音、文字、語彙、文法文型、読解、作文、聴解、自学自習の技能等「学科」プログラム : 小中学生向けのプログラム。小中学校での教科学習に必要となる日本語の基本知識と基礎技能の習得
… 国語、算数/数学、理科、社会、美術/図画工作、音楽、体育等
… 近隣の小中学校への体験入学
電車利用の実習 子どもクラス学習発表会 子どもクラス家庭科実習 パソコン教室
■定着・職業指導
入所者は当センターでの研修を修了した後、それぞれの定着地において新たな生活を始めることになります。当センターでは、この定着地の地域社会において自立した生活を円滑に営んでいけるよう、様々な指導を行います。
・帰国者支援制度等について
・介護保険・医療保険・年金制度等について
・身元引受人との面談・定着先の自治体等との連絡
・最高裁判所や法律事務所の就籍担当者を招いての説明会と就籍申請
定着指導 教材
・就職の斡旋が必要な帰国者に対して「求職申込書」「履歴書」「職務経歴書」等の記入指導
・就労にかかわる全般的な事柄についての説明・指導
・「公共職業安定所」「事業所」「企業」等の見学
・地方都市の企業で労働を体験する「職業体験実習」
・世帯別に職業相談の実施
職業体験実習 個別職業相談
入所者は、研修棟から約2km離れた宿泊棟で生活します。研修中は、毎日研修棟まで、自転車、徒歩、送迎車(高齢者のみ)等で通学します。宿泊棟は、日常生活の場であると同時に、地域社会での生活習慣を学ぶ場でもあります。宿泊棟では、安心して研修期間を過ごせるような態勢を心がけています。
宿泊棟全景 居室
・生活:集団生活のルール、買い物、ゴミの分別等
・安全:交通安全指導、消火・避難訓練、救命救急講習等
・交流:地域行事、近隣の学校等
自炊風景 ひな祭り交流会
全国各地に定着している帰国者とその家族が「いつでも、どこででも」日本語学習の機会が得られるように、日本語の通信教育を行っています。
キャリアアップコース 二世三世の就労や資格取得支援につながるコース 就職対応コース/職業訓練校入校準備コース/運転免許コ−ス等 基礎日本語
コース基礎日本語 入門〜初級レベルの日本語を体系的に学べるコース 入門日本語文法文型コース等 生活場面日本語 日常生活行動をスムーズに行えるようになるための、来日間もない帰国者のためのコース 医療コース/消費生活コース/交通コース/学校コース等 ジャンル別日本語 読解、作文、漢字や漢字語彙、会話など日本語技能のジャンル別のコース 漢字学習コース/読解コース/近隣交際コース/作文コース等 高齢者向けコース 高齢帰国者が関心を持ち学習しやすいテーマを取り上げ、成果を焦らず楽しみながらゆっくりと学べるコース ピンイン学習コース/ゆっくり漢字コース等
通信教育教材セット 添削風景 添削課題
日本語遠隔学習課程の受講者を対象として、各地の中国帰国者支援・交流センターや定着地自治体が、受講者の居住地で「スクーリング」(対面指導)を実施しています。当センターでは、この「スクーリング」がスムーズに行われるように、全国の各自治体やスクーリング講師に対して、情報提供や研修等のサポートを行い、全国の支援者ネットワーク作りを行っています。
スクーリング風景 |
スクーリング 講師研修会 |
帰国者に対する日本語教育における、教材作成等のカリキュラム開発や、教育及び教育に関連する事柄についての調査・研究、また、帰国者支援にかかわる情報の収集を行います。これらの成果を、帰国者関係機関や指導者等に提供するとともに、ホームページ等を通じて広く発信しています。
研修用教材と遠隔学習課程のための自学自習型教材の開発を行っています。その一部は財団法人中国残留孤児援護基金出版部から一般向けにも販売されています。
<主な開発教材> |
ひらがな練習帳1〜3 カタカナ練習帳1〜3 |
ことばと表現T〜W(CD付) |
のんびり学ぼうTU(CD付) |
始めてみよう・話してみようT〜W(CD付) |
新・日本の生活とことば−1「消費生活」上下(CD付) |
新・日本の生活とことば−2「医療」上下(CD付) |
新・日本の生活とことば−3「交通」上下(CD付) |
新・日本の生活とことば−4「学校」上下(CD付) |
中国語を母語とする人のための医療用語集 |
話してみよう近所の人と @A(CD付) |
漢字を覚えよう 上下 漢字ゆっくり AB |
漢字をおぼえよう(1)〜(6)(露) |
読解の基礎 上下 |
自己表現日本語(1)《日本語学習》AB(CD付) |
自己表現日本語(2)《日本の生活》A(CD付) |
求職会話(CD付) |
面接のやりとり(CD付) |
運転免許学科教本 |
こつこつ日本語運転免許 |
かけ足数学 上下 |
パソコンに触ってみよう パソコンに親しもう |
ワードに慣れよう Excel・電子メール入門編 |
支援者間ネットワークの構築を目指した情報紙を、年2回発行しています。紙面は、各地の学習支援活動の紹介、関係省庁からの報告やお知らせ、教材や支援にかかわる情報の提供、帰国者の手記や事例の紹介などからなっています。
帰国者に対する教育、及び教育に関連する事柄についての調査・研究の成果をまとめて発表しています。(外部からの投稿論文も掲載)
当センター『紀要』やニューズレター『同声・同気』をはじめ、帰国者及び定住型外国人に対する日本語教育や学習支援・生活支援 等々にかかわる情報を掲載しています。
http://www.kikokusha−center.or.jp/
中国帰国者定着促進センター |
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利用交通機関 | ●研修棟 | ◎西武新宿線「航空公園駅」東口下車徒歩約20分 |
バス同駅正面乗場で「並木通り団地行」に乗車、「秩父学園入口」で下車 | ||
●宿泊棟 | ◎西武新宿線「新所沢駅」東口下車、徒歩約10分 | |
(研修棟) | 〒359−0042 埼玉県所沢市並木6丁目4番2号 電話 04−2995−5317(代表、総務課)Fax O4−2995−5319 04−2993−1660(研修) Fax O4−2991−1689 04−2993−1662(遠隔課程) Fax O4−2991−1689 メール:info@kikokusha−center.or.jp URL:http://www.kikokusha−center.or.jp/ |
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(宿泊棟) | 〒359−0042 埼玉県所沢市並木4丁目1番地 電話 04−2998−4615 Fax O4−2998−4616 |
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〒105−0001 東京都港区虎ノ門1丁目5番8号 オフィス虎ノ門1ビル 電話 03−3501−1050(代) |
2012.01.06up