「異言語間・異文化間家族学」研究会公開シンポジウム

複数の言語と文化の交叉点: 国際結婚家族の現在と未来

  

                                 後援 朝日新聞社

 

 

日時・会場

■東京会場

日時.:.11月10日.(土).13:30~16:30. (受付開始 13:00)

場所.:.関西学院大学 東京丸の内キャンパス (JR東京駅八重洲北口より徒歩1分)

.... ..東京都千代田区丸の内 1-7-12...サピアタワー10階

.... ..アクセス<http://www.kwansei.ac.jp/Contents_4720_0_10_0_18.html>

■大阪会場

日時.:.11月18日.(日).12:30~15:30..(受付開始 12:00)

場所.:.関西学院大学.大阪梅田キャンパス (JR大阪駅から徒歩10分)

.... ..大阪市北区茶屋町.19-19...アプローズタワー14階1405室

.... ..アクセス <http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/access/>

 

 

シンポジウム開催趣旨

家族は、言語や文化の実践の場であり、また次世代への継承を担う、いわば言

語・文化実践・継承機関の一つと言えます。この実践や継承の対象となる言語・

文化が複数ある家族を「異言語間・異文化間家族」と称するならば、「国際結婚

家族」はその代表格と言えます。世界規模で人々がこれまで以上に活発に移動

する現代にあって、こうした家族は増加の一途をたどっています。しかしながら、日

本ではこうした家族を対象とした研究が十分でなく、またその寡少な研究も、研

究者が各自の専門領域で個別に実施、報告するに留まり、その成果が十分に社

会に還元されてきたとは言えない状況にあります。

そこで、本シンポジウムでは、「国際結婚家族」における諸課題をテーマに、そ

れぞれ異なった領域で研究を続けてきた研究者が集まり、各自の研究成果を報

告し、論じ合います。そして、その議論を通して、「国際結婚家族」を含む「異言

語間・異文化間家族」を包括的、かつ体系的に研究する「異言語間・異文化間家

族学」 とでも言うべき新しい研究分野の必要性を示すことができればと思います。

本テーマに関心をお持ちの方々にできるだけ多くご参加戴けるよう、同一内容のシン

ポジウムを別日程にて、東京と大阪を会場に開催致しますので、奮ってご参加下さい。

 

 

プログラム

 

■東京会場   11月10日.(土).13:30~16:30

..............................................司会・コメンテータ....新田 文輝.(吉備国際大学)

13:30~13:40. 本シンポジウム開催の主旨説明

13:40~14:05. 国際結婚家族の言語―子どもはみなバイリンガルになるか?

. 山本 雅代 (関西学院大学)

14:05~14:30. 国際結婚家族の子どもたち―文化的アイデンティティをめぐって

. 鈴木 一代 (埼玉学園大学)

14:30~14:55. 国際結婚家族への支援―多様化する問題への対応に向けて

. 石河 久美子 (日本福祉大学)

14:55~15:10. 休憩

15:10~16:30. 質疑応答および全体討議

 

 

・ 参加.:.無料

・ 定員.:.100名.(定員に達し次第、締め切り)

・.申し込み.:.必要 (住所、氏名、電話番号あるいは電子メール・アドレスと共に

. 「東京会場」 と明記の上、下記宛てお申し込み下さい)

・.申し込み・問い合わせ先 :.できるだけ電子メールをご利用下さい

.... 電子メール <igengoibunka@yahoo.co.jp>......ファックス048-294-0527

 

■大阪会場 .11月18日.(日).12:30~15:30..(受付開始 12:00)

場所.:.関西学院大学.大阪梅田キャンパス (JR大阪駅から徒歩10分)

..............................................司会・コメンテータ....新田 文輝.(吉備国際大学)

12:30~12:40. 本シンポジウム開催の主旨説明

12:40~13:05. 国際結婚家族の言語―子どもはみなバイリンガルになるか?

. 山本 雅代.(関西学院大学)

13:05~13:30. 国際結婚家族の子どもたち―文化的アイデンティティをめぐって

. 鈴木 一代.(埼玉学園大学)

13:30~13:55. 国際結婚家族への支援―多様化する問題への対応に向けて

. 石河 久美子.(日本福祉大学)

13:55~14:10. 休憩

14:10~15:30. 質疑応答および全体討議

・ 参加.:.無料

・ 定員.:.100名.(定員に達し次第、締め切り)

・.申し込み.:.必要 (住所、氏名、電話番号あるいは電子メール・アドレスと共に

. 「大阪会場」 と明記の上、下記宛てお申し込み下さい)

・.申し込み・問い合わせ先 :.できるだけ電子メールをご利用下さい

.... 電子メール.<igengoibunka@yahoo.co.jp> ファックス. 0798-54-6982

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■.国際結婚家族の言語.― 子どもはみなバイリンガルになるか?

山本 雅代.(関西学院大学)

親が異なる言語を母語とする国際結婚家族に生まれ育つ子どもは、両親の言語を自らの母語とし

て「自然に」習得し、流暢なバイリンガルになると考えられることが多いが、果たして現実はどうであろ

うか。確かに二つの言語を習得する子どもがいる一方で、一方の親の母語のみを習得するケースも少

なくない。それはなぜなのか。

本報告では、社会言語学的視点から、国際結婚家族を対象に、報告者がこれまでに実施してきた

家族の言語使用実態調査の結果を概観しながら、子どものバイリンガル能力の発達、すなわち親から

子どもへの母語の継承には、家族構成、子どもの長幼の順、姻戚関係の密度、あるいは親の言語能力

など、家族の内的要因のみならず、同時に、それら要因を凌駕するほどの強力なマクロレベルの要因、

すなわち言語を巡る政治的、社会的、また経済的要因も大きく関与していることを論じる。

 

■.国際結婚家族の子どもたち.― 文化的アイデンティティをめぐって

鈴木 一代.(埼玉学園大学)

日本に居住し、両親が日本人ならば、その子どもたちは、社会化を通じて、自然と日本人として成

長していく。そして、日本人であることを特に意識することもない。しかしながら、国際結婚家族.(国際

家族).の子どもたち.(国際児).の場合には、生れたときから、出身文化の異なる両親が側におり、複数

の言語や文化が存在する環境のなかで生育する。.

このような多文化環境のなかで、国際児たちはどのような文化的アイデンティティをどのように形成

していくのだろうか。また、文化的アイデンティティ形成にはどのような要因が関与しているのだろう

か。さらに、国際児たちが文化的アイデンティティを形成する際にはどのような困難があるのだろうか。

本報告では、複数の文化・言語が交叉する環境のなかで育つ国際児たちの文化的アイデンティティ

をめぐる心理・社会的問題を取り上げる。

 

■.国際結婚家族への支援.― 多様化する問題への対応に向けて

石河 久美子.(日本福祉大学)

近年、国際結婚は増加を続け、特にアジア人女性と日本人男性による国際結婚の増加はめざまし

い。国際結婚家族の抱える問題として、外国人の母親の育児不安、親子、夫婦間のコミュニケーショ

ン・ギャップ、深刻なものとしてドメステイック・バイオレンス、児童虐待、国際離婚などがあげられる。

しかし、問題が深刻化しても外国人妻が専門機関に支援を求めることは極めて少ない。その背景に

は、外国人妻の日本語力の不足や支援機関側の広報活動の不十分さがあると考えられるが、そもそ

も日本社会側に国際結婚家族のみならず、多様化する外国人の生活問題に対応できるシステムが

整っていないというのが現状である。

これらの状況を踏まえ、本報告では、多様な文化的背景を持つ人達に対する社会福祉の支援方法

として.「異文化間ソーシャルワーク」.について言及すると共に、社会福祉の視点から国際結婚家族を

研究領域として扱う必要性について論じていく。