HOME > 支援情報 > 機関紙「同声同気」 > 第11号(1998年1月16日発行)  PDFファイル
巻頭言  僕は中国から来たんだからもういいんだ
こんなところ・あんなところ・どんなところ
 東北地方 そのB ─岩手県─
 地域情報 ア・ラ・カルト
 ナラ・ファミリー&フレンド/北海道日本語教育ネットワーク・リソースセンター/福岡中国残留婦人問題を考える会/長野県外国籍児童生徒・中国帰国子女指導者ネットワーク
行政・施策
 厚生省から
 文化庁から
 援護基金から
研修会
教材・教育資料
とん・とん インフォメーション

巻頭言

「 僕は中国から来たんだから、もうこれでいいんだ……」

 センターの卒業生が遊びに来ることがあります。11歳で帰国(来日)して全日制職業高校生となっているA君は、これまでの勉強のこと、成績のことに話が及んだときに、こんなことを言っていました。成績は…よくなかった、期末テストともなると精一杯がんばるのだけれどわからないことが多すぎる、そういうときは、自分は中国から来た(という特別な事情のもとで勉強している)んだから、もうこれでいいんだと思ってしまうのだ、と。
 彼のように小学校高学年以降の年齢で来日し、第二の母語として日本語を学ぶ子どもたちの場合、伝達言語―友だちや先生との日常のやりとりで必要となる日本語―がほぼ不自由なく使えるようになるのに1〜2年、学習言語―教科の学習を理解し学力をつけていくために必要となる日本語―を習得するのにさらにもう数年はかかると言われています。子どもたちは、留学生のように、日本語を学んでから学校生活を始めるというわけにはいきません。日本語の学習と並行して学校生活が始まる、と言うよりは、彼らは学校生活を通して日本語を習得していくことになります。伝達言語であれ学習言語であれまだまだ充分に力がついていない段階であっても、教科の学習はどんどん進んで難しくなっていきます。この間に生じた学力の「空白」部分、そして学習言語力のハンディ。A君の言葉には、そうした困難を前にしたときの無力感と、その中で心のバランスをとろうとしている様子が現れているように思えました。こうした子どもたちに必要なのは、「もっとがんばれ」と言う励ましではなく、彼らのハンディを理解し教科学習の負担を少しでも軽減できるような支援、彼らの努力を学力、そして成績の向上という成果につなげていけるような支援です。『同声・同気』ネットワークから得られた情報の範囲ではありますが、最近は、こうした教科理解、学力、進学に重点をおいた支援が広がってきているように思います。
 子どもたちのアイデンティティーや自尊感情に配慮した生活指導や日本語指導、教科学習への移行プログラム等、来日初期の支援が重要なことは言うまでもありません。しかし、日本語を母語としない子どもたちの学習権と言うとき、その後の長期的な支援を通して、学習言語を伸ばし学力を保障していくことだけでなく、それによって進学・進路の可能性を保障していくことにも同様の比重で取り組まなければならないのではないでしょうか。私たちはこれからも、この学習権の視点から、様々な支援の状況を紹介していきたいと思います。
 今年もよろしくお願いいたします。

新年好!

こんなところ・あんなところ・どんなところ?

東北地方 そのB ─岩手県─

T.岩手県中国帰国者自立研修センター

 岩手県が中国帰国者通訳奉仕会に委託して、平成7年7月に開設したものです。盛岡市に本部、一ノ関市に支部があり、月曜日から金曜日まで毎日2時間半日本語教室を開いています。テキストは主に『会話で覚える日本語』(山形県中国帰国者奉仕会編)(NL第3号2ページ参照)を使っています。講師は中国帰国者通訳奉仕会会員が当たっています。この奉仕会は20年前から、中国から寄せられる残留孤児の手紙の翻訳をしたり、県から委託されて帰国家族の日本語指導をしたりしてきたボランティア団体です。  就労や生活の相談は、就労相談員や生活指導員が随時行っています。専任職員のいる盛岡の本部とは違い、職員が常時いない一関支部では帰国婦人に連絡員として留守番役をしてもらっています。  その他、中国の春節に当たる2月の初旬に各地区で帰国者、センター職員、行政関係者、企業関係者が参加する地域交流会を開いていますし、一年に一回は岩手県全体の帰国者の交流の場として日帰り旅行会等も行われていますが、岩手県は面積が広く帰国者が全県に分散していて集まるのも大変なので、県北と県南に分かれて行う等の工夫をしています。  なお、本部では既に毎週火曜日に再研修クラスを開いていましたが、平成9年12月からは金曜日のクラスも設けています。

U.中国帰国者のための県単事業

@日本語教室の開設
 日本赤十字社岩手県支部に委託して花巻、金ヶ崎、水沢、矢巾の四カ所に日本語教室を開設しており、中国帰国者通訳奉仕会会員が講師として日本語教育に当たっています。各地区とも月10回、各2時間です。平成8年度は133名が受講しました。
A慰労金の支給
 県内に永住・一時帰国した中国残留邦人等に対し、慰労金を支給しています。
B住宅費の助成
 生活保護世帯で帰国後5年以内の世帯に対し、家賃と住宅扶助額との差額を助成しています。

地域情報 ア・ラ・カルト

★ほっとできる居場所をめざして −ナラ・ファミリー&フレンド−

 「音楽と体育 キライだ!」

 これは、中国残留婦人だったおばあちゃんの帰国にともないその三世として日本に移住し、小学校へ編入したF君の言葉だ。ある日突然、住み慣れた土地や友だちと離れ、言葉がまったく通じない日本の学校へ入ってくる外国籍の子どもたち。彼らが出会ういろんな“しんどさ”は私たちの想像を越えている。国語・算数・社会と続く授業の間、先生の言葉が何もわからずポツネンと教室に座っているというF君。取り出し授業で日本語や勉強をみてくれる先生が来るのは週に1回だけだし、中国にはない給食や掃除など、学校文化の違いにもとまどっている様子だ。でも、F君には先生や友だちに語りかける言葉がない。だからせめて、音楽と体育の時間は楽しい時をすごしているだろうと思っていた。だって、音楽は言葉を越えるって言うし、体育の時間は運動場を思いっきり走り回れば少しはストレスも発散し友だちもできるかもしれない。そう思いこんでいた私たちの先入観を見事にくつがえしてくれたのがこの一言だった。一瞬「えっ!なんで?」

 実は、F君は、ドレミの音階や音符を見たことも習ったこともなかったのだ。ましてやリコーダーなるものとは初対面。赤ちゃんの頃からドレミファソラシドが染み込み、いろんな楽器に慣れ親しんでいる日本の子どもたちの演奏や、耳慣れない西欧の音楽の渦のなかで、ここでもまたF君は“一人だけ何もできない自分”を認めざるを得なかったようだ。「でも、体育はなぜ?」…… 中国では人前で膝から下を出したことがなかった彼にとって、運動服に着替えて短パンになることはとても苦痛なのだという。

 地域の中での助け合い運動のような形で96年8月、「ナラ・ファミリー&フレンド」は生まれた。外国人児童のための夏休み勉強会を開いたのがきっかけで、その後も中国帰国者や日系ブラジル人の子どもたちとの“大変で楽しいおつきあい”が始まった。月に一回だけでもいろんな国の子どもたちが集い、母語で思いっきり話せたり、ほっとできる場所になることを第一の目的にして楽しい企画をいろいろやってみた。と同時に、不安定な子どもたちが自信を持てるように、日本語と学校の勉強もサポートしなければと強く思うようになった。気がつけばたくさんの大学生やボランティアがピタリと子どもに張り付いて勉強に精を出していた。子どもにとってはわからない授業の延長という方向へ傾斜していったと思う。この矛盾した私たちの活動姿勢が、一方で子どもたちの本当の“HELP!”の意味を理解していなかったことを、前述のF君の言葉が気づかせてくれた。社会で出会う様々な体験、日本人との間にできるいろんな関係、未知の習慣やルール、見ること聞くこと、そのすべてが彼らにとってはひとつひとつクリヤーしなければならない学習だったのだ。その過程に伴走し、声に耳を傾けていくことが私たちの活動の軸になるべきだったのだと思う。

 自分の生まれた国に誇りを持ち、アイデンティティーを主張してほしい。でも、日本社会や日本人への適応も余儀なくされる。二つの名前の狭間で揺れている子どもたち。追い立てないで、自分の居場所が確保できるまでゆっくりと見守りたいと思う。でも、カリキュラムがいっぱい詰まった単元や時間割が毎日毎日飛んでいく。受験が迫ってくる。「教室に座っていても、頭の中はいつも真っ白」という高校生は淋しそうだ。「どうして?」と聞くと、自分の未来が見えないのだと訴えた。中国帰国者二・三世のしんどさは、在日韓国・朝鮮人の辛苦と二重写しになる部分と微妙にずれる部分がある。子どもたちに何を一番大切にしてと伝え、何を希望にしてと励ましたらいいのか、私たちの心もいつも揺れてしまう。暗中模索に近い状態が今も続いている。

 せめて前向きな第一歩として、主人公である子どもを囲む担任教師・日本語指導の先生・両親・地域のボランティアが本音で悩みを語り合い、チームワークを築いていくことは無理だろうか。悩みや経験を共有していくことが出来れば、小さなボランティア活動でも何か協力していけることがみえてくると思う。『同声・同気』のおかげで少し光りが射してきた気がする。他府県のいろんな情報や試みを知ることが出来たし、ダウンロードした資料も増えてきた。そして何よりも、孤立無援のような気分で悪戦苦闘していた「ナラ・ファミリー&フレンド」のスタッフにとっては、この情報誌の作り手から伝わってくる“がんばって”とでもいうようなあたたかい応援が一番嬉しい。

 活動を通じてつくづく思うことは、外国人住民にとって日本は法律も制度も対策もまだまだ不十分だということ。でも、子どもたちはどこの国籍を持っていようと、どこにいようと良質の教育を受ける権利を持っている。せめて、人類共有の財産、子どもたちを育む場だけは、多面的で、柔軟で、あたたかい受け皿を準備できないものか、それは私たち大人に課された緊急課題だと思う。(外国人児童を支える会「ナラ・ファミリー&フレンド」仲川順子)

★北海道日本語教育ネットワーク・リソースセンター

 このセンターは札幌駅から歩いて10分程のところにある北海道庁別館12階、社団法人北方圏センターの資料室内にあります。

 1994年7月、北海道日本語教育ネットワークの設立総会でリソースセンターの設置が提案されました。その目的は日本語教師の自己研修や日本語学習者が自主的な学習をすすめるために必要な図書や参考資料、教材などを多数集め、それを個人的に利用できるようにすることと、日本語教育に関する相談に応じたり情報を提供したりすることで、1995年7月正式に開設されました。

 当初は手持ちの図書や資料などは少なかったのですが、日本語教育ネットワークの会員個人や「にほんごの凡人社」「スリーエーネットワーク」「講談社インターナショナル」「札幌ワールド学院」などからの大量寄贈によって充実してきました。

 現在は図書約600冊、ビデオテープ約130本、音声テープ約450本があり、毎週火曜日と金曜日の午後2時から5時まで利用することができます。お盆とお正月の3日ずつと祝日は休みです。ここにはビデオ付きテレビ、ラジカセ、コピー機がそれぞれT台ずつあり、活用されています。人気の図書や教材は教授法、日本語の文法、日本語教育能力検定試験などに関するもので、一ヶ月に平均30〜40人の利用者があります。今のところ日本語を勉強している外国人などの利用は少ないですが、これはこのセンターがまだあまり日本語学習者には知られていないからではないかと思われます。

 今20名のメンバーが交替で閲覧日の仕事、図書やテープ類の整理などをやっています。今後の課題はもう少し広いスペースが確保できて、収納できずに他の場所に保管されている図書類を利用できるようにすることと、オープンする時間をもっと増やすことです。  ネットワークの会員がますます力を出し合って、一層利用しやすく価値のあるリソースセンターにしたいと思っています。(北海道日本語教育ネットワーク・リソースセンター)

★高齢化した帰国者に必要なもの −生活実態調査を終えて−

 個人的な思い出になりますが、私が以前定着センターに勤めていたとき、帰国者が年々高齢化し、障害者が多いということがとても印象に残りました。センター退職後、社会福祉を教える教員となり@日本語が出来ないA高齢者B障害者という三つのハンディキャップを背負った人にどのような援助が必要なのか、ずっと考え続けてきました。それには、まず、実態を知ることです。幸い、私たち「福岡中国残留婦人問題を考える会」の「帰国した中国残留婦人等の生活実態調査」の計画が、福岡市・女性センター「アミカス」の市民グループ調査研究支援事業(1996年度)に採用され、昨年から今年3月までの1年間、調査に取り組むことが出来ました。以下はその簡単な報告です。

 −帰国者の健康・介護の問題は深刻−

 調査対象は、主に福岡県内に住む55歳以上の中国帰国女性29人。面接による聞き取り調査で、内容は、@健康A介護B生計C日本語D社会生活E家族と多岐に渡りましたが、やはり一番深刻だったのは、健康・介護問題でした。29人のうち23人が通院しており、通院率は80%と同世代の一般女性よりずいぶん高かったのです。また、食事や入浴等に介護が必要な人は70歳以上では半数を超え、一般の国民のほぼ2倍の比率でした。それにもかかわらず、公的な福祉サービスは知られていませんでした。必然的に家族に通院や介護の負担がかかってきます。それでも調査に協力してくれた帰国者の人たちは、家族の絆が強く、家族関係も良好だったのですが、調査に応じてもらえなかった人のところには、かなり悲惨な介護の例もあるようでした。

 −通院に言葉の壁−

 終戦時の年齢が低かった人は、帰国年数が長くても日本語の習得には苦労していました。通訳派遣の制度があっても、緊急時の対応も含めて十分機能できていませんでした。命にかかわる場合−心臓発作を起こしたが、日本語で救急車を呼べなかった、日本語が出来ないので通院をしぶっていたら癌が進行していた等−も少なくありませんでした。病院に行ったとき医師との会話に困ると答えた人は、多くは帰国孤児と呼ばれている人達でした。また、全体的に帰国者同士の付き合いも少なく、近所付き合いも含めて寂しい生活をしている人も多かったので、家に出向いて日本語を話す「日本語出前ボランティア」や制度の谷間を埋める「医療通訳」のネットワークづくりが進んでいるところです。調査のための調査に終わらせず、できるところから足を踏み出していきたいと思っています。(福岡YMCA 名和田 澄子)

★長野県外国籍児童生徒・中国帰国子女指導者ネットワーク

 長野県では現在、ブラジルやフィリピンから来た児童生徒と中国帰国子女を合わせた人数は1000人を超えていますが、県下の小中学校でこれら児童・生徒の日本語指導に携わっている教師らが、「外国籍児童生徒・中国帰国子女指導者ネットワーク」を結成、平成8年9月には『ネットワーク通信』が創刊されました。ネットワーク結成のきっかけとなったのは昨年6月に開かれた「中国帰国・外国籍児童生徒指導者学習交流集会」で、その時に日々現場でいろいろな問題に直面し、悩んでいる教師たちが話しあったことからでした。

 ネットワーク通信は現在月1回を目標に発行されており、すでに9号まで出ています。先生方の様々な取り組みの紹介、いろいろな出版社が出している教材や教師が自分で開発した教材の紹介、日本語教育関連の新聞記事や講演会のお知らせ等が掲載されています。

 またこのネットワークは県教組とともに長野県教育委員会に対して「外国籍児童生徒・中国帰国子女の教育環境を整備する申し入れ」をしています。このように現場の先生方が各学校の枠を越えて交流し、それぞれが抱える問題を共有しあって、より良い方向へ向けて活動が広がっていくことが望まれます。 問い合わせ先:長野県教組本部教財部 原英章(ネットワーク事務局) 026−235−3700

暁草

 大阪府立加納高校に在籍する13名の渡日の生徒たちが、他の高校の生徒とも交流を深めたいと小雑誌『暁草』を作りました。これは第8号で紹介した『北辰』の高校生版とも言えるものです。現在月一回の発行で、内容は散文、詩、小説、旅行記等いろいろです。この高校では月曜日から金曜日まで毎日、補習・交流の場としてI.W.S.(International Work Shop)がありますが、ここでの活動を他校の仲間にも広げようと意欲的に取り組んでいます。 大阪府立加納高等学校 〒578 東大阪市加納3-3-86 TEL 0729-65-3910

行政・施策

★厚生省から

1.平成9年度 身元引受人会議

 同会議は北海道・東北地区が昨年9月18日、19日宮城県で(身元引受人25名出席)、中国・四国地区が11月27日、28日岡山県で(身元引受人2T名出席)それぞれ開かれ、全体会議とグループ討議が行われました。  1日目は厚生省による行政説明と、宮城県では宮城中国帰国者定着促進センター秋元所長心得、岡山県では広島中国帰国者定着促進センター寺岡所長から、「中国帰国者定着促進センターでの教育と指導について」の講義があり、その後体験発表とグループ討議が行われました。グループ討議では活発な意見交換がなされ、特に呼び寄せ家族の問題、自立指導員との関わり方、日本語指導等について現状と問題点が報告されました。  2日目は、前日の討議のまとめの発表と厚生省への質疑応答が行われました。  今回は初心者と、はじめてこの会議に出席する方を対象としましたが、会議終了後、参加者からは大変参考になったとの感想がありました。厚生省では会議の成果を踏まえ、身元引受人あっせん事業の諸問題を検討することにしています。

2.平成9年度 自立指導員研修会

 主に経験者を対象として昨年11月20日と21日京都で開催され自立指導員55名、都道府県職員40名、厚生省職員3名が参加しました。  1日目は厚生省による行政説明の後、事前に提示された事例についてグループ別に活発な議論が交わされました。2日目は、事例研究のまとめの発表と質疑応答が行われました。  今回は主に経験者を対象としたこともあり、例年行われていた講義を省き事例研究に時間をかけましたが、終了後、参加者から「議論が活発で良かった」「参考になった」などの感想がありました。

3.平成9年度 適応促進対策研修会

 平成9年12月2日、3日東京で開催され、中国帰国者定着促進センター、自立研修センターの職員50名、都道府県職員10名、厚生省職員6名が出席しました。 (7ページ研修会参照)

★文化庁から

1.文化庁委嘱地域日本語教育推進事業

 川崎市報告書『共生のまちづくりをめざす日本語学習のあり方』の概要

 本事業については『同声・同気』第10号ですでにご紹介しましたが、神奈川県川崎市は、この二番目のモデル地域として、平成6年度から3年間、川崎市地域日本語教育推進委員会を事務局として様々な取り組みを行ってきました。

 本報告書は、「はじめに」、第1部「川崎市の概況と識字・日本語学習」、第2部「川崎市の識字・日本語学習の現状と課題」、第3部「川崎市の識字・日本語学習の活動事例」、第4部「豊かな地域社会の創造に向けて」及び資料編からなっています。「はじめに」と第1部は、川崎市における本事業の経緯、川崎市の外国人施策の理念や識字学級・日本語学級の設立に関する歴史的経緯等についてふれています。第2部においては、市民館等の識字・日本語学習のあり方に関する考察を通して、その問題点と今後の課題が示されています。第3部では、各市民館等での識字・日本語学習に関する取り組み事例を紹介すると共に、複数の市民館による連携活動の事例も紹介し、第4部では、地域における識字・日本語学習のあり方について言及しています。結論部分では、「外国人市民に対する支援の場とは、ボランティア側も相手から学び対等な関係を築くことができるような相互学習の場であること」や「地域においては、外国人市民が日本社会に適応するだけでなく、日本社会の側からも自ら変わっていくこと」への理解の必要性が説かれ、「識字・日本語学習の場は、外国人市民にとっても地域の市民にとってもまさしく社会教育の場であり、自立と自己実現につながる生きるための学習の場であること」等が述べられています。

2.日本語教育衛星通信講座

 この講座は、「衛星通信を活用した模擬授業及び全体協議を実施し、日本語教育に関する理解を深めるとともに、日本語教育の推進とその水準の向上に資すること」を目的として、昨年11月5日に東京工業大学を主会場とし、他3会場を衛星通信で結んで開催されました。なお、本講座に関連した報告書は、今年の「文化庁日本語教育大会」において配布される予定です。            (文化庁 国語課 野山広)

★援護基金から

 平成10年度日本語学習のための就学生募集 「日本財団」の補助事業として実施されるものです。中国帰国孤児の二・三世(帰国後3年以内の方)が日本の大学、短大、又は専修学校の専門課程へ入学を志望し、そのために大学入学志望者を対象とした日本語教育を実施している教育機関等に入学する場合に、就学上必要な資金を給付します。「就学資金給付申請書」には募集案内(案)に定める書類の添付が必要です。提出期限は平成10年1月31日です。詳しくは下記にお問い合わせ下さい。    中国残留孤児援護基金 〒105 港区虎ノ門1−5−8 オフィス虎ノ門1ビル7階  TEL03-3501-1050

研修会

★平成9年度厚生省「適応促進対策研修会」

 今回の研修会は平成9年12月2日、3日東京で行われました。定着促進センター、自立研修センターの日本語講師、生活指導員、就労相談員などが50名、都道府県職員10名が参加しました。

 1日目は厚生省による行政説明の後、国立精神・神経センター武蔵病院の相原和子先生による「精神的な障害をもつ中国帰国者への対応〜二重の喪失からの回復のために」というテーマの講義が行われました。異文化の中でうまくいかず自尊心を失い、不安定な精神状態になっている帰国者に接する時は、まず相手の心の状態を受け入れ、話をよく聞くことで信頼できる人間関係を作っていくことが第一歩です。そして次の段階では、帰国者が社会的役割を見いだせるような状況を作る手伝いをすることです。それには、人間関係で失敗しないで仕事をしていくことで、自分は日本の社会で何かの役に立っている、また人にも喜ばれていると本人が実感できるようにすることが必要だというお話でした。講義の後定着促進センターや自立研修センターから出された事例について、具体的なアドバイスがありました。

 その後参加者は、A:定着促進センターにおける日本語指導上の諸問題、B:定着促進センターにおける生活指導上の諸問題、C:自立研修センターにおける日本語指導上の諸問題、D:自立研修センターにおける就労等の諸問題、E:自立研修センターにおける生活指導等の諸問題のグループに分かれて意見交換を行いました。2日間で合計3時間、各センターが抱える問題やその解決方法について、活発なやりとりを行いました。問題は共通したものが多く、年に1度の研修会だけでなく、今後も何らかの形で連携をとりあい情報交換などを進めていくことが必要だと思いました。

教材・教育資料

★自主教材を作りながら…

 兵庫県内の中国帰国者集住地域に、帰国者のための日本語教室がある。この教室は、この地域の県営住宅に帰国者が入居し始めた頃に、地域の福祉活動の一環として開設されたもので、ボランティアの協力と行政の後押しにより、これまで17年近く毎週土曜日に活動してきた。その日本語教室にボランティアとして参加し、実践の中で、今、自分が関わっている帰国者にとって何が一番大切かと考えつつ教材を作り、ひとつひとつまとめてこられた斎藤裕子さんという方がいる。

 この教室では当初、市販のテキストを使っていたが、学習者の生活実状にあわない、本当に帰国者が必要としている日本語ではないのではないか、と斎藤さんは悩んでいた。更に、実際に教室への参加者も減ってきた。

 そんなある日、ひとりの参加者が、「子どもの靴を買いたいのだけれど、どう言えばいいのか教えてほしい」といってきた。そこで、靴を買うときに出会う様々な場面(店選びから始まって、サイズ、気に入らないときの対処、更に値切る場合!!も含めて)をみんなで一緒に考え、必要な言い方を練習した。翌週、首尾よく靴が買えたその人は教室で一部始終を報告した。家で何回も練習したこと、言い方を書いたメモをしっかり握っていったこと。この日、斎藤さんは「靴を買いに行く」という絵入りの教材を作っていき、みんなで復習をし、きちんと単語や文法事項の説明もした。このあと、他の参加者からも様々なリクエストが出てきた。斎藤さんは、参加者に質問や要望をどんどん出してもらって学習項目を見直し、「自分で学べるようにする(なる)」ことを教室の目標に据えた。

 ここで日本語を学ぼうとする人たちは日々の暮らしを抱えている。だから、生活に役立つと思えば教室へ来るが、興味のもてない教材や要領を得ない回答などが続けば来なくなる。参加自由で、無料の教室であればこそ学習者の目は厳しい。  斎藤さんは、学習者の「生活のことばが勉強したい」、「日本語が聞き取れるようになりたい」という要望に応えて、初級クラスを対象に、生活場面に題材をとり文法事項にも配慮した聞き取り教材を作成した。この教材には文字がない。絵とテープだけである。各課は、一つのテーマでまとめられている。例えば、「私の家族」、「薬」、「早く起きろ」、という具合であるが、絵は場面ではなくある動作もしくは単語である。学習者は教室で、絵があらわす日本語の文や単語を聞いて、わからない単語や文法事項について学習する。さらに家に帰ってから何度も繰り返しテープを聞き、最後にノートに書き取り、次回の教室でチェックしてもらって復習する、というやり方である。

 斎藤さんは、一貫して聴解力をつけることを大切にしている。はじめから文字教材は与えない。同じ漢字圏からの帰国者は文字に頼って聞き取る力がつかない、文字を見ると母語の発音に引きずられる、と思うからである。また、一方、中国で文字を学ぶ機会がなかった人には、文字から受ける威圧感がなくて親しみ易いということもある。週一回2時間という少ない授業時間で学習効果をあげるには、学習者自身が家庭でも容易に使えるような工夫のある教材が必要で、そのためにもこのテープ教材は便利だという。斎藤さんは、教室で使う教材を作りながら、それらをまとめる形で生活用語集等を出しているが、これらはあくまでも中国語の文法体系を意識して帰国者に分かり易いものであること、何よりも生活実態(地域や年齢や生活状況)に沿ったものであることを大事にしている。ただ、そう考えて作る教材はあまり一般的なものではなく、かなり限定された、汎用性のないものになることは避け難い。しかし、こうして個々の要望に応えることも大切で、それはボランティアだからこそできることだと斎藤さんは思っている。

 このような教室活動から生まれた書籍には次のようなものがある。これらは教室の学習者に配布するために自費出版したものであるが、各100冊程度の残部があり関心のある人にお分けできるという。しかし、『聞き取り練習帳』は、残念ながら一般には配布できないとのことである。  @『日語常用短句−日本語の決まり文句』A『日本語生活用語集・学校分冊』B『日本語生活用語集・医療分冊』C『日本人と中国人の交流百話』(日本語版/中国語版) 今回は、Cについてご紹介したい。@からBについてはスペースの関係で次号でお知らせしたいと思う。 

『日本人と中国人の交流百話−お互いどんなことにズレを感じたか 第一集』

 ここに紹介されている事例は、本書の趣旨に賛同した日本人と中国人が実際に直接体験したことばかりである。いろいろな日本人がいて、いろいろな中国人がいる。同じ文化背景を持つもの同士であればその人柄や性格に帰納させてしまえることでも、背負っている文化背景が違えばそれより先にトラブルになることがある。まえがきにもあるように、帰国者が当然と思っていることで日本人には耐え難いことがあるし、また一方で日本ではごく普通のことが中国では大変失礼な場合がある。しかし、相手の文化背景を知っていれば、それが悪意でないことも、単なる習慣にすぎないこともわかるだろうし、無用な誤解も避けられるだろう。異文化交流は、いわば自文化相対化の作業である。そのためには、双方がホンネで語る必要がある。

 目次の項目をあげてみよう。「挨拶・ものの言い方」から始まって、「性格・表現の仕方」「日本語」「言葉の誤解」「通訳」「立ち居振る舞い・生活感覚」「おつきあい、贈り物とお返し」「地域で」「学校」「職場で」「行政・警察・支援者など」「日本と中国の間で」まで、それぞれの内容に関わる様々な事例が136編収録してある。斎藤さんたちは、それらすべてにではないが、「これを読んでどう思いますか」と、いろいろな立場の日本人・中国人双方から率直な考え方、感じ方を引き出し紹介している。読んでいて、“あれはそういうことだったのか”とか“なるほどそんな風に思うのか”とか思い当たることがずいぶんある。これを教材にして、日本人・中国人双方がお互いの文化背景について学びあうことができるのではないだろうか。斎藤さんたちは、第二集の刊行も予定している。 (所沢センター 玉居子)

 問い合わせ先:〒546 大阪市東住吉区山坂4丁目15-1 斎藤裕子  なお、お問い合わせはハガキでお願いします。

★『中国から来た子どもたちの中学理科』

 『同声・同気』第10号11ページでご紹介した中学生の教科教材(英語・社会科)についで大阪府外教から理科の対訳集が出ました。これは、“入試で少しでも点が取れる”ことを目的にして、中学で学ぶ内容を整理したものです。(A)ポイント、(B)重要語句、(C)重要な図、(D)出題のされ方、(E)練習問題で構成されています。実費でお分けできます。

 問い合わせ先

(ア)大阪府在日外国人教育研究協議会
〒581大阪府八尾市高美町6-151
八尾市立高美南小学校内 TEL0729-94-5634
(イ)大阪市外国人教育研究協議会
〒540大阪市中央区法円坂1-1-35
中央青年センター内 TEL06-946-7795

 なお、中学校英語教科書『ニュークラウン』に準拠した対訳単語集(1〜3年)が出来ました。これに関する問い合わせは(イ)の大阪市外教にお願いします。

とん・とん インフォメーション

★各地の「再研修」は、今… 厚生省プロジェクト報告

 96年度より自立研修センターにおいて開始された「再研修(日本語再指導)」は2年目を迎えている。96年度、6カ所だった「再研修」実施センターは、97年度は13道府県14カ所(北海道、岩手、福島、長野、埼玉、千葉、神奈川、大阪、京都、高知、福岡、長崎、鹿児島)に増え、いよいよ本格的に、帰国者に対する公的な長期的支援システムが動き出したという感じだ。「再研修」は、一次・二次センターの研修生とは違い、日本社会での生活者を研修対象としている。実生活を始めている帰国者は、帰国経過年数はもちろん、その生活状況、ライフステージ、将来の目標、日本語レベルも様々で、学習ニーズは多岐に渡る。そして、その学習ニーズを満たすことは、帰国者が自分自身の人生を切り開いていくために必要不可欠なものとなっている。しかし、言語的にも人格的にも完成された成人帰国者が、異文化社会、異言語社会へ途中参加するということは並大抵のことではないだろう。また、働きながら自己実現していくための日本語を獲得するということは、時間的にも体力的にも困難を伴うものである。従って、このような学習環境における日本語学習は、長期的、生涯学習的な性格を持ち、そのカリキュラムは学習者のニーズを的確に捉え、それに応えていくものが必要となるだろう。そして、そのためには、実施過程において、「再研修」担当者と学習者との学習相談の機会もより多く求められるようになるだろう。「再研修」は、このように生活者の日本語学習ニーズに応えるものとなるよう、期待されている。

 初年度である96年度には、神奈川、岩手、大阪YWCA、鹿児島センターと次々に独自の再研修が開始され、千葉、大阪センターでは97年度実施に向けてニーズ調査、カリキュラム作成が行なわれた。その成果は『再研修カリキュラム』(厚生省社会・援護局、 NL第10号既報)としてまとめられ、カリキュラムモデル例として「神奈川モデル」「大阪YWCAモデル」「所沢モデル」ができた。また、96年度のもう一つの目標として、実施の過程と成果をセンター間で共有できるネットワークシステムを作ることがあった。再研修は、それまでの自立センターのあり方とは異なった発想を必要とする、新しい試みである。立場を同じくする者同士の情報や意見の交換は試行錯誤の日々には心強く、有意義なものになる。日々生ずる疑問や悩みを解決するには、「思いついたとき」に情報交換できる場が必要である。しかし、日本各地に散らばる自立センター間で、担当者がお互いに顔を合わせることは難しく、電話や郵便を使っても全体で情報を共有することは難しい。そこで、リアルタイムで情報を共有し、交換するシステムの構築を目指して、所沢センターを中心にパソコン通信の電子会議室「パティオ」を利用した情報交換を試みた。その結果、今年度へつながる貴重な資料と電子ネットワークの基礎を残すことができた。

 97年度に入り、新たに8センターが加わり、現在はそのほとんどのセンターが既に講座を開設している。各センターのコースは様々であるが、その多くは、日本語の総合的レベルアップを目指すコースである。既製のテキストを使用しているところもあり、センター内で開発された教材を使用しているところもある。既製のテキストを利用しているところには、地域の状況にあった語彙表現に修正して、より、学習者の現状に合うよう工夫しているところもある。また、一方では、学習者の具体的なニーズに応えるものとして、福島センターでは「運転免許コース」、神奈川センターでは短期の「職訓校受験対策コース」や「日本語検定2級対策コース」、「パソコン入門コース」等の、目標を絞ったコースが開講されている。特に、福島センターの「運転免許コース」は盛況で、現在21名の在籍者がいるとのことだ。そして、活動スタイルも教師と学習者の教室学習だけでなく、北海道センターのように、日本人との交流を目的とした野外実習を取り入れたり、大阪YWCAのようにボランティア参加の交流会(一緒にボーリング、一緒に図書館、ゲームで交流等)を企画したり、長野センターにおいては、パソコンを使った日本語学習を個別にボランティアに補助してもらい交流も兼ねる、といった活動をカリキュラムに取り入れているところもある。また、学習者層も各センターによって異なり、帰国者一世世代(配偶者を含む)の未就労者中心の所もあれば、二世世代の就労者中心の所、それぞれの世代が入り混じっているところもあり様々である。学習者の参加率は、やはり、就労者の多いクラスは欠席が目立つようだ。しかし、「多くの学生が“今になって勉強の大切さが分かった”といって、仕事で疲れているにもかかわらず、自ら交通費を払って積極的に勉強しています」(神奈川センター中川先生談)というお話もあるように、実生活を始めた者に対して、学習機会を確保し、保障することがいかに大切か、を「再研修」を通じて改めて痛感させられる。

 以上のような各センターの状況を相互に共有する手段としては、これまでの「パティオ」からより簡便な、電子メールを使ったメーリングリストシステムの利用に切り替え(今年の8月より)、センター間の電子メディアネットワークを構築中である。  「再研修」が始まって2年足らず、まだまだ模索は続いているが、今後も、生活者となった帰国者の学習ニーズに耳を傾け、学習権と学習への意欲を尊重するための「再研修」となることを目指したいと思う。(所沢センター 馬場)

★所沢センターからのお知らせ

1.就学年齢にある児童生徒の修了書類に関して

 中国帰国者定着促進センターでは4ヶ月の研修修了時に、学習者ひとりひとりの修了書類を作成し、センターでの研修状況を含めた情報が定着後の支援者の方々に渡るようにしています。子どもたちにも同様に、中国での就学歴やセンターでの学習状況、編入学年に関する講師の所見などが書かれた修了書類を準備しています。  就学年齢にある児童生徒は、センターを修了後、日本の小中学校に編入しますが、そこで実際に子どもたちに関わる先生方にその修了書類が渡っていないケースがときどきあるようです。もし、センターを修了した子どもたちに関する情報がお手元に行っていないようなことがありましたら、どうぞセンター教務課までご一報ください。修了書類のコピーをお送りすることもできますし、センターで担任をした講師が直接お答えすることもできます。よろしくお願いします。(教務課) 

2.『センター紀要第6号』への投稿募集

 内容は、中国帰国者(定住型外国人を含む)を対象とする教育や支援に関わるものであれば、論文、報告、研究ノート等、何でも結構です。様々な支援や教育の実践現場、また様々な研究分野からの投稿をお待ちしています。

 《 投 稿 規 定 ・ 方 法 等 》  ・内容は未発表のものに限ります  ・枚数:横書き36字×30行、10〜50枚程度     (図表を含む)  ・締め切り:1998年2月末日(コピー可)  採否は当センター紀要編集委員会で審査の上決定させて 戴きますのでご了承ください。         (担当:佐藤 恵美子)    中国帰国者定着センター 教務課          TEL 0429-93-1660/FAX 0429-91-1689

★もうご覧になりましたか? ホームページ『同声・同気』

  『同声・同気』第8号第9号でもお知らせしましたが、中国帰国者および支援者のためのホームページ『同声・同気』がオープンしました。少しずつ内容を充実させていって、帰国者を支援しているみなさんの情報交換の場にできれば、と日々作業を進めています。オープンしてほぼ10ヶ月が経った現状をご報告します。

○ダウンロードコーナー新設

 このコーナーでは、未刊行の資料や入手しづらい資料を掲載し、みなさんに広く提供することを目指しています。現在は、文化庁や厚生省で行った調査報告、児童生徒対象の指導資料などを掲載し、必要な方はダウンロード(所沢のパソコンのデータファイルを自分のパソコンに取り込むこと)して研究や実践の参考にすることが出来るようにしました。

○会議室オープン

 『同声・同気』の会議室には2種類あります。どなたにもオープンしている会議室と所沢センターが中心となって実施しているプロジェクトのメンバーだけに開いている会議室です。オープン会議室の方をどうぞのぞいてみてください。書き込みを歓迎します。

〇利用状況

 アクセス件数は4千を越えました。出張に出て初めてお会いした方の「見てますよ」の一言が大変励みになったり、修了生からの「先生たちがんばってね」のメールが嬉しいこの頃です。

 ただ、インターネット環境はまだまだ整っているとは言えず、今後の普及に期待しています。学校や図書館、公的な機関でより簡単にアクセスできるようになれば、かなり有効な情報交換の道具になるでしょう。世の中の流れを見ても、時間を追って使いやすくなるのは必定、そのときに今よりもっともっと有益で楽しいホームページであるよう、がんばっていきたいと思います。みなさんからの情報提供、ご意見その他、お待ちしています。

==ホームページからのお願い==

  ダウンロードコーナーの充実を図ることが現在の課題となっており、ただいま掲載可能な資料を募集しています。資料の種類としては、帰国者への支援を考える際に必要となり参考となると思われる分野すべてを対象に、  ・自作の教材、対訳集、教育資料  ・研究紀要、論文  ・各種報告書、実践報告 などが考えられます。インターネットを通じて共有できるものとしてもかまわない資料等をお手元にお持ちの方、是非ご検討の上お知らせください。

==ご存じですか?==

 こんなことがあります

 ある帰国者が、中国に残してきた長女夫婦と未婚の長男を日本に呼び寄せることになりました。相談を受けた自立指導員は手続きがスムーズにいくだろうと、その長女と長男の日本国籍を取りました。そして、彼等に日本の戸籍謄本を送り、それを持って最寄りの日本総領事館に行き、日本人としてパスポートを申請するように指示しました。  ところで、それまで中国人だった人が日本国籍を取って日本総領事館にパスポートの発行を申請するには、中国の公安から中国籍を離れたという中国籍離脱証明書をもらって添付しなければならないことになっています。しかし、この証明書を発行してもらうのは時に、非常に時間がかかることがあるようです。  この家族の場合、中国人の長女の婿はパスポートを申請してから6ヶ月で日本に来ることができました。しかし、日本国籍を取った長女と長男は、それから7ヶ月遅れてやっと来日できたのです。

☆福岡県自立研修センターが移転しました

  移転先 〒810 福岡市中央区六本松 1丁目2番22号 福岡県社会福祉センター4階 TEL 092-711-5488   FAX 092-711-5499

新聞記事から(97.8.18〜97.12.17)

97.09.02中国残留孤児46人が肉親探しに来日
97.10.10残留孤児、中国の養父母に感謝の碑建立へ
97.11.07身元判明率低下で残留孤児の訪日調査方法見直しも
97.12.16大阪で大量のニセ中国残留孤児家族浮上