HOME > 支援情報 > 機関紙「同声同気」 > 第40号(2007年9月21日発行)  PDFファイル
地域情報ア・ラ・カルト
 北海道《日中友好道民運動連絡会議》の取り組み 高齢帰国者日本語教室-健康のために-
行政・施策
 厚生労働省から
  平成20年度 中国残留邦人関係予算概算要求の概要
  「北海道中国帰国者支援・交流センター」「東北中国帰国者支援・交流センター」開設
  平成19年度共同調査について
 援護基金から
  介護事業基盤整備援助の充実
  平成20年度 奨学生募集
 文部科学省から
  外国人の子どもの不就学実態調査の結果
  日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入れ状況等に関する調査(平成18年度)について
  我が国に在留する外国籍生徒のためのJSLカリキュラムの作成
  初等中等教育における外国人児童生徒教育の充実のための検討会の設置について
 文化庁から
  「生活者としての外国人」のための日本語教育事業−新事業の御案内
  平成19年度文化庁日本語教育大会の開催報告
  異文化学習教材『漫画異文化手習い帳』の出版
研修会情報
 研修会報告
  平成19年度 文化庁 日本語教育大会
 研修会情報
  第8回外国人児童生徒フォーラム:外国人児童生徒の進路選択と学力
教材・教育資料
 『みる あそぶ にほんご!』
 『用例付 学習語彙5000語 日中対訳』
 『4か国語で読む国語教科書』
とん・とんインフォメーション
 『中国残留日本人 孤児からの手紙』『満洲―記憶と歴史』『あの戦争から遠く離れて』『二つの祖国に生きて―「落葉帰根」の願い』/『世界の食文化19 ロシア』
 HP紹介 長野県〈外国籍県民医療のための問診票〉/自治体国際化協会〈多言語生活情報〉
 2007年度の進路ガイダンス情報
 長編ドキュメンタリー映画「花の夢―ある中国残留婦人」
 中国帰国者支援・交流センター〈遠隔学習課程〉10月期 開講予定の新コース紹介!
 その他
ニュース記事から 2007.05.09〜2007.09.10
事例紹介 大型2種免許と2級自動車整備士資格を取得/活躍する帰国者二世サッカーチーム

地域情報ア・ラ・カルト

北海道:《日中友好道民運動連絡会議》の取り組み
高齢帰国者日本語教室 −「健康のために」−

 1971年にスタートした同会は、活動の柱の1つに中国帰国者支援を据えている。この帰国者支援は、日本語教室の運営と彼らの生活の悩みや相談事に対応する〈生活相談〉を中心に2002年から活動が始まり現在に至っている。今回は、この〈生活相談〉の中から生まれた「健康」をテーマとする同会の取り組みについて紹介したい。
 高齢化の進む帰国者にとって最も重要な関心事となっているのは「健康」である。日本語教室終了後の生活相談時に病気や健康についての質問が繰り返し寄せられていたこと、そして、自費帰国者はもちろん、帰国時に一度は受診している国費帰国者も、その後の健康診断を誰も受けていないという事実を知ったことからこの取り組みは始まった。自治体から届く健康診断の通知を見ても意味が分からない、意味が分かっても自力で受診しその結果を理解することができない等々、健康や病気に対する大きな不安を抱えながらそれを解決するための情報と手段を持っていない帰国者の問題が浮かび上がってきたのである。
 これをきっかけに同会は、2004年の10月から「健康」をテーマに総合的な取り組みを始める。自治体からの通知(申込書類等8種)をすべて翻訳、同会のメンバーである医師に彼らの健診を依頼、同会の通訳付きで希望者全員の受診を実現させ、その結果についても個別に医師から解説してもらう、再検査が必要な人に付き添い通訳をする、というシステムを作り上げた。この結果を受けて、健康についての学習会も、定期的に開催されることとなる。健診結果表の見方、症状によってどの診療科を選択すればよいのか、病気のシグナルと可能性のある原因は何か、地元の特産品を用いた「医食同源」の実践、脳梗塞の症状とその予防法、よい血液を作るためには、またインフルエンザ流行の報道を受けてのその予防法やインフルエンザと風邪の違いについての話など、講師の実際の闘病体験を交え、テレビ・ラジオの健康番組や新聞記事を活用し、時に帰国者が中国の家庭で一般に行われている民間療法を紹介するというような企画を盛り込んだ“楽しい”学習会が続いているとのこと。
 こうした取り組みのうれしい成果として、夫婦でウォーキングを始めた、週に何回かプールに通うようになった、タバコをやめた、酒を断ったというような帰国者が出てきたという報告、また、温泉の効能という話をきっかけに、みんなで温泉に行こうという企画が持ち上がり、お花見と組み合わせた小旅行を実現させたいと、月々千円の積み立て貯金もやっているという話も最後に伺うことができた。

 本稿は、今年3月に開かれた、中国帰国者支援・交流センター主催の「高齢帰国者向け日本語教室」研修会(本紙39号にて報告)で活動報告をされた高堰政雄氏のお話をまとめたものです。電話で伺ったところ、温泉旅行は、桜の開花と少しずれてしまったけれど、和気藹々とした雰囲気の中で楽しく行われたとのことでした。
 「健康」は一般の日本人にとっても、昨今一種のブームと言ってもよい大きな関心事となっています。私たちは、テレビ、本、新聞雑誌などから様々な情報を熱心に吸収しているわけで、そうした情報から“遠い”帰国者や外国人にとって、ここで紹介した取り組みは彼等のニーズに合致したものだったろうと思われます。また、「健康」というテーマの意義もさることながら、帰国者にとっては、こうした活動を続けている会があって、自分がその“メンバー”であるということ自体に意味があるのではないでしょうか。定期的に何かの予定がありカレンダーに書き込むことがある、楽しみにしている目標がある、そういうことが生活には必要なのではないかと私には感じられました。

(所沢:佐藤)

行政・施策

★厚生労働省から

●平成20年度 中国残留邦人関係予算概算要求の概要(新規分)

 中国残留邦人に対する新たな支援355億円

 中国残留邦人の置かれた特別な事情に配慮した新たな支援策を講ずることとし、老後の生活の安定、地域での生き生きとした暮らしを実現する。

(1) 老齢基礎年金の満額支給のために必要な保険料の追納 … 252億円
 中国残留邦人の老後の生活の安定を図るため、老齢基礎年金の満額支給を行うために必要な年金保険料を全額国庫負担で追納する特別措置を講ずる。
(2) 中国残留邦人生活支援給付金(仮称)の支給 … 92億円
 老齢基礎年金制度による対応を補完するため、新たに生活支援給付金(仮称)制度を創設し、生活の安定を図る。
 また、中国残留邦人に理解が深く、中国語ができる「支援・相談員」を福祉事務所に配置し、円滑な実施体制を整備する。
(3) 地域社会における生活支援 … 7.1億円
 中国残留邦人が地域において生き生きと暮らすことができるよう、地域における支援ネットワークづくりを図る。
(4) 啓発・広報の実施 … 4.4億円
 中国残留邦人問題への国民の理解と協力を得るための国民運動等を実施する。

●8月1日「北海道中国帰国者支援・交流センター」及び「東北中国帰国者支援・交流センター」開設

 中国帰国者等に対する継続的な支援を行うため、平成13年11月に首都圏及び近畿圏に、平成16年6月に九州圏に、平成18年9月に東海・北陸圏及び中国・四国圏に「中国帰国者支援・交流センター」を開設したところですが、今年度、新たに北海道及び東北圏に次のとおり開設いたしました。

 名称  北海道中国帰国者支援・交流センター
 場所  北海道札幌市中央区北2条西7丁目 北海道社会福祉総合センター3階
 委託団体  社会福祉法人 北海道社会福祉協議会

 名称  東北中国帰国者支援・交流センター
 場所  宮城県仙台市青葉区本町3丁目7番4号 宮城県社会福祉会館
 委託団体  社会福祉法人 宮城県社会福祉協議会

両センターにおける事業概要
(1) 日本語学習支援事業… 地域社会でのコミュニケーションや就労に役立つ日本語学習支援
(2) 相談事業… 相談窓口を開設し、来所・手紙・電話等で相談等に対応
(3) 交流事業… 帰国者同士や地域住民と交流し、コミュニケーションできる場の提供

●平成19年度共同調査について

 中国残留日本人孤児の肉親捜しについては、孤児の高齢化に伴う精神的・身体的負担の軽減や早期の帰国に応えるため、厚生労働省職員が訪中し中国政府の協力を得て現地で共同調査(訪中調査)を行う方式で実施しています。
 今年度は、6月24日から2班体制でそれぞれ10日間余りにわたり黒竜江省、吉林省、遼寧省及び北京市において共同調査を行い、孤児申立者14人、証言者18人との面接調査を実施するとともに、継続調査(協議案件)となっていた8人について中国政府と協議を行いました。
 面接調査は省都だけではなく、高齢等のため調査会場に来ることの出来ない証言者の住所地を訪問するなど、調査の促進に努めました。
 共同調査の結果については、中国政府と正式文書を交した上で決定されますが、今年度新たに日本人孤児と確認された方々については、今後、報道機関等の協力を得て、孤児名簿を公開して肉親情報を収集するための情報公開調査を行い、希望する孤児は11月中旬から集団一時帰国として訪日し、永住帰国に向けたオリエンテーションや施設見学に参加し、肉親情報のあった孤児については、この間、肉親と思われる方と対面調査を行うこととしています。

★援護基金から

介護事業基盤整備援助の充実−3年間500万円を700万円に

 帰国者の高齢化に伴い、帰国者中心の介護事業にとりかかるボランティアグループも出てきました。援護基金もその後押しをするため、昨年から「介護事業基盤整備援助」事業を始めています。今年度予算としては、1年目350万円を500万円に、2年目は据え置いて100万円、3年目は50万円を100万円に増額し、2団体まで援助できる予算を組みました。
寄付金の増額が望めない中、基金にとってこれは大金ですから、希望する団体があれば十分に相談しながら進めていくことにしています。

平成20年度 奨学生募集

 申請書類は平成20年1月31日までに必着のこと。問い合わせは当基金までお願いします。
 詳細はHPに11月中旬掲載予定です。中国語版、ロシア語版も見られます。

(財)中国残留孤児援護基金
 URL:http://www.engokikin.or.jp/ トピックス→平成20年度就学援助募集のお知らせ
 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1−5−8 オフィス虎ノ門1ビル7階
 TEL:03-3501-1050、FAX:03-3501-1026

★文部科学省から

(文部科学省初等中等教育局国際教育課)

@外国人の子どもの不就学実態調査の結果について

 文部科学省では、平成17年度から平成18年度にかけて、外国人の子どもの就学支援方策等についての調査研究を行う「不就学外国人児童生徒支援事業」の一環として、南米出身の日系人等のいわゆる「ニューカマー」が集住する自治体を中心に、外国人の子どもの不就学の実態調査を委嘱しました。
 概要は以下のとおりです。

【調査の実施方法】
〈実施地域〉1県11市
〈調査方法〉
  @当該自治体に外国人登録されている者のうち、義務教育の就学年齢にある子どものリストを作成。
  A@のリストより、国公私立義務教育諸学校や外国人学校に在籍している者等、何らかの方法により学習を受けている者を除き、就学状況が不明の者を計上。
  BAの者の外国人登録上の居住地に、戸別訪問やアンケート調査票を郵送する等して就学状況を調査。
〈調査対象〉
  平成18年度(飯田市、四日市市は17年度)における外国人登録者のうち義務教育の就学年齢にある者

【調査結果】
  (1)就学状況
  ・外国人登録者数・・9,889人
  ・公立学校等就学者数・・8,045人(81.4%)
  ・不就学者数・・ 112人( 1.1%)
  ・転居・出国等・・1,732人(17.5%)
  (2)不就学の理由
   @学校へ行くためのお金がないから 15.6%
   A日本語が分からないから 12.6%
   Bすぐに母国に帰るから 10.4%

 今回の結果では、転居・出国等により連絡が取れなかった者が多くいることが判明しました。外国人の在留管理や受入れの在り方については、政府全体の課題ですが、文部科学省としても外国人の子どもの就学支援方策について検討していきたいと考えております。

A日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入れ状況等に関する調査(平成18年度)について

 文部科学省では、公立小・中・高等学校等に就学している日本語指導が必要な外国人児童生徒の在籍状況等の調査を実施しており、この度、平成18年度の調査結果がまとまりましたので、お知らせいたします。
 なお、「日本語指導が必要な外国人児童生徒」とは、日本語で日常会話が十分にできない児童生徒及び日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じており、日本語指導が必要な児童生徒を指しています。

○調査の概要

  1. 我が国の公立小・中・高等学校、中等教育学校及び盲・聾・養護学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒数は、22,413人(平成17年度20,692人、以下かっこ内は平成17年度数値)で、前回から8.3%増加。
    学校種別では、小学校15,946人(14,281人)、中学校5,246人(5,076人)、高等学校1,128人(1,242人)、盲・聾・養護学校72人(70人)、中等教育学校21人(23人)である。
  2. 在籍学校数は、全体で5,475校(5,281校)と前回調査より3.7%増加。
    学校種別では、小学校3,402校(3,235校)、中学校1,748校(1,697校)、高等学校279校(305校)、盲・聾・養護学校45校(42校)、中等教育学校1校(2校)である。
  3. 在籍期間別にみると、前回調査と同様、在籍期間が「2年以上」の者が全ての学校種で最も多く9,796人(9,135人)で、全体の43.7%(44.1%)となっている。
  4. 母語別では、ポルトガル語8,633人(7,562人)、中国語4,471人(4,460人)、スペイン語3,279人(3,156人)、その他の母語6,030人(5,514人)となっており、これまでの調査同様、ポルトガル語、中国語及びスペイン語の3言語で全体の7割以上を占めている。
  5. 在籍人数別学校数では、「5人未満」の学校が全体の8割を占めており、在籍人数別市町村数では、「5人未満」の市町村が全体の過半数を占めている。

 本調査の結果については、平成11年度分から文部科学省のホームページにも掲載しておりますので、ご参照下さい。
(掲載URL:http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/index32.htm)

B我が国に在留する外国籍生徒のためのJSL(Japanese as a second language)カリキュラムの作成

 全国の公立学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒の数は、平成17年度には2万人を超え、増加傾向にあります。また、これらの外国人児童生徒の中には、日常会話程度の日本語を習得しながらも教科学習に必要な日本語の習得が難しく、学習活動に参加することが難しい状況にある者がみられます。
 このため、文部科学省では、外国人児童生徒が学校での学習や生活に円滑に適応できるよう、日本語指導の初期学習から教科学習につながる段階までをカバーするものとして「JSLカリキュラム」の開発を平成13年度から進めており、平成15年度に小学校編を刊行しました。
 また本年3月、中学校編として、国語科、社会科、数学科、理科、英語科の5教科についてとりまとめ、都道府県・市町村教育委員会等に配付しました。
 本中学校編のとりまとめにあたっては、多様な背景を持つ外国人生徒が「日本語で学ぶ力」を確実に身に付けることができるよう、学校における授業づくりを支援するための様々な配慮を盛り込み、作成しました。具体的には、

 @各教科において生徒が確実に学習すべき基本的な事項を抽出した学習項目、学習単元の一覧を明記。
 Aすぐ、授業実践ができるよう、多様な指導案やワークシートを提示。
 B授業でよく使う日本語表現とポルトガル語、中国語などの主だった言語との対訳表を添付。

などの工夫を行いました。
 また、本カリキュラムの普及を図るため、本年度より新たに「JSLカリキュラム実践支援事業」を実施し、実践事例の集積・紹介やワークショップを全国6ブロックで開催することとしております。
 本カリキュラムは、日本に在留する外国人生徒を対象に作成しておりますが、日本人学校の先生方にもご参照頂けるよう、カリキュラムの内容はすべてクラリネット※に掲載しております。また、ワークショップの詳細も掲載しておりますので、是非ご覧下さい。

※文科省の海外子女教育、帰国・外国人児童生徒教育等に関するホームページの名称
(JSLカリキュラム掲載 URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/001/011.htm)
(ワークショップ掲載 URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/001/008.pdf)

C初等中等教育における外国人児童生徒教育の充実のための検討会の設置について

 前述した調査の結果等を踏まえ、小・中学校における外国人児童生徒の受入体制の整備や日本語指導・適応指導の充実を図ることが急務となっています。また、外国人の子どもへの効果的な就学支援や学校、行政機関、企業、NPO団体との連携による取組も重要さを増しています。
 文部科学省では、これらの点を踏まえながら、外国人児童生徒教育の充実方策について総合的に検討し、具体的な方策をとりまとめるため、本年7月30日に「初等中等教育における外国人児童生徒教育の充実のための検討会」を設置し、下記の事項について、検討することとしています。

〈検討事項〉
 (1)外国人児童生徒の教育に関する国、地方、民間企業等の役割分担について
 (2)外国人児童生徒の就学支援方策について
 (3)外国人児童生徒の日本語指導、適応指導について

★文化庁から

●「生活者としての外国人」のための日本語教育事業 −新事業の御案内

 外国人住民が地域社会で孤立することなく生活していくためには,一定の日本語能力が不可欠であるという観点から,文化庁では本年度より,一定の日本語能力を有する外国人を講師にした日本語教室の設置運営,退職教員や日本語能力を有する外国人を対象とした日本語指導者養成,ボランティアを対象とした実践的長期研修,外国人に対する実践的な日本語教育の研究開発及び日本語教育ハンドブックの作成についての事業を公募し,内容を検討の上選定を行い,実施を委嘱することとしています。

●平成19年度文化庁日本語教育大会の開催報告

 文化庁は平成18年度文化庁日本語教育大会を8月2日(木),3日(金)に,昭和女子大学(東京都世田谷区)において開催しました。
 今年度は,多文化共生社会の構築に向けた議論の高まりを受けて,「生活者としての外国人に必要な日本語について考える」をテーマにした研究協議のほか,昨年度より実施している地域日本語教育支援事業の成果報告および情報交換を行いました。
 1日目,まず尾山眞之助文化庁文化部長の開会の挨拶に始まり,続いて文化庁文化部国語課長,文部科学省初等中等教育局国際教育課長補佐から,日本語教育施策の展開についての説明がありました。その後,「生活に必要なことばとその支援の在り方について」をテーマにワークショップ・コーディネーターの吉野さつきさんによる基調講演,続いて「生活者としての外国人に必要な日本語について考える」をテーマとしたパネルディスカッションを開催し,生活者としての外国人にとって必要な言葉と,今後の地域の日本語教育の在り方について活発な協議が行われました。
 2日目は,午前中,「地域の日本語教育と関係機関の連携推進について」をテーマに,地域日本語教育支援事業協議会が開催され,午後は地域日本語教育支援事業の報告会が3つの分科会(日本語教室設置運営,人材育成,教材作成)に分かれて行われました。その後更に3つの分科会で日本語教育セミナーが実施されました。

●異文化学習教材『漫画異文化手習い帳』の出版

 日本は,多様な文化背景を持つ人が共に暮らす国となり,常識や価値観の違う隣人と互いにことばを交わし,理解を深めることが求められる時代を迎えました。日本語学習においてもことばそのものの理解のほかに,背景にある文化や習慣を理解することが一層もとめられようになりました。そこで,文化庁では日本を代表するメディアである漫画を活用することで,効果的にまた楽しみながら学習が進められる教材を開発しました。本書御購入に関するお問い合わせは,京都国際マンガミュージアム事業推進室(TEL 075-254-7411)まで。

(文化庁文化部国語課 中野 敦)

研修会情報

☆研修会報告

平成19年度 文化庁 日本語教育大会 ―「生活者としての外国人に必要な日本語について考える」―

 ここでは2日目の8月3日に行われた6つの分科会の中から2つについて報告します。(大会全体の概要については本紙7頁で紹介)

【第2分科会:「地域における日本語教育の研修について」】
 はじめに、文化庁の〈地域日本語教育支援事業〉についての紹介がなされました。これは、平成18年度から始まったもので、地域に居住する外国人の日本語学習を支援するボランティア団体等に対し、研修の実施(人材育成)等の事業企画を募集し、審査の上、先端的なものや他の地域でも参考になりそうなもの等を選び、事業を委嘱し支援するというものです。
 次に、18年度に実際にこの委嘱を受けた(財)さいたま市国際交流協会と、(財)静岡県国際交流協会からの報告がありました。各地の日本語教育の現場では限られた予算の中で講師のための研修会を行うことはなかなか大変です。静岡県からは、この事業に参加することで、研修講座を開く際の講師謝金や旅費などを負担しなくてよいという財政面のメリットに加え、文化庁の事業であるため県や市の教育委員会など行政の側にも参加を呼びかけやすく、参加してもらうことにより現場の情報がじかに伝わる、というメリットがあるとの報告がありました。

【第3分科会:「地域における日本語教材作成について」】
 平成18年度文化庁〈地域日本語教育支援事業〉の一環として、南アルプス市、ニイガタヤポニカ、地球っ子クラブ2000の3つの団体によって作成された、興味深い日本語教材が報告されました。中でも、会場から最も多くの質問が寄せられていたのは、南アルプス市の『児童生徒のための日本語文字・語彙教材〜みる あそぶ にほんご!〜』でした。日本語を母語とせず、日本に関する文化的背景も持たない児童が、家族や学習支援者といっしょに楽しくひらがなを学ぶための本です。内容詳細は教材紹介に譲りますが(本紙9頁)、山梨県立大学の安藤淑子准教授が中心となって、地域の学生、学校教育機関・行政機関の人たち、日本語教室人たちなどの、幅広いつながりと協力を実現し、細やかな対話を重ねて、こうした教材が生み出されたことは、今後の地域における日本語教育支援のあり方を考える上でも参考になりそうです。

(所沢:田中・平畑)

☆研修会情報

●第8回外国人児童生徒フォーラム:外国人児童生徒の進路選択と学力

 第1部−シンポジウム「外国人児童生徒教育における進路指導」
 第2部−パネルディスカッション「外国人児童生徒教育における学力とは」
 日時/場所:平成19年10月6日(土)/中野サンプラザ8階

 ■申し込み方法
  電子メールまたはFAXで、氏名・所属・返信用のメールアドレスまたは FAX 番号を記入のうえ、下記まで送付
  電子メール:c-event@u-gakugei.ac.jp
  FAX:042-329-7722
  ※件名を「外国人フォーラム参加申込」とすること
 ■問い合わせ先:東京学芸大学国際教育センター事務室 TEL 042-329-7721

教材・教育資料

『みる あそぶ にほんご!』

 南アルプス市が作成した、就学期児童のための日本語教材。A4 74ページの装丁で、小学生にとっての身近な語彙を、ひらがなと、明るいカラーイラストで表し、ゲームをしながら、意味と文字形の両方が学べるように配慮されています。「ポルトガル語・スペイン語・英語」版と、「中国語・韓国語」版があり、それぞれの語での訳がついているほか、日本人の学習支援者のために、訳語の読み方がカタカナで表記されています。この教材は、現在、市販はされていませんが、NHKで紹介されて以来反響が大きく、近々文化庁のHPからダウンロードできるようになるそうです。現在のところ、表紙と概要のみ、以下のサイトで見ることができます。
 http://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/site/page/kurashi/gyosei/kokusaika/kyouzai1/attach01.pdf

中学・高校生の日本語支援を考える会編『用例付 学習語彙5000語 日中対訳』

2007年3月 B5判304頁 本体価格2100円

 本書は、日本語初級から中級の、中国語を母語とする中学・高校生のための自学自習用教材です。辞書のようにも使えますし、生きた例文の中でどう使われているかもわかります。
 昨年、〈中学・高校生の日本語支援を考える会〉では、上記教材の試用版を公開しました(本紙37号で紹介。詳しくは、所沢センターHPのコンテンツガイド〈ニューズレター〉コーナーをご覧ください)。そしてこの度、実際に利用した生徒たちからの、「ルビを大きくしてほしい」、「社会や理科の教科学習に役立つものを」などといった声や、講師の意見をもとに語彙・文型を改訂し、正規出版となりました。
 本書を編集した同会は、高校などで日本語指導を担当している教員や講師などを中心にした教材開発グループです。目の前の子どもたちが母語で学習できる教材作りを目的に2005年に設立されました。代表の樋口万喜子さんは、「成人の中国帰国者の日本語支援にも役立つと思います」、また、「教師などの指導者も中国語との異同を示したり、同音異義語の使用例を示したりするためのリソースとすることができます」と話しています。
 なお、同書掲載の漢字の読み方練習や語彙ドリルをまとめた問題集を、来春発行予定で作成中とのことです。
 同書の見本は、以下の同会HPで見ることができます。http://home.e07.itscom.net/maki

【入手方法】
 下記郵便口座に冊数分の料金+送料で申し込む
 送料:1冊=160円、2冊=240円、3・4冊=450円、5冊以上は無料
 口座名称:NPO中学高校生の日本語
 口座番号:00200−9−74056
 問い合わせ先:樋口万喜子(makiko-h@e02.itscom.net)
 ※ 尚、Amazonからも購入可能になりました。

埼玉県教育委員会作成『4か国語で読む国語教科書』

 昨年9月に、埼玉県の帰国・外国人児童生徒への教育充実サポート事業の一環として作成されました。県内の小学校で、主に高学年用として使われている国語教科書の読み物箇所を抜粋、それぞれに英語・ポルトガル語・スペイン語・中国語の対訳を付けたものです。学習支援者が日本語で読み聞かせ、児童は母語で内容を理解する、など様々な使い方が可能です。この教材の一部については、現在下記サイトにてダウンロードが可能となっています。
 http://www.pref.saitama.lg.jp/A20/BP00/kokusai/4kakoku/4-menu.html
 教材の全部をご希望の方には、上記サイトに電話・ファックスによるお問い合わせ先も掲載されています。

とん・とんインフォメーション

 新聞では残留孤児、婦人の国家賠償訴訟、そして新支援策と帰国者問題関連のニュースや特集が続いています。昨年今年と残留孤児関係の出版物も相次ぎました。その中から4点を紹介します。

『中国残留日本人 孤児からの手紙』

2006年7月刊 大阪中国帰国者センター編 B5判 370頁、2500円+送料

 「日中友好手をつなぐ会」の会長であり、生前中国残留孤児たちのために奔走した山本慈昭氏は、長野県伊那郡阿智村にある長岳寺の住職を勤めていました。氏の記念館は、現在も同寺の前にあります。そこにある孤児達の手紙は数万通とも言われていますが、年数が経って傷みも激しいため、(社)大阪帰国者センターの20周年記念事業として、整理・保管することとなりました。
 「その結果」孤児たちから送られた手紙のうち、これまで未刊であった手紙536通の日本語訳が、一冊の本になりました。黒龍江省、吉林省、遼寧省、ほかからの、521人の孤児たちの肉声には、山本氏への感謝、日本と血族への思い、中国とそこにいる家族への思い、戦争への怒りと悲しみがあふれており、史料としても非常に貴重なものです。市販はされていません。
 申込み先 Tel:06-6321-1967(大阪帰国者センター)送料450円(1冊につき)

『満洲―記憶と歴史』

2007年3月刊 山本有造編著 京都大学学術出版会 4935円(税込) A5判 363頁

 62年を経て、薄れていく戦争の記憶を現在の視点で捉えなおした論考集。著名な編者と若手研究者による学術書ですが、多くのインタビューをまじえ、中国残留孤児や婦人たちの心に刻まれた歴史を生々しく掘り下げていく大作で、読み応えがあります。巻末に事項索引あり。

第1部:「満洲」1945年:満州の終焉と残留の経緯
第2部:「満洲」の記憶:岐阜県郡上村開拓団や、南満日本人移民の事例
第3部:中国残留日本人:記憶による語り、マスコミによる描写のされ方
第4部:知に刻まれた「満洲」:杉野忠夫の「農業拓殖学」や、日本人建築家の設計物について

『あの戦争から遠く離れて』

2007年9月刊 城戸久枝著 情報センター出版局 1600円+税 B5判458頁

 著者は1976年愛媛県生まれの残留孤児2世であり、吉林大学に留学し、中国語も堪能です。「日本生まれの中国残留孤児2世」という立場・視点から残留孤児、婦人、2世、3世への取材活動を続けてきました。初めての単行本である本書の完成までには10年近い歳月が費やされています。第一部では、日中国交回復以前に文化革命只中の中国から帰国を遂げた父の、誕生から帰国、その後の生活までが描かれてます。第二部では、著者の留学、中国の学生の反日感情、父の親族との心の絆、留学を終えて帰国の後、多くの残留孤児との出会い、国家賠償訴訟運動の取材を始めたいきさつ、満州国軍人だった祖父について、父の娘としての自分を見出した旅について語っています。
 文章は具体的で読みやすく、戦後日本で生まれた2世としての見方が率直に綴られています。それと同時に、父への深い愛情と、父の生まれ育った中国を理解しようとする姿勢が本書の魅力といえましょう。

鹿児島・中国残留孤児証言集『二つの祖国に生きて―「落葉帰根」の願い』

2006年11月刊 かごしま孤児を支える会編 B5判 98頁、500円+送料

 この証言集には、26名の孤児たちの、旧ソ連軍に肉親が殺されたり、中国人の養父母に育てられたものの、日本人ということで周囲から差別を受け、学校に通えなかったりした厳しい生活実態が語られています。また、帰国後も言葉が通じず日本に溶け込めなかったことや、日本での就労期間が短いために十分な年金がもらえず、定年後は生活保護を受けざるを得なかった状況がつづられています。
 本書についての問い合わせは、「支える会」事務局まで(Tel:0995-66-2924)
 〒899-5652 鹿児島県姶良郡姶良町平松90番地。または鹿児島市のジュンク堂などでも販売しています。

『世界の食文化19 ロシア』

農文協 2006年3月刊/定価:3200円/A5判300頁  著者:沼野充義・沼野恭子

 ロシアらしい食生活とは何か?/ロシアの辛党、甘党−飲み物とデザート/ロシア周辺の様々な民族料理/歴史を通して見たロシアの食生活/現代の食生活−革命からポスト共産主義時代へ/食の意味−ロシア人にとって「食べる」とは何を意味するのか?など、単に料理の説明に止まらない内容となっています。
 西はウクライナから東は極東までの広い範囲を扱い、食材から歴史、文学、宗教と食の関わりまでを論じた、ロシアとその周辺の国々の料理についての該博な知識に溢れた一冊。外国に暮らすロシア人がなくては困る食材、例えば「凝乳」とは何か、についてなど、ロシアの“食”をめぐる会話や読解の材料としても利用することができます。

ホームページ紹介

◆長野県〈外国籍県民医療のための問診票〉

 長野県の公式ホームページに載っている多言語問診票です。各診療科目の問診票だけでなく、例えば診察時の簡単な会話、薬の服用上の注意、さらに入院に必要な書類なども対訳されており、コンパクトですが充実した内容になっています。現在、英語・中国語・タイ語・ポルトガル語の4言語ですが、今後対応言語を増やしていく予定とのこと。
 http://www.pref.nagano.jp/eisei/imu/medicalq/medicalq.htm

◆財団法人自治体国際化協会〈多言語生活情報〉

 生活ガイドの内容は、一般編・医療編・住宅編・多言語対応相談窓口・生活情報リンク集に分かれています。医療編を開くと、「病気になったら」「保険制度について」「母子保健」といった項目が並んでいて、医療に関わる行動場面で必要な知識や制度についての情報を母語で知ることができます。対応言語は英語・中国語・ポルトガル語・韓国朝鮮語・ドイツ語・スペイン語・フランス語・ベトナム語・インドネシア語・タガログ語・タイ語・ロシア語の12言語と充実しています。
 http://www.clair.or.jp/tagengo/index.html

2007年度の進路ガイダンス情報

 前回(39号)以降の新着情報を加えて、これからのものをまとめました。

【埼玉】10月14日(日) 越谷市中央市民会館第13会議室
連絡先:彩の国さいたま国際交流・協力ネットワーク事務局(埼玉県国際交流協会)
TEL:048-833-2992/FAX:048-833-3291 E-mail:sia@sia1.jp

【千葉】@千葉:9月30日(日)13:30〜16:30 千葉大学教育学部
A船橋:10月14日(日)13:30〜16:30 船橋市葛飾公民館
B松戸:10月21日(日)13:30〜16:30 松戸市市民会館
連絡先:千葉大学教育学部社会教育研究室 TEL&FAX:043-290-2568

【東京】10月14日(日) JICA地球広場(渋谷区)
連絡先:《多文化共生センター東京》TEL&FAX:03-3801-7127 E-mail:tokyo@tabunka.jp

【神奈川】@9月30日(日) 厚木ヤングコミュニティセンター
A10月3日(水) 19:00-21:00 ひらつか市民活動センター
B10月13日(土) かながわ県民センター
C10月14日(日) さがみはら国際交流ラウンジ
D10月21日(日) 13:00-16:00 いちょう小学校コミュニティハウス
連絡先:多文化共生教育ネットワークかながわ事務局 高橋清樹
TEL:045-942-5202 HP:http://www15.plala.or.jp/tabunka/index.htm

【長野】@10月7日(日) 13:00〜16:00 長野市ふれあいセンター
A10月14日(日) 13:00〜16:00 上田市ふれあい福祉センター
B10月21日(日) 13:00〜16:00 松本市市民活動サポートセンター
C10月28日(日) 13:00〜16:00 飯田市松尾公民館 2F講座室
連絡先:春原直美 TEL 026-235-7186 (財)長野県国際交流推進協会

【大阪】
@11月17日(土) 会場:摂津市男女共同参画センター・ウィズせっつ
連絡先:高槻市教育委員会指導課 TEL:072-674-7111(内線7631)FAX:072-674-7032
A10月7日(日) ・11月25日(日) 会場:富田林消防署
連絡先:(特活)とんだばやし国際交流協会 TEL&FAX:0721-24-2622
B11月4日(日) 10:00〜12:30 堺市立南図書館
連絡先:和泉市教育委員会指導室 TEL:0725-41-1551(内線1836)
     忠岡町教育委員会学事課 TEL:0725-22-1122(内線283)
C10月21(日) 13:30〜16:00 会場:大阪府立佐野高等学校
連絡先:阪南市教育委員会 学校教育課 TEL:072-471-5678(内線2367)
D11月20日(火) 15:30〜17:30 堺市立大浜中学校
連絡先:堺市在日外国人教育研究会 TEL&FAX:072-222-3691
     堺市教育委員会 学校教育部 TEL:072-228-7436
E9月30日(日) 大阪市内
連絡先:大阪市外国人教育研究協議会 TEL:06-6754-3248
以上、大阪府内の進学ガイダンスに関する連絡先:(特活)関西国際交流団体協議会
TEL:06-6773-0256/FAX:06-6773-8422 E-mail:kna@interpeople.or.jp

【三重】
@9月30日(日) 高茶屋市民センター
連絡先:津市教育委員会事務局人権教育課 TEL:059-229-3253
A9月30日(日) 三重県伊賀庁舎
連絡先:伊賀市教育委員会 TEL:0595-22-9676
B11月25日(日) 四日市(三泗地区):四日市市立中部中学校
連絡先:四日市市教育委員会 指導課 TEL:059-354-8255

【静岡】12月頃に 浜松市で実施予定
連絡先:浜松NPOネットワークセンター(N-Pocket) TEL&FAX:053-445-3717
E-mail:info@n-pocket.jp (要事前予約) HP:http://www.n-pocket.jp

★北海道/岐阜/滋賀/奈良/熊本、また、東京/千葉/神奈川/三重の一部は2007年9月中旬までに終了しています。
※高校進学ガイダンス情報は、開催済みの情報も含め、当センターHP にて紹介。
トップ画面 コンテンツガイド〈進学進路支援情報〉→「高校進学ガイダンス情報」→ ◆2007各地の情報(追加情報)

通訳案内士になるには!

 昨年4月、「通訳案内業法」が改正され「通訳案内士法」となりました。支援者の方々の中には、帰国者2世・3世から、通訳案内士についての相談を受けることがあるかもしれません。そんなときには、下記のサイトをご参照ください。
 中国帰国者支援・交流センター HPの情報誌『天天好日』33号(「ぐっと身近になった通訳案内士試験」):日中対訳で書かれた通訳案内士法の説明が載っています。
 http://www.sien-center.or.jp/magazine/index.html
 二世の合格体験をつづった手記も『天天好日』27・28号/本紙36・37号〈事例〉で紹介しています。

長編ドキュメンタリー映画「花の夢―ある中国残留婦人」

東志津 監督作品 2007年/カラー/97分
 1944年、18歳で中国・東北部、当時、満州と呼ばれた地へ渡った栗原貞子さん。敗戦後、混乱の中、帰国することができず、その後35年もの間「中国残留婦人」として生きることを余儀なくされました。今、小さな都営アパートの片隅で、誰にともなく語られる記憶を紹介した映画です。

上映予定
 ●9月15日〜10月5日 :東京都中野区 ポレポレ東中野
 問い合わせ:03-3371-0088 
 ●10月5日(金):山形市 ミューズ1
 10月8日(月・祝):山形市 フォーラム5
 2007年山形国際ドキュメンタリー映画祭「ニュードックスジャパン」部門正式招待作品
 問い合わせ:山形国際ドキュメンタリー映画祭山形事務局 023-666-4480
 ●11月3日(土):神奈川県逗子市 神奈川大学20号館
 ★上映終了後 東監督のトークあり 問い合わせ:045-481-5661
 ●11月18日(日):茨城県筑西市 生涯学習センター「ペアーノ」
 問い合わせ:0296-24-2111

※自主上映への貸し出しも行っています。
問い合わせ先:いせFILM http://www2.odn.ne.jp/ise-film
TEL:03-3406-9455  FAX:03-3406-9460

中国帰国者支援・交流センター(首都圏センター)
−いつでも どこででも 始められる日本語学習〈遠隔課程〉−

10月期(2007/10〜2008/3月)に開講予定の新コース紹介!

★〈中国語ピンイン学習〉コース:10月期前半開始予定
 主に60代以上の方で、中国でピンイン学習ができなかった方が対象
★〈自己表現作文(仮称)〉コース:10月期後半開始予定
 日本に帰国してからこれまでに、日本での生活・仕事・日本語学習等について感じたことや伝えたいと思っていることを「作文」という形で表現することを目指すコース。〈続・入門日本語文法文型〉コース修了レベルの日本語力が必要。
詳細については 首都圏センター HP http://www.sien-center.or.jpをご覧ください。

お問い合わせや資料請求は下記まで。
〒110-0015 東京都台東区東上野1-2-13 カーニープレイス新御徒町6階
中国帰国者支援・交流センター 受講生募集係
TEL:03(5807)3171・3173 FAX:03(5807)3174 メール:kyohmu@sien-center.or.jp

所沢センターより

★ホームページ http://www.kikokusha-center.or.jp コンテンツ情報
《大学入試情報―帰国者特別枠―》随時更新中
《全国の高校入試特別措置・中学校編入情報》は10月下旬掲載予定
★中国帰国者定着促進センター 紀要 第11号10月発行予定(HP掲載は11月)

ニュース記事から

ニュース記事から 2007.05.09〜2007.09.10

2007/05/09 国家賠償訴訟:8日 広島地裁判決を不服として 原告61人広島高裁に控訴
2007/05/11 厚労省:10日 残留孤児に対する新支援策検討のための有識者会議メンバーを与党プロジェクトチーム(PT)に報告
2007/05/18 有識者会議 17日に初会合 6月中に報告をまとめる方針
2007/05/19 サハリン残留邦人41名の一時帰国団 稚内に
2007/05/21 全国885自治体で調査:公立小・中・高 授業の日本語がわらない外国人児童生徒2万人
2007/06/13 有識者会議 12日に最終会合 報告書をまとめる 基礎年金満額支給等提案
2007/06/15 国家賠償訴訟:北海道85人・高知56人 原告側の請求棄却〈札幌・高知 地裁〉
2007/06/21 残留婦人3人の賠償請求 2審も棄却・判決は早急対策要請〈東京高裁〉
2007/06/25 国家賠償訴訟:高知56人 判決を不服として高松高裁に控訴
2007/06/28 国家賠償訴訟:27日 北海道85人 判決を不服として札幌高裁に控訴
2007/06/28 残留孤児支援策:27日 与党PTは基礎年金と特別給付金を合わせ月額12万4000円支給の座長試案を原告団・弁護団代表に提示 原告側は受け入れ拒否を表明
2007/06/30 山形県中国帰国者自立研修センター閉所 山形各地の日本語教室は継続 高齢帰国者と地域住民との交流の場「いきいき広場」も月1回開催
2007/06/30 残留孤児支援策:与党PT月額14万6000円支給案を提示
2007/07/02 1日 国家賠償訴訟原告団・弁護団 代表者会議:生保と同様の手続きが残る限り支援策に同意しない方針を決定
2007/07/02 残留孤児支援策:与党PTまとまらず 未解決で参院選突入も
2007/07/04 国家賠償訴訟:4日 原告側の婦人3人 東京高裁判決を不服として最高裁に上告
2007/07/08 国家賠償訴訟終結へ! 原告団・弁護団 与党PTの支援策最終案受諾 損害賠償請求権放棄
2007/07/09 残留孤児支援策:与党PTで支援策正式決定 政府は秋の臨時国会で関連法案を成立させ早ければ来年1月からの施行を目指す
2007/07/10 残留孤児支援策決定を受け 代表83人が阿倍首相と面会
2007/07/31 外国人不就学児は112人 飯田市や掛川市など12自治体で初の実態調査〈文科省〉
2007/08/01 東北中国帰国者支援・交流センター 北海道中国帰国者支援・交流センター開所 ※詳しくは本紙3頁で紹介
2007/08/23 京都市立病院にパソコン画面上で多言語医療支援システム 9月上旬から設置
2007/08/28 厚労省概算要求 残留孤児支援に355億円 ※詳しくは本紙3頁で紹介
2007/08/31 「体験、後世に伝えねば」奈良で中国帰国者20人が自叙伝執筆 年内にも出版
2007/09/06 残留邦人支援策:帰化扱いの帰国者ら 新法案に不安も

事例紹介

 今回は、大型2種免許と2級自動車整備士資格を取得したAさんと帰国者のアマチュアサッカーチームを組織運営するBさん、残留孤児二世お二人の手記を紹介します。
(中国帰国者支援・交流センター 情報誌『天天好日』第34号:2007年6月発行から抜粋)

大型2種免許と2級自動車整備士資格を取得!!

 私は平成8年に自費で来日した中国残留孤児二世です。
 日本に来たばかりの頃は日本語が話せないので、就職したいくつかの会社は、いずれも正社員ではなく、収入も不安定でした。生活に追われ仕事を選んでいる余裕がなく、どんな仕事でも構いませんでしたが、だんだん、将来どうするか、自分にあった仕事は何かを考えるようになりました。
 大手自動車車体製作メーカーで2年間働いたことで、車に関心を持ち運転も好きになり、大型バスの運転手になることを夢見るようになりました。
 平成14年8月に失業した際、職業訓練校に2年間の自動車工学の専門課程があることを知りました。時間を有効に利用するために、妻は子供を連れて一時中国の実家に帰国し、私は両親の家で食事を取るようにしました。平日は横浜の関内、休日は上大岡の日本語センターに行き、夜は公民館か家で日本語の学習をしました。
 センターの先生方には、私の状況に合わせて学習資料を用意の上、指導していただき、日本の風俗習慣や日本人の価値観等の知識も学びました。これらは、自分の生活や仕事の上でも大変役立ちました。こうして平成13年2月、とうとう大型2種免許試験に合格しました。また、自分でも職業訓練を受ける自信が持てるようになりました。
 平成13年4月、職業訓練校に無事入校し、車の材料、構造、原理、電気、整備、板金、塗装等の専門知識を学習し始めました。
 学習で最大の困難は言葉の問題でした。教官の解説には聞き取れないことが多く、私一人のために説明してもらうこともできないので、自分で後から教材を見て解答を探すしかありませんでした。他には、車の専門用語が多い上、ほとんどが片仮名なので理解しづらく、覚えるのも大変でしたが、2年間の学習は大変充実したものでした。
 平成15年3月、技能試験及び学科試験に合格して2級自動車整備士の資格証を取得しました。
 同年4月には、40数名の自動車整備士のいる板金塗装工場に入社し、整備部に配属になりましたが、数ヶ月後には板金部に異動しました。車の内装、エンジン、走行部分、外板等は仕事の中で全て触れることができ、中でもエンジンなどは、自分で学んだ整備の知識が実際に使えるようになりました。
 中日両国で社会制度は異なります。帰国者として、まずは「郷に入っては郷に従え」で、できるかぎり日本社会に合わせていくこと、この点が大変重要だと認識しました。

活躍する帰国者二世アマチュアサッカーチーム

 私たちのチームは2003年の夏に結成されました。当時は体を鍛えることを目的とし、数人の有志によって組織したチームで、知っている人は少なく、決まった練習グランドもありませんでしたが、寒い日も暑い日も風の日も雨の日も、たゆまぬ努力をしてきました。正にこうした粘り強い信念で、今日のチームができました。そして多摩地区の在日中国人の間で名が知られるようになりました。メンバーは帰国者二世、二世の配偶者、三世、四世、及びその配偶者の合計33名。良い選手も少なくなく、れっきとしたアマチュアサッカーチームの規模になりました。
 チームが徐々に大きくなるにつれ、ユニフォームやシューズ、ソックスその他の用品をチームでそろえて購入するようになり、練習グランドも決まってきました。規模も当初の数人から現在では練習時に毎回20人前後が集まるまでになりました。毎週日曜日に拝島駅近くの公園に集まって練習します。他のチームより平均年齢が上ですし、未経験者も多いのですが、皆負けず嫌いで、熱心に練習に取り組んでいます。
 今年私たちのチームは、中国帰国者のために多大な貢献をしてくださっている新世紀凍土の会のTさんをはじめ会の方々から資金面で大きな支援を仰ぐことができました。そしてサッカー協会に加入し、毎年一、二回、アマチュアのサッカーリーグに参加できるようになりました。私たちは中国各地からやって来ましたが、皆が心から打ち解けあう中で、サッカー大会を通して、私たちの余暇の生活がより充実したものになると確信しています。
 現在、チームは武蔵村山市社会人大会に参加しています。今、春の大会の開催中です。
 サッカー大会を通して、私たちは多くの真の友人と交わり、より良い社会のイメージを持つことができます。更に、より多くの各界の友人が私たちのことを知り、私たちのチームに加わり、共に手を携えて私たち自身の世界を広げていきたいと思います。