中国・サハリン帰国者教育の相互支援ネットワーク

2012年06月12日号

編集・制作:中国帰国者定着促進センター
          教務部講師会
発行者:中国帰国者定着促進センター

今号を印刷してお読みになりたい方は、こちらのPDFをご利用ください。2012年06月12日号PDF

◎目次――――――――――――――――――――――――――――――――

教材・教育資料
・『JSL 中学高校生のための 教科につなげる学習語彙・漢字ドリル』

研修会報告
・24年度中国残留邦人等対策に係る全国担当者会議

とん・とんインフォメーション
・2012年度 高校進学進路ガイダンス〈各地の情報〉2012.6.1現在
・〈多言語による高校進学進路ガイドブック〉情報追加
・「中国帰国者のための健診結果ガイド」-健診結果をどう読みとるか- ★ダウンロードできます。
・(公財)中国残留孤児援護基金 日中国交正常化40周年及び援護基金創設30周年記念事業
  「中国帰国者生活文化作品展」作品募集
・『置き去りにめげずカザフスタンで生き抜いた同胞たち』
  第3章《いまだ帰れず 日本人墓地守る/阿彦哲郎さん》を当センター・ホームページにUP!
・外国語の絵本に関する情報いろいろ
・多言語育児情報誌『目黒でたのしく子育てを2011』紹介
・便利サイト紹介「都道府県別多言語生活情報リンク集」
・『外国人のための多言語相談サービス 5年のまとめ (2006〜2010)』
・『多文化社会に求められる専門人材像―東日本大震災から学ぶ― 多文化社会実践研究・全国フォーラム(第5回)報告書』
・「新しい在留管理制度」情報の外国語翻訳が見られます
・ニュース記事から 2012.03.01〜2012.05.31
・お知らせ:人事異動 中国帰国者支援・交流センター
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教材・教育資料

『JSL 中学高校生のための 教科につなげる学習語彙・漢字ドリル』
                                           
ポルトガル語版/スペイン語版

樋口万喜子 編  NPO中学・高校生の日本語支援を考える会 著
各1680円(税込)、共にココ出版  B5判 ポルトガル語版 240頁/スペイン語版 248頁

 同声・同気48号で『学習語彙・漢字ドリル』の中国語版をご紹介しましたが、その姉妹版として、2012年3月に上記2ヶ国語版が刊行されました。

研修会報告

24年度中国残留邦人等対策に係る全国担当者会議

 5月22日、厚生労働省にて、中国残留邦人等への支援を行っている全国自治体の担当者を集めた会議が行われ、都道府県や政令指定都市等の担当者等176名が参加しました。
 まず厚生労働省担当者から、孤児調査や、帰国受入・生活支援対策等に関する説明があった後、中国帰国者支援・交流センターと自治体との連携、自治体における地域生活支援事業の取り組みについて、支援・交流センター、自治体担当者から報告がありました。各地での取り組みについては、どちらも今年度の会議で初めて報告が行われたもので、連携については、近畿中国帰国者支援・交流センターからこれまで近畿圏内の自治体と連携して行った帰国者交流会等の概要に関して説明があり、地域生活支援事業については、長野・兵庫・福岡・熊本県の各県の担当者からそれぞれ日本語交流、支援者養成のための医療通訳研修会、ふれあい電話、自立支援通訳派遣などの取り組みに関して、概要や利用者の声、今後の課題などについて報告がありました。支援のノウハウや問題点などを幅広く共有し、現状を改善していくためにも、今後も様々な地域の様々な事業について情報交換の機会を作っていくことが大切だろうと感じました。また、中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団全国連絡会の弁護士、米倉洋子さんからの講話があり、帰国者支援の心得と帰国者からの政府への要望が、帰国者代表2名も同席する中、説明されました。帰国者の置かれている状況・心情に即した具体的なお話は非常にわかりやすく支援のあり方を再確認できるものでした。その後、雇用対策、支援給付制度等の説明等が行われ、閉会しました。

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とん・とんインフォメーション

2012年度 高校進学進路ガイダンス〈各地の情報〉2012.6.1現在

 本年度の進学ガイダンス実施情報をお知らせします。ガイダンスの内容、開始時間、参加申し込み・通訳の予約が必要かどうか等、詳細は事前に連絡先にお問い合わせください。

新情報を随時更新! http://www.kikokusha-center.or.jp/ →新着情報コーナー

【宮城県】
第1回 7月8日(日)仙台市中央市民センター
第2回 時期:未定 石巻市
第3回 9月末 仙台市
主催:日本語を母語としない子どもと親のための進路ガイダンス実行委員会
連絡先:Tel&Fax 022-375-5639 e-mail jets@sda.att.ne.jp(田所)
URL:http://www.sira.or.jp/japanese/blog/archives/2012/05/2012-5.html

【栃木県】
6月22日(金) 佐野市勤労者会館 
主催:佐野市教育委員会   連絡先:Tel 0283-61-1172   Fax 0283-62-6008
10月28日(日) 宇都宮市 宇都宮大学 峰キャンパス
主催:宇都宮大学HANDSプロジェクト
連絡先:028-649-5196 URL:http://www.djb.utsunomiya-u.ac.jp/

【埼玉県】
8月4日(土) 大宮ソニックシティビル4階 市民ホール(さいたま市)
主催:財団法人埼玉県国際交流協会 財団法人埼玉県産業文化センター
連絡先:048-833-2992(埼玉県国際交流協会事業担当) URL:http://www.sia1.jp/top.htm

【千葉県】※予定
9月23日(日) 船橋会場:船橋中央公民館
9月30日(日) 千葉会場:千葉大学
10月7日(日) 松戸会場:松戸市民会館
10月14日(日) 市川会場:市川市立第七中学校
主催:「日本語を母語としない親と子どものための進路ガイダンス」実行委員会
連絡先:080-3179-9539(白谷秀一)

【東京都】
6月24日(日) 文京シビックホール スカイホール(文京区)
主催: NPO法人 多文化共生センター東京
連絡先:Tel&Fax:03-3801-7127 URL:http://tabunka.or.jp/
7月8日(日) 武蔵境駅前 スイングビル11F(武蔵野市)
主催:武蔵野市国際交流協会(MIA)
連絡先:Tel 0422-36-4511 Fax 0422-36-4513  e-mail:mia@coral.ocn.ne.jp 
URL:http://www.mia.gr.jp/
7月16日(月・祝) 大田区役所 (大田区) 主催:OC Net(外国人とともに生きる太田市民ネットワーク)
連絡先:Tel&Fax:03-3730-0556  e-mail: jimukyoku@ocnet.jp
URL:http://www.ocnet.jp/ja/index.html
9月30日(日)(予定)文京シビックホール スカイホール  主催:多文化共生センター東京
10月7日(日)(予定)品川区中小企業センター (品川区)  主催:OC Net 
10月28日(日) 八王子学園都市センター (八王子市) 主催:八王子国際協会 
連絡先:Tel&Fax:042-642-7091 
URL:http://hachiojikokusai.world.coocan.jp/
日本語を母語としない親子のための多言語高校進路ガイダンスin Tokyo
URL:http://www.tokyoguidance.com/

【神奈川県】
9月17日(月・祝) 相模原市 さがみはら国際交流ラウンジ
9月23日(日) 横浜市泉区 いちょう小学校コミュニティハウス 
9月30日(日) 横浜市神奈川区 かながわ県民センター 
10月7日(日) 平塚市 ひらつか市民活動センター 
10月14日(日) 厚木市 ヤングコミュニティセンター
主催:神奈川県教育委員会、NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ
連絡先:NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ
050-1512-0783  e-mail: me-net@nexyzbb.ne.jp
URL:http://www15.plala.or.jp/tabunka/

【長野県】
8月26日(日) 松本市、9月2日(日) 上田市、9月9日(日) 飯田市、9月23日(日) 長野市
主催:各開催地区実行委員会・(財)長野県国際交流推進協会
連絡先:026-235-7186  URL:http://www.anpie.or.jp/

【岐阜県】
8月19日(日)国際教室進路説明会 可児市総合会館分室
10月24日(水)国際教室進路説明会 会場:未定
主催:可児市教育委員会  連絡先:0574-62-1111(内線2412)

【三重県】
8月頃・10月頃の年2回を予定。他に出前ガイダンスも企画中
会場:津市内:未定
主催:「学校へ行こう!in津市(進学ガイダンス)実行委員会」
連絡先:津市教育委員会事務局人権教育課 059-229-3249

【滋賀県】
6月17日(日)長浜勤労者総合福祉センター「臨湖」(長浜市)
7月29日(日)近江八幡市文化会館小ホール
10月〜11月頃 会場:未定
主催:(公財)滋賀県国際協会(担当:光田)
連絡先:Tel:077-526-0931 Fax: 077-510-0601  e-mail: mitsuda@s-i-a.or.jp
URL:http://www.s-i-a.or.jp/

【京都府】
9月以降 
会場:京都市内
その他:未定

【奈良県】
9月28日(金) 会場:未定  主催:奈良県外国人教育研究会  
連絡先:0742-62-5555 URL:http://www3.kcn.ne.jp/~nagaikyo/index.htm

【福岡県】
8月5日(日)福岡教育センター
主催:ともに生きる街ふくおかの会
連絡先:090-5739-3988(和田玉己)

【熊本県】
7月8日(日)熊本市国際交流会館
主催:「外国から来た子ども支援ネット」(中国帰国・外国人生徒の進学を支援する会)
(財)熊本市国際交流振興事業団
連絡先:096-337-0864/090-9593-9627(岩谷) e-mail:iwatani345@sf.kcn-tv.ne.jp

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【奈良県】第18回在日外国人高校生のための就職・進学セミナー
7月15日(日) 天理市文化センター
主催:奈良県外国人教育研究会
連絡先:0742-62-5555
URL:http://www3.kcn.ne.jp/~nagaikyo/index.htm

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<多言語による高校進学進路ガイドブック>情報:追加

 前号(同声・同気53号)で各地の「多言語による高校進学進路ガイドブック」を掲載しましたが、愛知県でもガイドブックが作成されました。

 

■外国人の子どもたち&保護者向け(冊子・PDF版)

『外国につながる子どもたちの進路開拓・進路応援ガイドブック つなぐ・ひらく・未来』

発行:愛知県 地域振興部 国際課 多文化共生推進室
企画・編集:特定非営利活動法人トルシーダ
日本語・ポルトガル語/日本語・スペイン語/日本語・フィリピノ語併記
A4判 60ページ

中国語版(簡体字・繁体字)は、冊子はありませんが、PDF版でダウンロードができます。
冊子の入手方法、各ガイドブックのダウンロード(PDF版)はhttp://www.pref.aichi.jp/0000050122.html をご覧ください。

 

■支援者向け(PDF版のみ)

『外国につながる子どもたちの進路開拓・進路応援ガイドブック−地域の支援者の皆様へ−』

発行・企画・編集:同上、A4判 84ページ

ダウンロードはこちら
http://www.pref.aichi.jp/kokusai/escort/shiensha.pdf

お問い合わせ:愛知県地域振興部国際課多文化共生推進室
電話:052-954-6138(内線:2397、2398)
E-mail: tabunka@pref.aichi.lg.jp

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「中国帰国者のための健診結果ガイド」-健診結果をどう読みとるか-

編集:中国医療ネットワークデイサービス故郷
発行:中国帰国者支援・交流センター(首都圏センター)
A4判 10頁

 中国帰国者支援・交流センターでは上記ガイドをホームページにアップしました。これは、帰国者二世の医師が、健康診断の検査項目と数値の意味について、簡潔でわかりやすい説明を心がけ作成したものです。PDFファイルで、日本語版と中国語版があり、ダウンロードできます。ロシア語版は7月にアップ予定です。
http://www.sien-center.or.jp/

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公益財団法人 中国残留孤児援護基金
日中国交正常化40周年及び援護基金創設30周年記念事業
「中国帰国者生活文化作品展」作品募集

 日中国交正常化(1972年)40周年及び中国残留孤児援護基金創設30周年(2012年度末)を記念し、「中国帰国者生活文化作品展」が開催されます。援護基金では、作品展開催にあたり、帰国者の皆さんの作品を募集しています。応募作品については、援護基金委嘱の委員が審査し、入選作品を決定します。

■募集作品
次の4部門に分けて、中国帰国者またはその家族の作品を募集します。
@書道・水墨画
A写真
B絵画(油絵、水彩画、絵手紙等)
C手工芸その他(切り絵、篆刻、刺繍等)

■応募方法
作品の鮮明な写真を郵送または電子メール添付により応募。一人何点でも応募可。ただし応募に伴う費用は自己負担。
必ず作品の写真により応募して下さい。直接作品を送って来ても受けとることはできませんのでご注意下さい。

■募集期間(応募可能期間)
平成24年7月10日〜8月20日(必着)

 詳しくは援護基金ホームページ(http://www.engokikin.or.jp/)をご覧になるか、援護基金の作品募集係までお尋ねください。
    公益財団法人 中国残留孤児援護基金 作品募集係
    電話:03-3501-1050 FAX:03-3501-1026

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『置き去りにめげずカザフスタンで生き抜いた同胞たち』

著者:小川岟一(おがわ よういち) NPO法人日本サハリン同胞交流協会会長
2010年7月20日発行、絶版

 敗戦後、サハリンから連行され、カザフスタンに置き去りにされた残留日本人たちの軌跡を描いた同書の第3章《いまだ帰れず 日本人墓地守る/阿彦哲郎さん》を当センター・ホームページにUP!
 他の章もUPの予定。もう少々お待ちください(現在作業中)。

http://www.kikokusha-center.or.jp/
コンテンツガイド 〈 帰国者とは 〉→〈 手記・体験記 〉

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外国語の絵本に関する情報いろいろ

 絵本が好き!という方(小さいお子さんをお持ちの方も、そうでない方も)への情報です。
 当センターでも、研修生の中に小さい子どもがいるときは、絵本の読み聞かせをしています。日本語で書かれた絵本はたくさんありますが、子どもたちの母語で書かれた絵本を見つけるのはまだまだ難しいですね。そんなとき、役立ちそうな情報をいくつかまとめてご紹介します。

『デジタル絵本サイト』は老舗のサイトで、最近の更新はないようですが、今も健在です。
 世界各地の民話を各国語で読むことができます。対応言語は日本語を入れて12言語。

▼上記のサイトの中で紹介されていたのですが、日本語とタイ語のバイリンガル絵本の案内サイトもあります。

『多言語絵本の会RAINBOW』は「にほんごの会くれよん」の多言語子育て情報のサイトです。
 こちらのサイトでは、“日本の絵本のうち、多言語になっている絵本のリスト”を見ることができます。2007年の情報ですが、日本でもとてもポピュラーな絵本が紹介されています。
 また、目黒区子ども条例の啓発を目的として区が作った絵本『すごいよ ねずみくん』(作:きむらゆういち)というお話が、多言語に翻訳されていて、7言語(日本語を含む)で読んだり聞いたりできます。このサイトからダウンロードできるので、子どもの母語保持などに活用してほしいとのことです。

 そうは言っても、母語で書かれた絵本を自分で購入するのは大変ですね。そんなときは、地域の図書館が活用できます。もちろん、まだまだ外国語で書かれた書籍は少ないようですが、リクエストを出してみるのも一つの方法です。

国立国会図書館のリサーチナビには、「外国語に翻訳刊行された日本の児童書情報」というデータベースがあり、キーワードを入れると検索できます。(Internet Explorerのバージョンによっては、検索できない場合があります。現在調整中とのことです。)

「東京都立図書館こどもページ」というサイトの、〈本・ざっしをさがそう〉というコーナーには「外国語の子どもの本」というページがあって、東京都内の図書館で利用できる外国語の絵本や本が言語別にリスト化されています。(ただしリスト化されている9言語の中になぜか中国語、韓国・朝鮮語、フィリピノ語、ベトナム語等は入っていません!)

 その後、さらに探してみたところ、「東京都立図書館HP(大人向け)」の〈本や資料を探す〉というコーナーの「外国語資料の検索」のページに、「中国語図書新着リスト」「韓国朝鮮語図書新着リスト」が掲載されており、そこには多摩図書館(児童書)のリストが年度ごとにアップされていました。このリストも併せれば、かなりカバーできます。

 東京以外の地域の図書館も、直接問い合わせると外国語の子供の本がどのくらいあるか、教えてくれます。問い合わせが増えると、図書館も必要性を感じて、外国語の本を増やしてくれるかもしれませんね。

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多言語育児情報誌『目黒でたのしく子育てを2011』

 外国人が日本で生活する上で必要な多言語生活情報は、当NLでもいくつかサイト等を紹介してきました。今回ご紹介するのは、子育てにしぼった多言語情報誌です。
 多言語育児情報誌『目黒でたのしく子育てを2011』(日本語・英語・中国語・ハングル)は、ずっとボランティアベースで発行されてきた育児情報誌ですが、2011年に区との協働事業になったことにより、区の公式サイトからダウンロードできるようになったそうです(冊子でも配布されています)。子育てに関する一般的な情報と目黒区ならではの地域情報がいっぱい詰まっていて、便利な一冊です。今も全国各地で、ボランティアによって多言語情報誌が作られていますが、このように自治体との協働が各地で実現すると、もっともっと、必要な人に必要な情報が届きやすくなりますね。
 以下は区のHPの該当箇所です。
http://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/kosodate/tagengoikuji/index.html
 この頁の下の方に多言語育児情報誌を作る会のホームページも紹介されています。
http://www006.upp.so-net.ne.jp/kosodate/

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「都道府県別多言語生活情報リンク集」

 以下のサイトは、関西大学喜多ゼミの学生が課題として制作したリンク集です。自治体ごとの多言語情報が都道府県別に並んでおり、とても見やすくなっています。また、その他の実用度の高いリンク集・資料集も掲載されており便利なので、ご紹介します。
http://www.res.kutc.kansai-u.ac.jp/~ckita/Links/Tagengo-joho/

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『外国人のための多言語相談サービス 5年のまとめ (2006〜2010)』

2012年5月発行 A4判 67ページ 1冊500円
編集・発行 公益財団法人 とよなか国際交流協会

 同協会では、1993年の設立の翌年から相談事業を実施していますが、今回、2005年に相談の専門スタッフと多言語スタッフが対応する体制となってからの5年にわたるさまざまな相談記録が、冊子として発刊されました。
 相談サービスの概要として、相談の基本姿勢、領域、手法、相談者の属性(性別、年齢、国籍、使用言語、居住地、在留資格)、相談件数、及び《夫婦・家族、手続き、生活、医療・保健、人間関係、労働、子ども》といった具体的な相談内容とその対応が報告されており、地域に暮らす外国人が抱える問題や悩みは何か、外国人相談では具体的にどのようなことを行っているのか、日本人とは異なる側面・観点での支援とは具体的にどのようなものか、等についてまとめられています。
 また、相談スタッフが同協会発行の「おしらせ」に掲載しているコラム「外国人相談あれこれ」2年分も紹介されており、日々の相談から見られる在留資格(ビザ)、国際結婚や子育て、DV(家庭内暴力)被害者支援等、外国人の身近な問題や相談、支援事業の特徴が紹介されています。
 外国人のサポートに従事している各地の団体及び個人にとって、貴重な資料、対応事例を提供してくれる一冊になるのではと思います。
 入手方法については、以下の同協会HPをご参照ください。

URL: http://www.a-atoms.info

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『多文化社会に求められる専門人材像―東日本大震災から学ぶ― 多文化社会実践研究・全国フォーラム(第5回)報告書』

 東京外国語大学 多言語・多文化教育センター発行 A4 110頁

 2011年11月26日、27日に東京外国語大学にて同大学が主催した上記のフォーラムの報告書から、パネルディスカッションの部分を紹介します。パネルディスカッションは3つに分かれています。

T 東日本大震災−その時、現場で何が起こったか〜「多文化共生」の行方
U 多言語対応の必要性とコミュニティ通訳の役割〜司法通訳および東日本大震災における翻訳・通訳の実践事例から
V 「多様性」への対応〜「協働」を創り出す人材の必要性とそのあり方

 Tでは、福島県国際交流協会、宮城県国際交流協会、岩手県国際交流協会からの報告があり、外国人を支援する側自身が被災をしてしまい、業務機能を失った場合どのように対処したのか、今後どうあるべきかを提示しています。特に福島では原発事故の影響もあって、様々な国が自国の人々への避難勧告を発令する中、外国語による情報提供をホームページにのせ、同時に、報道関係やNGO、および市町村へのファックス、メール、電話等を通じてその周知に努めていました。「多文化防災」というのがひとつのキーワードです。
 Uでは、東日本大震災の時に行った通訳・翻訳活動を通して見えてくるコミュニティ通訳者ないし翻訳者の役割、課題などを取り上げています。
 Vでは、言語・文化の異なる人々の定住化にともなって、地域には様々な問題が顕在化してきています。これに対応していくには、支援者、モノ、金を資源として投入していくだけでは十分にたちゆかなくなっていること、今後は、支援者・被支援者の「協働」、それを創り出せる人材が必要だとしています。これまで日本社会が経験したことがない多様性への対応に貢献できる人材の必要性とその在り方について議論がなされています。
 現在の日本社会の中ではひとりひとりが多文化の視点を持ち、日ごろの準備をし、コミュニケーションをとることが重要です。そして、災害を通して多文化共生社会を考えてみる視点が必要です。

 以下のホームページアドレスよりダウンロードできます。また、冊子の報告書も入手可能です(以下ホームページ参照) 
http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/2012/04/post_235.html

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「新しい在留管理制度」情報の外国語翻訳が見られます

 2012年7月9日に新しい在留管理制度が施行されます。外国人登録制度が廃止され、新たに在留カードが交付されること、住居地の自治体で住民票が作成されることなど、これまでの制度が大きく変わります。

 東京外国語大学 多言語多文化教育研究センターでは、法務省からの依頼を受けて、外国人住民の方々に母語で情報が届けられるようにと、制度についての情報を26言語に翻訳しました。(6月6日現在 中国語、ロシア語ほか)
 同センターHPよりダウンロードができます。
http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/

 なお、法務省入国管理局のサイトにも「新しい在留管理制度」の翻訳26言語と、制度の説明(日・英・中・韓・西・ポルトガル語)が掲載されています。
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_1/index.html

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ニュース記事から 2012.03.01〜2012.05.31
2012/03/22 外国人不就学児が減少、戸別訪問など成果/浜松市
2012/04/17 県が外国人向け「進路ガイド」作製 ポ・西・比の3か国語/愛知 → 教材・教育資料コーナーで紹介
2012/04/22 医療通訳サービス開始、医療通訳者募集/愛知 ※1
2012/04/23 名古屋のNPOが外国人向け無料電話相談窓口(8ヶ国語):毎日新聞岐阜版より ※2
2012/04/25 NPO法人「中国帰国者・広島友好会」設立祝賀会開催/広島 ※3
2012/04/28 中国・方正県の日本人公墓立ち入り再開へ 慰霊希望者に朗報
2012/05/06 南米出身者がNPO法人設立 外国の子支援/愛知 ※4
2012/05/08 日本語指導 正式授業化検討へ/文科省 ※5
2012/05/30 全国初 6/1から119番通報5カ国語(英・中・韓朝・西・ポ)の同時通訳を24時間体制で/さいたま市

※1〜※5については以下に解説があります。

※1
「あいち医療通訳システム」サービス開始
 愛知県が、在日外国人の病院受診を手助けする医療通訳者の派遣や電話通訳、翻訳サービスを提供するシステムを始めた。医療機関からの依頼に基づいて通訳者の派遣等を行う。英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語の四言語に対応(タガログ語も追加予定)。また、これらの言語に堪能な者を対象に医療通訳養成講座も開講する。
詳細は、http://www.aichi-iryou-tsuyaku-system.com/

※2
NPO「多文化共生リソースセンター」など全12団体が外国人向け電話相談窓口を開設。
 「社会的包摂サポートセンター」(本部:東京)が、外国語による相談を全国から通話料無料で受け付ける電話相談「よりそいホットライン」を実施している。
 英語、中国語、韓国・朝鮮語、タガログ語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語に対応。相談時間は月〜日の午前10時〜午後10時だが、言語によって曜日と時間が異なる。
電話番号:0120-279-338 外国語相談をする場合は、日本語によるガイダンスの後で2番を押す。

※3
 「中国帰国者・広島友好会」:残留孤児1〜3世が中心となって組織され、残留孤児支援のNPO法人として広島県で初めて認可を受けた。

※4
南米出身者がNPO
 NPO法人「Mixed Roots×ユース×ねっとこんぺいとう」:岐阜県内の教育や医療通訳の現場で働く20〜40代のブラジルやペルー出身の日系人と、愛知淑徳大学の小島祥美准教授が立ち上げた。外国にルーツがある若者が活躍できる社会づくりを目指す。日系人の学生を対象としたインターンシップや、海外で活躍した日系人100人へのインタビューなどを計画している。

※5
日本語指導を正式授業化検討へ
 文部科学省は、2012年4月に「日本語指導が必要な児童生徒を対象とした指導の在り方に関する検討会議」を設置し、小中学校における日本語指導を、「特別な教育課程」として位置付ける方向で検討を進めている。全国における実態調査を受けて、指導内容や形態、場所、指導時数等について検討を重ね、2013年にも学校教育法施行規則を改正するとともに「特別の教育課程」に係る告示を制定、周知し、学校における「取り出し指導」や「通級指導」を正式な授業として実施できるようにしていく。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/kaigi/1321199.htm

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人事異動 中国帰国者支援・交流センター

中国帰国者支援・交流センター4月からの新所長は以下の通りです。

・北海道センター   藤田 裕行 氏
・東北センター    尾形 正行 氏
・東海・北陸センター 米倉 康博 氏
・近畿センター    山下 つねよ氏
・九州センター    井原 庸尋 氏

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★web版『同声・同気』は、情報掲載時に、その内容をメールにてお知らせすることができますので、ご希望の方は、以下の宛先まで、@お名前(団体窓口者の方は団体名も)とAご自身のメールアドレスをお送りください。
宛先:tongtong@kikokusha-center.or.jp
(お問い合わせは 電話04-2993-1660 FAX 04-2991-1689)