敗戦前後の混乱の中、中国東北部(旧満州)で親と離別し、飢えや寒さで死んでいった孤児について描いた絵本「金のひしゃく−北斗七星になった孤児たち」が出版された。
著者の増田昭一さん(75) は旧制中学を卒業後、両親と姉の暮らす中国東北部(牡丹江)に渡るが、ソビエト参戦で戦闘に巻き込まれ、長春の難民収容所に移送される。
絵本はここでの実体験をもとに描かれたものだ。炊事係のおじさんに配給される僅かなお粥で、命をつないでいた四人の孤児たちが、栄養失調になり、極限状態の中、自身の死と直面しつつ、おじさんへの感謝の気持ちを手紙に残し死んでいく。「より多くの子どもたちに戦争の悲しさ、残酷さを伝えていきたい」−増田さんがこの絵本を通じて読者に送るメッセージである。 |