修了生の須田君、国際スピーチコンテスト入賞! 投稿者:齋藤 ひろみ   投稿日:01月29日(月)20時28分07秒
                            (東京学芸大学海外子女教育センター)

こんにちは。みなさん、お元気ですか。  先週の土曜日はものすごい雪で、私達が運営している練馬の母語保持教室は 閑古鳥が鳴いていました。生徒2名、先生3名。この雪ですから致し方ないですね。  さて、朗報です。中国帰国者定着促進センターの修了生(当時小学校6年生、 現在は中学2年生)の須田(関宇)君が、千葉県の国際文化教育財団が主催す る国際青少年スピーチコンテストで入賞しました。タイトルは「丸坊主」、最 近丸坊主になったらしく、それをタイトルにしたようでした。聞きに行ったので すが、センターを出てからの学校生活について、彼自身の思いを素直に溌剌と 語った、とても清清しいスピーチでした。等身大であったこと、勢いがあり前向 きであったこと、自信に満ち溢れていたことが評価されたんだろうと思います。 私もとてもうれしく思いました。彼にとっても、大きな自信になることと思います。  本人の了承を得ていますので、その内スピーチ原稿をセンターにお送りしたい と思います。



−−−−−−−−−−当ホームページのフリートーキング会議室より−−−−−−−−−−



丸  坊  主

千葉市立蘇我中学校 2年  須田  哲也

 僕は須田哲也です。15才、蘇我中学校2年生です。小学6年生の時、日本に来ました。初めは、日本に来たくなかっ た。日本語がわからないし、友達と別れたくなかったから。親に、むりやり日本に連れて来られました。でも、日本に来 た時は、きれいだと思いました。所沢で、4ヶ月の研修を受けて、初めて日本語を習いましたが、全然分かりませんでし た。それから千葉に来て、2月に6年生に入りました。
 1日目は、みんなすごく優しかったので、その時僕は良かったなと思いました。でも、2日目からは、みんな僕の存在 を感じないみたいで淋しかった。そして、1週間たっても全く同じ状態。友達は一人もいませんでした。僕は不安になり ました。その時、1日2時間、学校の先生に日本語の授業をしてもらいました。僕は、学校の先生に「なんでみんな僕と 友達になりたくないのか」と相談しました。先生は、「たぶん、須田くんはまだ日本語がうまく話せないからだと思うよ」 と言いました。それで、僕は目標ができました。「絶対、日本語が話せるように頑張るぞ」と思いました。その日から、
一生懸命日本語の勉強をしました。学校が終わってからすぐ家に帰り、自分で資料を買ったり、図書館に行ったりして、 日本語の勉強をしました。その忙しい中で、2ヶ月が過ぎました。  冬休みに入りました。みんなは中学校に入学する準備をしたり、家族とのんびり過ごしたりしていました。でも、僕は 前よりもっと不安になってきました。頭の中には、入学の準備と日本語の勉強のことしかありませんでした。姉は、僕の 姿を見て、「ねえ、てっちゃん。何でそこまで頑張るの」と聞きましたが、僕は「おめぇじゃ、おれの気持ちわかんない んだよ」と姉に言いました。姉は中学校でいっぱい友達がいるし、先生も優しいので、僕の気持ちなんて絶対わからない と思ったのです。  そして、僕は「日本語をもっとうまく話せるようになりたい」という目標を持って、中学校に入学しました。入学式の 日に、知らない人に声をかけてもらい、ものすごく嬉しかったです。その人が僕の一人目の友達になったのです。毎日、 一緒に遊んだり、学校に行ったりするようになりました。1ヶ月が過ぎて、僕にはたくさんの友達ができました。とても 嬉しかった。その時、僕は「人間は頑張れば何でもできるもの、頑張れば何とかなるもの」だと思いました。  1年過ぎて、僕は2年生になりました。目標だった日本語もうまく話せるようになり、授業での話しもわかるようにな りました。でも、勉強はつまらないです。勉強することが多すぎます。だけど、数学と理科は大好きです。そして、学校 の先生もとても優しいです。悪い友達もいるけど、やっぱり優しいです。そんな楽しい生活をしていますが、この間友達 に誘われて「チャリツー」をしてしまいました。「チャリツー」とは自転車通学のことです。蘇我中学校では自転車通 学は禁止されています。そして、ガムを学校で友達からもらってしまいました。食べなかったけど、先生に見つかってし まいました。それから、マンガを借りたかったので、友達に持ってきてもらったら、また、先生に見つかってしまいまし た。1週間で3つも悪いことをしてしまったので、丸坊主になりました。自分では悪くなりたくないけど、どんどん悪い方 に行っている気がします。自分では、いい方に行きたいと、いつも思っています。でも、なかなかうまく行きません。こ れからも、友達の悪い誘いはなるべく断り、特に勉強を頑張って、自分の夢である通訳になれるよう頑張りたいと思います。