60歳以上(基準日現在)の帰国者で就労経験のある者の帰国後経過年数をみると、帰国後2年未満では就労経験がないが、帰国後5年以上経過すると、孤児は50%、婦人等は24.9%が就労経験があると答えている。
(グラフ32 帰国後経過年数と就労経験(就労経験有りの者))
子からの生活費の援助については、「子はいるが生活費の援助はない」が66.1%となっている。
(グラフ33 子からの生活費の援助)
60歳未満(基準日現在)の帰国者本人の就労状況をみると、孤児は29.2%が就労している。
また、婦人等は36%が就労しており、孤児に比べてその割合は高くなっているが、前回の孤児が51.2%、婦人等が49.4%となっていたのに比べ、いずれも就労率は低下している。
(グラフ34 帰国者本人の就労状況)
帰国者本人の就労状況を帰国後経過年数別にみると帰国後年数を経るにしたがい就労している者の割合は増加しているが、前回の1年未満の孤児14.5%、婦人等19.7%、また、5年以上は孤児が58.7%、婦人等62.4%と比べると、就労率は低下している。
(グラフ35 帰国後経過年数別就労状況(帰国者本人))
帰国者世帯の就労状況をみると、孤児世帯では60.6%、婦人等世帯では59.7%が就労している。
前回調査の孤児世帯の66.1%、婦人等世帯の69%に比べると就労率が低下している。
帰国者世帯の就労率は、配偶者や子が就労している世帯があるので、帰国者本人の就労率(グラフ34)に比べて高くなっている。
(グラフ36 帰国者世帯の就労状況)
帰国者世帯における就労状況を帰国後経過年数別にみると、孤児世帯では帰国後2年目にその割合がやや増加しているが、その後大きな変化はみられない。
婦人等世帯では、帰国後2〜3年が就労率が最も高く、その後年数が経過する毎に少しずつ減少している。
前回も、やや率は低いものの概ね同様の傾向となっている。
(グラフ37 帰国後経過年数別就労状況(帰国者世帯))
就労者の構成については、前回は「帰国者本人のみ」が21.2%と最も多かったが、今回は「子のみ」と「その他」が多くなっている。
(表5 就労者構成別、1世帯当たり平均就労人員)
区分 | 世帯数 | 割合 |
---|---|---|
帰国者本人のみ | 96世帯 | 7.6% |
帰国者本人+配偶者 | 62 | 4.9 |
帰国者本人+配偶者+子 | 40 | 3.2 |
帰国者本人+子 | 46 | 3.6 |
配偶者のみ | 72 | 5.7 |
配偶者十子 | 35 | 2.8 |
子のみ | 287 | 22.8 |
その他 | 623 | 49.4 |
計 | 1,261 | 100.0 |
世帯あたり平均就労人員 |
2.6人 |
同伴帰国した子世帯と同居している世帯では、孤児、婦人とも「家族のみ就労」が多い。しかし孤児世帯では、「就労者なし」が50%となっている。
(グラフ38 同伴子世帯と同居している世帯の就労状況)
就労している者の職業は多岐にわたっているが帰国者本人、家族全体のいずれも「技能工、製造・建設・労務作業者」が最も多くなっている。
全体的に前回調査とほぼ同様の傾向となっている。
(表6 就労者の職業別状況(一般との比較))
区分 | 帰国者本人 | 家族含む全体 | 一般 |
専門的・技術的職業従事者 | 3.3% | 3.3% | 13.3% |
管理的職業従事者 | 0.0% | 0.5% | 3.4% |
事務従事者 | 0.4% | 2.6% | 19.5% |
販売従事者 | 0.4% | 1.7% | 14.5% |
保安職業従事者・サービス職業従事者 | 6.3% | 7.8% | 10.8% |
農林漁業作業者 | 2.2% | 1.0% | 4.4% |
運輸・通信従事者 | 0.0% | 1.4% | 3.5% |
技能工、製造・建設・労務作業者 | 87.4% | 81.7% | 30.6% |
(注)一般は平成11年12月末日の「労働力調査(総務庁)による。
職業紹介を行った者は、孤児、婦人等のいずれも公共職業安定所が最も多くなっており、前回と同様の傾向となっている。
(グラフ39 職業紹介者等内訳)
就労している者のいる孤児世帯では、収入月額10万円以上20万円未満が34.9%平均では22万円となっており、前回の平均28万8千円と比べると収入が減少している。
そのうち、孤児本人と家族が就労している世帯では、20万円以上30万円未満が41.7%、平均では27万円となっているが、前回の平均38万2千円と比べると収入が減少している。
就労している者のいる婦人等世帯では収入月額が10万円以上20万円未満が39.8%となっており、平均では21万円となっており、前回の平均29万円と比べると収入が減少している。
(表7 世帯の就労者別就労収入月額(孤児世帯))
区分 | 就労者のいる世帯の計 | ||
本人のみが就労 | 本人十家族が就労 | ||
10万円未満 | 8.2% | 14.5% | 3.6% |
10〜20万円 | 34.9% | 59.7% | 16.7% |
20〜30万円 | 33.6% | 22.6% | 41.7% |
30〜40万円 | 15.1% | 1.6% | 25.0% |
40〜50万円 | 6.8% | 1.6% | 10.7% |
50万円以上 | 1.4% | 0.0% | 2.4% |
平均収入月額 | 22万円 | 15万1千円 | 27万円 |
(表8 世帯の就労者別就労収入月額(婦人等世帯))
区分 | 就労者のいる世帯の計 | ||
本人のみが就労 | 本人十家族が就労 | ||
10万円未満 | 10.8% | 19.4% | 5.8% |
10〜20万円 | 39.8% | 54.8% | 30.8% |
20〜30万円 | 26.5% | 19.4% | 30.8% |
30〜40万円 | 18.1% | 6.5% | 25.0% |
40〜50万円 | 2.4% | 0.0% | 3.8% |
50万円以上 | 2.4% | 0.0% | 3.8% |
平均収入月額 | 21万円 | 15万5千円 | 24万1千円 |
就労している者のいる世帯全体では、収入月額が10万円以上20万円未満が36.7%、平均では21万5千円となっており、前回の平均28万9千円と比べると収入が減少している。
そのうち帰国者本人と家族が就労している世帯では、20万円以上30万円未満が37.5%を占め、平均では25万9千円となっており、前回の平均37万8千円と比べると収入が減少している。
前回の調査結果と比べて孤児、婦人等世帯とも収入が減少している。
(表9 世帯の就労者別就労収入月額(全体))
区分 | 就労者のいる世帯の計 | ||
本人のみが就労 | 本人十家族が就労 | ||
10万円未満 | 9.2% | 16.1% | 4.4% |
10〜20万円 | 36.7% | 58.1% | 22.1% |
20〜30万円 | 31.0% | 21.5% | 37.5% |
30〜40万円 | 16.2% | 3.2% | 25.0% |
40〜50万円 | 5.2% | 1.1% | 8.1% |
50万円以上 | 1.7% | 0.0% | 2.9% |
平均収入月額 | 21万5千円 | 15万2千円 | 25万9千円 |
収入額については、一般世帯を100とした場合、孤児世帯は43.6となっている。(前回は66.4)
(表10 就労収入の一般世帯との比較(世帯))
一般世帯 | 孤児世帯 | |
11年 | 50万5千円(100) | 22万円(43.6) |
(注)一般世帯は「家計調査(総務庁)」による。
現在就労している者のうち職業に「満足している」「ほぼ満足している」の合計は孤児が59.8%、婦人等が70.2%となっている。
前回の本人全体の57.6%に比べると満足度が上がっている。
(グラフ40 職業への満足度)
現在の職業に満足していない理由をみると、「収入」と答えた者が、孤児、婦人等とも半数を超えている。
(グラフ41 現在の職業に満足していない理由)
現在就労していない者の就労していない理由は「傷病のため」が孤児は68.8%、婦人等は80.1%となっている。
前回とほぼ同様の傾向となっている。
(グラフ42 現在就労していない理由)
現在就労していない者で就労したいと考えている者は、孤児で42.7%、婦人等では39.6%である。
(グラフ43 就労したいと考えている者の割合)
(表11 就労していない者の今後就きたい職業)
過去に就労あり | 就労なし | |
専門的・技術的職業従事者 | 15.7% | 13.4% |
管理的職業従事者 | 1.4 | 0.6 |
事務従事者 | 0.0 | 2.4 |
販売従事者 | 1.4 | 0.6 |
保安職業・サービス職業従事者 | 11.4 | 20.1 |
農林漁業作業者 | 2.9 | 3.0 |
運輸・通信従事者 | 0.0 | 3.0 |
技能工、製造・建設労務作業者 | 67.1 | 56.7 |
現在就労していない者が就労するためにしている努力は、「日本語の勉強」が孤児48.9%、婦人等43.1%で最も多く、次いで「職安で求職中」となっている。
(グラフ44 就労するためにしている努力)
現在就労している者の日本語の理解度をみると「職場で仕事の会話ができる」と答えた者は、孤児が47.1%、婦人等が48.5%で最も多い。これに対し、現在就労していない者の日本語の理解度をみると、「片言の挨拶程度」と答えた者が孤児が47.7%、婦人等が55.7%と最も多いなど、日本語習得状況に大きな差があり、職場で通用する高い水準の日本語の習得が就労の鍵となっている。
(グラフ45 現在就労している者の日本語の理解度)
(グラフ46 現在就労していない者の日本語の理解度)