X.PC(パソコン)ネットワークの可能性

 本プロジェクトには、北は岩手センターから、南は鹿児島センターまで、6か所の二次センターが参加しました。これだけ地理的に遠く隔たったセンター同士が一堂に会して協議や作業を進めることは、現実的にはほとんど不可能と言ってよいでしょう。そこで、本プロジェクトでは、所沢センターにパソコン通信による「電子会議室」(パティオ)を設け、各地の二次センターもこのパソコン通信を用いて「電子会議室」にアクセスすることで、センター間の協議・協働をはかることを試みました。電子会議室といういわば常設の会議室を設けることで、各センターは、いつでも都合のよい時間に会議室を訪れ、他のセンターからの発言を受信したり(「読み込み」)、それに対して自ら発言したり(「書き込み」)することができるわけです。「書き込」まれた発言は、瞬時にすべての会議メンバーに共有されます。それに対する意見や質問をさらに「書き込」んでいくことで協議は進行していきます。
 本プロジェクトでは、この電子会議を用いて、以下の内容について、センター間および厚生省との連絡・協議・相談・情報交換・協働作業を進めました。
 

    ・「電子会議室」への参加の方法(パソコン操作の方法)について
    ・本プロジェクトの進め方について
    ・二次センター訪問調査について
    ・再研修講座 開設・運営の考え方について
    ・ 〃 カリキュラムおよびカリキュラム設計の考え方・捉え方について

     〃 コースカリキュラムのモデルについて
 
 ちなみに、1997年2月24日現在、この会議室を通して交わされた情報件数は177件にのぼります。
 
 [注]本年度内にパソコンの設置、パソコン通信への加入、そして「電子会議室」への   参加が間に合わなかった二次センターの場合は、所沢センターが、電話・ファックス通信・郵送等を用いて会議内容の「読み込み」と「書き込み」を代行することで、協議・協働を進めました
 
 再研修において、多様な学習者の多様なニーズに長期的に応えていくためには、カリキュラムモデルのストックが必要となります。理想としては、このストックの中からそのときの学習者のニーズに一番合ったものを選び出し、それを修整したり新たな開発の要素を加えてたりして運営していくことができればよいと思います。しかし、各センターがいわばゼロから出発し独力でそうしたストックを築いていくことは容易なことではありません。それぞれのセンターが可能なところから始めた試みを提供し合い、それらを共有の財産として活用していく、こうしたネットワークが活性化すれば、より容易に学習者のニーズに応えていくことができるでしょう。本プロジェクトにおけるパソコンによる電子通信網の活用は、こうした遠隔地間センターのネットワークを実現していくための一つの試みでもありました。まだまだ方法的に問題はありますが、所沢が果たした「センター間センター」としての仲介的役割が今後も維持され強化されれば、来年度以降「再研修」が全国展開していく際にも、ネットワーク形成の支援が可能であると考えられます。