CHILEAN COMMUNITY NETWORK(CCN)
6 チリ人のコミュニティ・ネットワーク



1.目的等
 C.C.C.の傘下組織で、チリ語、スペイン語圏のコミュニティを対象に、直接的サービス、支援、情報、他機関へ紹介するサービス、アドボカシー、まちづくり、グループ活動等を目的に設置された。関係機関や他の地域団体と連携し、彼等のニーズや問題が適切に把握されているかを確認し、時には政策変更も促す。

2.専門スタッフ
 ネットワーキング、情報、ロビー活動、アドボカシーが主な仕事である。チリ語、スペイン語圏の人々のニーズが適切に伝えられているか、彼等を取り巻く問題が取り上げられ議論されているかを念頭に、多くのネットワークや機関と共に活動してきた。
活動場面は次の通りである。
・フェアフィールド移民連絡会
・ニューサウスウェルズ州の補助金を得ているワーカーの生協
・フェアフィールド移民・難民女性ネットワーク
・西部地区スペイン語ワーカー
・連邦アドバイス委員会
・C.C.C.のスタッフ・ミーティング
・借家アドバイス委員会
・社会保障部等のコミュニティ相談
・移民、難民の活動グループ
・高齢者プログラム委員会

3.スタッフの養成・研修
 チリ人のコミュニティに関する諸問題の情報に遅れをとらないために、また、ワーカー自身の能力向上のために、様々なセミナーやトレーニングセッションに参加する。内容は次の通りである。
・移民について
・オーストラリアの教育制度について
・借家に関する法律について
・差別について
・申請書類等の書き方について
・まちづくりの方法について
・交渉力について
・エイズについて
・性的虐待について
・家庭内暴力について
・家族法について

4.個別サービス
1)相談
 活動場所は曜日によって異なるが、C.C.C.と赤十字ビル内のフェアフィールド事務所で、移民、社会保障、借家、雇用拒否、危機に瀕した際の対処法、正義、家庭内暴力、公共住宅等の問題について相談に応じる。
 特に雇用拒否に関して、リバプール移民援肋センター、フェアフィールド・コミュニティ援助センター、フェアフィールド移民援助センターの移民雇用促進職員と協力して雇用機会を増やすためのトレーニングと技能向上を目指した活動を展開した。
また、社会保障と移民問題に関しては、支援保険に対する移民の誤解から、多くの移民がオーストラリア入国後に困難な局面に遭遇していることがわかった。彼等は、この契約について詳細を知らされていないので、支援されている家族から離れて生活を始めようとした際に、何の資格もないことを認識させられる。子どもの教育費として家族に支給される家族手当についても、周知されていない状況をふまえ、社会保障省の移民巡回職員は、ワークショップやセッションを開き、この問題を始めまちづくりに影響を与える問題を扱った。
2)ワークショップと情報セッション
 350人以上が参加したワークショップと情報セッションの内容は以下の通りである。
・教育制度
・女性の健康
・自己評価、リラクゼーションコース
・ワークショップで賢くなろう〜高齢者とストレスが多い人々の薬の乱用防止
・障害者年金情報
・精神保健
・借家権情報のマスコミキャンペーン
・リーダーシップコース
・ドラッグとアルコール
・支援保険
・社会保障情報

3)多文化主義に沿った活動
 一般の地域住民との文化交流を促すため、多文化主義的活動に積極的に参加する。国際婦人デー、難民週間、ボランティアデー、高齢者週間、国連デー、ラテンアメリカ文化デーなどの催しを通し、女性問題に焦点を当て解決策を探ったり、定住に関する問題を取り上げ福祉機関がいかに彼ら難民の声を吸い上げなくてはならないかをアピールしたりしてい
る。他に民族的なパフォーマンスも披露する。
この催しは地域に大きなインパクトを与えた。というのも、フェアフィールド市長とC.C.C.の代表がお祝いに駆けつけ、10以上のスペイン語圏のコミュニティから約600人が参加したこの活動を評価したからである。

4)若者対象のプログラム
 学校の休日に合わせて、フェアフィールド移民援助センターを始めとする様々な団体のワーカーが、教育的なレクリエーションを企画・実施する。

5)女性対象のプログラム
 女性が自信を高め満足感を得られるように、工芸の展示、小旅行を企画・実施する。また週1回、年令、国籍、宗教に関係なく誰でも参加できる会合を開いている。

6)高齢者対象のプログラム
 チリ人の高齢者が他の人々と交流することにより孤独に陥らず、自己信頼力を高めることを目的としている。担当ワーカーの役割は、定期的、積極的にメンバーを支援し、多くの活動を計画することである。また、高齢者を適切なサービスにつないだり、ニーズに合った情報セッションやワークショップも企画・実施する。
多くの人々はこれにより自己信頼力を取り戻し、就職したり、ワーカーを助けたり、地域のボランティア活動に参加したりする。フェアフィールド美術館で、壊れたおもちゃの修理に参加する人もいた。

7)英語クラス
 中年を対象に、誰でも参加できる英語クラスを設置。自信と信頼を取り戻し、お互いの能力向上を目的とする。

8)リラクゼーションのための体操・自己開発・栄養を考えるグループ
 不況の影響で無職となり、それが原因でストレスがたまったり病気がちになったチリ人を支援することを目的につくられた。ストレスの状況は、家族間がうまくいかなかったり、結婚に破れたり、アルコール・ドラッグへの依存等さまざまである。彼等の自信を回復させ、労働市場に目を向けさせるために、各レベルのセッションを用意した。

8.財源
 資金援助は、フェアフィールド市議会、フェアフィールド移民援助センター、地元の商店から受けている。