刊行にあたって
『住民参加でつくる福祉社会かながわ』を標傍し、1992年策定の第二次活動推進計画に基づいて事業展開を図っている本会は、「人権尊重とノーマライゼーションの理念に基づき、一人ひとりの生涯にわたる生活を総合的に支えるしくみを、地域を基盤に、住民の主体的参加を基礎とした公私協働の実践を通じてつくる」ことを地域福祉の目標に据えている。時を同じくして1992年に始まった本会の在住外国人の生活支援関連事業は、まさにこの計画に位置づけられたもので、「自立した地域生活の確保と社会参加の促進」の一環として取り組んできた。
1995年3月には『在住外国人の生活支援方策−提言−』をまとめ、県域−市町村域で今後実施していくべきことを明らかにした。その中で、「日本人が外国人の生活実態を理解し、同じ地域に暮らす隣人として各々の文化や生活問題等を共有化する社会づくり、地域づくりをめざす」ことを確認したが、具体的な手順や地域づくりのプログラムの検討はさらなる課題として残っているところである。
この度、神奈川の新たな地域福祉実践の創出に参考になるのではないかと、資料を紹介された。オーストラリアのカブラマタ地域という海外の実践である。日本において神奈川において海を越えたこの資料がどのような価値を発揮するか、今後に期待するところである。翻訳してさらに編集したということで読みづらさもあると思うが、是非ご一読いただき、各々の実践のヒントとしてご活用願いたい。
最後に、この冊子の編集にご協力をいただいた皆様に厚くお礼を申し上げる。
1996年3月
社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会
会 長 有 馬 嗣 郎