国語の日本語補助教材作成の基本的考え方と試作の実際

光 元 聰 江

T.はじめに

 日本語教育の必要な児童生徒の学習言語に関して、現場の日本語学級等では試行錯誤の取り組みがなされている。しかし、それが目に見える形で発表されることが少なく、実践の成果が相互に蓄積されるまでには至っていない。現場での実践の工夫や実践後の改良点などがどこかで集められ、実践交流会のようなものが、地域単位で度々行われれば、一人ひとりの貴重な実践が無駄なく活かされ、子どもに対する日本語教育への関心も高まり、しだいに幅広い理解が得られるようになるであろう。 
 そういう貴重な実践を集め、相互に研修し合い、より効果的な指導法の研究がなされることと並行して、日本語教育の学校教育での位置付けをも相互に考えていく必要があろう。日本語教育は「日本語」の「教育」と読み取れる。大人のための日本語教育は、文字通りの日本語の教育でよいであろう。しかし、日々育ちいく子どもたちの日本語教育は、日本語教育をしながら学校教育を行うという視点が重要になる。そういう視点から国語との連関性を考察する。

U.義務教育レベルにおける日本語教育の位置づけ

 小中学校における日本語学級等での日本語教育の果たすべき役割は何か、どうあるべきなのか、という問題を抜きにして、義務教育レベルの日本語教育を論議することはできないだろう。日本語学級等は学校教育の補助的な部分を担うだけでよいのであろうか。
 もし、仮に何等かの言語的保障がなされれば、在籍学級で異文化、異言語の子どもたちが、一緒に混在して学級活動を行うのが本来の学校教育の姿であろう。なぜなら、日本語教育の必要な児童生徒も日本の児童生徒と等しく教育を受ける権利があるからである。また、行政の側から言えば、受けさせる義務があるわけである。そういう前提に立ったとき、外国人児童生徒の言葉の問題が障害となっているのであるから、行政の方からは、一部ではすでに行われている母語通訳の派遣、日本語教育能力をもった教員の加配など行政的措置の拡大が図られねばならない。さらに、初期指導における日本語教育ののち、教科への移行時期に入るが、この時期の日本語学級での授業は、児童生徒の発達段階を踏まえて、当該学年相当の知的レベルの授業をいかに与えることができるかという視点から授業のあり方が問われねばならないであろう。
 母国での教育の状況や現時点での児童生徒の学習状況を調査のうえ、各児童生徒の状況に合わせることは、教育として当然であるが、教科移行期中にも、本来ならば在籍学級で他の日本人児童生徒と同じ教育レベル(教科内容)の授業を受けているはずだという認識が欠けてはならない。この時期の日本語教育を一般に「取り出し指導」などと言われるが、むしろ「取り出し教育」「取り出し授業」と呼べるような教育でありたいと考える。
 言語の問題があるから、在籍学級の教室の一部が日本語学級に移動しているだけだという認識を、日本語学級教師は常に持つべきである。つまり、在籍学級の日本人児童生徒と同じ教育レベル(教育内容)をいかにして、日本語学級で与えることができるかを模索する必要がある。いわゆる「教科補充期間」が長くなることで、教育的空白が生じることは、避けなければならない。児童生徒は常に成長しつつあるという確固たる認識をもって、日本語学級における授業は構想されなければならない。
 そのためには、相当学年の児童生徒が目指している教育目標を満たすよう教科書教材の精選をすることが大切である。多くの教材をこなすだけが、教育効果を上げることにはならない。言語の問題があるのであるから、精選された少ない教材をじっくり練り上げて指導するという日本語教師の力量が必要であろう。
 国語の場合は、言語を中心にした教育であるので日本語教育と国語教育との連関を模索しながら、学年の教育目標を達成するようカリキュラムを作る必要がある。いずれは、在籍学級にもどることを考慮して、教科書教材数をさらに精選し、児童生徒の成長過程にそった教育的支援のできるカリキュラムを組むことが大切である。すなわち、児童生徒の日本語力に応じて、日本語力の低い者ほど、在籍学級での授業参加は遅れるわけであるから、教材の精選によって、できるだけ在籍学級の授業レベルに近い形で本格的授業を行い、学年相当の成長を支援する必要がある。日本語力の高いものに対しては、1日も早く在籍学級での授業に入れるように、在籍学級担任との連携を深め、在籍学級での国語授業に入れるような指導を行う。したがって、日本語力の低い者と高い者との日本語学級での指導の違いは、低い者ほど在籍学級の授業レベルに近い授業を、日本語力の高い者ほど、教科補充的な色彩の濃い指導により在籍学級での授業を受けさける。すなわち、言語の障害による児童生徒の成長過程における教育的空白を作らない努力が、日本語教師に求められる。従って、そういう観点で義務教育段階での日本語教育の位置付けを見直すなら、日本語教育能力をもった学校教員の養成・学校教育能力をもった日本語教師の養成こそ必要である。

V.日本語教育と国語教育との連関

 本研究では、義務教育レベルにおける日本語教育、特に小学校における日本語教育について国語との連関性を考察し、日本語教育と国語教育との指導上の接点はどこに求めたらよいか、さらには、そのための授業や補助教材はどうすればよいかなどについて試案を提示する。当初は、教科書教材の分析を通して、教科書にそった補助テキストが作れるのではないかと考えていた。しかし、外国人児童の教育的空白を少しでも短くし、一日でも早い在籍学級での国語授業への参加を果たすには、在籍学級の国語の授業計画との関連や国語授業での使用語彙・文型・文化的理解など、広い分野にわたる基礎研究を踏まえなければ、補助テキストの作成は難しいことがわかった。多くの場合、授業中の日本語は教科書の日本語より外国人児童にとっては、むずかしい場合が多いようだ。日本語教育の視点から実際の国語の授業記録を分析研究することも欠かせない基礎研究であると考えるようになった。それらを踏まえた上でないと、より良い補助教材作成はできないであろう。従って、本報告書では、今後の研究の方向性が見えてきたということで、こういう方向での授業を行うには、こんな教材や授業の方法も考えられるという試案の提示にとどまった。
 その試案作成にあたって、小学校3年の「ヤドカリの引っこし」と「ありの行列」(光村図書・国語・文部省検定済・1991)(注)の教材を使い、日本語教育と国語教育との指導上の接点を求めつつ、授業の流れと補助教材の試作を提案することとした。試作した補助教材はこういう授業の流れの中で、このように使ってはどうかという提案である。

1.教材「ヤドカリの引っこし」「ありの行列」における日本語教育と国語教育との連関性

 外国人児童が在籍学級での国語の授業に入りやすくさせるためには、日本語学級の教師が在籍学級での教材の扱いや指導の方法を踏まえた予習をさせておかなければならない。ここに日本語教育と国語教育との連関性模索の必要性がある。
 子どもは子どもたちの中で相互学習することによって成長する。したがって、できるだけ多くの時間を在籍学級で過ごすことが大切であろう。国語における学級参加は、言葉が中心となる教科であるため、1〜2年も「取り出し授業」が必要である。その間も子どもの成長は続いているわけであるから、その年齢相当の教育的支援が必要である。
 同年代の日本の児童に必要なことは、外国人児童にも等しく必要である。この「ヤドカリの引っこし」と「ありの行列」の教材では、その目標が「論理的思考力を身につける」ところにおかれている。児童の成長過程が「論理的思考力の養成」の段階にあることを意味する。であれば、言葉が十分わからなくても、その大切な段階をクリアさせるための教育的支援が必要であるといえる。
 日本語教育の視点から国語科教育を考察し、国語を受けやすくする必要がある。在籍学級での実際の国語授業では、教師が授業中使う日本語(授業用語)は、3年生の場合、教科書教材よりはるかに複雑な表現となっている。それが外国人児童が在籍学級での国語授業についていけない要因の一つとなっている。したがって、授業中に使用される文や用語、語彙についても配慮が必要である。勿論、在籍学級の国語授業を受けるわけであるから、国語科教育としての授業展開を視野に入れての日本語教育を考える必要がある。
 このような視点から日本語教育と国語教育との連関性を考察したのが、表1である。この表は、横軸に国語教育としての主な指導項目、縦軸に日本語教育としての主な指導項目を掲げたものである。縦軸の日本語教育の立場から国語授業を受けるために必要と思われる項目に○印をつけた。横軸「教科書教材」欄には、「要点の理解」という項目欄がある。これは、本教材である説明文「ヤドカリの引っこし」「ありの行列」における学習目標「文章の要点を正しく理解しながら、叙述に即して内容を正しく読み取ることができる」における、「要点の理解」に視点をおいて具体的指導項目を日本語教育の視点も含めて書き出したものである。したがって、同じ教材でも教材の扱い方やどこに指導の重点を置くか、あるいは異なった教材である場合などによって、この欄の項目は変更される。また、それらの変更に伴って「学習資料」欄も変更されるであろうし、授業用語の欄の内容も流動的になる。しかし、おおまかに上記のような指導上の接点が日本語教育と国語教育との間には認められるのではなかろうか。「授業用語の理解」の欄での「展開」は授業展開用語(後述参照)を意味し、「一般」はそれ以外の授業用語をすべて含んでいる。「発展学習」欄は、それぞれの学習計画によって扱いが異なるので、この表では記入をさしひかえた。「学習資料」は、授業計画によって扱う資料数などが異なるので、この表では一例を示すにとどめた。「文化的要素の理解」欄については、この2教材に関しては、該当するものがなかった。説明文でも取り上げられる題材によっては、必要になるでだろう。物語文などでは、重要な指導項目となろう。

説明文「ヤドカリの引っこし」「ありの行列」における
日本語教育と国語教育との連関性(表1)
国語科視点

日本語
教育視点
    教  科  書  教  材 学習資料  授業
 用語
 の理解








要点の理解 発展
学習


資資資資
料料料料
1 2 3 4













音声指導
○  ○        
○○○○

語彙
使用
    ○         ○  ○


理解

○○○○
  ○
漢字
書ける
       △


読める
       ○
○○○○

文法
文型等
単文
          ○         ○
○○○○
展開

複文
                  ○ ○
○○○○
一般

文末表現
                     ○
○○○○
  ○
文化的要素の理解




 *表中の○印は、十分指導をする必要のある項目,△印は、時間の許すかぎり指導しておく項目

2.授業用語の理解

 教師は授業中に、様々な機能をもつ授業用語を使用する。それによって、児童は学習ストラテジ−を活性化させ、学習目標を意識化していく。したがって、教師のどの授業用語も充全に理解していなくてはならないのは言うまでもない。しかし、これらの授業用語は、外国人児童にとって聞き取りも、指示内容の理解も非常に難しい。それにもかかわらず在籍学級での授業にできるかぎり参加させるためには、授業展開に必要な用語はできるだけ理解できるようにしておく必要がある。在籍学級での授業中、今何について勉強しているかの学習展開の様子が全く理解できなければ、これほどの苦痛はないであろう。従って、在籍学級担任との連絡を密にしてその教材の扱い方、授業計画などについて、できるだけくわしい情報を得ておく必要がある。教材の種類やその扱い方によってかなり授業展開用語は異なると思われる。児童が初めて国語授業を受けるときが最も大変であろうが、何回か国語授業を受けるうちに少しずつ用語の理解が進み、その準備も容易になっていくであろう。
 本試案作成にあたって、「ヤドカリの引っこし」「ありの行列」の全授業記録(16時間分)をもとに授業用語がどのように使用されているかについて検討した。検討に使った資料は『実践国語研究別冊』(NO.131,明治図書,1993)の全授業記録である。
 上記の授業記録中の全授業用語を調査した。児童にとって、まず予習しておきたいのは、どんな授業用語かという観点から検討した。その結果以下の6機能に分類できた。

@ 授業展開用語(上位) A 授業展開用語(下位)
B 学習作業の指示・確認 C 新しい指導事項(学習内容)の提示
D 学習内容の確認・まとめ E 児童の学習活動に対する激励・評価

@の「授業展開用語(上位)」は、授業の流れの中で、新しい学習活動に展開することを知らせる機能をもつもの、例えば「それでは、さっきは、『たんぽぽのちえ』の復習をしましたが、たんぽぽって植物でしたね。・・・三年生では動物で勉強をやってみましょう。」などがそれである。Aの「授業展開用語(下位)」というのは、@の機能の下に分類される授業展開用語で、「ここで、先生が珍しい動物をみせてあげよう。」「この動物について、もし、みんなが説明する場合、知っておきたいことって、どんなことがらについてですか。」などである。つまり、授業展開用語には、ある種の階層性が認められるということである。Aの機能は、@の「新しい学習活動展開を知らせ」たあとで、その具体的活動を指示する機能をもつものである。AとBは、機能的には同じ分類に属するが、Bは何か具体的作業を課す学習活動指示用語である。例えば「では、箇条書きで書いてください。・・・書き方は、わかりましたか。」などがこれである。Cは、「『はじめ』のことを冒頭といいます。『なか』は展開で、『おわりは』終結です。」がこれにあたる。Dは、「そうですね。展開部で大きく違っていたのは、観察だけで出来ている「ヤドカリ」と、実験−観察が繰り返されて、その上、研究のまとめがあるという仕組みですね。」のように、児童のさまざまな答えを教師がまとめ、確認する機能をもつものである。Eは、「みんなのを読ませてもらいました。なかなかうまく書けていましたよ。」のような、児童の学習活動を評価したり、励ましたりする機能をもつものである。
 外国人児童にとって、まず必要とされる機能は、@の「授業展開用語(上位)」であろう。これが理解できなければ、いま、何を勉強しているのかさえ理解できず、その時間は苦痛以外のなにものでもないであろう。在籍学級の担任との連携を密にして、その教材の授業計画について情報を得ることで、@を理解用語として準備させておくことが大切である。Aの「授業展開用語(下位)」までの理解は、初めは難しいが、可能なかぎり一つでも多く用語の予習ができれば、授業に入りやすくなる。Bは、友達に教えてもらいながらできる作業もあり、また、ある程度の予備実習をさせておくことも可能であり、少しでも予習できれば一層理解はすすむであろう。CはDの機能に含めてもよいが、外国人児童にとっては、新しい語彙や内容などが多く含まれていて、難しいのではないかと考え分けて分類した。CDの機能については、初めは無理であろう。Eは、準備はしなくても、わかる範囲内での理解でいいであろう。

3.学習資料の扱い方

 学習資料は、教科書教材をより効果的に学習させるために授業計画に組み込まれる。上記授業記録では、「たんぽぽのちえ」(2年生での既習教材)、「ヤドカリの争い」、「幼虫が消えた!」、論点一覧表、説明文に使われる「言葉の表」など11種類のワ−クシ−トが配られる。これらの学習資料のすべてを予習していくことはできない。また、その必要もない。ぜひ準備しておきたい学習資料は、文章で書かれていて、授業中にちょっと見ただけでは外国人児童には理解できない資料であろう。そのような文章資料は、日本人児童には、たやすく理解できるものであるが、外国人児童には、短時間でしかも自力では読み取れない。従って準備が必要である。これらの学習資料は、在籍学級の担任から事前にもらって、指導しておくことが可能である。もちろん国語授業での扱い方と同じでもよいが、できれば少し角度を変えた扱い方をするのがよい。学習資料を使って作業をさせることが多いので、同じ扱い方であれば、国語授業での新鮮味に欠ける恐れもでてくる。資料内容の事前学習を通して、「授業展開用語」(巻末資料6参照)の導入を図るのも一つの方法であろう。

W.試作の実際

 「取り出し授業」の試案を提示しながら、その流れの中で使う補助教材を試作する。従って、この補助教材は授業者がいて使用される試案で、自習用としての教材ではない。在籍学級での「ヤドカリの引っこし」「ありの行列」の授業に参加することを目的とした補助教材である。在籍学級での授業計画及び実際の授業記録をもとに、どのような準備をすればよいかという視点から試案を提示する。本来なら在籍学級の授業計画は手に入るが、授業記録は、入手不可能である。録音などによっても授業実施後にしか当然入手できない。しかし、「取り出し授業」などの授業計画立案には、授業記録は非常に大切な基礎資料となるので、多くの授業記録を日本語教育の視点から、今後研究する必要がある。ここでは、仮に以下の授業記録のような授業が在籍学級で行われるとして、それを睨んで準備するには何が必要かということを考察した。
試案提示にあたっては、どのレベルの学習者に対するものか、学習配当時間は何時間かなどが問題となるべきであるが、児童の日本語習得にも個人差があり、また学習環境や在籍学級での外国人児童に対する環境等も大きく異なるであろうから、どのレベルからということや何時間で学習するということは決めなかった。しかし、一応の目安として文部省の『にほんごを まなぼう』の学習を終え、日本語学級で教科の学習に入ったレベル以上の児童を想定した。学習配当時間については、在籍学級の国語授業に参加するためであるから、在籍学級の担任との密なる連携によって自ずと決まってくるであろう。

1.在籍学級の国語授業計画との連関

 児童の在籍学級の担任と相談の上、どの教科書教材の授業を在籍学級で受けるかを決める。在籍学級での実施時期も決まると、その時期に間に合うようにその教材の「取り出し授業」に入る。また、日本語学級の教師は、担任よりその教材の授業計画や学習資料などの情報を得る。本稿では、仮に以下のような指導計画によって在籍学級の授業が行われる場合を想定して試案を提示する。
 在籍学級での国語授業の例として、『実践国語研究別冊』(NO.131,明治図書,1993,「ヤドカリの引っこし」「ありの行列」「『わたし』とはだれか」の教材研究と全授業記録による)の授業記録、
「ヤドカリの引っこし」「ありの行列」(指導計画・全16時間)によった。国語教科書は光村図書の小学校3年国語上(文部省検定済み・1991)で、教材は説明文「ヤドカリの引っこし」「ありの行列」とする。以下にこの授業計画(上記授業記録による)の指導目標についての概略を転載する。
 この授業計画は全16時間の配当である。第1〜3次の目標は以下の通りである。
 (第1次−3時間配当)
   ・観察報告文の表現法と動物を説明するときの論点について考えることができる。
   ・観察報告中心の科学読み物を記述するための学習課題を、自分のものとして受けとめること
    ができる。
(第2次−6時間配当)
   ・教材を読んで感想を持ち、それを交流して、説明文を読む楽しさを知ることができる。
   ・観察報告文の論点の取り上げ方、その構成や表現法について把握することができる。
(第3次−7時間配当)
   ・第2次の学習を振り返り、自分なりの論点で科学読み物を記述することができる。
   ・科学読み物を相互評価して、全体の学習を振り返り、まとめることができる。
 
 以上のような目標を設定し実施されている。この全授業記録をもとに実際の国語授業では、これらの目標を達成するために、どのように授業が展開され、どのような語彙・授業用語・文型・学習資料が使用されているかを考察することができる。このような授業が展開される場合、どんな予習・準備が必要かを考えることもできる。もちろん、実際の「取り出し授業」に際しては、あらかじめ全授業記録を知ることはできない。しかし、在籍学級担任との連携によりその教材の授業計画や扱い方、学習資料などの情報は得られるので、それらをもとにして「取り出し授業」を構想することが大切である。

2.「取り出し授業」の授業計画について

2-1.授業計画の留意点

 日本語教育と国語教育との連関性をもたせ、「取り出し授業」が、効果的に在籍学級での国語授業に結びつくようにするためにはどうしたらよいか。「取り出し授業」での授業計画をどのようにすればよいであろうか。そのための留意点を次に提示する。
  @児童の知的発達段階に合わせること。
   実際にはなるべく児童の当該学年の教科書を使って指導するよう工夫する。
  A在籍学級でのどの教材の授業に参加するかを在籍学級担任と相談して決める。
   教科への移行期の指導に入ったら、在籍学級での国語の授業に一日でも早く参加できるように
   配慮する。年齢相当の教育的空白を作らないように、知的発達を支援できるように配慮しなけ
   ればならない。しかし毎時間、在籍学級での国語の授業に出席することはできないので、在籍
   学級での教材の進度を睨みながら、教科書教材を精選する。その授業に間に合うように「取り
   出し授業」などで準備をする。
   在籍学級での授業の楽しさを経験させ、少しずつ参加教材数を増やしていくようにする。
  B在籍学級担任より、その教材についての指導計画とか学習資料の扱い方などの情報を得る。在
   籍学級担任との密接な協力関係が必要である。
  C在籍学級での授業展開にあわせた教材分析をし、予習教材を作成する。その場合、日本語教育
   の視点から以下のような指導に留意する。
    ・音声指導における教材本文の読み練習及び語彙の音声指導
    ・教科書教材の本文における文型・語彙の分析と指導
    ・教科書教材における使用文型・使用語彙及び理解文型・理解語彙の指導
    ・漢字学習における書ける漢字と読める漢字の指導
    ・授業中に使用が予想される授業用語・授業語彙の指導
    ・学習資料の予習教材としての扱い方
    ・文化的要素の理解
  D国語以外の他教科との関連性を重視して、授業計画を立てる。
   例えば『日本語を学ぼう』(文部省)やその他の教材・自主教材などを使用して、国語以外の
   教科を学習しているはずであるから、教科相互の日本語学習が機能的に働くような授業計画が
   できれば、重複などの時間的ロスがなく、学習効果が期待できる。

2-2.授業の流れ

 先に述べたように、授業計画は児童の日本語力の個人差・受け入れ体制(環境)・指導体制などにより異なるので、何時間でここまで指導という計画案は示さないで、授業の流れのみ提案する。在籍学級の担任との連携によって、どの時点で、どの教材を在籍学級で学習するかということを判断材料として、「取り出し授業」でどこをどう指導するかも決まるであろう。従って様々な状況に応じて柔軟に扱うことが大切になってくる。

2-2-1.語彙の導入

 毎時間の授業の初めに、遊びの要素を入れながら、何気なく授業で必要になる語彙などが導入され、知らず知らずのうちに語彙や文型が身につくのがよい。精神的にリラックスさせたり、楽しい授業の雰囲気作りができるよう工夫する。[以下の【】内は、指導事項や留意事項などを記入している。また、(カ−ド)と添書きしたものは、語彙カ−ドや絵カ−ドを作成し、使用することを表す。また、下線を施した部分は授業記録中で使用される「授業用語」「授業語彙」であることを示す。*印を付したものは、教師の発話を示す。]
 
<導入例1>
 @2教材(「ヤドカリの引っこし」「ありの行列」)では、「はじめ(に)」「次に」「そして」という「つなぎ言葉」(接続語)を使って、観察した内容が順序よく整理して書かれている。さ  らに、「このように」という接続語で「まとめ」が記述  されている。これらの「つなぎの言葉」に注目することによって、授業目標である「要点の理解」の手がかりが得られる。教材文中での重要語彙であるので、使用語彙として使えるようにしておきたい。
 A遊びとしてリラックスさせるために、「一筆書き」ならぬ、「四筆書き」や「五筆書き」くらいの楽しい「絵書き遊び」を書き方を唱えながらする。まず、教師がやって見せる。その際、「まず(はじめに)→つぎに→そして→このよう  に」という語彙を導入する。児童にも、いろいろな  絵の書き方を考えさせ、新しい「絵書き遊び」を作らせる等  して、楽しみながらこれらの語彙を定着させる。【語彙の導入】
 B宿題にして、楽しい絵かき遊びを作らせ、発表させるとさらに定着する。【語彙の定着】
 C自分の作った絵書き遊びに色を塗らせ、みんなに見せて、「この絵は、どうやって書いたのでしょう。」という書き方クイズをしても楽しい。答える人は、「まず、はじめに〜つぎに〜」のように答える。【語彙の定着】
 
<導入2>
 上記の授業記録では、第一次の授業において、「なかま」「動物」「植物」「生き物」という語彙が重要語として使われる。これらの語彙の理解は欠かせない。そこで、何回か繰り返して理解語彙から使用語彙にまで定着させたい。
 @ゲ−ム感覚で「なかま」「動物」「植物」という語彙を導入する。
 A児童のよく知っている身近な動物(「いぬ」「ねこ」「金魚」など)と植物を書いた絵カ−ドを6枚ずつ作り、それぞれにその名前も書いておく。絵カ−ドの裏には磁石テ−プをはっておく。(「たんぽぽ・ヤドカリ・あり」は必ず入れておく・また、動物は水陸3枚ずつ用意しておく。)
 B黒板に2つの丸枠を書いて、その中に動物のなかまと植物のなかまに分けて、絵を3枚ずつ貼る。
 C児童にこの2つの丸枠の違いを考えさせる。
  *この丸の中の「ねこ」や「いぬ」は同じ「なかま」です。こっちの丸の中の「たんぽぽ」や「木」は同じ「なかま」です。(「なかま」と書いたカ−ドを貼る)
   (「いぬ」と「たんぽぽ」を取り出して)この「いぬ」と「たんぽぽ」は、同じ「なかま」ではありません。どうしてでしょう。【「なかま」という語彙の導入】
 D「なかま」の語彙導入ができたら、それぞれが「動物」と「植物」の「なかま」であることを知らせ、「動物」「植物」の語彙を導入する。【語彙の導入】
  *こっちの「なかま」を「動物」といいます。こっちを「植物」といいます。(「動物」「植物」のルビ付き語彙カ−ドを提示)
  *(絵を指して)「犬」も動物です。「ねこ」も動物です。みんな「動物のなかま」です。(植物についても同様にする)【導入語彙の定着を図る】
 Eまだ丸枠に入れていない残りの絵カ−ドを使って、「なかま」に分けさせ、「動物」「植物」の語彙が理解できているか調べ、同時にその定着をはかる。【導入語彙の定着を図る】
 F今度は更に、「なかま」の語彙の理解が十分であるか調べ、同時にその定着を図る。
  *この「動物のなかま」をまた、ちがう「なかま」に分けることができますか。
  *(答えがでない場合、「金魚」と「いぬ」を示して)この2つは、ちがう「なかま」に分けることができます。どうしてでしょう。)【導入語彙の定着を図る】
 G最後に、「動物のなかま」全体を丸で囲んで、「生き物」(カ−ド)ということを知らせる。【語彙の導入】
 Hいろいろな絵カ−ドを見せて、どちらの「なかま」か言わせて、以上の語彙の定着を図る。
 「ゆきだるま」のようにどちらの「なかま」にも入らないカ−ドも入れておくとおもしろい。
   【語彙の定着を図る】

2-2-2.学習資料「たんぽぽのちえ」の扱い

 上記授業記録では、2年生で学習した説明文「たんぽぽのちえ」を学習資料として導入に使い、植物についての観察報告の書き方を再確認する。「たんぽぽのちえ」の挿絵につながりのある本文を切り取り、そこに貼る作業をしながら、書き方の復習をする。とても楽しい作業である。児童がこの授業に入る前に、「たんぽぽのちえ」のあらましの内容を理解していないと、この大切な導入の段階で挫折してしまう。文章資料は、予習をしておかないと理解が困難である。「たんぽぽのちえ」のくわしい読みは必要ではない。この教材のあらましを理解させておかなければならない。
 2年生では、複文の出現率は非常に低い。しかし、「たんぽぽのちえ」は2年の教材であるが、3年生の教材に匹敵するほど多くの複文が使用されている。日本の児童にとっては、すでに話し言葉として習得している複文形式であるので教材としての文型上の問題はない。しかし、外国人児童にとっては、未習の場合、理解できない文も多い。そこで、児童の理解可能な文にリライトして教材のあらましを知らせる。また、語彙については、可能なかぎり動作化によって習得させる。
 さらに、授業記録で使われている「授業用語」のうち、「授業展開用語(上位)」(巻末資料6参照)をこの教材の指導に折り込んで、この用語に慣れさせておく必要がある。
 また、「たんぽぽのちえ」によって、「説明文」とはどんなものかを知らせる。まだ、「説明文」という語彙も未習であるので、この教材を扱うことを通して「説明文」とはどういうものかを知らせる。
 
<学習資料「たんぽぽのちえ」の学習の流れ>
 @*今日から、「たんぽぽのちえ」(カ−ド)という「説明文」(カ−ド)を勉強しましょう。 「たんぽぽ」は、何の「なかま」でしたか。【語彙「なかま」「植物」の復習】
 A*「ちえ」「説明文」というのは、何のことかまだわからないですね。でも、すぐわかります。
  これから「たんぽぽ」のお話を勉強しながら考えましょう。【題名と「説明文」について注意を向けさせる】
 B「たんぽぽ」について知っていることを話させる。教師の質問によって答えさせてもよい。
   ・答えを板書して整理しながら聞く。【たんぽぽについて説明する場合の論点を引き出す】
   ・説明文の論点となる「花・たね・季節」など児童の答えから整理し、板書したものをもとに、
   *「たんぽぽは、どんな花か、おうちの人に教えてあげましょうね。どんなに説明してあげたらいいですか。先生が助けますから短作文を書いてみましょう。」【論点をもとに、たんぽぽについて人に教えてあげる短作文を書く・「短作文」とはどういうものかを実習させる。】
 C*みんなは「たんぽぽ」について、「はな・たね・季節」(カ−ド)について書きましたね。これを「説明するための『ことがら』」(カ−ド)といいます。Aさんは、どの「説明するための 『ことがら』」を使って、書きましたか。(Bさんは?)
   【授業記録中のキ−ワ−ドである「説明するための『ことがら』」の導入と理解】
 D*「たんぽぽ」のことは、もうじょうずに教えてあげられますね。では、植物のなかまの「ひまわり」のことも、教えてあげましょう。「ひまわり」について「説明するためのことがら」は、どんなものがありますか。「説明するためのことがら」を使って、「ひまわり」について、書いてください。【Cのキ−ワ−ドの定着をはかり、説明文の短作文を自分で書いてみる。】
  *書けましたか。では、Aさんは、どんなことに気を付けて書きましたか。(Bさんは?)みんな、たくさん気を付け   て書きましたね。書くとき、いいお話にするために気を付けることを「工夫する」といいます。みんなは、「ひまわ   り」について書くとき、たくさん工夫してかきました。これを「書き方の工夫をする」(カ−ド)といいます。【授業展   開用語の導入】
 E*これから「たんぽぽのちえ」のお話を配ります。このお話は植村利夫という人が書きました。植村さんは、「たんぽぽ」について、とてもくわしく書いています。どんな「説明するためのことがら」を使っていますか。あとで考    えてみましょうね。【再度、Cのキ−ワ−ドの確認】
 F*では、一緒に読んでいきましょう。【音声指導,児童には、リライトしたワ−クシ−ト(巻末資料1参照)を渡す。   このリライトは、語彙の理解を助ける目的もあり、動作化できるものは、できるだけ「うごき」の欄に書いた。説明   の欄に書いた方がいい部分もあったが、動作化可能かどうかを優先させた。】
 Gこのリライトをまず教師が動作化してみせ、次に児童にさせる。それができたら、児童が読み手になり、他の児   童または教師が動作化し、語彙の定着をはかる。【語彙・内容の理解】
 Hリライトでは、動作化をする場合は「た」形で、理由など説明の部分は「です・ます」形で表現しているので、その  ことに注意を向けさせる。これは、「ヤドカリの引っこし」で役に立つ文末表現であるので、意識化させておく。
  【文末表現の違いを意識する・筆者を意識する】
 Iこのリライトが理解可能になったら、リライトしていない原文のままの教科書本文を読ませる。複文などをあまり気  にせず、だいたいの内容理解ができるように、何度か読ませ、どの部分がどの挿絵にあたるか、それはなぜかを  話させる。【だいたいの内容理解】
 Jまた、教科書本文はすべて「ます」形になっているが、それはなぜかということをHとの関連で理解させる。「た   んぽぽ」について筆者が説明している表現であることに気付かせる。
 K題名の「たんぽぽのちえ」と「このように、たんぽぽは、いろいろなちえをはたらかせています」とのつながりにつ  いて理解させる。
   *このお話でどんな「説明するためのことがら」が書いてありましたか
      【「説明することがら」(論点)を見つけることができる】
   *「説明することがら」について、例えば「〜したいけど、どうしたらいいかな」と考えて、「〜しました。」というよう    に答えられますか。
   ・たんぽぽ」を擬人化して、*「たんぽぽさんは、たねに たくさんえいようをおくって太らせたいけど、どうした    らいいかな。」と考えて、「花のじくは、地面にたおれていました」のように答えさせ、「ちえをはたらかす」(カ−    ド)の意味を理解させる。
   *このように、「〜したいけど、どうしたらいいかな」と考えることを「ちえをはたらかす」(カ−ド)といいます。
      【「ちえをはたらかし」ている表現部分を引き出して、板書して整理し、「ちえをはたらかす」の意味の理解をはかる】  
   *「たんぽぽのちえ」というお話では、たんぽぽは、たくさんのちえを はたらかせていました。これを書いた植村さんは、たんぽぽがどんなちえを はたらかせているか教えてくれました。植村さんは、たくさん「説明するためのことがら」を使って、たんぽぽについて「説明して」、教えてくれました。このように「説明するためのことがら」を使って、「説明して」、教えてくれる文章を「説明文」(カ−ド)といいます。
    「たんぽぽのちえ」のお話は、「説明文」です。【「説明文」の導入】
   *「たんぽぽのちえ」の説明文で、書き方の工夫をしていて、おもしろいなあと思ったところがありますか。
    【授業展開用語の定着を図る】

2-2-3.「ヤドカリの引っこし」の学習の流れ

 「ヤドカリの引っこし」は、3年生最初の説明文である。この単元は、「ヤドカリの引っこし」「ありの行列」の2教材をセットとして、「ヤドカリの引っこし」を観察報告文のサンプル教材と位置付け、「ありの行列」を本教材として扱う単元構成になっている。上記授業記録では、この2教材の重ね読みを構想することで、学習課題を豊かに展開している。「取り出し授業」では、まずは、日本語教育の視点から教材の語彙・文型指導や内容把握を行う。さらに「ヤドカリの引っこし」をサンプル教材として、説明文(観察報告文)の構成や書き方についての活動を在籍学級での授業(上記授業記録)に参加する目的をもって構想する。
 
<「ヤドカリの引っこし」の学習の流れ>
 @*この動物は、何でしょうか。
  「ヤドカリ」の絵(カ−ド)を見せる。
  ・絵の代わりにビデオなどで見せるのもよい。
  ・カタカナで「ヤドカリ」と書いてみさせる。
      【語彙「ヤドカリ」の導入】
 A*「ヤドカリ」を見たことがありますか。どこで見ましたか。その時、どんなこと(行動)をしていましたか。
  【口頭表現練習・教材への導入】
  ・知っていることを話させる。
   児童から「ヤドカリ」について知っていることを引き出しながら、それに関連した絵(本文にそった絵カ−ドを作   成しておく)を見せていくのもよい。
  ・知らない場合は、絵カ−ドを見せて(本文に合せた絵を5枚作成しておく。ただし、本文の記述順序ではなくア   トランダムに提示)、ヤドカリが何をしているところか予想させる。
 

絵@

まき貝の中の
ヤドカリ


絵A
ヤドカリが少し
大きめのヤドカリ
に出会う


絵B
相手のヤドカリ
の入り口に、は
さみを入れる


絵C
ヤドカリが相手
の貝がらに
入る


絵D
相手のヤドカリ
が空の貝に
入る



 
 B*みんなは、「ヤドカリ」について、いろいろなことを知っていましたね。これから、教科書の生き物を取り上げた  説明文の勉強をしましょう。みんなの教科書には、「ヤドカリの引っこし」という説明文があります。この説明文は、  今福道夫という人が書きました。書いた人のことを「筆者」(ルビ付きカ−ド)と言います。今福さんは、「ヤドカリの  引っこし」の筆者です。(「たんぽぽのちえ」の筆者はだれでしたか。)筆者の今福さんは、「ヤドカリ」について、   どんなことを書いているでしょうか。みんなが知っていることが書いてあるかどうか読んでみましょうね。先生は、   みんなが読みやすいようにワ−クシ−トを作りました。はじめに、ワ−クシ−トで勉強しましょう。これから「ヤドカリ  」になって、先生と一緒にワ−クシ−トのように動いてみましょう。【語彙指導と本文の内容理解を助ける】
  ・本文のリライト教材(資料2参照)を配る。リライト教材は、「ヤドカリ」の動作化できる表現部分と筆者の説明部    分とに分けて表形式で作成する。「た」形と「ます」形による表現意図の違いを気付かせるためにもよい。動作     化 させることによって、語彙指導と内容理解を助ける。
   (準備する用具)ヤドカリの冠(2つ)・まき貝の絵を貼ったダンボ−ル箱(大小2個)
         ヤドカリのはさみ(2匹分)
  ・動作化による語彙指導によって教科書の語彙を導入する。新しい語彙で動作化可能なものは、まず、教師が    して見せて、次に児童がして、自然に理解できるようにする。【語彙指導】
  *今度は、先生が筆者の今福さんになります。今福さんは、「ヤドカリはどんなことをしているかな」と思って、ヤ    ドカリをじっと見て観察していますね。では、これから今福さんがヤドカリのしていることをじっと見て話しますか   ら、みんなはヤドカリになって動いてください。【筆者が観察したことを報告する書き方であることを理解させる。   「た」形により表現する】
  ・児童にも筆者役をさせ、それに合わせて他の児童や教師が動作化する。その場合、動作化可能な語彙は語    彙カ−ドを作成しておき、黒板に説明の順番に貼るなどして、視覚にも訴えながら定着させる。【語彙・内容・    観察報告文の理解を図る】
 C*筆者の今福さんは、よく観察していますね。今福さんは、ヤドカリの動きだけじゃなくて、まだほかに何か書い   ています。では、これからワ−クシ−トを読んで、何を書いているか調べてみましょう。【ワ−クシ−トの音読指    導・語彙指導をする。】
 
 <指導語彙(語彙カ−ド作成)>
   絵カ−ドによる導入語彙(ヤドカリ・まき貝・から→貝がら)
   動作化による導入語彙(住んでいます→住みかえる→取りかえます・成長するにつれて                 ・入れちがいに→入れかわるようにして・空になった貝がら)
   これらの語彙は、絵を見せて導入するものと動作化して理解させるものとに分けて指導する。
 
 <音読指導>
  ・先生の読みを聞かせる。
  ・読めない漢字に自分でふりがなを付けさせる。
  ・先生の後について音読させる。
  ・リライト教材の左欄の動作化部分と右欄の筆者の説明部分の読みを役割分担して読む練習をする。
  *左の欄には、ヤドカリがどんなことをしているか書いてあります。目の前で見ているような書き方をしています。   筆者の今福さんは、ヤドカリをじっと気を付けて見ました。じっと気を付けて見ることを「観察」(ルビ付きカ−ド)   といいます。右の欄には、筆者が観察して思ったことを書いています。
   【「た」形と「ます」形の表現意図の違いを意識させるよう、指導する】
 D*筆者はヤドカリの動きをくわしく書いていますね。そのほかに筆者は、どんなことを書いていますか。みつけて    ください。【観察報告文の構成要素に気付く】
   *じっとヤドカリを見た観察の書き方には、ヤドカリの動きと、筆者が観察して思ったことが書いてありますね。ま    だ、ほかに何か書いてありますか。では、どうして、筆者はヤドカリをじっと見て観察したんですか。【観察報告   文の構成要素について意識させる】
  *そうですね。それは、どこに書いてありますか。【問題提示文の確認】
  *筆者は、「いったいどうやって住みかえるのでしょう。」と思ったから、観察したんですね。では、観察して、どうやったかわかりましたか。それは、どこに書いてありますか。【結論部分の把握】
  *どうして、そこ(その文)だと分りましたか。どんな「ことば」があるから、「まとめ」だと分りましたか。【「このように」という説明文を書くときの「みちすじ」の言葉に気付かせる】
 E*そうですね。観察して、それを教えてあげる説明文のことが、よくわかりましたね。このように、観察して、教えてあげることを、「観察報告」(ルビ付きカ−ド)といいます。「ヤドカリの引っこし」は、観察報告の説明文です。では、先生は、ちょっと、ここで、観察報告する説明文について今までのまとめをしておきましょう。【問題提起・   観察・結論の構成や「みちすじ」の言葉などについてまとめる】
 F*では、これから教科書の「ヤドカリの引っこし」を読んでみましょう。分からないところがあったら、質問してください。【この時点で、リライトをしていない原文を読むことで、未習の文型理解を容易にする。ここで日本語教育の文型指導に入る。今まで学習した内容理解に助けられて、前件と後件のつながりなどの理解が容易である。また、他の教科指導における日本語と関連させながら個々の文型指導の要不要を取捨選択する。例えば『日本語を学ぼう』(文部省)などの教材を他教科で使用している場合、国語でもそれを使用して効果的に文型指導する方が効率的である。【音声指導・文型指導・原文による内容把握】
 
   <取り上げる文型>
    (既習文型とあるのは、『にほんごを まなぼう』での既習文型の意,また、『学ぼう2』とあるのは『日本語を学ぼう2』を表す)
   1)「〜から」「〜につれて」
    貝がらは大きくなりませんから、ヤドカリは、成長するにつれて、何度か貝がらを取りかえます。【「〜からV」は既習文型,「Vにつれて」の指導法は『学ぼう2』18課参照】
   2)「て形」
    次に、相手の貝がらの入り口にはさみを入れて、自分の貝がらに何度もぶつけました。
    【「Vてから」は既習文型なので、関連させながら指導】
   3)「〜たり〜たりする」
    はじめ、このヤドカリは、相手のヤドカリの貝がらを回したり、入り口にはさみをつっこんだりしました。【「たり, 〜たり」は既習文型】
   4)「〜と」「〜ば」「〜ようにして」
    そして、相手が貝がらから出る、すばやく、そのからの中に入っていきました。
    ヤドカリは、このように、相手の貝がらが気に入れば、中のヤドカリと入れかわるようにして住みかえるのです。【「〜と」は『学ぼう2』4課,「〜ば」は、14課,「〜ようにする」は、16課の指導法参照)
   5)〜ことが多いのです
    そのとき、ほかのヤドカリの貝がらに住みかえることが多いのです。【「Vこと」は既習文型】
   6)どうやって〜のでしょう
    いったいどうやって住みかえるのでしょう。【『学ぼう2』26課参照】
 
 G教科書にそった絵カ−ド5枚(前掲)を黒板にランダムに貼り、本文を教師が読む。それに合わせて本文の記述の順に絵カ−ドを並べ替えるように指示する。(ゲ−ム感覚で取り組ませる)
   【細かい語彙や表現にとらわれないで、だいたいの内容をとらえる】
   【絵カ−ドを並べ替えてから、なぜその順番にしたかを答えさせる。その場合、「みちすじ」の言葉や問題提示文や結論部分の表現についての説明ができるようにする。観察報告文の構成についての確認】
 H*「たんぽぽのちえ」と「ヤドカリの引っこし」の説明文の勉強をしましたが、おもしろかったですか。 筆者の今福さんは、この説明文に「ヤドカリの引っこし」という名前をつけています。植村さんは、「たんぽぽ」の説明文に「たんぽぽのちえ」という名前を付けています。このように、説明文には、みんな名前がついています。この名前のことを、「題名」(ルビ付きカ−ド)とか「題」(ルビ付きカ−ド)といいます。植村さんは、「たんぽぽのちえ」という題名を書いて、「たんぽぽは、いろいろなちえをはたらかせていますよ」と教えてくれていました。では、今福さんは、「ヤドカリの引っこし」という題で、どんなことを教えてくれていますか。【題名と内容との関連性の把握】
 
 I漢字学習
  ・書ける漢字と読める漢字を分けて指導する。
  ・毎時間少しずつ書く練習と読む練習(語意も指導)をする。
  ・書ける漢字(新出漢字)
    *説明文  *住む  *相手  *次に  *表面    
  ・漢字書き方用のワ−クシ−トなどを作って指導する。
  ・練習した漢字語彙を使って単文や短作文を作り、語彙の定着を図る。その場合、必ず「わたしは(ぼくは)」と いう主語をつけて、単文や短作文を作るよう指導する。自分のことと結びついた表現を考えさせることが、語彙理解と語彙の定着に効果的である。例えば、「わたしは、きょう あさがおのたねを まきました。はじめに、つちに小さなあなをあけました。次に(わたしは)たねを あなにいれて、つちをかけました。このようにして、たねをまきました」
  
<学習資料「ヤドカリの争い」の扱い>
 授業記録では、「ヤドカリの引っこし」の学習を通して、観察報告の書き方を学ぶ。さらに同じ筆者の「ヤドカリの争い」を使って、同一筆者の同一表現対象について書かれた説明文と「ヤドカリの引っこし」を比較して、その書き方の違いを考える。同一筆者が同一対象について書いても、表現媒体(読み手)の違いによって、その表現が異なってくることを確認する授業展開となっている。文章資料なので、「取り出し授業」でも予習しておかないと児童は授業に参加できないであろう。
 授業記録では、「ヤドカリの引っこし」の展開部分についてのみ、「ヤドカリの争い」と比べ読みする授業である。その作業は班学習をするようになっている。班での話し合いからクラスの話し合いに移る。従って、児童は班での話し合いの内容がある程度理解できれば、班の児童に助けられて学習内容の理解は可能であろう。そこで、「ヤドカリの争い」の予習は、だいたいの内容理解をさせることがまず必要である。さらに、「ヤドカリの引っこし」の展開部分について復習をし、どちらがくわしく書かれているか、「みちすじ」の言葉はあるかなどを比べ読みする程度にとどめておいてよいだろう。
 「ヤドカリの争い」の内容理解には、大小2匹のヤドカリとそれぞれのまき貝のペプサ−トを用意し、それを使って、ヤドカリの行動を記述内容にそって楽しく表現する。まず、教師がして、次に児童にさせ、「ヤドカリの争い」のだいたいの内容把握ができればよしとする。あとは、班学習にまかせてよいであろう。(巻末資料3参照)

2-2-4.「ありの行列」の学習の流れ

 この説明文は、先の「ヤドカリの引っこし」と同様に冒頭部で問題提起をし、終結部でその結論を述べる構成になっている。上記授業記録では、ここまでに「たんぽぽのちえ」「ヤドカリの引っこし」「ヤドカリの争い」、他の児童の作文などを読んで、説明文の論点や書き方を学習するよう授業が展開されている。次は、観察報告文の論点、構成、表現法について「ヤドカリの引っこし」と「ありの行列」を重ね読みし、「言葉の表」によって説明文の語彙の拡大と観察報告を書く力を高める学習活動となっている。外国人児童にとって、まずは、「ありの行列」の内容理解をさせる必要がある。さらには、「ヤドカリの引っこし」と比べながら叙述の仕方について重ね読みをさせ、説明文の構成について確認させておく必要もある。
 
<「ありの行列」の学習の流れ>
 @「あり」については、すでに語彙の導入例のところで取り上げているので、復習の意味で絵カ−ドを見せて確認   する。また、その際「生き物」「動物」「なかま」などの語彙カ−ドも見せて復習をする。【語彙の復習】
 A*「あり」を見たことがありますか。どこでみましたか。ありは何をしていましたか。
  【「あり」について尋ね、「ありの行列」のような「あり」の行動を見た経験を児童の発言から拾い上げる。「あり」に   ついて興味を持たせ教材への導入とする】
  児童の発言を板書して、整理しながら聞く。【児童の発言から説明文の論点を整理する】
 B*今、「あり」を見たときの様子をいろいろ話してくれました。先生は、黒板にそれを書きました。これは、「あり」   を説明するための「ことがら」ですね。説明文には、「説明のためのことがら」がぜひ必要でしたね。この「説明の  ためのことがら」を「ろんてん」(カ−ド)といいます。では、「ヤドカリの引っこし」の論点はどんなものでしたか。【キ  −ワ−ド「論点」の導入】
  *説明文を書くときは、論点とまだ他に大切な言葉がありましたね。ちょっと、「ヤドカリの引っこし」のワ−クシ−   トを配りますから、空欄(必要なら語彙指導する)に言葉を入れてみて下さい。入れる言葉は「このように」「はじめ」「どうやって」「次に」「そして」の五つです。では、やってください。わからなくなったら、教科書をみてもいいですよ。【観察報告の説明文を書くための論点と書く順序の復習,ワ−クシ−トは、教科書本文に空欄をつくり作成する。】
 C*うまく入りましたか。では、発表してください。@の空欄には、何が入りますか。どんなことが書いてありましたか。覚えていますか。【次々空欄を埋めながら、書く順序(「みちすじ」になる言葉)について再確認する。また、「発表する・空欄・入れる・入る」などの授業語彙の導入をはかる】
 D*うまく、はいりましたね。では、「論点」と「みちすじ」になる言葉を使って、「あり」について先生と一緒に短作文を書いてみましょう。【観察報告文の論点と「みちすじ」になる言葉を理解語彙から使用語彙として使えるようにするために、短作文を書く練習をする。】
 E*これから、「ありの行列」という説明文を勉強しましょう。筆者は大滝哲也という人です。筆者は「あり」につい  書いています。「ヤドカリの引っこし」では、筆者の今福さんは、ヤドカリについて書いていました。筆者は説明文を書くとき、「あり」や「ヤドカリ」のことを書きました。これを、筆者は、「あり」や「ヤドカリ」を「たいしょう」(カ−ド)に取り上げて書いたといいます。「ヤドカリの引っこし」では、筆者は「ヤドカリ」を対象に取り上げて説明文をかきました。「ありの行列」では、筆者は「あり」を対象に取り上げて説明文を書いています。では、「たんぽぽのちえ」では、筆者は何を対象に取り上げて説明文を書いていましたか。【授業展開用語の理解】
 F*これから、「あり」を対象に取り上げた説明文を読んでいきましょう。先生が黒板に教科書の文章を貼ります。
  【1段落だけ貼る】ここには、いくつの文がありますか。そうですね。4つありますね。この4つの文は、いっしょの   四角の中に入れます。【四角で囲む・次に2段落用の四角を書いて】次の四角には、これを入れます。【2段落の文章を貼る・次に3段落用の四角を書く】次はどの文章が入るかな。だれか分かりますか。【児童の答えを待って、段落の目印を教える】
  ・【1段落の枠の上に「@」と書く】*この四角の中には、4つの文が一緒に入っていますね。これを「@のまとまり」 (カ−ド)と言います。次は「Aのまとまり」です。でもどうして、「@のまとまり」「Aのまとまり」とわかったんでしょう。【「まとまり」の語彙導入】
  *先生が教えてあげましょう。どの「まとまり」も、はじめの文が少し下から書いてありますね。ここを見てわかります。今「Bのまとまり」までしましたね。では、教科書の「まとまり」の文のところに3まで番号を付けてください。それができたら、「Cのまとまり」から順番に「まとまり」の番号を付けていって下さい。【段落のまとまりが分かる】
  *全部でいくつの「まとまり」がありましたか。そうですね。10のまとまりがありましたね。
   もう3年生だから、ちょっと難しい言葉も教えてあげようね。この「まとまり」のことを「だんらく」(カ−ド)と言ってもいいです。「@のまとまり」は「@の段落」と言ってもいいです。では、「Aのまとまり」は、何と言いますか。全部でいくつ段落がありましたか。
   【段落意識と「まとまり」「段落」という用語の導入,授業中に「まとまり・段落」の両用語を使うことがあるので、理解用語として学習させる】
 G*では、「ありの行列」を先生と一緒に読んでいきましょう。
  *まず、「@の段落」だけ読みましょう。【音声指導,語彙指導(行列・巣・えさ・それなのに)文型指導(〜から〜  まで・なぜ〜のでしょうか)】
  *筆者の大滝さんは、「あり」のどんなことを知りたいのでしょうか。それは、どの文ですか。
   【問題提示文の把握】
 H*「ヤドカリの引っこし」では、筆者の今福さんは、ヤドカリのどんなことを知りたかったか覚えていますか。
  【両教材の比較をしながら、2教材の重ね読みの仕方を導入する】
 I*「Aの段落」を読んでいきましょう。【音声指導,語彙指導(学者・じっけん・かんさつ・様子)】*だれが、実験  しましたか。
 J*「BとCの段落」を読んでいきましょう。先生もウイルソンと同じように実験してみたいです。ウイルソンのように実験してみたい人いますか。(「あり」<行列がつくれる程度の匹数>・巣・砂糖のつぶ・石のペプサ−トを用意して、BCの段落の叙述にしたがって、動きをつくる。)教師がまず、やって見せる。つぎに、児童にやらせたり、読み手にならせたりしながら、これらの段落の理解を図る。【実験内容把握・語彙指導(道すじ・行く手・さえぎる・みだれる・ちりぢりになる・目的地),音声指導】
 K*この実験と観察を説明するためにどんな「みちすじ」の言葉を使っていますか。「ヤドカリの引っこし」と比べてみましょう。【2教材の重ね読みの指導】
 L*「Dの段落」を読んでいきましょう。【音声指導,語彙指導】
  *ウイルソンは、この観察をして、どんなことを考えましたか。
 M*「Eの段落」を読んでいきましょう。ウイルソンは何を研究しましたか。どんなことがわかりましたか。【音声指導,語彙指導(体の仕組み・研究・蒸発しやすいえき),内容把握】
 N*「Fの段落」を読みましょう。【音声指導,語彙指導(わけ),内容把握】
  *「この研究から」というのは、どの研究のことですか。
  ウイルソンはどんなことがわかりましたか。
 O*「GHIの段落」を読みましょう。【音声指導,語彙語句指導(においをかぐ・においが強くなる・においをたどる・交わる・まよう),文型指導(〜というわけです・えさをみつけると)】
  *「あり」の行列は、どうしてできると書いてありますか。それは、何番の段落ですか。【内容把握】
 P*筆者の大滝さんは、「ありの行列」について、どんなことが知りたかったんですか。思い出して下さい。それは、どの段落に書いてありましたか。【問題提示の再確認】
  *「ヤドカリの引っこし」では、「みちすじ」になる言葉の最後に、まとめの言葉が書いてありましたね。そうですね、「このように」という言葉でしたね。「ありの行列」では、どうですか。
  まとめの言葉は、どこにありますか。【問題提示と結論の確認】
 Q*では、ワ−クシ−トを配りますから、空欄に言葉を書き入れてみましょう。(点線の部分は文を省略してある旨知らせる。)【授業記録のワ−クシ−ト(資料4参照)を使用する。このワ−クシ−トでは、「ヤドカリの引っこし」と「ありの行列」を比較しながら観察報告文の書き方を確認するように作成されている。この「ありの行列」の部分を教師と一緒にする。在籍学級では、「ヤドカリの引っこし」の部分を中心にやらせる。】
 *「ヤドカリの引っこし」と比べて、同じ書き方や違う書き方のところを見つけてみましょう。
 Rこのワ−クシ−トの説明をする。このワ−クシ−トを使いながら、「構成・ぼうとう・てんかい・しゅうけつ」などの語彙を導入する。
 Sさらに、空欄を埋めながら、問題の発見や実験と観察が繰り返されて、研究のまとめがあることなど、構成についてこの表を使って確認させる。【観察報告文の書き方の確認】
 
以上の学習を終えてから、漢字を書く練習をさせ、段落毎の視写をさせる。家庭学習として課してもよい。

2-2-5.学習資料「幼虫が消えた!」の扱い方

 授業記録では、説明文を書くための「みちすじ」になる言葉の学習に続いて、「観察したり研究したり、考えたりするための言葉の表」(「言葉の表」と略称)を使って、この表にある言葉が、生き物観察の報告文には、たくさん使われていることを確認する。その確認のための学習資料として説明文「幼虫が消えた!」を扱う。「取り出し授業」では、「ありの行列」からそれらの言葉を見つけて、「言葉の表」を教師と一緒に作成する。また、学習資料のあらましを理解させておく必要もあろう。

 @*この前の時間には、「ありの行列」の説明文を勉強しました。この説明文は、観察したり、研究したり、考えたり  したことが、くわしく書いてありました。「観察したり研究したり考えたりするための言葉」は、どんなものがありますか。見つけてみましょう。その言葉をみつけたら、好きな色を塗ってください。はじめ、少しだけ、先生と一緒にやってみましょう。
  *やり方は分りましたか。では、自分でやってみましょう。【観察報告に使われる言葉の確認】
 A*では、発表してください。【黒板に「観察・実験・研究のための言葉」「考えるための言葉」の2種類に分けて、児童の答えを分類して記入していく】
 B*観察したり、実験したり、研究したりして、それを教えてくれる説明文を「観察報告文」(ルビ付きカ−ド)といいます。「ヤドカリの引っこし」も「ありの行列」も観察報告文です。観察報告文を書くとき、今、黒板に書いたような言葉を使います。
 C*では、これから、「幼虫が消えた!」という観察報告文を読みます。観察報告のためのどんな言葉が使われているか、見つけていきましょう。「幼虫が消えた!」のワ−クシ−トを配ります。先生と一緒に見つけていきましょう。【授業記録では、「言葉の表」が「幼虫が消えた!」より先に配布され、既習の2教材でこの表中の言葉を見つけ、さらに「幼虫・・・」で、この表の有効性を確認する展開となっている。しかし、「取り出し授業」では、文章資料の理解は、児童には難しいので、教師とともに「言葉の表」を作っていくという展開にした。「幼虫・・・」のくわしい内容理解は時間的な制約もあり、必ずしも必要ではない。観察報告文としての書く順序と「言葉の表」の作成を学習の中心とする。】
 Dリライトした教材(資料5参照)を使うと、わかりやすい。その場合、「みちすじ」の言葉や「言葉の表」に入れるべき言葉は、リライトしないで、内容を変えないかぎり、かなり思い切ってリライトした方がよいだろう。観察報告のための言葉の確認が中心学習であるので、わかりやすい表現の方が学習の中心がぼやけなくてよい。
 E日本語力が低く、在籍学級での授業にとても参加できそうにない場合、「取り出し授業」において今まで学習した「説明のためのことがら」「みちすじ」の言葉、「言葉の表」を復習して、説明文を書く練習をさせる。
 
以上の扱いで、在籍学級の授業に入っていくようにさせる。児童の日本語力が高い場合は、これらの授業の流れのどこを省略してかまわないか取捨選択して、時間短縮を図るのがよい。日本語力のさらに低い児童に対しては、リライトの仕方を一層やさしく分りやすい文にして、文章はやさしいが、内容は相当学年レベルになるよう工夫すべきであろう。そのうえで、「取り出し授業」で学年相当の教育ができるよう配慮すべきである。

X.おわりに

 「取り出し授業」では、授業用語をできるだけ使って、その意味を丁寧に理解させながらいく必要がある。この試案では、おおまかな授業の流れのみ記したので、こんな難しい表現や語彙が児童にわかるはずがないと言われるのを承知で書いた。実際の「取り出し授業」では、授業用語の意味するところを実習したり、説明したりしながら最終的には、その授業用語を聞いて理解できるまでにはしておかないと、在籍学級の国語授業に参加することはむずかしいであろう。したがって、ここでの試案はこういう授業の流れの中のこの時点で、この授業用語・授業語彙を予習させておきたいという提案だと考えていただければ幸いである。
 実際の授業をあらかじめ知ることはできないが、今後は、より多くの授業記録をビデオに撮るとか録音するなどの方法により記録し、それらを文字化して、日本語教育の視点から分析研究することが必要である。教科書に現われる語彙・文型だけではなく、授業中の授業用語・語彙・文型などを含めた総合的な観点からの「取り出し授業」の展開と補助教材の作成が必要である。
 さらに、外国人児童の教育的空白をなくするためにも、在籍学級担任との連携を密接にして、取り出し教育が行われることが必要である。しかし、現状では残念なことだが、在籍学級担任と日本語学級の教師との連携が十分にはかられているとはいえない。これはその学校の取り組み姿勢の問題も大きく、こうした理解のない状況の背景には、行政の姿勢の問題、大学での教員養成段階での問題がある。教員養成において日本語教育を学校教育の中にきちんと位置付けて教員養成をする必要がある。学校教育における日本語教育の問題は、ひとり外国人児童だけの問題ではない。21世紀を担う日本の児童にとっての課題でもある。異文化・異言語の子どもたちが、共に生きるにはどうしたらよいかという地球市民としての問題である。そういう視点からの学校教育における日本語教育でありたいと願う。
 本研究では、在籍学級での日本人児童向けに実施されている授業に参加していくための「取り出し授業」を構想したが、これからの学校教育は、異文化をもつ児童との共生にふさわしい教材選択、教授法、教育目標などが模索されなければならないだろう。

<注>
光村図書の国語は平成8年度より改訂され、「ヤドカリの引っこし」は「ヤドカリのすみかえ」となって、本文の表現も少し変わっている。本研究では、旧版によって研究を進めてきたため、試案も旧版によっている。 


<資料>
 (資料1)「たんぽぽのちえ」のリライト教材
  (国語の教科書が縦書きであるので、以後の教材試案はすべて縦書きしたものを児童に渡す)

   「たんぽぽのちえ」                            ワ−クシ−ト1
たんぽぽは、どんなちえを はたらかせているのでしょう。 たんぽぽになって うごいてみましょう。
うごき せつめい
春になりました。たんぽぽの 黄色い きれいな花がさきました。
 二、三日たちました。その花は しぼみました。
そうして、だんだん 黒っぽい色に かわっていきました。そうして、たんぽぽの花のじくは、ぐったりと 地面に たおれてしまいました。でも、たねは どんどん 太りました。


けれども、たんぽぽは、かれてしまったのではありません。花とじくを しずか  に 休ませています。そうして、たねに、たくさん えいようをおくっています。こうして、たんぽぽは、たねを どんどん 太らせるのです。


やがて、花は すっかり かれてしまいました。そして、花のじくは、たおれていました。でも、そのあとに、白い わた毛が できていました。
この わた毛に たねが ついています。この わた毛は、一つ一つ ひろがります。ちょうど、らっかさんのようになります。そうして、この わた毛は たねを ふわふわと とばします。


でも、花のじくは、また、おき上がりました。そうして、せのびをするように、ぐんぐん のびていきました。
なぜ、こんなことを するのでしょう。
それは、せいをたかくするほうが、わた毛を とおくまでとばすことができるからです。


よく晴れて、風のある日には、わた毛の らっかさんは、いっぱいに ひらきました。そして、たねといっしょ に ふわふわと とおくまで とんでいきました。

でも、しめりけの多い日や、雨がふる日には、わた毛のらっかさんは、すぼんでしまいました。
それは、わた毛がしめって、おもくなって、たねを とおくまで とばすことができないからです。


 

このように、たんぽぽは、いろいろなちえを はたらかせています。
そうして、あちらこちらに たねを ちらして、新しいなかま(たんぽぽ)を 
ふやしていきます。


 
(資料2)「ヤドカリの引っこし」のリライト教材 (児童には縦書きのプリントを配布する)
 

 「ヤドカリの引っこし」                  (筆者)今福 道夫
「ヤドカリ」や筆者の行動(したこと) 説明やかんさつして思ったこと

@ヤドカリは、まき貝のからの中に住んでいます。貝がらはおおきくなりません。それで、ヤドカリは、成長するにつれて何度か貝がらを取りかえます。そのとき、ほかのヤドカリの貝がらに住みかえることが多いのです。いったいどうやって住みかえるのでしょう。
A海べで、1ぴきのヤドカリをかんさつしました。
このヤドカリは、もう1ぴきの小さいヤドカリに出会いました。相手のヤドカリは、貝がらの中 にかくれました。


相手のからは、少し大きめです。
Bはじめ、このヤドカリは、相手のヤドカリの貝がらを回したり、入り口にはさみをつっこん
だりしました。
貝がらの大きさや、表面のきずをしらべているようです。


C次に、相手の貝がらの入り口にはさみを入れてから、自分の貝がらに何度もぶつけました。
そして、相手が貝がらから出たら、すばやく、そのからの中に入っていきました。相手のヤドカ リは、入れちがいに、空になった貝がらに入りました。


Dヤドカリは、このように、相手の貝がらが気に入ったら、中のヤドカリと入れかわるようにして住みかえるのです。



(資料3)「ヤドカリの争い」のリライト教材 (児童には縦書きのプリントを配布する)

「ヤドカリの争い」(ヤドカリのからこうかん)                  (今福道夫)
ヤドカリの争いは、まず二ひきの出会いから始まります。
あるヤドカリが、もう一ぴきのヤドカリに近づきます。すると、たいてい、一方がからの中にひっこみます。
からにひっこむのは、ふつう、小さい方です。
ときには、うしろからほかのヤドカリの上にのります。
そして、相手をひっくり返すのもいます。
相手がからの中にひっこんだら、こうげきする方のヤドカリは、あいてのからを、よく調べます。相手のからをまわしたり、からの口にハサミをつっこんだりして、よく調べます。
ここでこうげきをやめてしまうこともあります。
でも、相手のからが気にいったら、葉山の海岸で見たように、両方のハサミを相手のからにつっこみます。それから、からをぶつけるのです。
でも、よく見たら、こんなこともしています。ヤドカリはからをぶつける前に、かならず自分のからを相手のからにゴシゴシこすりつけています。
ちょうど、おしりをふるような運動です。
何度かからをぶつけると、相手はからから出てきます。でも、なかなか出てこないごうじょうものもいます。
そのため、こうげきをやめてしまうヤドカリもいます。
ヤドカリがさかさまにされることもあります。そのヤドカリはからから出るとき、ハサミやあしをバタバタさせます。「これから出ますよ」といっているようです。
出るしゅんかんには、こうげきしているヤドカリは、たいてい、相手のあしを大きい方のハサミで引っぱります。
それで、引き出されたヤドカリが、さかさまに高くもちあげられます。
こうげきしたヤドカリは、相手を引き出すことができたのです。
こうげきしたヤドカリは、相手のからにハサミをつっこんでよく調べます。それから、そこにうつります。
でも、相手のからにうつったあとも、もとの自分のからをはなさないこともあります。そして、自分のからにもどってしまうこともあります。

 
(資料4)  
『実践国語研究別冊』(NO.131,明治図書,1993)
 説明文「ヤドカリの引っこし」「ありの行列」
            
↑この資料はPDFファイルを使用して、ワークシートをフォームどおりに再現してあります。acrobat reader でご覧ください。

  
(資料5)学習資料「幼虫が消えた!」のリライト(児童には縦書きのものを配布) 

  「幼虫(ようちゅう)が消(き)えた!」           (筆者)蛭川憲男
観察・実験・研究したこと 考えたこと
  わたしは、ふしぎなことに気がつきました。
ある日の朝、いつものようにカラマツのえだをかんさつにいきました。
アリとアブラムシは、いつもとかわりません。でも、クロシジミの幼虫だけが、とても少なくなっています。
大きい幼虫だけがいなくなっています。
わたしは、それがすぐわかりました。
   
ほかのえだのようすも調(しら)べました。やはり大きく
なった幼虫が見えません。
わたしは、幼虫がどこかへいどうしたのかと思いました。
   
それで、カラマツのねもとのほうまでさがしました。でも、どこにもすがた(大きい幼虫)が見えません。  
 

「おかしいなあ。どうしてなのかなあ。」と、おもわずつぶやきました。幼虫がいなくなった原因( げんいん)を考えました。考えた結果(けっか)、3つの予想をたてました。
@大きくなった幼虫が、自分でいどうした。
A幼虫が大きくなるのをまってから、アリがえさにするためにもっていった。
Bカマキリやハチなどが食べたり、えさにするためにもっていった。
わたしは、さらに考えました。「もし、カマキリやアリがえさにしたのなら、小さい幼虫もえさにな ているはずだ」−これでBの予想は消えました。
そこでわたしは、@かAの予想のどちらかではないか、と考えました。


@については、ふきんをくわしくさがしました。でも、何も見つかりませんでした。 では、Aかもしれません。
わたしはAについてこんな予想をしました。アリの巣あなの近くへ、大きい幼虫と小さい幼虫とをおいておきます。そして、もし大きい幼虫だけが、アリの巣のなかへはこばれたら、Aがあたりです。



すぐ、実験してみようと思いました。
小さい幼虫はたくさんいました。でも、大きい幼虫は、なかなか見つかりません。

それで、わたしは考えました。「もし、ほんとうにアリが、はこんだんだったら、アリをとりのぞいておこう。そうしたら、幼虫が大きくなっても、ここにいると思う。」
それをたしかめることにしました。それで、アブラムシとクロシジミの卵や幼虫のついている えだをおってきました。そして、長野県(ながのけん)松本市(まつもとし)の自宅(じたく−じぶんのいえのこと)へもってかえりました。そしてそのえだを、かびんにさしました。こ れから幼虫をそだてます。クロシジミの幼虫はアブラムシの蜜(みつ)をなめて、どんどん大 きくなりました。でも、幼虫はどこへもいどうしません。

わたしが考えたとおりです。
はじめ卵(たまご)だったものは、いまはまだ小さい幼虫です。これで、大きい幼虫と小さい 幼虫ができました。

もう実験することができます。
次の日わたしは、大きい幼虫8ぴきと小さい幼虫10ぴきとをもって、観察場所(かんさつばしょ)へいきました。そして、アリの巣あなの近くにおきました。
アリはクロシジミの幼虫を見つけました。そして、大きい幼虫をえらびました。そして、8ぴき全部(ぜんぶ)をすばやく巣の中へもっていきました。小さい方の幼虫は、2ひきだけもっていきました。でも、しばらくすると、2ひきとも、巣のそとへ出しました。


実験の結果、わたしの二番目の予想が正しいことがわかりました。わたしは、証明できました。


 
(資料6)
授業記録で使われている「授業展開用語(上位)」の主なものをあげる。


<参考文献>
1)安達隆一「国際化時代の国語教育への提言」,『月刊国語教育研究』NO.293,日本国語教育学会編, 1996
2)阿部昇「日本語教育と国語教育の協同研究・共同実践を」,『月刊国語教育研究』NO.293,日本国語教育学会編,1996
3)天野正治『ドイツの異文化間教育』,玉川大学出版部,1997
4)安藤修平『国語科指導案づくりの上達法』,明治図書,1991
5)池上摩希子「日本語教育が必要な児童生徒対象の教育目標構造化の試み」中国帰国孤児定着促進センタ−教務課,『中国帰国孤児定着促進センタ−紀要』第2号,中国残留孤児援護基金,1994
6)池上摩希子「教科書読解に結び付けるための初級読解指導」,中国帰国孤児定着促進センタ−教務課,『中国帰国孤児定着促進センタ−紀要』第2号,中国残留孤児援護基金,1994
7)池上摩希子「教授・学習過程における積極的な個別化に関する考察と提案」,中国帰国者定着促進センタ−教務課,『中国帰国者定着促進センタ−紀要』第3号,中国残留孤児援護基金,1995
8)池上摩希子「読解ストラテジ−トレ−ニング・プログラムの評価」,中国帰国者定着促進センタ−教務課,『中国帰国者定着促進センタ−紀要』第4号,1996
9)今村和宏『わざ−光る授業への道案内』,アルク,1996
10)大槻和夫「欧米諸国の国語教育の当面する基本課題と今後の国語教育」,『日本語学 21世紀への提言 国語教育の改善に向けて』,1月臨時増刊号,明治図書,1998
11)小川貴士「読みのストラテジ−,プロセスと上級の読解指導」『日本語教育』75号,日本語教育学会,1991
12)甲斐睦朗編『語彙指導の方法』[指導事例編],光村図書,1996
13)甲斐睦朗「連携からとらえ直した国語教育−日本語教育との連携を中心に−」『日本語学 21世紀への提言 国語教育の改善に向けて』,1月臨時増刊号,明治図書,1998
14)『学校生活で必要な日本語指導の工夫と改善』平成6年度目黒区教育委員会特別研究委託校研究紀要,東京都目黒区立東根小学校日本語学級,1995
15)『学校用語集』川崎市総合教育センタ−,1997
16)工藤真由美『児童生徒に対する日本語教育のための基本語彙調査』横浜国立大学教育学部 工藤真由美研究室,1996
17)国立国語研究所『小学生の言語能力の発達』,明治図書,1964
18)『子どものための5か国語絵単語帳 これって、なに?』,チャレンジ日本委員会,1995
19)佐々木倫子「これからの国語教育−日本語教育の立場から−」,『日本語学 21世紀への提言  国語教育の改善に向けて』,1月臨時増刊号,明治図書,1998
20)佐藤恵美子・小林悦夫「カリキュラム開発および理念的目標の構造化について」,中国帰国孤児定着促進センタ−教務課,『中国帰国孤児定着促進センタ−紀要』第2号,中国残留孤児援護基金,  1994
21)佐藤郡衛『海外・帰国子女教育の再構築』,玉川大学出版部,1997
22)『小学校国語指導事例集』(3年),光村図書,1996
23)『実践国語研究』(別冊)NO.131,明治図書,1993
24)中西晃・佐藤郡衛編著『外国人児童・生徒教育への取り組み』,教育出版,1995
25)西谷まり『小学校における外国人子女に対する日本語教育の実態に関する研究−外国人子女の日本語習得と教室適応−』,文部省科学研究費奨励研究(A)報告書,1997
26)西原鈴子「子供への日本語教育の諸側面」,『月刊国語教育研究』NO.293,日本国語教育学会編, 1996
27)日本インタ−ナショナルスク−ル協議会『日本語教材・アクティビティ集 BITS AND PIECES』, 講談社インタ−ナショナル,1997
28)『日本語初期指導基本語彙(試案)』,東京都目黒区立東根小学校日本語学級,1997
29)浜本純逸編『小学校語彙指導の活性化』,明治図書,1991
30)『場面を重視した指導の改善と効果的な教材・教具の工夫』,平成7年度目黒区教育委員会特別研究委託校研究紀要,東京都目黒区立東根小学校日本語学級,1996
31)『場面を重視した日本語指導の改善』,平成8年度目黒区教育委員会特別研究委託校研究紀要,東京都目黒区立東根小学校日本語学級,1997
32)府川源一郎『「国語」教育の可能性』,教育出版,1995
33)『平成9年度 日本語学級教育計画』,東京都目黒区立東根小学校日本語学級,1997
34)細川美紀「辞書引き教材の開発について」,中国帰国者定着促進センタ−教務課,『中国帰国者定着促進センタ−紀要』第4号,中国残留孤児援護基金,1996
35)堀江祐爾「国語科教育と日本語教育とが、それぞれの役割を認め合い、高め合うことをめざして−国内の小学校での外国人児童に対する学習指導を中心に−」『月刊国語教育研究』NO.293,
  日本国語教育学会編,1996
36)宮崎茂子・岩見宮子「多様な学習者に対するカリキュラム作成の留意点と実例」日本語教育66号,日本語教育学会,1988
37)宮地裕,樺島忠夫,森山卓郎編『言語指導の方法』(言語教材の生かし方),光村図書,1996
38)文部省『小学校指導書 国語編』,ぎょうせい,198939)文部省『にほんごを まなぼう』,ぎょうせい,1992
40)文部省『にほんごを まなぼう(教師用指導書)』,ぎょうせい,1992
41)文部省『日本語を学ぼう2』,ぎょうせい,1993
42)文部省『日本語を学ぼう2(教師用指導書)』,ぎょうせい,1995
43)文部省『日本語を学ぼう3』,ぎょうせい,1995
44)文部省『日本語を学ぼう3(教師用指導書)』,ぎょうせい,1995
45)文部省『ようこそ日本の学校へ』ぎょうせい,1995
46)安居總子『授業づくりの構造』,大修館書店,1996
47)山内摩耶子「『漢語の拡大』用教材作り」,中国帰国者定着促進センタ−教務課,『中国帰国者定着促進センタ−紀要』第4号,中国残留孤児援護基金,1996
48)山田真理「二言語併用環境を経験した中学生の母語能力と第二言語能力」,『平成8年度日本語教育学会春季大会予稿集』,日本語教育学会,1996
49)山本紀美子,荻野誠人,浅井清子,吉田絹子『子供のための日本語教育』(日本語の教え方実践マニュアル),アルク,1996
50))吉永幸司「知的感動を与え思考力を育てる学習活動を創出する」『実践国語研究』NO.169,明治図書,1997
51)レベッカ L.オックスフォ−ド『言語学習ストラテジ−』,宍戸通庸・伴紀子訳,凡人社,1994
52)和田玉己「小学生クラス(低学年)における文字指導の試み」中国帰国者定着促進センタ−教務課,『中国帰国者定着促進センタ−紀要』第4号,中国残留孤児援護基金,1996
53)『ワ−クシ−トによる学習と評価』(3年),光村図書,1996