説明文にあらわれた複文について
−小学校国語の日本語補助教材作成資料として−

光元聰江・三宅節子*

 1990年の入管難民法の改正により、1万人以上の日本語教育の必要な児童が日本の小学校に編入学している。これらの児童は、生活に必要な日本語とともに教科の学習に必要な日本語の習得をしなければならない。教育現場では、これら児童への試行錯誤の取り組みがなされているが、特に教科の学習言語についての研究は、まだ緒についたばかりである。
 本稿では、小学校国語教科書の説明文における複文レベルの調査をし、「つなぎの言葉」を手がかりに複文の指導をする試みを提示した。複文の分析にあたっては、三つの基本類型と単文に分割し、「つなぎの言葉」を想定することによって分析基準を立てた。調査の結果、1文中の接続節や名詞修飾節の数が増えて文が拡大し、非常に複雑に見える文でも、「つなぎの言葉」を想定し、基本類型と単文に分割して文意を理解させれば、指導は容易になることがわかった。

  キ−ワ−ド:基本類型,つなぎの言葉,文の基本要素,接続節,名詞修飾節

T.はじめに

 日本語教育の必要な児童が、小学校に編入学して、所属学級で日本の児童とともに教科の学習をするためには、教科の学習に必要な学習言語の習得なくしては成り立たない。編入学後6か月くらいは、生活に必要な日本語(生活言語)を学ぶ。その後、学習言語の習得には、児童の言語環境・年齢などにより個人差はあるが、2年近くかかる場合が多い。教科の「取り出し」授業などで教科の学習に必要な日本語の学習をするが、生活言語習得後の教科の移行期に所属学級の授業についていけるだけの学習言語を習得しなければならない。これは学年が上がるにしたがって学習事項が多くなり、習得困難となる。本研究は国語の教科学習に少しでも入りやすくするためには、どうしたらよいかという課題のもとに、文レベルでの指導という観点から複文の教科書分析を行ってきた。今回は、光元・三宅(1997)(注1)で文学教材について調査したものと同じ観点で、説明文について調査し、複文レベルでの指導の方法をも考察する。

U.調査対象・方法

1.調査対象

 前回の文学教材の調査(注1)と同様、小学校国語の教科書を調査対象とし、光村図書出版株式会社の小学校国語一から国語六まで、各学年上下・計12冊(文部省検定済・1991)について調査した。本稿は、理解単元のうち説明文の系統に属する教材の本文を調査対象としたものである。
 調査範囲は前回の光元・三宅(注1)と同様、先の光元・三宅(注2)の調査範囲に、さらに「の・こと・ところ」節・名詞修飾節(以下「N節」と略記)・引用節を加え、複文構造として捉え直した。
調査範囲は以下の通りである。
@基本的には句点を有するものを文と認定し、認定した総文数をもって調査範囲とした。
A1文の中心となる主節と、それになんらかの関係で結びつく節をもつ文を複文と認めた。複文構  造として本稿で扱うものは、「の・こと・ところ」節、N節(いわゆる連体修飾節並びに「か」 節)、接続節(副詞節並びに並列節)、引用節(注3)である。
 B形式名詞に「の」がついて名詞を修飾するものは「の」をとるN節とする。
  例・・・彼が言ったとおりの結果でした。
 C名詞にではなく文に接続する助詞相当(注4)は、接続節として扱う。
 
また、調査対象から除外したものは以下の通りである。
 @次に示すものは接続節を含んでいる場合でも総文数にはカウントしたが、接続節の分析対象とし  ては扱わなかった。
  a.提示文
    客観的なものごとについての情報を伝える(南1993)(注5)名詞句のうち、節を含むもの。
    例・・・山形県東置賜郡川西町にある鉛筆工場。(四年下)
  b.述部をもたない独立語文(南1993)(注6)
 A助動詞相当(〜たらいい,たら困る,てもいい,てはいけない等)(注4)を含む場合、接続節として扱わない。
 B補助動詞「いる・ある・もらう・くれる」等に前接する「て」節
 C文末が「から・て・んだから・たら・けど・し・のに」等で終わる場合、これらの節末語を含む節(ただし、これらの節  末語で終わる文でも、明らかに倒置文とわかるものは分析対象とした。)
 DN節において底となる名詞の前に2つ以上の形容詞が並置された場合、前に位置する形容詞(1
  つとはかぎらない)が「連用形」「て形」の場合は、節として扱うが、「連体形」の場合は、読点のある
  もの(「赤い、大きい本」)のみ扱い、それ以外は調査対象から除外した。
 E「た形」となる形容詞的動詞が名詞を修飾する場合、単独で使われるものは、N節として扱わな
  い。(「ねちねちした葉っぱ」)
以上のような認定範囲から、複文の調査を行った。

2.調査方法

 先の光元・三宅(注2)において、接続節1含む文の構造を基盤にして、接続節を含む文を次の3類型にわけ、これを基本類型とした。それをさらに、α系列とβ系列に分けて記述した。今回もその基本類型及び系列にしたがって調査したので、以下にそれを示す。
 基本類型
  イ・・・節末語が付帯状況・様態・程度などを表す従属節と、主節の関係にあるもの
  ロ・・・節末語が継起的動作・出来事を表す従属節と、主節の関係にあるもの
  ハ・・・節末語が並列的なもの・時・条件・原因理由・目的・逆接等を表す従属節と、主節の関係
     にあるもの
 
系列
  α系列・・・主節の主部ではなく接続節が先行しているもの
  β系列・・・主節の主部と述部の間に接続節が挿入されているような構造をとるもの
    β系列をさらにβ@(主節の主部と従属節の主部が同じであるもの)とβA(主節の主部と
    従属節の主部が異なるもの)に分けて調査した。
先の論文(注2)では、この基本類型とそれらの「派生型」を分類基準にして接続節を含む文を調査し分析した。しかし、接続節とN節との関係を総合的にとらえ直し、複文として教科の移行期にある児童に指導するためには、できるだけ基本的な事項を基盤にして、文を理解させたほうが効率がよい。そこで、「派生型」は多岐にわたり、複雑で理解しにくいので、「派生型」もできるだけ基本類型と単文のみに分割して指導したほうが、児童には理解しやすい。そこで、複文構造として捉え直すにあたって、基本類型を軸として、教科の移行期にある児童にわかりやすくするために、「つなぎの言葉」を想定して複文を分析するという試みをした。
 複数の接続節を含む文について、どの部分にどのような基本類型が存在し、それにどのような節が接続して文が拡大しているかを考察した。その際、基本類型とそれに前接または後接する節とのつなぎの節末語に「つなぎの言葉」を想定して、文を分割するという試みをした。この分割された二つの部分をつなぐ「つなぎの言葉(接続詞)」をつけて文全体を総合的に理解する。この方法で調査の結果、「つなぎの言葉」は大きく以下の三つのパターンに分類できることがわかった。(下線部は基本類型部分を示す。なお、本稿で複文中の節を、最初の節から順にa・b・c節・・・と名付け、最後の主節をs節と名付けた)
 
 @順接系:そして、それから、だから等
   「〜て、」(順次動作の並列)「〜たり、−たり」「〜し、−し」等の並列節は順接系の単文構造とみなされる。
   例・・・雪国の山に積もった雪は、春になると急速にとけて、川を下ります。(四年上)
   この文はβ系列「基本類型ハ+s節」という型式に分析し、基本類型ハとs節とに分割し、それぞれの文意を捉えてから、「+」の所に「て」の「つなぎの言葉」として「そして」を加えて文全体の意を捉えることが可能である。
 A逆接系:しかし、でも、だけど等
   例・・・わたしも、先生の問いに対して自信をもって答えるのだが、いつもとちがって、まちがってばかりなのである      。(六年下)
  この文はβ系列の「基本類型イ基本類型イ」という型式に分析する。したがって、二つのイすなわち「先生の問いに対して自信をもって答えるのだ」と「いつもとちがって、まちがってばかりなのである」のそれぞれの文意を捉らえた後、「+」の所に「が」の「つなぎの言葉」として「しかし・でも」などを加えて、二つのイを繋ぎ、文全体の意を捉らえる。
 B条件系:すると、そうしたら、そうしても等
  例・・・入りこんだ微生物がふえて、毒を出し始めると、まず、血の中にある小さな白血球が、その付近に引き付けられていき、微生物を食べ始めます。(四年下)
  この文はα系列「基本類型ロ基本類型ロ」という型式に分析する。したがって、まず基本類型ロの部分をそれぞれ別個に文意をつかみ、「+」の部分にあたる「と」の「つなぎの言葉」として「すると」を付け加え、二つのロを繋いで、文全体の理解につなげていく。

 以上のように「つなぎの言葉」を想定しつつ、基本類型と接続節や主節との関係を調査し、複文を類別した。しかし、付帯状況の「〜て」、並行動作の「ながら」等の節末語をもつ複文の場合は、この節末語の部分で分割しにくく、「つなぎの言葉」も想定しにくい。それは、これらの節末語で繋がれた二つの節がお互いに密接な結びつきをしているためだと考えられる。この場合は「つなぎの言葉」を想定しにくいので、基本類型イに立ち返り指導する必要があろう。
 光元・三宅(注1)で述べたところであるが、「つなぎの言葉」を想定した調査と指導の試みは、教科の移行期にある児童を、1日でも早く所属学級での国語の学習に参加させるためには、なによりもまず、教材のだいたいの内容を理解させることが重要であるとの考えによるものである。しかし、「つなぎの言葉」に変えてしまったためにニュアンスの理解が犠牲になる場合もある。この問題は、学習が進む中でしだいに解決していくものだと考える。
 次にN節の分析にあたって、1文中に含まれるN節を2以上含むものについて、つぎの3類型に分けた。
 (A)並列型:複数のN節が1文中で並列的に置かれている型
 (B)入り組み型:複数のN節が1文中で重なり合う部分をもつ型 (そのN節の中に、さらにN節が含まれているもの
 (C)混交型:複数のN節が1文中で、並列型と入り組み型の両方をもっているもの

V.調査結果・考察

1.調査結果

1-1.接続節を含まない文における複文構造

 説明文総文数(914文)に対する接続節を含まない文(「接続節0」と表記)の割合は、6割弱を占めている。今回も物語文と同様に、接続節0の文について、N節との関係で次の2つに分けて分析した。
 @接続節もN節も含まない文
  引用節中にも接続節やN節を含まない文も@にカウントした。
 A接続節は含まないが、N節は含む文
  ただし、引用節中やN節内に接続節を含む文はAにカウントした。
@については、接続節0の総文数(@+Aの文数)の5割強を占めている。従って5割弱がAである。@は単文としての基礎的指導を繰り返し行う必要があるが、その中に接続節もN節も含まない単文の引用節が0.3割ほどある。これらの引用節は1文だけ直接引用があるが、その他はすべて間接引用である。それらの指導は引用節を取り出して文意を理解させたのち、全体の文意に結びつけて内容を捉えることができよう。
 次にAについては、Aの総文数の約8割がN節1を含む文であり、1割強がN節2、約0.2割がN節3を含む文で、約7%が、引用節中に接続節やN節を含む文である。N節が文の基本要素「述語・補足語・修飾語・主題」のどの要素として働いているかを考察してみよう。まず、Aの総文数の約8割を占めるN節1含む文について考察してみると、述語要素として働くN節は2割弱である。補足語要素は約6割で、助詞「が」を伴うN節が圧倒的に多く、次に助詞「を・に・も」を伴うN節が続いて多い。そのほか助詞「で・まで・から・と」を伴うものが数例ずつある。また、助詞相当の表現「にとって・によって・によっても」などを伴うN節が7例あった。さらに主題要素として働くN節は2割弱、修飾語要素が約0.4割認められた。
 次にN節2含む文についてみると、述語要素と主題要素となっているN節はそれぞれ約3割弱、補足語要素は約3割強で、修飾語要素は1割程度である。補足語要素では、助詞「が・も・を」を伴うN節が中心で、他には助詞相当の「にとって・について」が各1例あるだけである。修飾語要素の働きをするN節は助詞「の・や」を伴うN節が現れている。
 次にN節3含む文について考察してみよう。これは1例(1年)を除き、すべて高学年に認められ、1文中にN節3あるので、文の拡大化は進んでいるが、これらのN節相互の関係をみると、「N節+と+N節」「〜するところ、〜するところ、〜するところなど」「〜か、〜か、〜かによって」「〜ことや、〜ことなど」などと2個ないし3個のN節を並列関係で結びつけている。したがって、文の拡大化が進んでいても、それぞれのN節を別個に取り出して理解させた後で、N節1含む文と同様の指導にもどして文全体の理解に結びつけることが可能である。
 最後に引用節中に接続節やN節を含む文についてみてみよう。これらは、2年・3年では各1例で、その他は4年以上に出現する。また、すべての引用節が判定を表す動詞「(〜と)考える・思う・推定される」などによって受けられている。引用節内の複文については、接続節1かN節1含む文が約半数を占め、残りの複文は、接続節1はN節2まで含み(その内1例は「入り組み型」のN節)、接続節2はN節1、接続節3はN節0かN節1を含む文である。1文中の接続節の数が増えるとN節の数は少なくなっている。引用節中のN節は述語要素1例、主題要素2例あり、その他はすべて補足語要素として働いている。

1-2.接続節1含む文における複文構造

 説明文全体の約3割を占める接続節1の文の内訳は、N節0が約6割を占め、次いでN節1(N節のうちに接続節を含むものも入れて)が約3割、N節が2以上の場合は、N節3までしか出現しないが、両方合わせても1割に満たない。したがって、指導の際にはN節0を主として、次にN節1以上のものを適宜教えていくことになろう。
 
1-2-1.N節を含まない文について
 前回の論文で述べたように(注7)、接続節が1の場合は、αβ両系列共に基本類型で書き表されるので、難しいのはN節や引用節の文中における位置や、N節の文中における働きなどであろう。ところで、N節が0の場合はこうしたことを考慮しなくてもいいわけであるから、基本類型や節末語などに指導の力点が置かれると考えられる。N節0の文では、約3倍と圧倒的にα系列の文がβ系列を上回る。基本類型イ、ロ、ハ、に関してはα系列ではハがイ、ロ、の約2倍で最も多く、イとロは大体同数、β系列ではイ、ロ、ハ、はいずれもほぼ同数である。学年別に見ていくと、α系列のハは高学年、特に6年で最も多く出現し、イ、ロ、では3年が一番多いという特徴がある。また、β系列ではそれほど著しい特徴はみられないのだが、イ、ロと異なり、ハはすでに1年から出現しており、注意を要する。もっとも、その場合、「とき」がほとんどであり、節末語の種類は限られている。このことから基本類型イ、ロ、は3年までに指導し、ハについては節末語の種類別に、高学年に進むにつれて順次教える必要があろう。節末語については、α系列のイでは手段、方法や付帯状況の「て」がほとんどであり、後「ように」「ながら」「ほど」が若干見られる。ロは言うまでもなく順接系の「て」「連用形」が大部分だが、後者は3年になって初めて現われる。ハでは、節末語の種類は格段に多くなるが、条件系の「と」が圧倒的に多く、次いで「とき」「ように(目的)」「が」などである。既に述べたように接続節1はすべて基本類型で書き表されるので、特に「つなぎの言葉」を想定する必要はないかもしれないが、付帯状況や様態節などを除き、並列の「て」など、文の意味を損なわない程度に、単文に切って教える方が理解が容易な場合もあろう。5年以上の高学年では「〜につれて」「〜に当たって」など文に後接する助詞相当表現も見られるようになる。β系列の節末語はイ、ロにおいてはα系列とあまり変わらないが、ハでは「と」よりも「て(並列)」や「とき」の方が多い。N節0における接続節もN節も含まない引用節は、α系列に偏って出現し、その場合主節と従属節にほぼ同じ割合で見られる。なおN節0のものとしてカウントしたのだが、引用節を含みその中に接続節やN節を含んでいるようなやや複雑な構造の文もα系列で若干見られるが、基本的な構造はN節0として、引用節を別に取り出して教えることが可能であろう。
 
1-2-2.N節1含む文について
 N節1の文においても、やはりα系列がβ系列よりもはるかに多い。α系列でも同様にハが一番多く、イ、ロ、は同じぐらいである。β系列の数は少ないのだが、逆にハがイ、ロ、より少ない。学年別に見ると、α系列のハは高学年特に、5、6年において多くなるという特徴がある。イ、ロ、の場合は学年上の差異はあまり見られないが、ロは3年から出現している。β系列のロ、ハは高学年になってしか現われず、イも3年以上になって見られる。α系列のハにおける節末語はN節0の時ほど種類は多くないが、「と」が断然多く、次いで、「連用形(並列)」「て(因果)」や「て(並列)」などである。β系列では、ロの節末語はすべて「連用形」であるという特徴が見られた。またハは少ないので、α系列にあって際立っている「と」も少ない。N節の位置についてはα系列イ、ロ、においては主節と従属節にほぼ均等に出現しているが、ハでは主節に位置するN節が、従属節に位置するN節の2倍以上になる。特に「と」でつながれる文においては、そのN節はほとんどが主節に位置している。また文頭に置かれたN節についてはα系列では1例しか存在しないのに対して、β系列においてはほとんどのN節がそうであり、主節や従属節に位置するN節は少ないという特徴がある。N節の文中における働きについては、α系列イ、ロ、では補足語要素となるものがほとんどであり、ハでもやはり補足語要素が多いが、イ、ロ、では見られなかった修飾語要素の働きをするN節も数例存在する。β系列では、主題要素となるN節が増えてくるが、やはり補足語要素となるものが若干多い。両系列共、述語要素は皆無だった。引用節はα系列のハとβ系列のイに若干数見られるのみである。おそらくN節が1あることと呼応して引用節が減っているのかもしれない。なお、N節のうちにN節を含んでいる「入り組み型」の文も少しながらあるが、その場合のN節はすべて主節中に位置するということが観察された。文中における働きは、補足語要素と修飾語要素の働きの二つが見られ、特に後者では底になる名詞が共通の「入り組み型」も1例あった。
 
1-2-3.N節2以上含む文・N節中に接続節を含む文について
 N節2になると冒頭で述べたように、全体の1割にも満たないのであるから、N節3のものと共に、それ自体例外扱いとしてもよさそうである。ここでもα系列がβ系列を上回り、α系列のハが一番多いということでは同様である。しかし、α系列のハにおける節末語は「と」が多いというわけではなく、いろいろな種類の節末語形式に分散しているようである。N節もまたすべてが「並列型」で表われ、特に主節と従属節に分かれて現われるものがほとんどである。主節か従属節のいずれかにN節が偏って出現するのは文構造としては安定を欠くためであろうか。N節の働きもほとんどすべてが補足語要素となる。N節3のものは4例と非常に少ないが、すべて高学年で現われる。N節の出方も「混交型」が1例ある他はN節2の場合と同様、主節、従属節、あるいは文頭に分散しているようである。また、これは基本類型で見れば、すべて両系列ともハの文である。N節の文中における働きではβ系列では主題要素、述語要素の働きもあるが、α系列では補足語要素がほとんどである。
 N節のうちに接続節を含む文も全体の1割弱存在するが、N節が1の場合がほとんどで、また含まれている接続節も1のものが大部分を占める。やはり、α系列のハが最も多く、それは5年以上でのみ現われる。節末語については著しい特徴は見られない。低学年では現われにくい文構造と言えるので、N節1の文を基本にして高学年になって教えていくことができるだろう。N節の働きとしてはここでも両系列とも補足語要素が中心だが、他の3要素も数は少ないが見られるようだ。

1-3.接続節2含む文における複文構造

 説明文総文数の約1割を占める接続節2含む文についてN節との関係を考察すると、N節を含まない文は、接続節2含む文の総文数の7割弱を占める。N節1含む文は約2.5割、N節2含む文は5例出現し、N節3含む文は1例あるだけである。また、N節中に接続節を含む文が3例出現する。従って接続節2含む文における複文の指導は、N節0とN節1含む文までを中心にすべきである。
先の光元・三宅(注1)での調査と同様に、基本類型(イ・ロ・ハ)と「つなぎ言葉」との関係を分析の基準にして、主節(s節)と従属節(a節・b節)との関係を次の3つのパタ−ンに類別した。
 @a節+基本類型(ここではa型といい、それぞれa型イ・a型ロ・a型ハとよぶ)
 A基本類型+s節(ここではs型といい、それぞれs型イ・s型ロ・s型ハとよぶ)
 B単文型(a節、b節、s節のそれぞれを単文扱いとする)
 
1-3-1.N節を含まない文について
 接続節2のみ含み、N節を含まない文について考察すると、α系列では、a型とs型はほぼ同率で約3割強ずつ、単文型は約1割強、β系列ではβ@が約2割強、βAは2文のみであった。α系列a型では、基本類型イとハが各9例で、イ中の節末語は「て・連用形」が中心で付帯状況による接続が多く、ほぼ全学年に現れている。基本類型ハ中の節末語は動詞の連用形による並列接続が最も多く、その他「ために・ので・ば・につれて」などが出現し、高学年を中心に現れている。また、基本類型ロは4例で、中学年中心に出現する。a節と基本類型との「つなぎ言葉」は基本類型イは順接系「そして」で繋いで理解可能なものが最も多く、基本類型ハは「すると」など条件系と「でも」など逆接系が多い。基本類型ロは順接系で繋げるものが多い。
 α系列s型はわずかに基本類型ハが多いが、イ、ロ、ハともほぼ同率の出現状況である。いずれも全学年に出現している。基本類型中の節末語はイは「て」による付帯、ロは「て」による順次、ハは「て・たり・と」による因果、並列の接続が多い。基本類型とs節との「つなぎ言葉」は、条件系がほとんどで、順接系がわずかにみられる。節末語「ように・とき・たら」については「つなぎの言葉」を付ける方がかえって文理解が難しくなるので、節末語のまま理解させた方がよいと思われる。
 α系列単文型は、節末語は「て」か「連用形」のいずれかで、並列か順次のいずれかの接続で、「つなぎの言葉」もやさしく、すべて単文扱いで内容理解は容易である。出現する学年は中高学年である。
 β系列はβ@がほとんどで、βAは2例のみである。基本類型はβ@はa型もs型もイとハが同率の出現でロは1例のみである。βAはイとハのs型のみ出現しており、「つなぎの言葉」は条件系で、4・5年にみられる。
 
1-3-2.N節1含む文について
 上述したように接続節2含む文の総文数の約2.5割がN節1を含む文である。そのうちα系列がβ系列の約4倍の出現が認められる。α系列では、a型はイとハはほぼ同率の出現で、次にロが続く。イではa節の節末語は「連用形・て」などで、順接系の「つなぎの言葉」で繋ぐことが可能である。ハは、節末語は「連用形・ながらも・ので」などで、順接系、逆接系、条件系のすべてが現われる。ロでは、順接系が認められる。α系列のs型はイ、ロ、ハが各1例ずつで、条件系と順接系が現われる。β系列はβ@のみ出現し、a型はイのみで順接系、s型はロとハのみの出現で、ロは1年に認められ、節末語「が」の逆接系であるが、ハは「て・連用形」による順接系の「つなぎの言葉」で理解可能なものである。また、N節の「入り組み型」やN節中に引用節を含むものがα系列のa型とs型に数例ずつと、β系列のβ@a型に1例出現する。これらはハがほとんどで、接続節の節末語のどれか一つが並列接続を含み、そこで文を分割することができ、順接系の「そして」などで理解可能である。以上がN節1含む文の基本類型と「つなぎの言葉」についてであるが、これらの文のうち2例は1年で出現するが、残りのすべてが4年以上の高学年で現われている。
 では、N節1はどのような基本的要素として複文中で働いているのであろうか。α系列ではa型イ、ロはa節中で主題要素として働くN節が1例、その他は補足語要素として働くN節である。これらのN節は、言い換えれば、最初の節に存在するということである。また、イの従属節中の補足語要素が1例存在する。ハにおいては、主題要素1例、修飾語要素1例、その他はすべて補足語要素として働いており、a節中にもハの従属節、主節中にも現れる。s型はすべて補足語要素で、ロではやはり、複文の最初の節にN節が現れている。α系列ロのN節の特徴になろうか。イ、ハでは、文全体の主節に位置するものもあり、ロでは現れない特徴である。総合するとa型でもs型でも、最初の節にN節が現れているものが最も多い。β系列についてみると、数が少ないが、文頭にあるN節は、主題要素として働いている。その他は文全体の主節中で補足語要素や修飾語要素となっている。また、α系列に4例、β系列に1例、N節1の「入り組み型」がある。これらの「入り組み型」は補足語要素中にさらに補足語要素のN節が存在するものがほとんどであり、「こと節」や「の節」中に補足語要素のN節をもっているものが多く、高学年での出現である。以上がN節1における調査結果である。
 
1-3-3.N節2以上含む文・N節中に接続節を含む文について
 N節2以上含む文は出現数が少なく、出現傾向を見ることはできないが、N節2含む文はα系列はa型のみ2例で、5年に出現する。β系列はβ@はs型と単文型、βAはa型で、各1例ずつ高学年に認められる。α系列a型は、基本類型イとハに現れ、N節はほとんどが基本類型中の従属節にある。それらのN節は補足語要素として働いている。a節と基本類型との「つなぎの言葉」は順接系と逆接系である。β系列は文頭の節中にいずれもN節を含んでおり、それらは主題要素と補足語要素として働いている。「つなぎの言葉」は順接系や逆接系である。
 N節3含む文は6年に1例あり、α系列a型である。a節中と基本類型中の主節にN節はあり、いずれも補足語要素として働き、この主節中には「こと節」が現れている。
 次にN節中に接続節を含む文について見てみると、これらは文の拡大化が進んでいるが、α系列に2文、β系列に1文認められた。α系列の2文ともN節は1であるが、その中に接続節を含んでいる。これらの接続節は付帯状況や用途を表し、会話レベルの節なので、理解しやすく、指導しやすいN節と考える。これらのN節は補足語要素として働いている。β系列についてはβ@s型が4年に1文あり、N節2の中の一方のN節に接続節が含まれている。この接続節は順次を表し、「つなぎの言葉」も順接系である。このN節は主題要素を表し、今一つのN節はs節中で補足語要素となっている。この複文は文の拡大はあるものの、初期学習ですでに知っている接続節なので、指導は容易であろう。

1-4.接続節3以上含む文における複文構造

1-4-1.接続節3含む文における複文構造
 接続節3の文は全体でも19文しかないが、そのうちN節0のものは10例、N節1が7例、N節2が2例で、N節が3以上は存在しない。ゆえに、指導の際にはN節0と1が中心となろう。接続節3のほとんどは高学年で現れ、α系列がβ系列を上回っているが、基本類型パターンで見ると、(1)イハのように二つの基本類型で書き表せるものが8例(うちα系列4例、β系列4例)(2)aイsのように最初のa節で切れ、次に基本類型、最後にs節がくるものが5例(うちα系列4例、β系列1例)(3)abハのように、a節、b節で切れて、最後に基本類型がくるものが3例(α系列のみ)(4)ハ変sと便宜的に書き表したが、s節以外は「〜たり−たり」のように並列節となっているものが3例(α系列のみ)ある(注8)。このように、α系列では四つの基本類型パターンのいずれもがほぼ均等に出現するが、β系列では(2)が1例、残りは(1)となる。(1)や(4)の基本類型パターンでは「つなぎの言葉」は一つだけだが、(2)(3)では必然的に二つの「つなぎの言葉」を要する。「つなぎの言葉」について見ると、節末語「と」となる条件系の「すると」、節末語が並列の「て」や「連用形」となる順接系の「そして」、次いで、順接系の「そのとき」逆接系の「しかし」などが続く。「つなぎの言葉」が二つ必要な場合は継起や並列の意味を表わす「そして」と別の「つなぎの言葉」の組み合わせであるようだ。
 N節の出現も2例を除いて、α系列に集中している。β系列のN節は冒頭に位置して文全体の主語となるN節と、基本類型パターン(1)において、2番目の基本類型中の従属節に位置するN節である。残りのα系列に現われるN節は1のとき、基本類型中の主節ないしは冒頭、あるいは単文に切った場合その単文中に現われるが、基本類型中の従属節に出てくる例は見あたらなかった。N節2は2例のみだが、一つは基本類型中の従属節中に、他の一つは基本類型パターンabハのa節、b節中に分散して現われる「並列型」である。また、N節中に接続節を含む文も2例あるが、いずれもN節1なので、指導の際には接続節を含まないN節1の文構造を基本にして教えることができる。N節の働きについては、主題要素のN節が両系列に1例ずつあるが、後は補足語要素であった。引用節はハ変Sの基本類型パターンにおいてs節中に出現するものが1例見られた。接続節が増え、文は拡大化しているが、N節も1が中心で、引用節も減少化すると言えよう。
 
1-4-2.接続節4以上含む文における複文構造
 接続節4以上含む文はごくわずかであるが、すべて高学年で出てくる。特に、接続節5は6年で、接続節6は4年で、各2例ずつ出現する。接続節4では、1例を除き、すべてα系列である。そこで出現する基本類型パターンは(1)aロイのようにa節と基本類型の組み合わせ(α系列3例)(2)イハsのようにs節と基本類型の組み合わせ(α系列1例)(3)a節あるいはs節と単文の組み合わせ(α系列1例、β系列1例)(4)基本類型と単文の組み合わせ(α系列1例)である。「つなぎの言葉」は(3)や(4)以外は二つとなるが、そのうちの一つが条件系(節末語では「ば」や「と」)であるものが多いようだが、用例が少ないので確かなことはわからない。接続節4の文のうち、N節1を含むのはβ系列の1例のみであり、a節と単文の組み合わせにおいて最後のs節に位置する。その文中での働きは補足語要素である。引用節はα系列のaイイの組み合わせにおいて、2番目の基本類型イの従属節中に現われる。
 接続節5以上の4例もすべてα系列である。基本類型パターンは接続節5ではハイハのように三つの基本類型の組み合わせ、接続節6ではそれにa節のような単文節との組み合わせである。「つなぎの言葉」は当然二つ以上となるが、順接系(節末語では「て(継起・因果)」「連用形(並列)」など)がほとんどである。N節は補足語の働きをするもののみで、接続節5ではN節2の「並列型」が1例、接続節6ではN節1が基本類型パターンaイハハの最後の基本類型中の主節に位置するものが1例見られる。引用節は接続節5の2例において、三番目の基本類型中に位置するか、2番目と3番目の両方に位置している。接続節6においては引用節は観察されなかった。いずれにしても、わずか4例なので、例外的と考えられる。

2.考察−複文の指導にむけて−

 これまで、接続節の数によって分け、N節を含まない、あるいはN節を含む複文構造について見てきたが、その各々の特徴をもう一度概観すると次のようになるだろう。
 まず、接続節0においては、総文数の約8割を占めているN節1のときは、N節の文中における働きは「が」を伴う補足語要素が中心であり、次いで述語要素がくる。N節2においては、補足語要素以外に述語要素や主題要素の割合も増え、N節の働きが多様化してくることがわかる。N節3は非常に少ないが、1例を除き高学年に現れ、すべて「並列型」である。引用節中に接続節やN節を含む文も、そのほとんどが高学年で出現し、引用節は主節に位置している。引用節内の複文構造は、接続節1、N節1が半数を占め、それ以外の複文構造も、接続節が増えればN節が減り、N節が増えれば接続節が減るという相関関係がここでも見られる。(注9)
 接続節1においては、N節0と1が約9割までを占め、ここでの中心となる。N節0では、α系列がβ系列を大きく上回り、中でもα系列のハが最も多く、それは高学年で主として出現する。また、α系列のハでは節末語の種類も多い。N節1においても、α系列のハが最も多く、また高学年に多出するという同様の特徴がある。N節の位置は、α系列のハ(特に節末語が「と」のとき)では主節に置かれることが多い。他方、β系列では文頭に置かれることがほとんどである。N節の文中における働きでは両系列とも補足語要素が多い。N節2以上は全体の1割に満たないのであるが、やはりα系列のハが一番多い。N節もすべてが「並列型」である。N節のうち接続節を含むような文も若干あるが、N節が1で、含まれている接続節も1のものが大部分である。
 接続節2でも、N節0と1が全体の9割以上を占める。N節0では、接続節1と同様、α系列がβ系列を上回り、α系列のa型とs型が中心となる。α系列のa型では、基本類型イとハ、s型ではハが多くなるという特徴がある。「つなぎの言葉」はa節と基本類型イでは、順接系(「そして」)が、a節と基本類型ハでは、条件系(「すると」)や逆接系(「でも」)が目立っている。また、s型では条件系がほとんどである。α系列の単文型では節末語は限られている。β系列においては、a型もs型もイとハが中心である。N節1では、「つなぎの言葉」は、α系列a型イ、ロでは順接系、α系列a型ハでは順接系、逆接系、条件系のすべてが現われる。β系列では、a型では順接系、s型では順接系、逆接系の両方が認められる。N節の文中における働きは、α系列のa型では補足語要素となるものがほとんどであり、その位置はa節とイあるいはロにおいては、a節中に、a節とハでは三つの節のいずれにも現れる。s型ではすべてが補足語要素として働き、N節が最初の節に位置していることが多い。β系列は少ないが、N節は文頭あるいは文全体の主節中に位置し、主題要素や補足語、修飾語要素として働く。また、「入り組み型」もわずかに存在するが、すべて高学年で現れる。N節2以上は非常に少ないが、やはりすべて高学年で観察される。N節中に接続節を含む文も接続節1の場合よりも更に少ない。いずれも含まれるのは接続節1であり、その構造も簡単である。
 接続節3以上は説明文全体の1割にも満たないが、N節0とN節1が中心であることは同様である。また、接続節3の大部分と4以上はすべて高学年で出現する。いずれにしても、やはりα系列がβ系列を上回る。基本類型パタ−ンについては既に記した通りである。
 説明文全体から見れば、接続節もN節も含まない単文、接続節0だがN節を含む文、接続節1の文がいずれも3割弱、接続節2の文が約1割の割合で現われ、接続節3以上の文は問題にならないほど少ない。それゆえ量からいっても、複文の指導においては単文を除いた、N節を含む接続節0と、接続節1および2の文にその力点を置かなければならないことは明らかであろう。接続節0の場合では、問題になるのはN節ならびに引用節の位置や、N節の文中における働きなどである。ここではN節1の場合が中心であり、その特徴を踏まえて教える。接続節やN節を含む引用節の場合は、すべて主節に置かれているという著しい特徴があるので、まず引用節の文中での位置を確認し、次いで引用節を取り出して教えるとよいだろう。
 ところで、先に各々の特徴を概観したが、接続節1と2では、接続節の数は変化するが、いくつかの共通した特徴があることに気づく。すなわち、どちらもN節0と1が中心であり、どちらの場合もα系列がβ系列を上回る。また、接続節1ではα系列のハが、接続節2ではやはりα系列のa型とs型が際立っている。N節の位置は、β系列では文頭に位置するものが多い。また、α系列ではN節が補足語要素として働くものがほとんどである。引用節はα系列に置かれていることが多く、その数はN節が増えるにつれて減ってくる。もちろん、異なった特徴も見られ、α系列においては、N節の位置が接続節1では主節中に、接続節2では最初の節に置かれていることが多い。したがって、指導の際にはこうした著しい共通点や差異を踏まえながら、接続節1、N節0においては、基本類型に基づき、節末語の種類によっては「つなぎの言葉」を想定し、単文に切って教える。N節がある場合も、N節1という安定した文構造が中心となるので、それを基本におき、基本類型のどこにN節ならびに引用節を置くかを指導していく。接続節2、N節0においては、当然「つなぎの言葉」が要求されるが、節末語の種類によっては、それを想定しにくい場合などを考えながら教える必要がある。接続節2、N節1も接続節2、N節0の構造を基本にしながら、どこにN節を置くかや、N節の働きに重点を置いて教えればよいだろう。接続節3以上になると、かなりの長文と言えるのだが、N節は0あるいは1が中心となるので、まず基本類型や単文に文を切っていき、文意を損なわない程度の「つなぎの言葉」を想定しながら教えていけば、理解も容易になると考えられる。但し、既に見てきたように、説明文全体から見た割合はごくわずかであるから、読んで理解するのに止め、作文指導の必要性はあまりないと考えられる。

 

W.おわりに

 小学校国語の教科書学習のための日本語補助教材作成資料として、今まで、文の長さや接続詞の調査、市販されている年少者向け日本語補助教材と成人向け日本語テキストなどの「て形」文型の比較考察、小学校の国語教科書の領域別による接続節やN節の分析、さらには引用節をも合せて複文構造として捉え直すなど文レベルでの考察を深めてきた。まだ文末表現や助詞相当表現の調査は残されてはいるものの小学校の国語の教科書について、光村図書のみではあるが、その構造、特に複文構造についての輪郭が明らかになってきたように思われる。もちろん複文の指導については、文をどこで切るか、また文を切った場合でも「つなぎの言葉」を想定しにくい場合や、「つなぎの言葉」を想定しても、文意が損なわれる場合などどうするか、問題はまだまだ多いが、教科の移行期にある児童に国語の教材のあらましを知らせるために複文をどう理解させるかという試みの一応の指針は示せたと言えるであろう。


 注
(1)光元聰江・三宅節子「文学教材にあらわれた複文構造について」岡山大学教育学部研究集録,第106号,1997
(2)光元聰江・三宅節子「文学教材にあらわれた接続節について」(1996)この論文では、名詞修飾節(連体節)・引 用節などは調査対象外とし、いわゆる副詞節・並列節のみを調査対象としている。
(3)益岡は『複文』(1997)において、「引用節は基本的に連用節に属するものとしておいて、一部の引用節が補足  語の働きをするという見方を採用することにする。」(p.12)と述べているが、本 稿では、指導上の観点から連用  節(接続節)に含めないで、別個に取り出した。
(4)これらに関しては森田・松木(1989)において「複合辞」として扱われているものを大体の目安 とした。
(5)南 不二男『現代日本語文法の輪郭』,大修館書店,1993年.
(6)南が『現代日本語文法の輪郭』(pp.63〜68)で、独立語文としてあげたもののうち、提示文以外 の「間投文・は たらきかけ文・応答文」などを含めた。
(7)上記(1),p.162参照
(8)上記(1)の研究集録においては、文を大きく二つに切ることを目指し、「つなぎの言葉」も一つだ けであった。
 今回、接続節3以上もすべて単文あるいは基本類型で表わそうと試みた。
(9)このことは、岡山大学教育学部研究集録(第104号,p.162,p.164)で、光元、三宅が指摘した。
 
 参考文献
1)角田太作「体言締め文」『日本語文法の諸問題−高橋太郎先生古稀記念論文集−』鈴木泰・角田太作編,ひつ じ書房,1996年,p.139〜161.  
2)野田尚史『「は」と「が」』(新日本語文法選書1),くろしお出版,1996年.
3)益岡隆志「名詞修飾節の接続形式−内容節を中心に−」『日本語の名詞修飾表現』田窪行則編,くろしお出版, 1994年.
4)益岡隆志・田窪行則『基礎日本語文法−改訂版−』くろしお出版,1995年.
5)益岡隆志『複文』(新日本語文法選書2),くろしお出版,1997年.
6)光元聰江・三宅節子「文学教材にあらわれた接続節について−小学校の日本語補助教材作成資料として−」岡 山大学教育学部研究集録,第102号,1996年.
7)光元聰江・三宅節子「説明文にあらわれた名詞修飾節について−小学校の日本語補助教材作成資料として−」 岡山大学教育学部研究集録,第104号,1997年.
8)光元聰江・三宅節子「文学教材にあらわれた複文構造について−小学校国語の日本語補助教材作成資料とし  て−」岡山大学教育学部研究集録,第106号,1997年.
9)南 不二男『現代日本語文法の輪郭』,大修館書店,1993年.
10)森田良行・松木正恵『日本語表現文型』,アルク,1989年.