ニーズ調査案(竜丘版)

内容
1.訪問の趣旨説明 訪問者が中国帰国者に対して行う趣旨説明のポイントをまとめたもの
2.聴き取り項目 質問紙記入方式のアンケート内容を、訪問調査用にアレンジしたものです。これはまた、訪問時の会話の流れを示すモデルにもなるはずです。
3.留意点 訪問調査の前後も含めて留意すべき点をまとめたものです。
特に帰国者のプライバシーをまもることには気を付けなければなりません。スタッフをいくつかの種類に分けて、全体の情報を管理するレベルを特定する必要があるのかもしれません。

ニーズ調査案(竜丘版)

1.訪問の趣旨説明


2.聴き取り項目


(1)基本的事項・日常生活の様子について

  ・来日時期
  ・家族(特に子供の就学状況)
  ・外出機会と頻度
  ・近所付き合いの有無 等

(2)交流について

  ・日本人の友人はほしいか
    …話し相手/相談相手/趣味の仲間/日本語学習の相手/?
  ・一緒にやってみたい活動は
    …趣味(釣り・園芸・麻雀・カラオケ等)/スポーツ/見学/行事や催しへの参加/?
  ・教えてほしいことは
    …日本料理/将棋/ワープロ/日本語/?
  ・教えられることは
    …気功/料理/刺繍/中国語/?

(3)日本語について

  ・日本語使用状況
    …使う機会や相手/日本人の友人の有無/日本語学習歴→今はどんな勉強を?
  ・日本語力の自己判定
    …挨拶程度/簡単な会話が少し/簡単な会話なら大体/問題なし
    …平仮名・カタカナの読み書きは?/日本の漢字の読み書きは?
  ・(日本語で)困ることはないか
  ・日本語学習ニーズ
    …とてもしたい/したい/機会があれば/今はあまり/不要
    …希望する学習条件(場所・時間・頻度)は?
    …このために学習したいというはっきりした目的はあるか?

(4)終結に向けて

  ・地域への要望
  ・その他雑談

3.留意点


(1)事前の準備

 a.フェイス・シートを作成し、目を通しておく

  ・対象者について事前にわかっているものは記入しておく
    …氏名、年齢(年代)、性別、家族構成(続柄)、履歴(来日時期、学歴、職歴、日本語学習歴、…)、等
    ※ 統計資料を作る目的ではないので、あまり細かくする必要はない
  ・担当する対象者のフェイス・シートに目を通しておいてから訪問に臨む

 b.通訳者との事前打ち合わせ

  ・通訳者との間で、訪問調査の目的や内容について十分に話し合っておく

 c.記入用紙の作成

  ・訪問後に結果を記入するための用紙を作成しておく

 d.聴き取りの予行演習

  ・訪問者同士で、あるいは家族に協力してもらい、できれば一度予行演習を

(2)訪問時の留意点

 a.「調査」というよりも、友好関係作りの第一歩という心構えで

  ・友好的でリラックスした雰囲気作りに努める
    …和やかな表情、雰囲気で
    …相づちや言葉(共感・感想等)を挟む
    …一問一答で話題がプツプツ途切れないように
    …世間話風に興味に従って自然な流れで話を進める
    …相手と視線を合わせて(通訳の方だけを見て話さない)
  ・相手が「調査されている」という感じをもたずに済むように配慮する
    …尋問調にならないこと
    …質問を矢継ぎ早に繰り出さない
    …聞き出すというより、会話の中から知る
    …その場で記入用紙に書き込まない
      ※ 但し、一家で何人も対象者がいて覚えきれない状況では目前でメモをとることもやむを得ない
  ・すべてを聴き出そうと欲張らない
    …質問項目を全部消化する必要はない。是非聞いておいたほうがいい事には◎、できれば聞きたい事には○をつけておいて、それ以外の項目は話題が途切れた時、役立てるメモ程度に考える

 b.質問にはできるだけ本人に答えてもらう

  ・他の家族が代弁した場合も、本人にもう一度確かめておくのが原則
  ・一家族に対象者が複数いる場合、一人聞き終わったら次の人に聞くようにするか、一つの項目毎に各人に聞くようにするか、状況を見て判断する

 c.帰国者からの質問や相談に答えるときには慎重に

  ・インタビュー中、質問や相談を受けることがあるが、簡単な事項で即答できる場合は別として、返答に躊躇する問題は、後で検討して返事すると答えておく

 d.訪問時の会話全体から日本語力を測る

  ・日本語力を次のような記述で判定し、メモしておく(備考欄に感想を)
    …挨拶程度できる/簡単な会話が少々できる/簡単な会話が大体できる
     /日常会話全般ほぼ問題ない
    …備考:[例]ご本人は「日本語はあまり話せない」というが、こちらの話しは結構分かっている感じだ
  ・帰国者本人の自己診断も聞いておく

 e.プライバシーへの配慮

  ・相手が質問をそらそうとしたり答えにくそうにしたら、さらりと納めて追求はしない
    …帰国者の中には、種々の事情から中国語の識字に困難のある人がいるが、今回は識字力については直接尋ねるのを避ける(必要があればご本人から話されることが多い)
    …例えば年齢を尋ねるべきどうか(中国の人は聞かれても平気だとは思うが、相手が平気ならいいのだろうか)。統計資料を作るのでなく、交流会準備で参考にする程度なら、訪問者の印象で「〜才代位」でもかまわないかもしれない
  ・家の中をじろじろ見回したりして相手の生活の様子に過度に興味を示さない

(3)事後の作業と留意点

  ・訪問時の会話の内容をわすれないうちに記録
    …聴き取り内容や印象についての記憶は消えてしまったりあやふやになったりしやすい。次の家庭を訪問する前に、別の場所ですばやくまとめておく
  ・入手情報の管理をきちんとする
    …調査上知り得た個人の情報をどのように活用し、どのように管理(秘密保持)するかは倫理上の問題ともからむので、特に注意!むやみに口外してはならない
      ※ 地域活動に関わる調査では、被調査者の個人的な情報が地域の住民に皆知られてしまい、「丸裸にされてしまった」という事例もある
    …全体でシェアーしてもよい情報(交流会企画に直接関わるもの)とそうでない情報を区別し、後者については責任者がきちんと管理する