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研修会 教材・教育資料 事例紹介 W君のチャレンジ!! 夜間中学校や夜間日本語教室で学ぶ人々 とん・とん インフォメーション |
先頃、知り合いの先生から伺ったお話です。インドシナ諸国からの難民に日本語を教えていた方ですが、ある日、その先生に以前の学生から電話がありました。彼は「自分たちの仲間には、10年以上日本に住んでいるのに会社の書類や市役所の用紙にどう書いたらいいかよくわからない人がいます。」と言い、「先生、これは悲しいことです。私たちが公民館などの場所を探して仲間を集めますから、きちんとした日本語を教えてほしい。」と先生に頼んだそうです。さらに「先生の交通費もお礼も自分たちで払います。10年以上も日本に住んでいて、今はお金に困っていませんから。」といった頼もしい提案もあったといいます。
定住型の学習者の場合、生活の変化に伴い学習ニーズも変化し続けることから、支援活動にもその変化に見合った長期的な対応が望まれています。これは学習者が難民であれ中国帰国者であれ、同様のことと言えます。所沢センターの修了生の例では、就業して何年か後に、自立研修センター(二次センター)の再研修を受けたり、夜間高校に入学したりといった話も聞いています。変化し続けるニーズに応えられる支援をと、私たちは試行錯誤を続けているわけですが、この作業に学習者自身の視点と行動をもっと組み込んでいければ、より効果的な支援の枠組みと実践が導き出せるのではないでしょうか。「支援する側/される側」、こうした図式の下での活動だけでは、先に述べた「ニーズの変化に見合った長期的な対応」はなかなか実現できないのではないかと思われます。
もちろん学習を希望している人が皆、この事例の人のように意志表示をし行動を起こせるわけではありません。意欲はあってもそれをうまく学習に結びつけるのは難しいことでしょう。時間的経済的な理由、情報不足、さらには自己評価の低さなど心理的なものも含む要因が希望者を学習から遠ざけています。しかし、例えば、学習ニーズを把握すること、学習しやすい方法を探ることなどは、支援者だけの仕事ではなく学習者と支援者が共に行える作業です。学習者が活動を決定する過程に参加することで、ニーズを現状に合わせて考え直したり少し長めのスパンで目標を定めたりすることが可能になるのではないでしょうか。
どのようにすれば学習者と「協働」していけるか、これは支援の姿勢に対して課せられている課題と言えるでしょう。
(財)兵庫県海外同友会が1978年に開設した日本語教室は、88年、兵庫県中国帰国者自立研修センターとなり、現在、同会が県の委託を受けて運営している。
@日本語指導 | 1)神戸教室 : | 月曜日〜金曜日 13:00〜16:00 |
2)伊丹教室 : | 月曜日〜木曜日、土曜日 09:00〜12:00 | |
A生活、就労相談: | 土曜日 13:00〜17:00 |
@Aの他に、買い物実習や1泊2日の研修旅行を実施し、地域住民との交流・日本の生活習慣の習得機会を設けているほか、「弁論大会」「電話による話し方競技大会」「先輩の体験発表」などを行う帰国者交流会を開催している。
所在地 〒651-0062 神戸市中央区坂口通2−1−18 兵庫県福祉センター内
TEL 078−242−4622
中国帰国者の帰国・受け入れ援護施策として、国から帰国旅費の支給を受けて永住帰国または一時帰国した者に対して、知事見舞金として、永住帰国は10万円、一時帰国は5万円(2度に限る)を支給し、公営住宅への入居斡旋を行っている。また、自立指導員や自立支援通訳は定着後3年以内の世帯に対して派遣されるが、兵庫県では、これ以外に独自の定着援護施策として中国引揚者相談員を派遣している。これは、帰国後3年を経た世帯に対し、日常生活の悩みを聞いたり就労自立に係わる助言・指導をしたりするためのもので、必要に応じて二・三世等の呼び寄せ家族に対しても支援している。
兵庫県内への中国帰国者の総数は、1913人である(平成11年3月31日現在)。その内訳は、 国の援護対象者として
孤児 | 88人 | ( 4.6%) |
残留婦人等 | 102人 | ( 5.3%) |
配偶者 | 83人 | ( 4.3%) |
養父母 | 2人 | ( 0.1%) |
二・三世 | 220人 | (11.5%) |
であるが、援護対象外者(呼び寄せ二・三世、帰国後出生等)として1418人(74.2%)を数えている。
本校には90年度から中国残留孤児・残留婦人の三世にあたる児童が在籍するようになり、年々その数が増えてきました(昨年度18名)が、94年度に文部省の「帰国子女教育研究協力校」、95年度に高知市教育委員会の「国際理解教育」の研究校(各2年間)の指定を受けて以来、研究実践を重ねてきました。この研究は帰国児童にもっときめ細かな指導をしたいという教職員全員の願いから始まり、更に全児童のためにもなるものにしたいと、教育研修・同和教育・生活指導・特別活動の四つの部会がそれぞれ活動してきました。その結果、周りの子どもたちが自然に帰国児童を受け入れられるようになってきていると思われます。違いを違いとして受け止め、仲間として尊重し合える子どもたちを育てることをめざしている私たちの取り組みの一部をご紹介します。
全児童と教師のなかで帰国児童を中心にした国際理解教育の意味が明確になるよう、研究主題を「中国帰国児童とともに学ぶ国際理解教育」と設定した。帰国児童を理解し、仲間として尊重し、認め合うことができる子ども、また、それを通して自分やともだちを大切にできる子どもたちを育てたいと考えている。そのためには、まず相互理解を深める手段として、自分の思いや考えを相手に正しく伝えられる自己表現力を養うことが大切で、「子どもたちの自己表現力を育て、相互理解を深める」がサブテーマ。
日本語がまったく話せない子どもたちのために94年度、児童会が愛称をつけてくれた「ことばのとびら」教室ができたが、この教室の役割はつぎの五つ:@日本語と生活適応の指導−−帰国したばかりの子どもは体育や図工は在籍学級で学習し、それ以外は日本語教室で日本語や生活適応のための学習をする。そして、徐々に音楽や算数などが在籍学級で学習できるようになってくる。帰国児童が学校生活にスムーズに適応するためには日本語教室の教師と学級担任との連携が重要で、連絡ノートで児童の様子などを伝え合っている。A基礎学力定着のための教科指導−−1年くらいで日常会話にはある程度困らなくなるが、国語や社会の学習は依然として非常に困難なので、授業時間帯に取り出して実力に応じた教科指導をしているが、担当教員が少なくて十分な指導時間が確保できない現状。B中国語能力の保持伸長−−中国語を忘れかけたり、幼いときに来日して中国語があまり話せず、親とのコミュニケーションが取りにくくなっている状況を少しでも緩和しようと、月2回の中国語教室を開いている。そして、この教室の活動を発展させたものとして、運動会と音楽会のプログラムや場内アナウンスを日中両国語で行っている。これは帰国児童に中国語が話せるという特性で自信をもたせること、他の児童には生の中国語を耳にすることで、国際感覚を育てるとともに帰国児童の良さに気付かせること、保護者や地域の人々には帰国児童に対する理解を深める助けになるなどをねらいとしている。C家庭と学級・学校のパイプ役−−参観日や家庭訪問などの学校行事だけでは、日本語が不自由な保護者と学級担任との相互理解が困難なことから、年1回「帰国児童保護者と教職員、保護者同士の連携と親睦を深めるための会」を開いている。ギョウザを作って食べながらの和やかな雰囲気が好評で、一昨年度からはPTA主催で一般の保護者も参加するようになり、まさに地域に友好の輪を広げている。また、学校行事の案内や学校のきまりなど、生活・事務・保健に関する通信を中国語で出していて、80種類のおたよりを『中国語おたより集』として集大成した。(『同声・同気』第14号で紹介)D帰国児童のカウンセリング−−週1回、日本語も堪能で日本人の考え方や生活習慣にも詳しい中国人のカウンセラーがストレスを抱えた子どもに適切なアドバイスをしてくれる。また、私たち教師は中国の生活習慣や考え方を教えてもらえるので、帰国児童を理解するためにたいへん参考になっている。
教育研修部が中心となって帰国児童を理解するための系統的な教材を開発している。わからないことばで授業を受ける戸惑いや不安を実体験させる「中国の小学校に行ってみよう」(3年生)をはじめ、「中国語と英語の数を覚えよう」(障害児学級)「おもちゃであそぼうよ」(1年生)「ことばのとびら教室のことを知ろう」(2年生)「帰国した人たちと仲良くなろう」(4年生)「中国帰国者自立研修センターを知ろう」(5年生)「中国残留体験談」(6年生)などが手がけられており、毎年より良いものにしようと児童の実態に合わせて改善や工夫を重ねている。
○『ハロー ニーハオ こんにちは』TV集会−−1学期に1回、日本語教室の紹介や帰国児童が活躍する中国語講座など、子どもたちが中国に興味や関心を抱くような内容で行ってきたが、中国以外の国にも目を向けていこうと昨年から英語講座にも取り組んだ。回数は少ないのに今では多くの子どもが中国語の挨拶や数の数え方などを知っている。
○中国語クラブ−−中国語の勉強を中心にギョウザや切り絵づくりなどもとりいれて、中国に関心や親しみをもつ子どもを育てたいと思っている。
○中国語の生活目標−−生活委員会では毎月の生活目標を、日本語がわからない帰国児童も守ることができるように、日中両国語で表示している。
○中国語の教室標示−−帰国したばかりの子どものこころが安らぎ、周りの子どもたちが中国をすこしでも身近に感じることができるようにとの配慮から、各教室の標示を日中両国語でして、校内至る所で中国語が見られるようになっている。 (潮江南小学校 折田正子)
千葉自立センターでは、当センターを修了した国費帰国者を対象に再研修を始めて二年が経ちました。四月から、また、新しいクラスがスタートします。
再研修のクラスは毎週土曜日、千葉センターで開いています。午前1クラス、午後1クラスの2クラスがあります。
昨年度の午前クラスは五十代の人が多く、復習を中心にゆっくり授業を進めました。毎回17人前後の出席がありました。普段、日本語を話す機会があまりないようなので、教室ではなるべく口を開いてもらうようにしましたが、人数が多く、限られた時間の中では不十分だったかもしれません。みなメモを取りながら熱心に学習に取り組みました。せっかく習った日本語ですから忘れないで使っていってほしいと思います。また、生徒はここで週一度集まっておしゃべりできるのを楽しみにしていました。センターを修了してから家庭中心の生活になりがちな年輩の生徒にとって、大切な情報交換の場にもなったのではないかと思います。欠席する人も少なく、二年間続けて学習をする人が多かったです。
午後のクラスは、二十代の若い人の参加もあり、レベルアップクラスと位置づけて、難しい内容にもチャレンジしました。新聞から話題を持ってきて話し合ったり、日本の歴史を学習したりもしました。ただ、若い人は仕事や学校に忙しいのでしょうか、出席人数は3〜4人と少なくなり、いろいろな授業準備をして臨んでも、生徒が来ていないこともありました。しかし人数が少ない分、一人一人が積極的に授業に参加できたのは良かったと思います。
この二年間に使用した主な教材は、午前のクラスは『楽しく聞こうT』(凡人社)『にほんご1・2・3(上)』(アルク)『絵とタスクで学ぶにほんご』(凡人社)『文化初級日本語T』(凡人社)です。午後のクラスは、『楽しく聞こうU』(凡人社)『月刊日本語ジャーナル』(アルク)『ちょっとひとこと』(朝日カルチャーセンター)『日本を話そう』(ジャパンタイムズ)『毎日の聞き取り50日』(凡人社)等です。
今年度の再研修の参加者も五十代、四十代の人が多いので、午前クラスと午後クラスの人数に偏りが出ないように、人数のバランスを取りながら学習を進めていくことにしました。午前クラスは15人が参加を希望し、五十代後半の人が中心になります。午後のクラスは19人が参加を希望し、四十代の人が中心のクラスになります。午後のクラスは今までのレベルアップクラスとは違って、もう少しやさしい学習内容にしていくつもりです。使用教材は、午前のクラスは『楽しく聞こうT』、午後のクラスは『楽しく聞こうU』を使う予定です。どちらも、イラストがあり、わかりやすいテキストです。テープを聞き取ったり、声に出して練習したりして、日常会話になれていってほしいと思います。
再研修のクラスに出て、久しぶりに会った生徒の表情が八ヶ月の研修中よりも穏やかで明るくなっているのに気づきます。仕事についた人、趣味の釣りを楽しむ人、孫の世話に忙しい人、様々です。日本の暮らしにも慣れ、生活が安定し、落ち着いてきたことがわかります。体調を崩し参加できない人もいますが、再研修の場でまた元気な笑顔にあえるのはうれしいことです。生徒達も、八ヶ月研修のときと同じ場所で先生や仲間と会えるのを喜んでくれているようです。若い人たちも、職場、訓練校、高校とそれぞれの場所で生活の幅を広げ忙しい日々を送っているようです。必要があれば自分の力でどんどん学んでいける人たちだと信じています。元気でやっているという便りを聞けるだけでもうれしいことです。手探りで始めた再研修。三年目のスタートです。 (千葉センター 山脇智子)
「今後の日本語教育施策の推進について −日本語教育の新たな展開を目指して−」 《今後の日本語教育施策の推進に関する調査研究報告》
【趣 旨】 国内外の国際化に伴い日本語教育の重要性が増していることにかんがみ、日本語教育のより一層の振興を図るため、平成10年5月より、文化庁では、今後の日本語教育の推進に関する調査研究協力者会議を設け検討を行ってきたところ、このたび、その報告がまとまりました。
【構成・概要】 本報告ではまず、「はじめに」において、日本語教育施策の展開は、現在一つの大きな転機を迎えていることを明示しつつ、報告書を概観しています。
次に、「T 社会状況の変化と日本語教育」において、日本語教育施策を推進していくための体制の在り方について基本的な考え方をまとめています。
まず、「1コミュニケーション言語としての日本語教育」では、地域に居住する外国人が近年増加している状況を踏まえた上で、これらの人々は、職業生活あるいは日常生活において、日本語のコミュニケーション能力を必要としており、潜在的な日本語学習需要を有していることを示しています。そこで、今後は、これまで主に学習対象者としてきた留学生や日本語教育施設で学ぶ者だけでなく、地域に居住する日系南米人や中国帰国者、日本人の配偶者等を視野に入れた、多様な学習需要に対応する日本語教育の推進を図ることを提言しています。次の「2文化発信の基盤としての日本語教育」では、国際化が進展する中で、文化受信だけでなく、対外的な文化発信も積極的に行い、これにより、我が国への理解を深めていくことが極めて重要であることを述べています。また、海外における多様な日本語の学習需要に応じて、その積極的な支援を行っていくことの重要性が示されています。「3情報化社会における日本語教育」では、新しい情報メディアが普及しつつある情報社会において、日本語学習者がいつでも、どこでも、効果的に学習できるような環境を実現するため、これらメディアの積極的な活用を図っていくことの重要性を示しています。そして「4日本語教育行政を取り巻く状況」では、日本語教育に関係する多くの機関・団体が、総合的な視野の下に、全体として効果的・効率的な事業を展開できるよう、相互の連携・協力の抜本的強化を図るなど、日本語教育の推進体制を大きく発展させていくことの必要性を述べています。
その上で、「U 日本語教育の課題と今後の方向」において、日本語教育の様々な分野において、本協力者会議が現在課題として考える個々の問題点について、現状を分析した上で検討を加え、今後のあるべき方向性を提示しています。このU章では、日本語教育の施策においては現在、総合的な施策の展開が求められているとの認識の下に、できるだけ多くの課題について取り上げ、検討を加えています。
具体的には、日本語教育推進体制、日本語教員養成、日本語教育能力検定試験、日本語能力試験、多様なニーズに応じた教育内容・方法、教材開発・利用、日本語教育施設、地域における日本語教育、新しい情報メディアを活用した日本語教育、海外における日本語学習支援など、今後の日本語教育の充実を図っていく上で早急に解決すべき課題について言及しています。
本報告書で示した提言が実現されるためには、更に個々の課題ごとに、より具体的な検討が必要とされるでしょう。またすべての日本語教育関係機関・関係者の間で、その実現のための努力が払われなければならないと思われます。その意味で、今回の報告は、今後の日本語教育施策の推進に向けて、将来の方向性を明示したものと言えます。 (文化庁国語課野山広)
☆中国孤児等対策室から
1.中国残留邦人等の援護対策関係予算
平成10年度予算額 | 平成11年度予算額 | |
26億3千7百万円 | → | 22億7千5百万円 |
11年度においても引き続き、永住帰国希望者の受け入れ及び自立支援等を図ることとする。予算の内訳は以下の通りである。
@永住帰国者援護 | ||
23億6千4百万円 | → | 20億9百万円 |
(自立指導員派遣事業の充実のため、帰国後2年目の高齢者を対象に指導員の派遣を増やす)
A一時帰国者援護 | ||
2億3千万円 | → | 2億1千6百万円 |
B肉親調査の継続 | ||
4千3百万円 | → | 5千万円 |
2.残留邦人の家族を装った不法入国について
中国残留邦人の帰国制度を悪用して、ニセの家族を日本へ入国させる事件が起きています。厚生省としては、中国帰国者が犯罪に巻き込まれることのないよう、中国にいる残留邦人に対しては、日本への帰国にあたり、「第三者から、家族として帰国時に同行させてほしい、又は後日家族として呼び寄せてほしいと依頼されても断ってください」という主旨の文書を配布して注意を呼びかけています。また、既に帰国した残留邦人の方々に対しては、自立指導員及び身元引受人等を通じて、注意喚起の指導を都道府県にお願いしています。
・中国の家族を日本へ呼び寄せ入国させる場合、日本の戸籍及び中国発行の「公証書(中国帰国者の家族であることを証明する証書)」などを事前に法務省入国管理局へ提出して、比較的簡易に入国できる制度が設けられています。
・国の引揚援護の対象とならない呼び寄せ家族(二世・三世及びその家族)について、大阪市では、平成8年ころから残留邦人の家族を装った不法入国の事件が報道され、同9年から摘発が開始されました。法務省によると、平成10年における中国残留邦人の家族の入国申請に関し、偽装日系中国人であることが判明して入国を認めなかった割合は、全国約60%(大阪約80%)に及んでいるとのことです。
・法務省においては、このような事件を防止するため、厳正な審査を行うよう各地方入国管理局に指示し、また真正な中国残留邦人の家族の入国に影響が及ぶことのないよう務めています。
・こうした不法入国を知った時には、当室までご連絡くださるようお願い申しあげます。
連絡先:厚生省中国孤児等対策室
〒100-8045 東京都千代田区霞ヶ関1-2-2
TEL 03-3503-1711(内)3462 FAX 03-3503-0116
3.集団一時帰国者に対するオリエンテーション
(財)中国残留孤児援護基金は、今年度で5回目となる残留邦人の集団一時帰国を3月3日から16日までの日程で実施しましたが、3月4日には一時帰国者全員を対象としたオリエンテーションを行いました。当室では一時帰国援護の内容について説明するとともに、最近中国残留邦人の家族を装った不法入国事件がひんぱんに新聞紙上をにぎわせている折から、そのような事件に巻き込まれないよう最近の新聞記事の例を配布して注意を促しました。今回の帰国者たちは初参加の1人を除いて参加回数3回目4回目の方ばかりでしたが、帰国者はみな熱心に聞き入っていました。
1.平成11・12年度中国等帰国孤児子女教育研究協力校
文部省では、従来から中国残留邦人等の児童生徒に対する教育的配慮に基づく教育指導と中国等帰国孤児子女の積極的受入れ、及びそのための研究を行う学校を研究協力校に指定しています。このたび、平成11・12年度の中国等帰国孤児子女教育研究協力校として19校(平成10年度22校)を新たに指定しました。
青森県/ | 鶴田町立鶴田小学校 | 東大阪市立盾津中学校 | ||
埼玉県/ | 大宮市立七里小学校 | 東大阪市立盾津東中学校 | ||
千葉県/ | 千葉市立幸町第三小学校 | 大阪府立門真高等学校 | ||
東京都/ | 三鷹市立第四中学校 | 島根県/ | 江津市立有福温泉小学校 | |
京都府/ | 宇治市立平盛小学校 | 香川県/ | 高松市立勝賀中学校 | |
京田辺市立田辺東小学校 | 高知県/ | 高知市立潮江南小学校 | ||
大阪府/ | 東大阪市立鴻池東小学校 | 福岡県/ | 福岡市立城浜小学校 | |
東大阪市立加納小学校 | 金田町立金田小学校 | |||
堺市立三原台小学校 | 長崎県/ | 長崎市立滑石中学校 | ||
門真市立水島小学校 |
2.平成11年度教育相談員派遣事業の委嘱について
文部省は今年度から、都道府県教育委員会に委嘱して、外国人子女又は中国等帰国孤児子女の在籍する学校の所在する地域に、母語を理解できる者を派遣する事業を行っています。この事業は、外国人子女、保護者及び教員等からの適応に関する教育相談に応ずるためのものです。平成11年度は外国人子女関係43地域、中国等帰国孤児子女関係15地域(10都府県)を指定しました。中国等帰国孤児子女関係分は次の通りです。
福島県/福島市、群馬県/前橋市、埼玉県/岩槻市、東京都/荒川区・江戸川区・墨田区、長野県/長野市、大阪府/門真市・堺市・東大阪市・松原市、高知県/高知市、長崎県/長崎市、熊本県/菊陽町、鹿児島県/名瀬市
3.『外国人児童生徒のための日本語指導』第3分冊・第4分冊の刊行について
本書は、東京外国語大学が外国人児童生徒の日本語指導のために、調査研究を基に作成した指導書で、『同声・同気』第14号で紹介した第1、第2分冊に続くものです。詳しくは教育・教材資料の欄をご参照ください。
3月20日、文化女子大学で行われたこのシンポジウムは、日本語教育学会が初めて「子ども」の日本語教育に関わる催しを開催する、という点で、関係者の間で話題になっていました。
当日は、ベルリン州教育長の講演『ドイツ・ベルリン州における外国人子弟へのドイツ語教育の現状と課題』で始まりました。日本語の資料を見ながらとはいえ、1時間ドイツ語を聞いているのは少しつらい体験でした。つづいて三人の方が、@外国籍児童の保護者兼ボランティアA小学校の日本語教育担当の非常勤講師B小学校の専任教員(日本語学級担当)という立場から、実践報告をされました。時間が一人15分と大変短かく、質疑応答もできず少しもったいない気がしましたが、報告の中で現場の抱える切実な問題についても述べていたのが印象に残りました。午後のシンポジウムでは、四人のパネリストからそれぞれ、「学習言語の習得」「インターナショナルスクールでのカリキュラム開発」「多文化教育としての日本語・日本文化適応教育」「スウェーデンにおけるバイリンガル教育」についての発題がなされました。それぞれのテーマ単独で、シンポジウムが開けるような大きな問題ばかりで、ちょっと盛り沢山すぎたかなという印象です。研究者と現場の人間が一堂に会して議論を深めるというよりは、「こんな問題がある」「こんな問題もある」という紹介にとどまっていたようです。第一回めということもあり、主催者側の意図もそのあたりにあったのかもしれません。
最後にコメンテーターの先生から、「日本の学校教育の改革」が進むことが「外国人の子どもへの日本語教育」の改善につながり、「外国人の子どもへの日本語教育」を考えることがきっかけとなって「日本の学校教育の改革」も進むのだ、という趣旨の指摘がありました。このように互いが互いを必要としているという見方を、学校教育に携わる先生たちと日本語教育に関わる多くの人たちが、実感を持って共有できるといいですね。そのためにも、今回のような機会が継続して持たれ、それが日本語教育関係者ばかりでなく、学校教育関係者にとっても魅力的で参加しやすいものであってほしいと強く思いました。 (所沢センター 小川)
『同声・同気』で何度かお伝えしている会の定例会が以下の予定で行われます。
<1999年度第2回定例会(研修会)>
日時:7月31日(土)午後1時半〜4時 場所:ジャック大宮 5階研修室 (JR大宮駅西口ダイエー前) テーマ:非漢字圏から来た児童への漢字指導について 報告者:山白千津子(埼北日本語指導研究会) 河北祐子(武蔵野市帰国・外国人教育相談室) 参加費:800円(会場費・資料代/会員は無料) *ふたつの現場からの実践報告、教材紹介をもとに話し合いをすすめます。
<1999年度第3回定例会(シンポジウム)>
日時:8月28日(土)午後1時半〜4時半 場所:国際交流基金日本語国際センター
(JR北浦和駅西口より徒歩10分)
テーマ:子どもをめぐる親の思い、教師の思い
(2)学力と進学をめぐって
*報告者等詳細は決まり次第、当センターホームページにてお知らせいたします。なお、場所の問い合わせは梁島(TEL048-834-1186)まで。
連絡先:〒351-0007 朝霞市岡2-11-10
東洋大学朝霞校舎日本語教室気付
「子どものための日本語教育ネットワーク」事務局
FAX 048-468-6414
(連絡は書面かFAXで7月21日までにお願いします)
『同声・同気』10号で紹介した、英語教科書の日中対訳版で中学2・3年生用のものです。問い合わせ先は前回と同じです。但し、先生方のボランティア作業によっているため、コピーの希望に十分対応できません。近隣の学校に既に送付されている場合には、その学校から借りてコピーしてほしいとのことでした。
〒540-0006 大阪市中央区法円坂1-1-35 中央青年センター内 大阪市外国人教育研究協議会
TEL 06-6946-7795
平成8年度から3年間にわたって文化庁から中国帰国者定着促進センターに委嘱された事業の報告書である。事業の標題には「通信教育」とあるが、本書中では「通信による学習支援」と表現されている。「通信教育」という言葉から一般に連想される教材の送付と添削による指導というような狭い範囲に内容が限られていないためである。
ここで言う「学習支援」の対象者は、国内の様々な地域、とりわけ学習機会の少ない地域で日本語の学習を希望する帰国者等だけでなく、その学習を援助しようとする支援者も含む。双方ともに、言語や文化の差異を乗り越えて共生の地域社会を作ることにおいては学習当事者であり、支援を必要としているととらえられている。「学習支援」とは、これら学習の当事者に対して直接的にサービスを提供することだけでなく、学習が促進されるように地域社会の環境を改善するための支援も含めた広い概念となっている。
報告の中心となるのは第3章と第4章。第3章では、@状況把握のための調査の結果とAさまざまな通信手段をもちいて試行的に実施された学習支援の結果が報告されている。@は、定着地の帰国者と同伴家族、呼び寄せ家族を対象に行われた学習者側の実態とニーズの調査結果、および、地域における学習支援活動の事例収集を通して行われた支援者側の実態とニーズの調査結果から成る。Aは、帰国者等に直接実施された学習支援(学習者支援)と、地域の支援者に対して行われた支援(支援者支援)、支援にインターネットを活用する試みの報告から成っている。
第4章では、地域の学習当事者に対して長期的、総合的な視点から学習支援を継続するためには「新しい学習支援システム」が必要だとして、その基本的な構想を述べている。「通信による学習支援」はその新しいシステムに不可欠な重要な基盤と考えられている。その上で、当面実施可能な支援事項がサービス・メニューとしてリスト化されている。
帰国者や定住型外国人の日本語学習については、従来、来日当初のいわゆるサバイバル段階の支援に重点が置かれてきた。より長期的、総合的な支援体制を整え、具体的な対応策について実践を積み重ねていく必要があることは指摘されて久しいが、調査研究が遅れていた。本書は、実際の試行を通じて可能な対応策を検証するとともに、新しい支援システムを構築するための基本的な考え方を整理している。参考にすべき報告書であろう。
※本書の全文および本書に収録できなかった多くの論文、資料、記録等はホームページ『同声・同気』(http://www.kikokusha-center.or.jp/)に掲載されています。冊子をご希望の場合は、若干部数ですが残部がありますので、報告書希望の旨、住所、氏名を明記の上、『同声・同気』編集部まで葉書またはEメールにてお問い合わせください。
札幌には1998年現在、99カ国から来た6834人の外国人が住んでいる。その札幌で外国人に日本語を教える4人が、日本人と外国人の日常生活での交流がもっともっと活発になってほしいと考えてこのハンドブックを作った。地域の中に外国人が増え、日本人の間でも外国人との交流への関心が高まってきてはいるが、まだそれほど進んではいないと4人は思っている。“せっかく日本で出会ったのだもの、交流のはじめの言葉はやっぱり日本語で!”という思いを込めたタイトルである。
第一部は「外国人からの声」として、札幌に住む外国人からのメッセージとともに、私たちが外国人と交流するときに気をつけたいいくつかのポイントを“世界に出たらあなたも「外国人」”として外国人の立場から考えている。何よりも、先入観(○○人は××だ式の)を持って何かを断定的に尋ねたりすることを戒め、また、外国人自身が自分の日本語を直してもらった方がうれしいと考えていることも紹介している。
第二部は「普段の日本語」である。私たち自身も日常使う言葉や表現を時と場所、相手によって様々に使い分けていることに目を向けて、外国人のためにもちょっと考えて「日本語」を「ゆっくり、やさしく」使うことを勧めている。
第三部は「日本語でコミュニケーション」。実践編と言っていい。実際に日本語で外国人とコミュニケーションするときのことを考えて、“こんな風に言い換えたら外国人にもきっとわかりやすい”と、いくつかのコツを例示している。
A5版49ページの小さな冊子ではあるけれど、中身は濃い。巻末にはこの冊子を作るに当たって外国人に行ったインタビューのシートと、それをまとめたものを資料として載せている。
※入手ご希望の方は、住所・氏名を明記し、200円切手を貼ったA5版以上の返信用封筒と、手数料として切手200円分を同封の上、下記宛お申し込み下さい。なお、この冊子は東京の凡人社(TEL03-3239-8673)でも購入できます。
連絡先 〒062-8605 札幌市豊平区旭町4-1-40 北海学園大学 二通 信子
第3分冊は『中国語版 文法説明』、第4分冊は『ポルトガル語版 文法説明』で第1分冊の小学校高学年・中学校用の文法構造シラバス表の220項目について、日本語と中国語もしくはポルトガル語を対照比較しながら、文法が分かりやすく解説されています。また、説明の翻訳や索引もついています。
発行:(株)ぎょうせい(TEL 03-5349-6662) 税込み価格:第3分冊1890円、第4分冊2310円
好評につき改訂・増刷したとのお知らせをいただきました。
これは、日本の学校で学習している外国人の子どもたちが日常の語彙や表現を習得するための教材です。詳しいことは『同声・同気』第9・12号をご参照下さい。ご希望の方は下記まで御連絡を。
大宮市立教育研究所 (国際理解教育研究室) TEL 048-688-1453
3年前、残留孤児の母親と共に来日した青年がいる。仮にW君としよう。現在26歳、センター退所後、地域が催す外国人の日本語スピーチ大会に何回か出ているという消息を私たちは耳にしていた。私たちが興味を惹かれたのは、彼が何故そんなに何回もスピーチコンテストに出るのかということだった。私たちはW君にそのあたりの感想を書いてもらった。以下は、彼が送ってきた長い手紙を、補足は最小限にとどめて再構成したものである[原文部分は緑色、( )内は補足]。不如意が続く日本の生活の中で、自分の居場所と目標を求めて前向きに生きている青年の軌跡は、私たちにたくさんの示唆を与えてくれているような気がする。
センターを退所して実際の日本に触れたとき、W君は自分の日本語力のなさを痛感しました。職場ではいじめられているように感じるし、気持ちはいつも暗く落ち込んでいたといいます。
私は生活指導員と保証人に紹介して(もらって)公文式や、県の国際交流協会や、民間の国際交流協会の日本語クラスに入り、日本の生活中、第二回勉強を始めました。国際交流の活動もこの頃始め、クラスに入る時びっくりしました。(略)クラスの中に23か国の人を一緒に勉強している。皆さん、同じ言葉を通じないて心の世界寂しくなっている。気持に明るくなているため(気持ちを明るくするため)皆さん毎週火・水・木よう日の夜集まって勉強します。公文式教室にいる時は、小学生と一緒に勉強しました。
こうしてW君は、何カ国かの人たちと日本語(や)あまり通じない言葉を使って心と心に交流している。
と思いながら日本語学習を継続していきます。そうして8ヶ月後、勧められて外国人スピーチコンテストに出場します。
外国人と一緒にスピーチを比較したいで良い機会と思で、失敗の結果をなった、自信は強くなってきました。(略)これは私の新しい人生に第一挑戦の目標です。
以後、W君は県の国際交流協会の外国人グループに入り、様々な活動に参加していきます。そのグループでW君は、自分の国(と)別れて日本に来たのです。言葉は通じないし、食文化も違うし、慣れない日本の生活や習慣なとて毎日寂し(くて)疲れも重なることもありました。私たちは国際交流協会や
民間国際交流グループ等を利用して、心と心に交流します。国際交流にだんだん興味(が湧いて)来ました。(略)仕事の後に活動を参加するは意外の収益にもらいました。仕事と活動を続けながらW君は2回目のスピーチコンテストに出場します。それは、自分の日本語はまだまだ不十分だと思い、も一回ゼロに始め勉強して直す、(略)完全に日本語使って(略)自立生活の強者になりたい、という気持ちからでした。
民間の国際交流団体の活動も継続します。そのうち知っているの外国友達も半数(倍?)に増え、たぶんこれは人生中の一番良かった時節だと思います。
平成10年4月、W君は3回目のスピーチ大会を迎えます。
一ヶ月の時間で準備し、原稿の書いたり、直したりしました。(略)おかげさまで自己設定の目標は現実になりました。
W君はスピーチコンテスト出場3回目にして「チャレンジ賞」をもらったのです。まさにチャレンジ!です。感想を聞かれてW君は次のように答えます。
有名人(になること)や賞品のためじゃないです。寂しいの気持ちを解消して、たくさんの友達と話したいたけです。W君は手紙の最後をこんな風に締めくくっています。
(略)人生はだんだん楽しくなって来ました。国際交流活動、私は対してとてもよかったと思ています。国際交流活動にもっと強くなって同時(に)外国人の周囲に生活している日本人も“国際交流”と“国際和平”に関心し、協力してほしいです。
日本語を勉強するとき、W君の背中を押したのは、手紙の中に何度となく出てくる「寂しさ」ではなかったかと思います。その「寂しさ」は、日本語学習と並行して国際交流活動の場を持ったことで、様々な国から来て日本で暮らす外国人もまた、同じように「寂しさ」を感じているのだという強い実感をもたらしたのだと思います。その実感は、W君の日本での生活を支えるものの一つになっていったのではないでしょうか。綴られたW君の3年間を読んで私たちは、何よりも、自分の最も身近なところで親しく交流する人たちの存在と、気持ちの共有こそが日本語学習を励ますものなのではないかという気がしています。
わたしは今まで東京の公立夜間中学校の日本語学級で21年近く中国帰国者を中心とした方々に日本語を教えてきました。ここでは、現在仕事をしている足立区立足立第四中学校での指導の実践と、入学者面接担当者として日頃感じていることを述べてみたいと思います。
足立四中の日本語学級は71年に開設され、当初は韓国帰国者を中心に、70年代半ばからは中国帰国者を中心に受け入れてきましたが、現在はベトナム難民の関係者や国際結婚で来日した方なども受け入れるようになりました。99年3月末現在48名の生徒が在籍し、6名の専任教諭が日本語のレベル、学歴、年齢などに合わせて6クラスを運営しています。いままでに様々な日本語テキストを開発してきましたが、絵を多用した非識字者向けの『やさしいにほんご』、四中メイン教材の『にほんご』と『にほんごれんしゅう』第四版は基本文型の例文のすべてに絵をつけ、日常生活で使う言葉を意識的に取り入れた会話文を各課に入れました。また、『日本での生活』は、T.日常生活編が地震、住宅、交通、仕事、社会保険、ゴミの出し方、病気、緊急時、外国人登録、子どもの教育の10項目で、会話文と練習問題で構成されています。U.社会科編は文化や社会科的な内容の10項目からなっています。
夜間中学への入学条件は学歴が9年未満で、毎日学校に来て5時半から9時まで勉強し、日本語以外の技能教科や行事にも参加できることなどです。この条件に該当しない方は夜間中学で学習できないわけですが、足立区では教育振興公社の中に帰国者・外国人のための日本語教室があります。入門クラスで半年、初級クラスで半年、計1年間勉強できます。授業は無料で週3回、夜6時半から8時半までです。各クラスの定員は20名で、初級クラスは年2回欠員の補充をしていますが、いつも2倍前後の申し込みがあります。この申し込みのなかには、足立区以外では隣接する埼玉県からの応募が多く、この3年半、36名が埼玉県在住者でした。しかし、足立区在住・在勤の方が優先ですから、埼玉県在住の方はほとんど入れないのが現状です。
そこで、埼玉県の夜間中学や夜間の日本語教室について、すこし触れてみたいと思います。埼玉県にも中国帰国者自立研修センターがありますが、週5日のコースは午前のみで、夜間の初級コースは週1回とのことです。また、自治体やボランティアの日本語教室も夜の授業は少なく、あっても週1回という教室がほとんどです。埼玉県には公立の夜間中学がないため、94年度から5年間に、日本語学級と一般学級をあわせて21名もの埼玉県在住者が足立四中に入学しました。都内夜間中学校全体の調査によると73年から97年まで、各年10月1日現在、7〜31名の埼玉県在住の生徒が在籍していることがわかっています。しかし、都内の夜間中学校に通学できるのは、東京に近いごく一部の市の在住者のみです。また、在住する市の教育委員会から就学援助がもらえず、夜間中学校への通学を断念するケースも出ています。このようなことから、今後、埼玉県でも自立研修センターや自治体の夜の日本語教室が拡充され、公立の夜間中学校が開設されることを願っています。
(足立区立第四中学校 関本保孝)
高校受験というのは、子どもにとっても親にとっても周囲の人にとっても大きな関門の一つです。まして、日本語にハンディのある子どもにとっては、かなりやっかいな問題です。本人や周りの人がたくさん情報を持っていればいいのですが、それもなかなか難しい。というわけで今回は、いくつかの都道府県の高校入試についての措置を、自治体の担当課に問い合わせて一覧表にしてみました。都道府県名は伏せてありますが、自治体によっていろいろな対応があるんだな、ということが実感できるのではないでしょうか。
これを見ると、問い合わせた自治体のうち、日本語にハンディのある子どもに対して入試の特別枠を設けているところが8つ、日本人生徒と同じ一般入試を受ける際に何らかの特例措置を講じているところが6つあります。両方のルートを設けている自治体も3つあります。但し、その措置の中身は各自治体によって微妙な差があります。例えば、入試の「特別枠」というのも、帰国子女枠・外国人枠・帰国者(引揚者)枠等と様々ですし、具体的な名称は各自治体によって異なります。また、一般入試で受けられる特例措置というのも、「時間延長・問題文にルビ」等明記してあるところから、「措置は特にないが校長の裁量で個々に対応する」というところまで様々です。措置が受けられる条件についても、年度が変わって変更されていたところもありました。いずれにせよ、情報はその都度自治体に直接電話で確認するのが一番だと思います。
「自分の住んでいるところではどうなっているのだろう」と思われた方は、是非、各都道府県庁の担当者に問い合わせてみて下さい。「外国籍の子どもの高校入試のことを知りたい」と言えば担当の部署に回してくれます。「帰国者の子どもの…」と言うと、いわゆる帰国子女の入試の話を長々と聞かされたりします。が、どの担当者も概ね誠実に丁寧に説明してくれました。とくに、どうやって申請を出すのか、来日前でも出願できるのか、また、どんな書類が必要なのか、といった細かい情報は、直接聞いてみないとなかなかわかりません。是非みなさんトライして、その結果をセンターにもお知らせ下さい。
帰国生徒等の高校入試特別措置一覧
入試の種類 | 対象資格 | 選抜方法の特例措置 | |
---|---|---|---|
A県 | 海外在住者枠 (9校) |
海外に3年以上在住で帰国後2年以内 | 英語、数学、作文 |
一般入試 | 来日編入時点で小2以上の者 (中国帰国生及び外国籍生徒) |
時間延長、辞書持ち込み、ルビ | |
B県 | 外国人枠 | 来日後3年以内 | |
一般入試 | 来日編入時点で小4までの者 | ルビ、拡大文字、時間延長 | |
C県 | 帰国者枠 | 来日後小4以上に編入した者 | 面接と英語又は日本語の作文 |
外国人枠 | 来日後3年以内 | ||
D県 | 一般入試 | 来日後小3以上に編入した者 (外国籍・残留邦人子女とも) |
・試験科目を減らす(5→3科目) ・作文試験を面接に替える |
E県 | 外国籍枠 10人ずつ4校 |
来日後3年以内の者 (1-2ヶ月の超過は考慮される) |
・面接と英語又は日本語の作文 ・面接では口頭で学力も試験される |
一般入試 | 担当者談「引揚者には配慮するよう通知が来ている」 | ||
F県 | 一般入試 | 担当者談「措置はとくになし、但し個々に対応はする」 | |
G県 | 外国人枠 3校若干名 |
外国籍生徒・帰国子女とも来日後3年以内 | 各学校に任されている(面接と英語又は日本語の作文等) |
H県 | 一般入試 | 滞日年数制限なし(外国人) | 受験生個々に対応(例.試験科目を減らす、面接のみ、ルビ) |
I県 | 海外帰国子女枠 | 英国数、作文、面接 | |
J県 | 中国引揚者子女枠 | 滞日年数制限なし | 面接と作文(日本語) |
外国籍枠 | 来日後3年以内 | 面接と英語又は日本語の作文 | |
K県 | 外国籍枠 5校5人ずつ | 入国後3年以内 | 校長判断で対応(試験科目を減らして面接・作文に替える等) |
本書は、教習所に通いながら、学科試験に挑戦しようとする中国帰国者のための自習用問題集です。日本語を中国語訳と対照しながら、学科の知識を整理し、試験問題特有の言いまわしに慣れることを目的としています。
特色は@試験に出る可能性の高い問題に焦点を当て、教程別に整理しA全問中国語訳及びルビをつけB類似問題はまとめたうえ、日本語の難易度を考慮して配列しました。
資格・条件: @中国帰国者等(含む:同伴・呼び寄せ家族) A現在、自動車教習所に通っているか、近々入校を予定している方
B書面(中国語)によるアンケートへの回答が可能な方 募集期間:5月17日〜5月末日
応募方法:学習者の住所・氏名・電話番号を明記の上、下記宛にFAX又はがきでお申し込みください。電話で直接申し込まれても結構です。
(紹介者が代わって申し込む場合は、紹介者の氏名・連絡先も記載) 問い合わせ先:所沢センター教務課又は
Eメール:hir@kikokusha-center.or.jpまで
→「こつこつ日本語・運転免許」の教材紹介ページへ
・「あちこちメール」とは?
日本の各地で、成人の帰国者や定住型外国人(例えばインドシナ難民、日系外国人、国際結婚をした人など)を対象に日本語学習支援に取り組んでいる皆さん。日々の活動の中で疑問に思うこと、悩みなどを抱えたまま、孤軍奮闘しておられる方も多いのではないでしょうか。そこで、日本のあちこちで、成人定住外国人に関わる活動を行う者同士、情報や意見の交換ができる場がほしい!ということで、この「あちこちメール」を立ち上げることになりました。
しかし、立場は同じでも、活動の内容や方法はそれぞれ異なるでしょうし、交換される情報や意見はさまざまなものになるでしょう。語られるテーマも、多岐にわたると思われます。「あちこちメール」は、メーリングリストという手段で、それぞれの持つ現場や関わりを背景に、メールで交わされるテーマを共有しながら、メンバー間の出会いや、相互の協力が得られる場になればと思っています。そして、このネットワークが、帰国者・定住外国人問題に新しい何かを生み出すようなクリエイティブなものになることを期待しています。
・メーリングリストって?
メーリングリストは、1通の電子メールがリストに登録されたメンバー全員に届く仕組みです。メンバーそれぞれが自分の立場でメールを読み、書きたい人は意見や返事を書きます。メーリングリストを通して流せば、その「返信」もメンバー全員に配信されます。メ−リングリストに参加することで、このようにして情報や話題を共有することができます。
・こんな方、お待ちしています。
帰国者や定住外国人との関わり歴ウン十年の人、これから活動を始めようかなと考えている人、日本語学習支援や日本語学習に関わる周辺の問題に取り組んでいる人、ボランティア、日本語講師、そして定住外国人を「ご近所」として受け入れている地域の住民や職場の人等、「あちこちメール」は井戸端会議の気分で、気軽な参加をお待ちしています。
・申し込み方法 参加ご希望の方は、以下の宛先に簡単なプロフィールとともに、メールでお申し込みください。追って参加方法をお知らせします。
メール宛先:所沢センター教務課 平城 (hir@kikokusha-center.or.jp)又は 馬場 (bab@kikokusha-center.or.jp)
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★宮城中国帰国者定着促進センターと大阪の愚公時習社が平成十一年三月末日をもって閉所しました。
★高知県中国帰国者自立研修センターが平成十一年六月末日で閉所します。