<巻頭言>各地に広がった高校進学・進路ガイダンス 地域情報ア・ラ・カルト 再研修の現場から(愛知自立センター) 支援・交流センター遠隔学習課程 特集・各地の高校進学進路ガイダンス 札幌子ども日本語クラブ |
行政・施策(厚労省、文化庁、援護基金) 研修会情報 教材・教育資料 とん・とん インフォメーション ※ニュース記事から |
中国帰国生徒を含めた外国人生徒のための高校進学・進路ガイダンスは、1995年、神奈川県から始まり、1998年に大阪府と奈良県、2001年には東京都、2002年に広島県と千葉県へと広がり、今年は新たに北海道と福岡県が加わります。私たちが支援者間ネットワークを通して得た情報の範囲ではありますが、今年度は初夏から秋にかけて8都道府県、あわせて20ヶ所以上の会場でガイダンスが行われる予定とのこと。(詳しくは本号の特集「2003年度各地の全国高校進学・進路ガイダンス情報」をご参照ください。)
「今の勉強もやっとなのに、高校なんてとても自分には無理だろう」と最初から諦めてしまう子どもたち。地域によっては入試の特別措置や特別枠を使っての受験が可能なこと※や奨学金制度があることを保護者のみならず、担任の先生や日本語指導者も知らなかったということも未だにあるようです。高校進学のハードルは子どもたちにとって私たちが想像する以上に高いものでしょう。日本人の子どもたちの高校進学率は95%を越えています。その一方で、まだきちんとした調査は行われていませんが、外国から来た子どもたちの進学率は非常に低いということが大きな問題となっています。このような状況を少しでも改善するために各地の支援者による進学・進路ガイダンスが始められました。
支援者の方たちは毎年の積み重ねを生かし、次のような工夫をされていると聞きました。ある県では保護者や教員向けのガイダンスを6月、7月と早い時期に、生徒向けは秋にと2回に分けて実施。また、年に1度か2度開かれる規模の大きなガイダンスの他に小さな規模でも行ったり、子どもたちのための学習支援教室へ出向く“出前ガイダンス”というような地域に密着したきめ細やかな支援を行っている地域もあるそうです。
また、大学の教育学部との連携や、教育委員会の協力を得て活動しているところもあります。帰国児童生徒の学校生活をサポートする事業の一環として教育委員会が国際交流協会などのNPOに声をかけ、NPOと行政が協同でガイダンスを実施している地域もあるようです。しかしながら、このように行政からのバックアップを得ている地域は多くなく、ほとんどのところでは中学・高校の先生方やボランティアの方々個人の熱意に支えられているというのが現実のようです。
先日、進路ガイダンスを開いている各県の支援者とこれから開きたいと考えている地域の支援者が集い、情報交換や意見交換を行ったという話を聞きました。地域の中で繋がっていくのと同時に地域を越えた繋がりが強くなってきたことは今後の活動に大きな助けになるに違いありません。
※「全国中国帰国者等の高校入試特別措置情報」当センターHP<進学進路支援情報>に掲載中
毎週、火水金曜日の午前中、センターはとてもにぎやかになります。再研修のクラスがあるからです。
ここ愛知県中国帰国者自立研修センターで再研修のクラスが始まったのは平成13年12月からでした。最初は4〜5名で、週2回でした。平成14年4月からこのクラスが始まって、いつも20名くらいの一世とその配偶者が来ています。
授業は10時から12時までですが、9時半ごろにはほぼ半数の人が来て、授業の始まるのを待っています。みんなとても元気で楽しそうに話しています。(まるで小学校の始業前の教室のようです。)ここはお互いの情報交換の場にもなっているようです。
授業の内容は、日常よく使うことばのディクテーションや「日本の生活とことば」から『あいさつ』『病気』『電話』などのほかに基礎的な日本語の文法を学習し、日常使える会話を中心に練習しています。また、名古屋YWCAの日本語教師養成講座の受講生の方達との会話練習も行っています。
辞書を片手に調べる人、お互いに教えあったりしてクラスの雰囲気はとても明るく和やかで活気があふれています。時には疲れ気味の教師の方がパワーをもらっています。
軽い病気や薬をもらうため朝、病院に行っても、休むことなく少し遅れてクラスにやってきます。
今までクラス外活動もいろいろしました。「餃子作り」をして、センターが入っているビルの事務所の人と一緒に食べたり、長島温泉「なばなの里」へのバスツアー、健康と福祉を考える旅で「ビラマリーン南知多と愛知健康プラザ」の見学などをしました。研修生にとっては初めてのことが多く、どれもみんなとても楽しかったようです。
こうした学習が、かれらが地域社会に溶け込む一助となることを願って、センターのスタッフも頑張っていきたいと思っています。
(日本語講師 鵜飼奈都子)
本紙23号で支援・交流センター(首都圏センター)を紹介してから1年余りが過ぎました。今回は、首都圏センターの学習支援の柱である〈遠隔学習課程コース(通信教育による)〉の現状について取材をしました。
開所当初、約80名だった受講者も、2003年5月現在、在籍者数が450名を越えるまでに増えました。多くは帰国者の集住地域からの応募ですが、遠隔地でも学習しやすいように全国32カ所の都道府県でスクーリングも行われるようになりました(平成14年度にスクーリングを開始した自治体数)。
世代では、孤児世代が応募者の約2/3を占めています。これは、遠隔学習課程の案内を、孤児本人を中心に送付していることにもよりますが、生涯学習としての日本語学習支援がいかに必要かを示すものとも言えるでしょう。
現在、遠隔学習課程で扱っているコースは、11コースあり(次頁の表参照)、今年度中に更に、初級日本語の文法文型を学ぶコース、生活場面のサバイバル会話を学ぶコースの2つを開く予定とのこと。また、サハリン帰国者向けのコースも開設が予定されています。
現在行われている遠隔学習課程コースと最長学習期間
@職業訓練校入校中卒程度国語コース | 12ヶ月 |
A職業訓練校入校中卒程度数学コース | 12ヶ月 |
B職業訓練校入校高卒程度国語コース | 12ヶ月 |
C職業訓練校入校高卒程度数学コース | 12ヶ月 |
D漢字学習コース | 12ヶ月 |
E漢字ゆっくりコースA | 12ヶ月 |
F漢字ゆっくりコースB | 12ヶ月 |
G読解基礎コース | 6ヶ月 |
H就職対応コース | 6ヶ月 |
I近隣交際会話コース | 12ヶ月 |
J運転免許学科試験対応コース | 12ヶ月 |
遠隔課程の担当講師は、日々、受講者への教材や課題の発送、返送されてくる課題の添削、電話や手紙、ファックスを用いての連絡、また、スクーリングを行っている自治体との連絡等に追われています。特に受講者との学習相談は、自宅での自学自習をサポートする上で欠かせない仕事であるという話でした。
受講者からの反応としては、職業訓練校に入校できた、普通免許を取得できた等のうれしい知らせのほか、コースによってはもっと学習期間を延ばしてほしい、会話場面のバリエーションを増やしてほしいといった要望もよく寄せられるそうです。
現状ではまだまだコースの種類が少ないため、自分の日本語力よりも難しいコースを選んでしまって苦労している受講生も少なくないといいます。今後は、コース数のいっそうの充実をはかり帰国者の多様な要望に応えることができるようにしていくとともに、このような学習機会があることをより多くの帰国者、特に二世・三世世代に知ってもらうように努めていきたいとの話がありました。
(報告者:所沢センター 森)
〈遠隔学習課程〉詳細 については以下の連絡先へ
中国帰国者支援・交流センター TEL 03-5807-3173 FAX 03-5807-3174
今年度各地で実施が予定されている進路ガイダンスの概要です。これは、所沢センターが集めた情報をもとに、主催者に問い合わせて確認した内容です。
今回は都道府県レベルで行われているガイダンスを紹介しましたが、学校レベル・地域レベルでも、いくつか行われていると聞いています。また今年度は無理でもこれからガイダンスを開きたいという話も、今回紹介した以外の都道府県で出ているようです。「うちでも進路ガイダンスを!」と考えている支援者の皆さんにとっては、“配布している資料・立ち上げるまでの苦労・継続していく上での工夫・参加者の感想”など、知りたい情報がたくさんあると思います。今回紹介した以外にも「こんなことをやっているよ」「こんなことを計画している」といった情報がありましたら、是非当センターにお知らせください。そのような情報を集めて発信し、各地の支援者間の情報交換の中継ぎのような役目を果たせたら・・・と考えています。
★広島県「外国人生徒のための進路・教育相談会」
日時: 2003年6月22日(日)13:30〜16:00
場所: 広島市留学生会館2階研修室
主催: 多文化共生センターひろしま
協賛: 財団法人広島平和文化センター
お問い合わせ・申し込み先: 082-545-4700(受付時間は火曜日から土曜日の13:00〜17:00)
※なるべく前日までに申し込みをお願いします。
表には間に合いませんでした(最新情報です)。
★三重県は昨年度「学校へ行こう」というガイダンスを実施していて、今年度について現在検討中だそうです。
問い合わせ先:
三重県人権問題研究所(059-233-5525)
三重県国際交流財団(059-223-5006) mief@mief.or.jp
北海道
名称: 外国人・帰国生徒のための進路説明会
日時・場所: 8月上旬 札幌市厚別区民センター(予定)
内容: 中1〜中3の外国人・帰国生徒とその保護者対象
(1)講師によるお話(通訳付き)
@学校制度と入試のしくみ(札幌市中学校進路指導協議会)
A帰国者の進路状況(札幌市中国帰国者生活相談室)
B進路選択についての留意点(もみじ台中学校)
(2)質疑応答
言語: 中国語(事前の申し込みによってその他の母語も可)
主催: 札幌子ども日本語クラブ
協力: 北海道中国帰国者自立研修センター
後援: 札幌市教育委員会(予定)
助成: 日本財団
連絡先: 札幌子ども日本語クラブ代表 中垣正史
〒060-0003 札幌市中央区北3条西7丁目道庁別館12階北方圏センター内
TEL 011-231-3392 FAX 011-231-3666 E-mail homas@siren.ocn.ne.jp
備考 http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/4301/
千葉
名称: 日本語を母語としない親と子どものための進路ガイダンス2003 in CHIBA
日時・場所:
●市川・浦安会場 浦安市民プラザ WAVE101 JR新浦安駅徒歩2分
9月23日(火・祝日)13:30〜16:30
●柏会場 アミュゼ柏 JR柏駅東口徒歩8分
10月13日(月・祝日)13:30〜16:30
内容: 〈中学生の外国籍生徒を対象〉
@高校・中学教員による入試制度の説明
AOB/OGによる体験談
B母語別進路相談
C個別進路相談
言語: 中国語・ハングル・ポルトガル語・スペイン語・英語・タイ語・フィリピノ語(事前の申し込みで他の母語も可)
主催: 「日本語を母語としない親と子どものための進路ガイダンス2003 in CHIBA」実行委員会(日本語教室・学校派遣ボランティア、 学校教員など)
事務局団体: 房総日本語ボランティアネットワーク
後援: 県教育委員会、県国際コンベンションビューロー(いずれも予定)
連絡先: 房総日本語ボランティアネットワーク 長澤 043-290-2568 吉野 043-290-3635 白谷 043-424-4364
備考 http://cue181.e.chiba-u.ac.jp/sikiji.html
東京
名称: 子どもを日本の高校に行かせたいと考えている在日外国人のための高校進学ガイダンス
日時・場所:
●6月22日(日)13:00〜16:30 国分寺市Lホール8F-B(JR総武線・国分寺駅の駅ビル内)
●6月28日(土)14:00〜16:30 文京シビックセンター4F(地下鉄・春日駅、後楽園駅近く JR総武線・水道橋駅徒歩10分)
●10月初旬にも予定
内容:
@高校・中学教員から受験生へのアドバイスと保護者への費用や制度の説明
A受験体験をした先輩高校生の体験談
BCCS&多文化共生センターによる個別相談と各学習支援・日本語教室の紹介
言語: 英語・中国語・朝鮮語・タガログ語・スペイン語・タイ語、その他の言語は多文化共生センターへ要事前連絡
主催: CCS(世界の子どもと手をつなぐ学生の会)、CTIC(カトリック東京国際センター)、多文化共生センター・東京21、Cedif、外国籍市民の人権を考える八王子の会、さんたま在住外国人ネット
協力: 多文化共生教育研究会
連絡先 日:としま なおと 0426-64-1656 やまもと ひろたけ 090-4422-0609
中:り けいり 042-577-7817 韓・朝:やなぎや たかお 0426-66-6266よる
英:ささもと エヴェリン 042-551-6793 スペイン:やまもと ひろたけ 090-4422-0609
タガログ:セシリア ジャピタナ 043-238-0187 タイ語:せんぼく としはる 090-7138-3521
その他:たぶんかきょうせいせんたー 03-5825-1290
備考 http://www.tabunka.jp/tokyo/
神奈川
名称: 日本語を母語としない人たちのための「高校進学ガイダンス2003」
日時・場所:
●9月23日(火・祝日)横浜駅神奈川県民センター2階大ホール
●9月28日(日)平塚横内団地集会所
●10月18日(土)淵野辺 相模原国際学生会館 ⇒10月11日(土)に変更
●10月19日(日)横浜市泉区いちょう小コミニティーハウス
いずれも13時から入場無料・事前申込み不要
●10、11月に川崎でも開催予定 ⇒今年度はなし
内容:
@全体説明(入試制度、外国人特別募集、他)
A先輩からの体験談
B質疑応答
C個別の相談
※各言語通訳多数配置、翻訳資料配布あり
※高校の先生が直接説明します
※教育委員会からの説明があります
※先輩からの体験談やアドバイスがあります
言語: 中国語、スペイン語、ポルトガル語、韓国朝鮮語、カンボディア語、ラオス語、ベトナム語、タガログ語、インドネシア語、英語
主催: 多文化共生教育ネットワークかながわ
協力: 神奈川県外国人教育連絡協議会、インドシナ難民定住援助協会、多文化まちづくり工房、横内プロジェクト、他県内日本語・学習教室
後援: 神奈川県教育委員会、各市教育委員会、県教組、高教組、他助
助成金: 神奈川県国際交流協会「民際基金」
連絡先: 高橋 045-942-5202 E-mail seijyu@246.ne.jp
備考 http://www.246.ne.jp/~seijyu/tabunnka/
奈良
名称: 在日外国人中学生のための高校進学ガイダンス
日時・場所: 9月21日(日) 場所は現在調整中
★直接問い合わせてください★
内容:
言語: 中国語、韓国・朝鮮語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語、英語、日本語
主催: 奈良県外国人教育研究会
連絡先: 奈良県外国人教育研究会
TEL:0742-62-5555
FAX:0742-62-5568
備考 http://www3.kcn.ne.jp/~nagaikyo/index.htm
大阪
名称: 第5回 多文化進路ガイダンス
日時・場所:
【教員・保護者向け】
7月5日(土)piaNPO6階会議室(大阪市港区築港2-8-24)
【生徒・保護者向け】9月7日(日)・20日(土)
場所は現在調整中
★どちらも予約が必要です★
★大阪市以外でも府下の各地域ごとに夏〜秋に実施予定です!
問い合わせ先: 関西国際交流団体協議会事務局 06-4395-1124
内容 ○7月5日
【教員向けプログラム】
@中学校・高校の先生の渡日生徒の現状と、それを取り巻く環境を聞く
A各校の先生方の情報交換・交流会
【保護者向けプログラム】
@基本的な中学卒業後の進路に関する情報提供、概要説明
A質問用紙配布⇒それに基づいてQ&A
C個別相談(子どもは保護者向けプログラムで受け入れます)
○9月7日・20日基本的に個別相談 のみ
言語: 中国語、韓国・朝鮮語、ポルトガル語、スペイン語、フィリピノ語、英語、日本語、(タイ語、ベトナム語は要事前連絡)
主催: 多文化進路ガイダンス実行委員会・大阪(大阪府立学校在日外国人教育研究会、大阪市外国人教育研究協議会、多文化共生センター・大阪)
後援: 大阪市教育委員会(申請中)
連絡先: 大阪市港区築港2-8-24 piaNPO401多文化共生センター・大阪内
TEL:06-4395-1377
FAX:06-4395-1378
Email:osaka@tabunka.jp
担当:川島・慎(しん)
備考 http://www.tabunka.jp/osaka/osaka.html
福岡
名称: 日本語を母語としない中学校生徒の高校進学を考える会(進路ガイダンス)
日時・場所: 8月3日(日)午後2〜5時早良市民センター(福岡市早良区百道2-2-1)地下鉄藤崎駅の上
TEL:092-831-2131
内容 (1)全体説明
@日本の高校の説明−教育制度や 高校に行くことの意味、学校の種類、高校での教育活動や学校生活
A入学者選抜制度について−入試 までの道筋(勉強方法、学校選択)、入学試験、外国人等への特例制度
B高校にはいるための保護者の諸準備−入学にかかる費用、奨学金等について
C先輩の体験談
D全体での質疑応答
(2)個別相談(進路相談、教育相談、費用に関する相談)
言語: 中国語、スペイン語、英語、日本語
主催: 共に生きる街・ふくおか 代表 吉谷武志 (九州大学大学院人間環境学研究院(教育学)
共催: 福岡市進路保障研究会
後援: 福岡市教育委員会(申請中)、福岡県教育委員会(再申請予定)、福岡県教職員組合補助
申請:(財)福岡国際交流協会
連絡先: 共に生きる街・ふくおか事務局 吉谷武志
TEL:092-642-3150 Email:yoshiedu@mbox.nc.Kuyushu-u.ac.jp
備考
「札幌子ども日本語クラブ」は外国人・帰国児童生徒に対する日本語学習支援を目的として、2001年8月に発足しました。札幌市では巡回指導などの形で学習支援は行われていましたが、数回で終了してしまうため、指導期間が終わったあとでは、学習支援を受けられないということになってしまいます。いままでは、そういう子どもたちに数人の有志者が個人的に学習支援を行っていたのですが、対象者もしだいに増えて対応しきれなくなってきました。(札幌子ども日本語クラブの報告書によれば2001年7月現在、全道の外国人児童・生徒は442人、そのうち札幌市には278人、2001年5月現在で札幌市における中国帰国者の子弟は116人)。
そのような中、学校側からの要望もあり、札幌市の教育委員会を通じて北海道日本語教育ネットワークに支援要請がきました。そこで、これに対応すべく結成されたボランティア団体が「札幌子ども日本語クラブ」なのです。
「札幌子ども日本語クラブ」は学校で学習支援を行うことが多いのですが、時間的な問題や家庭の事情などでうまく対応しきれないときは家庭訪問の形で学習支援を行っています。こうした活動は、子どもにとっては学習支援を受けるという主目的だけでなく、自分は孤独な存在ではなく、たくさんの人たちに支えられているという実感を持ち、心の安定にもつながっているようです。また、子どもたちの中には、滞在期間が比較的長く、生活言語は習得しているが学習言語が未熟という場合が少なくありません。「札幌子ども日本語クラブ」は生活言語と学習言語を区別して学習言語の習得を重視しています。将来の進学や就職のためには学習言語の習得が不可欠です。この学習言語をいかに身につけさせるかということも重要な鍵のようです。
また、運営上の問題点としては、予算のこともありますが、人材確保、特にボランティアの事情が変わる4月の調整が難しいようです。それぞれのボランティアができる範囲で活動を行うので、当然のことながら入れ替わりが数多くあります。「札幌子ども日本語クラブ」では前年度はのべ約50人のボランティアが活躍されたそうです。(報告者:所沢センター 齋籐)
同クラブでは2001年8月〜2002年3月までの活動を報告書の形でまとめてあります。報告書の中には担当したボランティアや、学校の担任のコメントがあり、各々の担当者が把握した子どもたちのいろいろな姿、また、学校の中での子どもたちの変化、特に、周囲とどう関われるようになったかという成長の様子を知ることができます。さらに児童の保護者へのアンケート調査も行っていて、家庭での状況報告されています。支援者、学校、そして保護者、子どもたちをとりまく関係者が、互いに情報を共有し合ってうまく連携していくことが大切なことだと感じました。
『札幌子ども日本語クラブ活動報告書 第1集−2001年8月〜2002年3月』
B5判 57頁 700円(送料込み)
申込み先: 札幌子ども日本語クラブ 伊藤早苗
〒001-0016 札幌市北区北16条西3-21 B-306
TEL/FAX: 011-736-0655
メール: YRI03073@nifty.ne.jp
平成14年度予算額 1,905百万円 → 平成15年度予算額 1,756百万円
@永住帰国者援護
1,519百万円 → 1,318百万円
152世帯 632人 → 102世帯 469人
(うち 樺太等 32世帯 116人 → 12世帯 54人)
A一時帰国者援護
149百万円 → 149百万円
202世帯 292人 → 202世帯 292人
(うち 樺太等 122世帯 169人 → 122世帯 169人)
B肉親調査(訪中調査等)
56百万円 → 82百万円
C樺太等現地調査
5百万円 → 5百万円
D中国帰国者支援・交流センター
176百万円 → 202百万円
東南アジア地域を中心に原因不明の重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生していることから、4月16日付で各都道府県及び中国帰国者等研修施設等に対し、医師や保健所等の関係機関と十分連携しつつ情報収集を行い、本人や保護者等に対する情報提供や相談に努めること、SARSを理由とした偏見が生じないよう利用者等の人権に十分に配慮すること、SARSの疑いがある場合は適切な対応をとること等について通知しました。
中国帰国者の皆様及び中国帰国者等研修施設の職員におかれましては、情報収集に努めるとともに健康に十分ご注意ください。
文化庁では、地域社会に長期滞在する外国人の増加や日本語学習需要の増大に対応し、地域の実情に応じた日本語教育の推進を図るため、平成6年度から12年度まで、モデル地域を指定して(群馬県太田市を始めとして全国8地域)、地域の実情に応じた日本語支援の在り方の追究や多文化共生社会の構築へむけて、日本語教室の開設や日本語支援者養成のための講習会の開催等の実施を含めた事業を委嘱、展開してきました。
一昨年(平成13年)度からは、これらの地域からの報告書やその他の最近の日本語教育関連の報告書の提言等、及び調査研究報告書の結果等(注1)を踏まえつつ、各地方自治体・国際交流団体等の協力を得ながら、地域の中核的な日本語支援コーディネータの研修を全国約30箇所で実施しています。本(平成15)年度からは、新規事業として、これまで得られた意見や提言等をさらに踏まえて、需要に対応した日本語ボランティア研修(能力向上=ステップ・アップ研修)事業を始め、併せて、日本語ボランティア活動支援・推進事業を(社)国際日本語普及協会に委嘱して実施しています。
関連して、本年度も、文化庁の日本語教育大会(注2)において、地方公共団体・国際交流団体の日本語教育関係者等を対象に、地域の日本語支援活動の振興に関する「地域日本語教育活動推進シンポジウム」を開催し、協議や情報交換を行う予定です。
なお、並行して、昨年(平成14年)度からは、同じく地方自治体等の協力を得ながら、学校の余裕教室等を活用した親子参加型の日本語教室の開設・運営事業を委嘱、展開しています。こうしたさまざまな支援事業の展開を通して、例えば、地域の支援者同士や、関連機関や団体(教育委員会、学校、行政機関や国際交流協会、日本語教育関係機関・団体など)間の繋がりがさらに強くなり、地域におけるネットワークの拡がりと充実がますます図られることが期待されます。
(注1)これまでの報告書(「今後の日本語教育施策の推進について−日本語教育の新たな展開を目指して−」(平成11年3月19日)など)や調査結果(例えば、「地域の日本語教室に通っている在住外国人の日本語に対する意識等について」など)の詳細については、文化庁のホームページ:http//www.bunka.go.jp/を参照のこと。
(注2)日本語教育に関するシンポジウムや研究協議会を集中的に開催し、日本語教育に対する理解の増進を図り、もって、日本語教育の水準の向上と日本語教育の推進に資することを目的として開催しています。今年は、8月5日(火)13:00〜17:30、6日(水)10:00〜17:30の日程で、昭和女子大学(東急田園都市線三軒茶屋下車徒歩7〜8分)において開催の予定(なお、11月初旬には関西大会を開催する方向で計画中)。参加方法については、近々文化庁のホームページ等で発表しますので奮って御参加ください。
(文化庁国語課日本語教育調査官 野山 広)
中国帰国者及び日本に居住する中国語圏出身者の方々に好評をいただいている『運転免許学科教本・中国語版』の価格を、1冊\4,000から¥3,500に値下げしました。なお、中国帰国者及びその親族並びにボランティア等関係者にはこれまで同様特別価格1冊¥3,000で販売しています。どうぞご利用ください。
購入希望者連絡先:
(財)中国残留孤児援護基金
TEL: 03-3501-1050
FAX: 03-3501-1026
さる2月22日、東京都港区立三光小学校にて全海研(全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会)主催の子どものための日本語教育フォーラムが行われた。
全海研は1975年に発足、おもに在外教育施設(日本人学校等)派遣経験者の教員によって運営されている全国的な組織である。「総合的な学習と国際理解教育」「在外教育施設での現地理解教育」「日本語指導について」等の教育実践報告を行う全国大会、ブロック大会(それぞれ年1回)の開催を軸に紀要(年1回)、会報(年3回)、ニューズレターの発行、またそれぞれの分野の教材開発、相談事業など、活動は多岐に渡っている。
そのなかで日本語教育フォーラムは、外国人児童生徒教育の実践に携わる教師と支援に携わる様々な人々や組織のネットワーキングを推し進めるため、2000年より毎年2回(東日本、西日本を会場にして)開催されてきた。
今回のフォーラムは、日本語指導現場で日々起こる問題を解決するための具体的方法論の類から少し離れ、「家庭と学校におけるバイリンガル教育」といったマクロなテーマで行われ、子どもたちの20年後・30年後の将来を見据え、より深く問題を見つめ直すものになった。
日本在住の外国人児童生徒の保護者、国際結婚で生まれた子どもを育てる海外在住の保護者、そして、日本語学級担任の「現場」の話からバイリンガル育成の教育が如何に難しいかが浮き彫りになった。
名古屋外国語大学の中島和子先生からは、「親が育った国(地域)とは異なるところで小さい頃から育った(或いは生まれ育った)子どもは母語(第一言語)が親の母語とは違う場合が生じる。こういった子に対する親の母語の教育を、カナダでは『継承語』教育と言い、行政が積極的にこのような子どもたちを『言語資源』としてバックアップしている。しかし、学校・地域のサポートもさることながら、家庭での教育・サポートがバイリンガル育成には最も大事である」との話があった。質問と意見交換の時間には、親の立場から、自分自身が帰国子女であった立場から、現場の教員やボランティアなどから活発な意見が飛び交った。
なお、全海研は,誰でも会員になれるとのこと。詳しくは全海研ホームページを参照。 http://www.zenkaiken.net/
(所沢センター 大上)
期日: 7月19日(土)11:00〜
場所: 国際基督大学(東京都)
内容: 子どものための日本語教育実践報告の相互情報交換
詳細は、実践シェアの会(子どものための日本語教育の実践を共有しよう)
HP: http://www.ceres.dti.ne.jp/~trie/
期日: 8月22日(金)10:30〜
場所: 自由学園 明日館(東京都西池袋)
締め切り: 7月10日まで
詳細については下記問い合わせ先に連絡してください。
スリーエーネットワーク フォーラム担当
TEL: 03-3292-6410
FAX: 03-3292-6197
E-mail: ja-net@3anet.co.jp
HP: http://www.3anet.co.jp/kotobatomanabi/index.html
(初級T翻訳・文法解説ロシア語版は2002年3月に出版)
発行:株式会社スリーエーネットワーク
価格:2000円+税
本冊は初級の学習項目を1日1課ずつ90日で学ぶことができるように、各巻30課よりなっている。構成は「ことば」「会話」「文の形」「形の練習」「文の練習」。CD付きで、学習の助けとなる絵や図も多く載っている。マニュアル版には本冊に出ている語彙や表現の日中対訳、会話文の中国語訳、関連語の日中対訳、中国語による文法解説が5課ごとにまとめられている。各課の予習復習に役立つ他に、蓄積したことばや文法知識を整理するにも便利である。
発行所:UNICOM Inc.(株)ユニコム
著者:星野恵子、辻和子、村澤慶昭
価格:各巻本冊2500円+税/マニュアル中国語版2000円+税
様々な分野でロシアについての小冊子を出している東洋書店ユーラシア・ブックレットシリーズから、サハリン帰国者との交流に役立ちそうなものが出ましたので紹介します。
42『現代ロシアのジェスチャー』(坂庭淳史著)はそれぞれのジェスチャーを写真付きで解説。ジェスチャーの由来やロシア人の日常生活についての頁もあります。44『ロシア人・生まれてから死ぬまで』(マルガリータ冨田著)では、ロシアの冠婚葬祭や出産、教育、軍隊勤務についてのあらましを知ることができます。同シリーズは、どれも600円です。
副題にあるように、保育園、幼稚園、小学校で子どもたちが身近な外国である韓国・朝鮮や中国の文化に遊びを通して触れられるように作られています。この本は約半年かけて行った調査に基づいて2000年に編集・発行された『アジアの子どもの遊び』の改訂版に当たります。内容としては、韓国・朝鮮、中国だけではなく、インドネシア、フィリピン、モンゴル、カンボジア、ヴェトナム、タイ、インド、ミャンマーとアジア各国の遊びが紹介されています。
申し込みは兵庫在日外国人教育研究協議会までFAXか葉書で、または辻本久夫htsujmt@apple.kci.ne.jp 宛メールで、送り先、請求書の有無、冊数等を記入して下さい。一冊500円ですが、送料も必要です。在庫は現在200部とのこと。
〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1−5−1 ひょうご国際プラザ・活動支援室
TEL:078-230-3090 FAX:078-230-3080 HP:http://www.KENGAIKYO.NET
(財)中国残留孤児援護基金が、昨年9月に実施した定着状況調査アンケートの概要を機関紙第51号(平成15年2月発行)にまとめました。項目は、
@帰国の動機
A日本語と日常生活
B生活情報収集の方法
C友人関係
D地域での交流
E就労関係(世代別就業状況や2世の就きたい仕事ベストテン等)
F住宅事情
G帰国(来日)の満足度
等から成っています。援護基金はこの調査結果を現在詳しく分析検討しており、次回は特集号として報告するとのことです。
所沢センターのHP⇒http://www.kikokusha-center.or.jp/kikokusha/kikin/kikin_f.htm に載っているほか、援護基金に機関紙第51号の残部もありますので、興味のある方は連絡してみて下さい。援護基金の連絡先は本号9頁に載っています。
近畿中国帰国者支援・交流センターでは、今まで通所のみで開講していた『ホームヘルパー受講準備コ―ス』を5月より遠隔課程(通信教育による)でも開講しました。少子・高齢化社会の中でニーズの高い職種であるホームヘルパーです。中国帰国者も高齢化が進む現在、帰国者2・3世にとっても関心の高い分野だと言えるでしょう。
この講座ではホームヘルパー養成講座(3級・2級)を受講するのに必要な日本語が学習できます。遠隔課程のコースでは、ホームヘルパーの仕事や養成の過程についてビデオ教材で具体的に知ることができるようになっています。
その他、必要となる専門用語、福祉の基礎知識、介護実習の報告書の書き方なども学習できます。受講期間の目安は最短3ヶ月から最長6ヶ月、教材費は3000円です。
【問い合わせ先は (06)6361-6114 近畿中国帰国者支援・交流センター】
●各都道府県による“中国帰国生徒・外国人生徒”の進路保障の現状 ―公立高校の入試特別措置の設置状況についての調査報告―
●実践報告:中高学年児童クラスにおける「書くこと」の指導・再考
●センター2001・2002年の記録
●入退所者統計
外部からの投稿2編
●外国人児童・生徒の学習権を保障する ―制度改革、意識改革、今のままでもできること―
●外国人児童生徒在籍校における国際理解教育実践に関する一考察 ―中国帰国生徒在籍校における聞き取り調査から―
また、本号では【ゲストコーナー】を設け、フランスからの留学生が、自身の家族3世代の歴史と現在についてまとめたレポート「我がイタリア出身の家族における言語コミュニケーションと母語・母文化の保持の問題」を紹介しています。
※本号を含め、これまで発行されたセンター紀要は、当頁のTOPページ⇒コンテツガイドの所沢センターから でご覧になれます。
ニューズレター『同声・同気』は様々な立場の支援者からいただいた情報を、様々な立場の人に提供していきたいと考えています。「事例」コーナー取材でも自立指導員の方々にご自身の体験からのアドバイスや情報を提供していただきました。各地の支援者の皆さんには貴重な情報をお持ちの方が多くいらっしゃることを強く感じています。双方向の紙面作りのためにもぜひ皆さんの体験談や情報、このNLについてのご意見等をお寄せください。お便りをお待ちしています。
02/21 夜間中学増設求めて教師、生徒らが 20日、日弁連に救済申し立て
02/26 <在留許可>中国残留孤児の連れ子「血縁ない」と取り消され
02/26 日本語教育必要「微減」に 外国から来日の子ら
03/15 孤児家族偽装入国 家族の帰国を条件に大学生の通学許可:大阪入管
03/31 「血縁なくても私の家族」 残留孤児家族の退去強制処分の取り消し請求を棄却:福岡地裁
04/05 「家族と離れたくない」 残留孤児家族が歌で訴え:熊本
04/18 国が全面的に争う姿勢 残留孤児訴訟の第1回弁論:東京地裁
関東を中心とした8都県の中国残留孤児ら637人のうち40人についての第1回口頭弁論。
多くの孤児が傍聴に訪れ、弁護団は日本語の分からない孤児のためにボランティア通訳を配置、
中国語で審理の流れなどを説明。
04/21 <中国残留孤児>「生活支援の法制定を」 広島県などに要望
05/23 新型肺炎で中国残留孤児の永住帰国を延期:厚労省方針
05/23 中国残留日本人孤児の訪中調査 延期決定 SARS回避で