地域情報ア・ラ・カルト 遠隔学習課程スクーリングの現場から 福岡 京都における医療通訳の取り組み〜医療通訳派遣システム事業〜 行政・施策 厚生労働省から 身元引受人・自立指導員研修会 中国残留日本人孤児の集団一時帰国・対面調査 援護基金から 平成19年度奨学生募集 孤児の一時帰国 養父母お見舞い訪中 孤児がお見舞いできなかった養父母を援護基金が変わって訪問 研修会情報 研修会情報 研修会報告 「年少者日本語教育学を考える会 第5回 研究集会」 |
「第52回 全国夜間中学校研究大会」 「引揚60周年記念シンポジウム」 教材・教育資料 『「移動する子供たち」と日本語教育』 NPO「日本語多読研究会」(読解教材) (財)中国残留孤児援護基金出版教材一覧 とん・とんインフォメーション 『異国の父母』孤児を育てた養父母の群像 〈AJALT〉地域日本教育支援の「日本語教育相談窓口」 『外国から来た子どもを地域で支える』ひまわり会編 国研日本語教育ブックレットシリーズ『日本語教育と著作権』 『お助け!高校進学単語帳』(多言語) DVD「病院での通訳の基礎知識 -医療通訳って何だろう-」 ニュース記事から 2006.09.23〜12.24 事例紹介 努力こそわが道-介護福祉士の資格をとった谷内さん- |
最初に担当した〈漢字ゆっくりAコース〉のAさんとBさん。お二人とも一世の受講生で、とても気の合うお友達同士、毎回、お互いに助け合いながらスクーリングが進んでゆきました。お二人のスクーリングでは、「学習を負担に感じさせずに、続けていけるように…。」といつもそのことを意識してスクーリングを行っていたように思います。受講間もないうちの学習方法や進め方の説明、次回までの進度の目安を相談する時や返却された課題のコメントを一緒に読む時などもそうですが、それら以外の毎回のいろいろな小さなことに対するこちらの反応や対応、その一つ一つに可能な限り気を配るように心がけました。もともと真面目で、勉強は好きとおっしゃるお二人で、最長受講期間の一年でコースを修了することができました。しかし、「負担に感じさせない」と意識する余り、意欲を引き上げるようなことがあまりできなかったのではないかという反省点も残りました。これは、私自身のその後の課題となりました。
スクーリングを担当して、心に残っている受講生の言葉が二つあります。
一つは、「実はね。中国語だったから、何かわからなかったのよ。」とAさんが申し訳なさそうにおっしゃった言葉です。ほとんど中国語の読み書きができないAさんにとっては、届いた中国語によるアンケートが何の文書なのかもわからなかったのだということをその時実感して、胸が痛むような思いがしました。遠隔学習課程は、ある程度、中国語の識字力を持った人を対象とするという前提で作られていますが、中国で学校に行く機会を持つことができなかった人々の中にも、日本語を学習したいと願う人は少なくないと思います。Aさんのように日本語がある程度話せる方であれば、サポート次第で遠隔学習課程に参加することも不可能ではありません。今回のAさんの場合は、一緒に学習していたBさんにも手伝ってもらい、内容を説明し、何とか日本語で答えてもらうことができました。また、今思えば、どの文書がいつどのような形で受講生に送られてくるのかをもっと良く理解して、事前に支援・交流センターと連絡をとり、アンケートの日本語版を送付してもらったうえで、一緒に記入していく方法や支援・交流センターから電話で対応していただく方法など、よりよい方法を相談しながら進めていくということもできたのではないかと思います。
もう一つの言葉は、「じゃ、今月のスクーリングは一回だけになるんですか。」という〈高卒程度 国語コース〉を受講しているCさんの言葉です。Cさんは、日本語能力試験の一級に合格することを一つの目標として、このコースを始められました。仕事や他の勉強など忙しい中での受講で、受講期間を延長し、現在も二年目の学習中です。スクーリングが月に最大二回行えるようになってからは、可能な限り、二回スクーリングを行っています。ある時、ちょっとした行き違いにより、Cさんがスクーリング日を間違えてしまい、欠席したことがありました。ある程度、自分で学習を進めていくことができるCさんのスクーリングでの私の役割は、既習範囲を確認して次回までの進度の目安を助言する、少しでも目標に近づくために何を学習すべきかを判断して適当な教材などを提案する、といった伴走者的なものです。当初は、手探りなことも多く、Cさんにとって役に立っているスクーリングになっているのかと自問自答することも多かったのです。そんな中、このことばを聞いた時は、「少しは役に立っているんだ」とほっとした瞬間でした。その後、スケジュールの調整がつき、欠席分は別の日に振り替えることになりました。
スクーリングに求められるものは、受講生によって微妙に違ってくるものだと思います。受講生が何を求めているのかを意識することを忘れずに、今後も何か受講生のお手伝いができれば…と思っています。
私たち多文化共生センターきょうとは、2003年9月より外国人も又、日本人と同様に安心して医療サービスを受けることができるよう医療機関と連携して医療通訳を派遣する事業を行っています。
京都府の南部には中国帰国者が多く住む地域があり、高齢化に伴い、多くの帰国者が近隣の病院で受診されていました。これまでは2名の方が無償で同行通訳を行っていらっしゃいました。2002年に実施した医療通訳に関する実態調査から2人で3ヶ月に約300件もの通訳を行っていることがわかりました。こうした現状から、個人の善意ではなく制度として支援できる仕組みをつくっていかなくてはいけないという認識が強くなりました。
当センターは、1999年より外国人が集住する地域で無料医療相談会を行ってきました。この活動の中からも、病院での通訳派遣を求める声が多く、通訳システムの必要性が明らかになってきておりましたので、その活動の経験を活かし、(財)京都市国際交流協会と協働で医療通訳を養成し医療機関へ派遣する「医療通訳派遣システムモデル事業」の構築に取り組み始めました。
通訳の派遣に関しては、これまで先行事例も少なく、実際の現場でどのように対処していくべきかほとんどわからない状態でした。最初の半年は通訳者の人数や対応時間など、私たちにとってどのようなかたちがベストなのか模索しながら進めていきました。
初年度の事業を終えて見えてきた課題は通訳者の質の向上でした。医療通訳者には語学力だけでなくコミュニケーション能力や基本的な医療知識、医療通訳者としての姿勢、現場経験などが必要であることがわかりました。そこで医療通訳者として活動する前に、語学レベルやコミュニケーション能力、通訳能力について考査を行い通訳者に一定基準を設けました。また考査を通過した人は、実際の医療機関で実習を行い、経験や知識を身につけてから通訳スタッフとして活動を始めていただくことにしました。そして定期的に、スキルアップのため、スタッフ、通訳を目指す人を対象に、知識・姿勢・技術を身につけるための講座も合わせて開始しました。
2004年より京都市も事業に加わり4者協働で実施することとなり、派遣病院数も3病院と増えました。対応言語は中国語、英語(一部少数言語にも対応)。約20名の通訳者が活動しています。(通訳者には謝金・交通費を支給)。依頼件数は年々増加傾向にあり05年の派遣件数は1700件を超えました。今年、当事業は3年目を迎えますが、通訳者の育成や派遣システムも完成し安定した派遣ができるようになってきました。(07年度より新規病院追加、韓国語での対応開始予定)。
当事業のもう一つの特徴は医療通訳コーディネイター・病院コーディネイターを置いていることです。コーディネイターは医療従事者であり通訳経験を持つものが担当しています。通訳者は通訳業務以外の依頼やトラブルに巻き込まれることも少なくありません。そこで当システムでは通訳者が通訳業務に専念できるよう、コーディネイターを設置し通訳者の指導やメンタルサポートを行っています。またコーディネイターは通訳者の能力や経験に合わせて派遣する通訳者を決定したり、現場に合わせた研修プログラムを提案もおこないます。コーディネイターは医療者・通訳者の視点から医療の専門家と言語の専門家の指導やサポートを行い、両者の橋渡し的な役割を担っています。
医療通訳システムにおいて、コーディネイターの役割は大変重要ですが、まだまだ認知度が低く人材が不足しています。そこで06年より医療通訳コーディネイターを養成する講座も開催しています。医療関係者あるいは医療業務に従事した経験のある方を対象に通訳者の指導の際に必要な知識や姿勢、現場事例を通じて対応策を考えることで、調整力や交渉力を身につける講座を行っています。医療通訳派遣制度というとどうしても通訳者だけに目がいってしまうのですが、通訳者が通訳業務に専念し、円滑に業務を行うためにはコーディネイターの存在は不可欠です。現在、各地で医療通訳の取り組みが広がりを見せる中、事業を円滑にまた成功させる鍵はこのコーディネイターあるいはコーディネイターの役割にあるように感じております。
こうした医療通訳に取り組む実践者たちが集まり、課題やこれからの方向性について議論する医療通訳を考える全国会議を2月18日に開催します。是非ご興味のある方はご参加ください。
(多文化共生センターきょうと:事務局長 重野亜久里)
対応言語:中国語・英語
【派遣型病院】 依頼を受けてから派遣 |
【固定型病院】 通訳が規定の曜日に常駐 |
同研修会は、平成18年10月19日から20日の2日間にわたり東京都で開催され、全体会議とグループ別討議が行われました。
今年度から身元引受人と自立指導員の他に就労相談員が加わり、厚生労働省及び都道府県職員も含め74人で行いました。
1日目は、厚生労働省による中国残留邦人等に対する援護行政の説明と中部学院大学教授窪田暁子先生による講演の後、身元引受人グループ・自立指導員グループ・就労相談員グループに分かれて討議が行われました。グループ討議では、「病人の精神的支えとして」や「自立意欲への特効薬」など、各々の役割の中で起こった体験発表をもと に、効果的な助言や指導方法を知るための活発な意見交換が行われました。
2日目は、前日の討議内容の発表と厚生労働省への質疑応答が行われました。
2日間を通じ多くの参加者から、他県の実情が把握できて大変良かった、講演も有意義であった、今後の業務を遂行して行く上で大変参考になったとの感想が寄せられました。
平成18年度は、日中両国政府による共同調査において、7名の方が新たに日本人孤児と確認され、これら7名の方々は昨年11月16日から11月30日までの15日間、集団一時帰国として来日し、永住帰国に向けたオリエンテーション、帰国者宅・
企業・小学校などの訪問、中国帰国者定着促進センター・大阪中国帰国者センター・中国帰国者支援・交流センター・ハローワーク見学などの行事に参加しました。
この間、報道機関、都道府県等の協力により9月29日から実施した情報公開調査の結果、「馮秀枝」さんが、11月27日に熊本県在住の方と、「張盛華」さんが、帰国間際の11月29日に神奈川県在住の方とそれぞれ厚生労働省に於いて対面調査を行い、両名ともDNA鑑定の結果を待つこととなりました。
厚生労働省としては、今までに身元が判明していないすべての孤児の方々を含め、引き続き肉親捜しに努めてまいりますので、皆様の一層のご協力をお願いします。
申請書類は平成19年1月31日までに必着のこと。
問い合わせは当基金まで、お願いします。
(財)中国残留孤児援護基金
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1−5−8 オフィス虎ノ門1ビル7階
TEL:03-3501-1050、FAX:03-3501-1026
昭和56年3月に始まった訪日肉親調査は平成11年を最後に中止され、厚生労働省の職員が訪中して、中国の地方政府の公安局職員と面接調査を行ったうえ両国政府で日本人孤児であったと認定する形に変わりました。これにより、孤児と認定された人はすぐにでも永住帰国できることになりましたが、まだ見ぬ祖国へ帰国するのは不安もあるとの孤児の皆さんの要望に応え、援護基金の一時帰国枠で「日本とはどんなところか」という説明会を催すとともに、関係施設見学を行いました。
昨年3月から始めた「養父母お見舞い訪中事業」は、ほぼ毎月希望者があり、今年度も12月までに55人が養父母をお見舞いしました。 17年1月に5人(中日友好楼のみ)、3月は11人、17年度は92人、18年度は55人と、累計では163人が訪中した。
「お見舞い訪中」事業を進める過程で、養父母が中国で生活しておられるのに帰国した孤児の方が既に亡くなっていたり、重い病気にかかり訪中できなかったりするケースがあることがわかりました。ある寄付者からのことば「援護基金でなんとかすべきだ」もあり、検討した結果、孤児の方に代わって援護基金がお見舞いしました。訪問先は黒竜江省、吉林省内の3養母1養父(1組は夫婦)、河北省と山東省の2養母。山東省では、もう1軒訪ねたのですが、訪問の10日前に亡くなったとのことでした。
11月23日、早稲田大学で上記研究集会が開催された。今回は「JSLの子ども」として日本で成長してきた2人のゲストの講演を中心に議論が深められた。1人目のゲストは、3歳で来日し、もうすぐ高校を卒業、専門学校に進学予定の金城レナンさん。もう1人は、10歳で来日、現在は商社に勤務するエマニュエル・ペラエストミダさん。来日した時の日本の印象や、編入先の日本の学校での生活、日本語学習、家族や教師・友人との関わりについて語ってくれた。
レナンさんは、来日前から日本の特撮ヒーロー番組が好きで「ビデオを見ているうちに日本語を覚えてしまった」、日本で友達も大勢できて、漢字は苦手だが、生活の中で日本語に苦労したことはないという。中学の時は「無気力だった」と語るが、高校に入ってあるきっかけから、「ゲームクリエーターになる」という夢を見つけ、熱心に勉強するようになり、専門学校への進学も決まったという。彼は「自分のために勉強するんだ」と学習への意欲を語ってくれた。一方のエマニュエルさんは、「来日は自分の意志ではなかった」ため、初めはペルーに帰ることしか考えられなかったという。その後「日本にいる期間が延びる」と父に告げられ反発したが、徐々に「自分はペルーでも10歳までしか勉強をしていない。それなら今は日本語をがんばって、日本語で生きていこう」と「覚悟」し、日本での勉強に熱心に取り組むようになったという。彼は、高校、大学にも進学し、現在は、かねてから希望していた商社で働いている。「家族の支えがなければ、自分は進学できなかった」と語り、JSL教育関係者に向けて「本人に意欲があっても家族の支援がなければ実現できない。親を巻き込んだ支援を!」と力強いアピールがあった。
2人に共通していたのは、「将来の希望」や「覚悟」と、日本語学習や学校での教科の勉強と繋がった時、「努力」することや「自分のために勉強しよう」という意欲に結びつくということである。周囲が、それを受けてどう支援できるかが大きな課題であろう。また、2人とも、来日当初は日本語の取り出し授業を受けていたが「日本語の勉強に行くと、クラスの勉強に遅れるから」と、数ヶ月で行くのを止めてしまったという。年少者日本語教育の現場にいると、筆者自身、目の前の子どもができないことや苦手なことをどう教えようか、ということにばかり目が行ってしまう。それは当然のことなのだが、2人の話を聞いて、子ども自身は自分の置かれた状況をどう考え、どうしたいと思っているのか、もっと聞いてみたい、と感じた。その上で、日本語支援も含め、どんな支援ができるのか考えていけたらと思う。
(所沢 齋藤)
※JSL/ESL:「第二言語〔第二の母語〕としての日本語/英語教育(English/Japanese as Second Language)」
2006年12月7・8日に東京都世田谷区にて、上記大会が開催されました。
8日午前に行われた「引揚帰国者・新渡日外国人教育」分科会では、@東京・江戸川区立小松川第二中学校 山信子・松本紀子・松下太先生「本校における教科指導と進路指導について」 A兵庫・神戸市立兵庫中学校北分校 西田恵介先生「本校におけるベトナム人生徒の状況について」の2つの発表、午後の「日本語A(入門)」分科会では、B東京・足立区立第四中学校 片倉順子先生「会話・漢字の授業風景をVTRを使って紹介」 C奈良・奈良市立春日中学校 川本謙一先生「日本語読み物自主教材について」の2つの発表があり、どれも非常に興味深いものでした。
今回は、その中から特にCの発表についてご報告します。
1)生徒の状況:来日して数年がたち、日常会話ができつつあり、日本語学習だけではなく、色々な学習が可能になってきている。しかし、日本語学習以外には興味を示さなかったり、抵抗感を示したりする場合もある。
2)教材について:春日中学校の位置は奈良時代の平城京の中にあたり、近くには平城宮跡、東大寺などの寺院も多い。これを活かし、奈良の歴史に関する読み物教材を作成した。この教材から、生徒は日本語と歴史の両方を学ぶことができる。
3)作成するにあたって留意した点:ほとんどの生徒が中国語話者のため、なるべく漢語など意味がとりやすい言葉を使用した。文章は1文が短くなるようにし、文の構造も「単文」を中心にした。語尾も「です」「ます」を使用し、言い切る形にした。また、中国の唐の時代の事にも触れるなど、彼らが既に持っている知識を活かせるよう努めた。
教材には、都の役人の生活についての具体的な記述(出勤時間は午前5時半〜正午まで等)や、「大仏の作り方」についてのイラスト入りの説明などもあり、楽しく歴史を学べるよう随所に工夫がなされていました。このような楽しい教材であれば、もっと読みたい、意見を言いたい、という学習者の前向きな気持ちをうまく引き出せるであろうと感じます。自主教材を作成するにあたっては、日本語への配慮だけではなく、内容を学習者にとってより身近で、面白いものにしていく工夫が大切だと再認識した今回の研究大会でした。
(所沢 島崎)
(社)国際善隣協会の主催によるこの集いは、11月27日(月)13時30分より18時近くまで開かれ、九段会館大ホールの1階から3階まで、全国から参集した引揚げの人々が溢れる“大同窓会”の様であった。集いの構成は以下の通り:
(第一部)慰霊黙祷に続き 基調講演「満州引揚げの実態について」
講師:加藤聖文(人間文化研究機構 国文学研究資料館 助手)
アトラクション:歌手の中澤桂さん、梅澤薫さんによる当時の代表的な歌曲
(第二部)シンポジウム「私にとっての満州―いま語り継ぐこと―」
パネリスト:岩見隆夫/高野悦子/なかにし礼/藤原作弥/山田洋二
基調講演の内容は、終戦後海外からの邦人帰国のなかでの満洲引揚げの特殊性、日本国政府の在満邦人に対する考え方、満洲(関東州)からの邦人引揚げにかかわる政治的背景、日本側の受け入れ態勢、引揚人数・ルート・時期・引揚船の運航・資金問題、引揚げ関連資料の所在など、旧満州からの引揚げを総括する講演であった。「引揚者という存在が戦後復興の中に埋没し、引揚者(および残留婦人・孤児)が発生した理由を深く考える機会が奪われた。こうした植民地体験の記憶喪失が東アジア諸国との歴史認識をめぐる軋轢の要因ともなった。」との言葉を私たちへの宿題として受け止めたい。
第二部のシンポジウムも、それぞれの引揚体験を語って興味の尽きない内容であった。一つだけ紹介すると、ロシア残留孤児ポリャンスカヤさんを主人公とするノンフィクション小説『戦場のニーナ』(なかにし礼著)が、今春刊行されるとのことである。
また、この集いの内容はビデオ・記録集としてまとめられ、今春発行されるとのこと。
関心のある方は(社)同協会HP ⇒ http://www.kokusaizenrin.com/
またはFAX 03‐3573‐1783まで。
(所沢 村山)
2007年2月18日(日)開催! 10:00〜17:30
会 場:キャンパスプラザ京都(京都市下京区西洞院通塩小路下る)
参加費:一般 1,500円 活動団体割引 1,000円(3名以上のお申し込み)
申し込み方法:ホームページから直接または、申込用紙をダウンロードしFAXにて お申し込みください。
問い合わせ:特定非営利活動法人
多文化共生センターきょうと《主催》※
tel:075-353-7205 fax:075-353-7206
mail:zenkokukaigi@tabunka.jp http://www.tabunka.jp/kyoto
※後援:京都府医師会 京都市私立病院協会 京都府 京都市
☆全体会(午前) 多文化共生社会を拓くことばの支援の未来−国内外における電話通訳を取り組みから学ぶ−
☆分科会@〜C(午後)
@医療通訳・しくみづくり 地域に適した通訳支援システム/限られた環境の中でのシステムとは
A医療通訳・人づくり 学びたいこと・学ぶべきこと…医療通訳ミニマム・プログラムと継続学習
/医療の場面に応じた通訳方法と通訳レベル/対象言語のネイティブ人材のトレーニング・プログラム
B医療現場 (受け入れ)環境づくり−医療職種別の視点からみた外国人対応の現状と課題
対象:医療関係者/医療関係学生 ※外国人対応経験の有無は問わない
C医療通訳者のセルフケアについて考える 定員20名
対象:現場を持つ医療・福祉系通訳者限定(プロ・ボランティアを問わない)
☆全体会 医療通訳のこれからを語ろう!
日時:2007年6月1日(金)より3日(日)まで 場所:目白大学新宿キャンパス
公開シンポジウム「多文化共生社会はどこまで可能か−新宿を異文化間教育から見る−」等
参加費:会員5500円(5月7日までに申し込み) 臨時会員当日のみ6000円
詳しくは大会開催のご案内を参照 http://wwwsoc.nii.ac.jp/iesj/28/index.html
2007年2月3日(土)14:00〜17:00
特定課題研究テーマ「異文化間教育学における地域支援と連携」
場所:龍谷大学(京都駅近く) ※会員以外も参加可(事前申込み不要)
野津隆志(兵庫県立大学)「神戸でのニューカマー支援における学校、行政、NPOとの連携(仮題)」/中山あおい(大阪教育大学)「ドイツでの外国籍児童・生徒の学習支援における市民団体と学校の連携(仮題)」/野山広(国立国語研究所)「連携におけるコーディネーターの役割と課題(仮題)」
詳しくは同学会HPで http://wwwsoc.nii.ac.jp/iesj/
2007年2月10日・11日 早稲田大学 西早稲田キャンパスにて
詳細は、http://www.gsjal.jp/children/xborder に掲載。
日時:2007年2月17日(土)13:00〜17:00
会場:横浜国立大学留学生センター 定員:50名
参加申込締切:2007年2月9日(金) ※定員になり次第締め切り。
報告者:平高史也 「外国人支援から相互的学びへ」
米勢治子 「地域日本語教室における相互学習の可能性」
山田泉 「外国にルーツを持つ子どもの発達と日本語教育」など
参加申し込み:以下にメールまたはファックスでお申し込みください。
尾崎明人(名古屋外国語大学外国語学部日本語学科)
Eメール:akiozaki@nufs.ac.jp/FAX:0561-75-1739
申し込みの際には、以下の事項を連絡のこと
1)氏名 2)所属 3)Eメールアドレス 4)連絡先電話番号・FAX番号
〇会場までの交通機関等は下記サイト参照
http://www.ynu.ac.jp/access/acc_index.html
川上郁雄 編著 2006年10月発行 A5判297頁 明石書店 3300円+税
「日本語を第一言語としない子どもたち」に共通する点は、言語的にも空間的にも「移動」していることである。「移動する子どもたち」が抱える問題は様々なものがあるが、特に重大なのは、継続的で体系的な学習の機会、言語発達の機会が分断されてしまうことである。子どもたちの言語発達をどのように確保していくか、「第一言語」であれ、「第二言語」の日本語であれ、子どもの「考える力」「生きる力」としての言語能力をどのように育成していくか、きわめて重大な課題である。
本書は、このような問題意識にもとづき、早稲田大学大学院日本語教育研究科で行われた年少者日本語教育の実践研究がまとめられている。その特徴は、「JSLバンドスケール」という「ものさし」を用いて子どもの言語能力を捉え、それをもとにどのような実践を行うか、事例を通じて検討している点にある。日本国内の年少者日本語教育の実情の一端を知るとともに、目の前の子どもをどのように「理解」し、どのように支援するかを考える際にも参考になる。
目次より:第1部「移動する子どもたち」への言語教育を考える…年少者に対する日本語教育の課題/年少者日本語教育実践の観点/「JSLバンドスケール」の考え方と方法論
第2部「移動する子どもたち」への日本語教育実践
第3部「年少者日本語教育をめざす人々のために…研究書紹介/論文解題
国際交流基金日本語国際センターでは、若者向けに上記教材を制作しました。DVD発売に先駆け、2006年10月6日(金)からNHK教育テレビで国内放送が始まっています。基本スキットは、日本の高校に留学したエリンとそのクラスメイトの日々の生活が中心となり、アニメキャラクターが楽しく解説します。また、言葉の学習だけでなく、文化理解の姿勢も養えるようさまざまな工夫をこらしています。
※詳しい情報は
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_rsorcs/erin.html
■テレビ放送
◆放送回数:25回(20分×25課)
◆放送曜日・時間:毎週金曜日 23:00〜23:20
◆放送曜日・時間:翌週木曜日12:10〜12:30(再放送)
◆放送準拠ガイドブック:日本放送出版協会から発売(隔月刊)
■DVD発行
◆発売時期:2007年4月 ◆出版社:凡人社 ◆仕様:全3巻(DVD+テキスト)
予価各2,400円
本教材に関する問い合わせ先
国際交流基金 日本語国際センター 制作事業課
TEL:048-834-1183 FAX:048-831-7846
URL: http://www.nihongo-yomu.jp/index.html E-mail: yomimono@bc.iij4u.or.jp
漢字・カタカナ・ひらがなを持つ複雑な日本語の読解はかなり困難であり、多様な日本語学習者のニーズに広く応える読みものや視聴覚素材といった学習支援ツールが求められている。
この現状を見て、長年現場で日本語教育に携わってきた先生方がやさしい読みものからレベル別に大量に読む《多読学習法》教材を開発しようと2002年1月に発足させたのが、「日本語多読研究会」である。以来4年間、多くの人たちの協力を得、日本語のレベル別読みものの開発に取り組んできた。
同研究会は、2006年よりNPO法人として、学習支援に携わる人たちを中心とした一般市民から広く会員を募り、日本語学習支援を必要としているすべての要支援者のためにさらに読みものを数多く開発し、それらを使った《多読学習法》をより多くの人に理解してもらえるよう普及啓発活動を行っている。
同研究会開発の教材はレベル毎に「にほんご よむよむ文庫」(各2415円税込み)として(株)アスクから発売されているほか、実費(1冊300〜600円)で購入することができ、また、一部を上記サイトから読むことができる。現在は読み物案内(同会設定のレベル4以上)のコーナーで、『高瀬舟』の他、新企画「日本を知りたい!〜外国人の疑問」では日本の社会・政治・経済・歴史などの話題を、いろいろなサイトから引用された画像付きで読むことができる。読みものは初級前半(レベル1)から中級(レベル4)まで、4つのレベルに分けられており、レベル別に語彙や文型・表現がコントロールされている。漢字は全てふりがな付き。(レベル3まではカタカナにもふりがな付き)。また、やや難しい語彙・表現があってもイラストや前後の文脈から類推できるように工夫されている。朗読CD付きなので、聴く教材として使うことができ、シャドーイング※用にも使える。
※音読を聞きながら同時に復唱する学習法
Tel:03-3501-1050 Fax:03-3501-1026
現在入手可能な教材を、新刊を中心に、既に本紙30号で紹介したものも合わせて掲載しています。《新刊》・《既刊》ともに、これらは「中国帰国者支援・交流センター」教材として開発されたものですが、帰国者だけではなく中国/ロシア 語を母語とする定住型外国人など一般の方々が購入することもできます。
《新刊教材》(2005年12月以降に発行されたもの)
中国語版 | 内 容 | 備考 |
---|---|---|
「中国語を母語とする人のための 医療用語・表現集」2500円 |
医療サービスを受ける際に出てくる用語や表現をまとめた資料集。日中対訳になっており、本書を医療現場での「指差し会話」用に使うことも可能。10種類の問診票と、中国語索引(ピンイン)・日本語50音順索引・身体部位別索引の3種類の索引付き。 | |
※「始めてみよう・ 話してみようV・W」CD付き 各1700円 |
初級後半の日本語文法文型・語彙の知識を学習する教材。「始めてみよう・話してみようT・U」の続編。 | |
※「新・日本の生活とことば −交通−上・下」CD付き 3400円 |
日常の生活行動場面に積極的に対応していく力をつけるための教材シリーズの「交通」編。交通機関の利用 (バス、電車、道聞き、タクシー、小旅行等) に関する基本的な知識と会話を学ぶ。 | |
※「新・日本の生活とことば −医療−上・下」CD付き3400円 |
上記シリーズの「医療」編。入院や通院など、医療機関利用に関する知識を深め、診察などの場面で必要となる会話を学ぶ。『医療用語・表現集』とともに学習するのが効果的。 | |
ロシア語版 | 内 容 | 備考 |
※ ロシア語版「漢字を覚えよう3」 2000円 |
ロシア語を母語とする人を対象とした漢字学習教材「漢字を覚えよう1・2」の続編。1・2では、日本の小学校低学年で学ぶ漢字 計440字を扱っているが、この3では、小学校高学年の漢字の約4分の1を扱っている。 | ◎ |
《既刊教材》内容に関しては当紙30号の「教材・教育資料」のコーナーをご覧ください。
中国語版 | 備考 |
---|---|
「こつこつ日本語運転免許」2003年改訂版 | 2500円 |
「運転免許学科教本・中国語版」改訂版 | 一般:3500円 帰国者と支援者:3000円 |
「のんびり学ぼうT・U」・「のんびり学ぼうT・U音読版」CD付き | 3600円 |
「漢字を覚えよう 上・下」 | 各2000円 ◎ |
「話してみよう 近所の人と@・A」CD付き | 2600円 |
「求職会話T・U」CD付き | 2000円 |
※「始めてみよう・話してみようT・U」CD付き | 各1700円 |
※「読解の基礎 上・下」 | 2500円 ◎ |
※「かけ足数学総復習上・下」 | 3500円 ◎ |
※「面接のやりとり」テープ付き | 1000円 |
※「新・日本の生活とことば‐消費生活‐上・下」CD付き | 3400円 |
ロシア語版 | 備考 |
※「漢字を覚えよう1・2」 | 各2000円 ◎ |
※「話してみよう 近所の人と@・A」CD付き | 2600円 |
※「求職会話T・U」CD付き | 2000円 |
《その他既刊教材》
中国語版 | 備考 |
---|---|
「ひらがな練習帳1・2・3」 「カタカナ練習帳1・2・3」 (読んでみよう/書いてみよう/すらすら読んでみよう) |
各450円 |
「身の回りの漢字」 | 470円 |
「すいすい引いてみよう−日漢字辞典と漢和辞典が引けるようになるために−」 | 520円 ◎ |
「あたらしい文型 さんすう」 | 1110円 |
「文型 数学」 | 2000円 ◎ |
◎(「備考」欄):この印のついた教材は、成人帰国者だけではなく、中学生・高校生、また 高校/大学進学 を目指す帰国者二世・三世/一般外国人 にも利用可能です。(ただし中国/ロシア語の読み書きができる学習者)
※(テキスト名の欄):この印のついているテキストについては◆中国帰国者支援・交流センター◆に お問い合わせください。
E-mail:kyohmu@sien-center.or.jp Tel:03-5807-3173・3171/Fax:03-5807-3174
浅野慎一、とう岩著 (岩波書店 179頁、1800円)
本書は2002年から2年間をかけて行われた、中国東北部に今も暮らす14名の養父母へのインタビューの記録と、その背景事情の解説の2部から構成されている。一昨年、NHKの特集番組で長春の「日中友好楼」(養父母のために日本の篤志家が建てた老人ホーム)に暮らす養父母の現状が取り上げられて関心が高まったこともあり、刊行が待たれていた1冊である。
筆者らは19名の養父母と面会することができたが、うち5名は老衰や寝たきりのため、既にインタビューができなかった。また、本書に登場する14名のうち、出版時点で1名が既に亡くなり、1名は老衰のため話ができなくなっていたという。残留孤児を引き受けて育てた日々を語ってもらうには、養父母の年齢を考えると、2002年という時期でもぎりぎりだったことが窺え、その意味でも貴重な記録である。
インタビュー記録は、日本に帰国した14名の孤児と、中国に残ったその養父母のほとんどが日中どちらの国においても経済的に逼迫した生活を送っていると語る。社会保障大国であったはずの中国が改革開放後、なりふり構わず市場経済化を進める中で高齢者福祉を切り捨てたことで、高齢者は新中国建国以前の、親の老後は子どもが面倒を見るものという価値観に戻って生きざるを得なくなった。にもかかわらず、それを担うべき孤児たちにはとてもその余裕がないのだ。養父母たちは異口同音に、孤児の祖国・日本に対して、孤児および養父母たちへの理解と生活支援を求める。
前書きでも断られているように、「本書で紹介する14名の養父母は、もちろんすべての養父母を代表するものではない。また本書はあくまで養父母へのインタビューに基づく記録であり、残留孤児の側からみれば、また異なる養父母像が浮かび上がることもあるだろう。さらに養父母は高齢で、その記憶には間違いやあいまいな点も多い」。特に、14名の半数が長春の日中友好楼に住み、残りの7名のうち6名が大都市在住であるため、偏りは避けられない。しかし、それでも本書の問いかけるものは大きい。中国帰国者支援に携わる者にとって必読の1冊であると言えるだろう。
なお、本書とは異なる孤児・養父母像の一端を知る資料として、最近刊行された『中国で成功した残留孤児たち』(湘湘著、段躍中監修、横堀幸絵訳、日中2ヶ国語版 日本僑報出版社)も挙げておきたい。こちらは中国に残る、或いは一度は日本に帰国しながら中国に戻ることを選択した孤児たちの記録である。
(この2冊については本紙36号で書名のみ紹介した)
AJALTでは、2001年から文化庁の委嘱を受け、地域の多文化共生社会、開かれた日本社会の実現を目標として「地域日本語支援コーディネータ研修」と「日本語ボランティア研修」を全国延べ115カ所で開催してきました。今年度は自治体や国際交流協会のほか、ボランティア団体が主体となって研修を行なう人材育成研修事業を展開中です。これらの事業の中で、誰でも相談可能な、以下の3種の相談・情報提供事業を読者の皆さんにもぜひご紹介したいと思います。
1.メールマガジン『地域日本語支援ニュース【こだま】』(第2・第4木曜日発行)
地域のボランティア教室の紹介や、学習者の日本語に関する質問や答え方の例、支援者向け研修会の報告など、内容は盛りだくさんで、購読は無料です。ご希望の方は、http://www.ajalt.org/news-kodama/から、または http:www.mag2.com/m/0000111241.htm からお申し込みください。
2.メールによる日本語学習に関する質問受け付け
日本語学習を支援するボランティアとして、教え方や教材、教室運営、学習者の異文化適応etcについていろいろな問題にぶつかるときがあると思います。また、学習者から答えにくい質問が出されることもありますね。そんなときにAJALTの相談コーナーにメールで相談することができます。https://www.ajalt.org/ssl/consultation.html の専用フォームを利用して、或いは〈相談コーナー〉のアドレス sodan-ajalt@a.email.ne.jp に直接送信するのもOKです。
3.出張相談も受付中!
さらに、今年度は、日本語支援の内容や方法(来日直後の人向けの教え方は?etc)、教材(子供向け、保護者向けetc)づくり、関係者の連携促進の方策など、日本語支援に関する様々な相談に応じてくれる「出張相談」も受付中です。既に新潟県長岡市、東京都日野市、岐阜県白川町に相談員が派遣されました。
ご希望の方は、まずはメールで sodan-ajalt@a.email.ne.jp まで。
その後、電話で相談項目と日時が決まるとAJALTから相談員が派遣されます。
地域の日本語教室では、よくこんなことがあります。「大人を対象とした日本語教室に子どもも一緒にやって来た」「子どもの日本語も見てほしい、という要望が出た」…。子どもに教えたことはないし、教材もどうしたらいいか分からない、受け入れ側としてはゼロからの出発、ということが少なくないのではないでしょうか。本書は、これから子どもたちと関わっていこうとする支援者、現在、試行錯誤しながら子どもたちと関わっている支援者にさまざまなヒントを与えてくれます。
本書を編集しているにほんごサポートひまわり会は、2003年11月に大阪市平野区で、中国帰国者のための日本語教室として発足しました。後に、子どもたちの学習をサポートするためのボランティアを派遣する活動を始めることになります。本書はその「外国から来た子どものための学びのサポーター」を養成するための講座(2006年4月〜6月)の内容を本にまとめたものです。
本書は5章で構成されており、第1章で中国帰国者が日本に定住していく上で抱える世代ごとの問題、そして、地域の日本語教室が果たす役割について、第2章では、小学生の時に帰国した三世が今大学生となってこれまでを振り返り、現在活動している母語学習支援のグループについて紹介しています。続く第3章は「社会参加」、「生活言語」と「学習言語」という観点から、外国にルーツを持つ子どもたちの発達について、第4章では、外国にルーツのある子どもたちだけではなく、「今の子ども」全体をどう捉えるかについて、子どもたちの声を紹介しながら解説しています。最終章では、行政の取り組みや学校の日本語教室での取り組みについて実例を紹介しています。
本書が訴えているのは、《居場所》をつくることの重要性です。子どもたちの日本語や学力を伸ばすことだけが、地域で子どもたちを支える役割ではないという思いが伝わってきます。「子どもにとって『後で』は永久に来ないのです」(第4章p.125)という言葉が強く心に残りました。
問い合わせ先:
〈にほんごサポートひまわり会〉担当:齋藤
hmwr@mb7.seikyou.ne.jp 電話:090-9991-5926
編集:国立国語研究所 日本語教育部門 2006年3月改訂(初版は2002年)B5判60頁
近年、情報化社会を反映して「著作権」という言葉をよく耳にするようになりました。日本語教育界においても、教科書、問題集、映像など様々なものが教材として使用されている中で、知らず知らずのうちに著作権を侵害していたり、されていたりする場合があるようです。
教師は、教材を作成する際だけでなく、学習者にホームページを作成させるような活動を授業にとりいれる際にも、著作権について正しく理解しておくことが求められています。
「著作権」というと難しそうで、ややとっつきにくい感がありますが、今回ご紹介する本は、事例を交えながら日本語教材に関する著作権の基礎知識がまとめられており、初心者にも読みやすいものとなっています。概要は下記のとおりです。
第T部「著作権について知る」では、岡本薫氏(文化庁著作権課)が、日本語教育場面でよくみられる事例をもとに、著作権に関する問題を投げかけ、著作権というものについて、初心者にもわかりやすく説明してくれています。
第U部「著作権とつきあう」は4章からなり、はじめに角本浩美氏・西村学氏(文化外国語専門学校)が、『文化中級日本語』などの市販教材を作成した経験をもとに、著作権に関わる手続きをどのように行ったか具体的に示してくれています。次の章では黒崎亜美氏(ラボ日本語教育研修所)が、新聞記事など生教材を用いた授業を行う際の留意点について紹介し、教師側が著作権を意識することの必要性を述べています。3章では五十嵐京子氏(国際ボランティアセンター山形)が、ボランティア団体が連携して日本語教材を作成した経験を紹介するとともに、後々著作権をめぐる行き違いを避けるためにも合意内容を文書化することが大切だとしています。最後の章は、Q&Aの形で岡本氏が日本語教育関係者からの質問に答える形となっています。
入手方法:メールまたはFAXに必要事項を記入し送信→ 冊子と振込案内着→ 期日までに振込み
メール/ FAXへの必要記入事項など詳細については「国立国語研究所」の下記HPをご覧ください。
http://202.245.103.49/kenshu/booklet/page_1.htm
価格:1冊500円(送料は不要)
問い合わせ先:
郵便:〒190-8561 東京都立川市緑町10番地の2
国立国語研究所 日本語教育基盤情報センター ブックレット担当
電子メール:booklet@kokken.go.jp FAX:042-540-4571
多文化共生センター東京 発行 A5判66頁
高校進学に役立つ本です。「傾斜配点」「調査書」「取り出し授業」など、進学に関係のある教育用語161個を翻訳、ルビ付き日本語と、わかりやすい解説もついています。上記の6ヶ国語版があり、最近の用語、意味のわかりにくい用語などが網羅されていますので、進学希望の生徒にかかわる支援者、通訳・翻訳ボランティアの方々や、本人、保護者、先生方にも、広くお勧めの一冊です。
【ご希望の方は郵便振替で】
郵便口座:00110-8-407588 加入者名:多文化共生センター東京 通信欄に「『お助け!高校進学単語帳』希望」と記入、「希望の言語・冊数」も必ず書き添え、合計代金と送料を振込んでください(価格: 各言語1冊300円、送料 1冊につき80円)。また、多文化共生センター東京での購入もできます。(火〜土 11時から19時まで、最寄り駅:JR「日暮里」 http://www.tabunka.jp/tokyo/)
多文化共生センター きょうと 価格¥2,500−(税込み)
本紙3頁で紹介した〈多文化共生センターきょうと〉の取り組みの中で作成された教材です。
病気になった時、症状を医師に正確に伝えること、医師の説明や日本の医療システムを正しく理解することは、日本で暮らす外国人が直面する最も大きな問題と言える。異文化の地での病気の不安を緩和させ、患者と医師・病院をつなぐ重要なパイプ役を担っているのが「医療通訳」だ。
実際の病院で撮影されたこのDVDは、通訳の現場を視覚的に再現し、受付から薬をもらうまでの医療通訳の流れと通訳時に必要な注意事項をわかりやすく学ぶことができる。また、「どのような通訳が求められているのか」など医療関係者・通訳者・患者からの生の声も紹介しており、医療通訳者を目指す人や医療従事者が、「医療通訳」について知り、学ぶことのできる教材になっている。
詳しくは HP:⇒http://www.tabunka.jp/kyotoを参照。
申込み・問い合せ先:
tel:075-353-7205(火〜金 14:00〜18:00) fax:075-353-7206 e-mail:kyotoinfo@tabunka.jp
2006/09/23 中国残留婦人国家賠償訴訟<さいたま地裁>新たに6人が加わり18名が国を第2次提訴
2006/09/29 中国残留孤児 男性2人、女性5人の名簿を発表 厚労省
2006/10/05 熊本:高齢帰国者孤立防止事業スタート
2006/11/05 尼崎の写真家による写真展:残留孤児、日常の表情
2006/11/03 日本政府がサハリン残留韓国・朝鮮人支援 「文化センター」が完成 ユジノ
2006/11/06 中国残留婦人に治療費支援 『読売』読者が申し出60件
2006/11/14 中国残留孤児7人あす一時帰国 対面調査の予定なし
2006/11/15 数万人の日本人戸籍簿発見 サハリンの公文書館
2006/11/16 <残留孤児訴訟>:<広島地裁>15日結審−/判決は来年4月25日の予定
2006/11/30 中国残留孤児 7人が離日 昨年に続き身元判明なし
2006/11/28 「葛根廟事件」風化させない…生存者の大櫛さん証言集を出版
2006/12/01 <残留孤児訴訟>:原告側勝訴判決<神戸地裁>
2006/12/04 <残留孤児訴訟>:控訴断念求め座り込み/兵庫
2006/12/05 <残留孤児訴訟>:原告「継続的給付金を」 国会議員に要望−東京で集会
2006/12/21 京都自立研修センター来年度中閉鎖へ 中国残留孤児、新たな帰国者なく
2006/12/12 <残留孤児訴訟>神戸地裁判決に国が控訴「上級審の判断仰がざるを得ず」と厚労相
2006/12/12 <残留孤児訴訟>:原告ら窮状訴え結審 判決は来年3月23日<徳島地裁>
2006/12/13 長野市中国帰国者自立研修センター、同センター喬木教室閉鎖へ
2006/12/14 中国残留孤児支援予算、11年ぶり増額 07年度
2006/12/16 <残留孤児訴訟>:<兵庫>国に対抗、原告も大阪高裁に控訴
2006/12/21 <残留孤児訴訟>:帰国遅いほど生活保護率高く 原告1052人に弁護団がアンケート
2006/12/24 残留孤児たちの人生調査 3世の趙さんら 三重大出版会「日本修士論文賞」受賞
今回は、介護福祉士の試験に合格した残留孤児二世、谷内敬順さんの手記を紹介します。介護福祉士などの資格取得を目指している方々への参考になればと思います。(中国帰国者支援・交流センター、ニューズレター『天天好日』第30号から抜粋)
また、最近谷内さんは新たに「ケアマネージャー」の試験にも合格したとの嬉しいニュースが届きました。谷内さんの今後のより一層のご活躍をお祈りします。
2006年4月、私はついに介護福祉士の合格通知を受け取りました。その瞬間、嬉しくてたまりませんでした。この間のことを帰国者の皆さんにお話をし、皆さんがその中からひとつでもヒントが得られれば、幸いです。
2000年4月、私は母親と一緒に日本に帰国しました。日本は私にとって、親近感がありながら、見知らぬ世界でした。どういう仕事をするかが、その時真っ先に直面した問題でした。
日本は少子高齢化社会ということもその時知りました。私の両親は中国では医者でした。その影響もあり、高齢者を介護し、弱者を助けることは有意義なものと考えたのでした。
大阪帰国者センターで、福祉関連の仕事をするには、最低限ホームヘルパーの資格が必要だということを知り、6ヶ月の勉強でホームヘルパーの資格を取りました。その後大阪帰国者センターの紹介で、泉ヶ丘園福祉会の面接に臨みました。泉ヶ丘園は住まいから遠かったのですが、迷わず就職することに決めました。
就職して2年目、介護福祉士という資格を知りました。早速関連資料、情報を収集し、いろいろ調べた結果、介護福祉士は国家資格であり、受験資格は介護などの業務に3年以上従事していることとなっていることが分かりました。インターネットの資格ガイドを見ると、介護福祉士の試験の難易度は80%で、相当難しいということが分かります。養成施設専門学校または通信教育で受講するなら、13科目で学費は100万円は下らないと思います。
2005年の資格試験受験のため、自分で学習計画と毎日のスケジュールを立てました。しかし、実行するのは難しいことに気づきました。泉ヶ丘園は家から遠く、往復2時間あまりかかります。仕事の内容により、勤務時間は早番、普通と夜勤に分かれています。高齢者は、年齢ゆえの衰弱でいつどんなことが起こるか分かりません。ちょっとのミスでも致命的なものになりかねません。用意周到な介護が必要です。当初、私の日本語はまだ流暢ではなく、利用者とのコミュニケーションもままならない場合がありました。他の人の何倍もの努力をしないと、利用者は満足しないだろうと考えたのです。半年経って、それまでの勉強をまとめると、受験合格に無理だと分かりました。そこで、進度を速め、スケジュールを調整しました。それからは合理的に時間を使って勉強するのではなく、もっと自分を追い詰めて、合格という目標に向かって1分1秒も疎かにしませんでした。目覚まし時計をかけて、朝3時半に起き、勉強をスタートし、6時半に出勤の支度をします。夜、仕事から帰り、家事を終えてから、またその日の早朝の勉強を復習し、マスターしていきます。急なことで計画通りにできない場合、休日を返上しできなかったところを補い、気を緩めないことを心がけました。日本語の能力の差は倍以上の努力でしか補えない、努力以外に近道はないと思いました。
そして、初めての資格試験の時が来ました。不安と期待の気持ちが半々で、最初の試験に臨みました。筆記試験は合格しましたが、実技での緊張のため、残念な結果になりました。でも、挫けることはなく、絶対合格してやるという信念の下で、次の受験のための勉強を再スタートしました。受験の経験を生かし、13科目の月別のスケジュールをたて、できた部分を定期的に復習し、忘れないようにしました。あまりよくできなかった部分は重点的に勉強し、マスターしていきました。3ヶ月をめどに1回勉強した内容を総括し、過去の試験問題を解答しながら、意味を理解していきました。順を追って勉強していくことによって、福祉というものの理解も深まり、日本語のレベルも向上し、まさに相乗効果そのものでした。今年、私は再び受験し、とうとう合格の通知を手にしました。
(谷内敬順)