地域情報ア・ラ・カルト 中国・四国中国帰国者支援・交流センター 19年度の中国帰国者関連センターの状況 日本語学習遠隔課程の現場から〔遠隔課程完走体験談〕 「中国帰国者二世・三世の会」活躍中! 大阪府教育委員会「日本語教育学校支援事業」 行政・施策 厚生労働省から 平成19年度中国残留日本人孤児の集団一時帰国及び対面調査について ★「新たな支援」の実施についてのご案内 援護基金から 訪中座談会(戸別訪問型)を実施しました 養父母お見舞い訪中及びホームヘルパー養成への援助を受けたい方へ 文部科学省から 「就学ガイド」について |
研修会情報 研修会報告 多文化共生教育研究会 第24回定例研究会 研修会情報 異文化間教育学会 第29回大会 教材・教育資料 ダウンロード可!『たのしいがっこう』 『中学校歴史教科書翻訳版』のウェブサイト掲載 『和露漢字辞典ЯРКСИ(ヤルクシ)‐YARXI』 『ビジネス日本語用例辞典』英・中・韓対訳付き 『外国人のための「ビジネス敬語」から「会社訪問」まで ビジネス日本語Drills』 『日本語ビジネス文書マニュアル』 とん・とんインフォメーション ご存知ですか?帰国者のための情報誌『天天好日』 ニュース記事から 2007.09.11〜2008.01.10 事例紹介 公民館で日本語を学んだ私 ―いろいろな国の人と一緒に― |
中国・四国中国帰国者支援・交流センターは2006年9月に開所し,ようやく1年を迎えました。日本語学習支援,交流,相談という3つの事業を柱に,これまで広島を中心に支援の基盤づくりを行ってきました。
おかげさまで,広島のセンターは利用者が増え,現在16歳から73歳まで,120人程の帰国者が,定期的に通っています。交流会や工場見学などを含めると,更に多くの人に参加いただけるようになりました。
日本語学習支援事業の通学課程では,日本語やパソコンのコースを数多く開設しています。レベルやニーズに応じて,初心者から検定受験者まで,様々なコースを受講していただけるようになりました。必要に応じて,中国語のできる教師や,通訳が対応し,日本語が不安な1世や,帰国間もない2・3世にも安心して受講いただいています。
また,通学課程の他に,遠隔課程(通信教育)受講生のためのスクーリングも実施しています。スクーリングはセンターだけではなく,帰国者の自宅近所の公民館6箇所でも実施しています。体調が悪く遠出ができない高齢者や,子育てで通所に時間が取れない人も受講しています。
交流事業の一環として行っている交流教室(趣味の講座)も少しずつコース数を増やし,参加者が増えてきています。今後は健康増進のための運動教室なども取り入れたいと考え,現在準備中です。
相談事業では,日々,帰国者の個々の生活や就労に関する相談に応じるだけでなく,多くの帰国者にとって必要な,介護・年金・健康問題等々をテーマとして取り上げ,定期的な相談説明会を行っています。日頃役所の窓口で日本語が流暢でないために遠慮して聞けなかったことについても相談でき,帰国者にとっては通訳を通して説明を受け,日頃の不安を解消する良い機会となっているようです。
常設の交流サロンには中国語の雑誌やDVDの数が増え,将棋や卓球なども利用いただけるようになりました。多くの帰国者が集い,憩う場として,笑い声が響く日も多くなり,活気に満ちてきました。
センター利用者の半数は帰国者1世です。若い人たちの適応への支援も大切ですが,1世たちが,家庭に閉じこもらず,このように積極的に出かけてきてくれるのは我々職員にとってもありがたいことです。
今年は2年目を迎え,中国・四国全域への支援の輪を広げることを課題として,事業拡大に取り組んでいます。ボランティア研修会「まなびや」を実施して,帰国者支援に不可欠な地域のボランティア団体との連携を深めるきっかけとしたり,帰国者の集住地域へ出かけて行って,地域生活支援プログラムの説明会を兼ねた帰国者の地域交流会を行ったりしています。
今後は,どんな支援が必要とされているのかについて各県へ調査に伺い,ボランティア団体等のご協力も仰ぎながら,帰国者のニーズにお応えできるよう,支援策を考えていく予定です。
少ない職員で頑張っていますので,至らない点もあるとは思いますが,全員が少しでも帰国者のお役に立ちたいと願っております。今後も中国・四国センターの活動にご期待ください!
(教務:橋本優香)
帰国者を取り巻く状況が刻々と変化している中、各センターの状況も変化してきています。新たに開所したセンターもあり、閉所した/閉所予定のセンターもあります。以下に今年度のセンターの状況を紹介します。
★今年度開所の支援・交流センター及び開所日
北海道(2007/8/1)、東北(2007/8/1)
★今年度閉所の定着促進センター及び閉所日
大阪(2008/4月末予定)
★今年度閉所の自立研修センター及び閉所日
北海道(2007/7/31)、山形(2007/6/30)、福岡(2007/12/31)、長野(2008/3月末予定)、京都(2008/3月末予定)
・・・・・・2008年1月現在、帰国者支援を行っているセンターは以下の通りです。・・・・・・
☆定着促進センター
所沢、大阪(2008/4月末閉所予定)
☆自立研修センター
東京、千葉、神奈川、長野(2008/3月末閉所予定)、京都(2008/3月末閉所予定)、大阪
☆支援・交流センター
首都圏、北海道、東北、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州
本紙39号に続き、今回も、中国帰国者支援・交流センター(以下、「首都圏センター」)の遠隔課程を完走した受講者の体験談から、自学自習のための工夫や学習法、日本語学習に対する信条等について、ご紹介します。現在、遠隔課程スクーリングの指導を担当されている先生方にも、参考になる部分が多々あると思います。(首都圏センター情報誌『天天好日』第36号から転載)
●「覚える」ための私の工夫
●私の日本語学習法
●日本語学習、私の信条
2005年7月、「中国帰国者二世・三世の会」(「日中之橋」)が、帰国孤児・婦人の裁判支援や二・三世の親睦と交流、日中両国に文化的帰属感を持っていることを武器に両国の架け橋となることなどを目的として設立されました。以前から中国残留邦人の問題全般についてメディアで発言してきた二世の大久保明男さん(首都大学東京准教授)を中心に設立された、文字通り二・三世たちによる会です。以下、大久保さんに伺ったお話をまとめました。 |
会員数は設立当初は約20名でしたが、今では協賛会員を含め約50名と2倍以上に増えました。新しい会員は会の催しなどの機会に現会員の紹介で入会というケースが多いそうですが、ブログ http://8888jcbridge.spaces.live.com/ を見て、という人も少なくないそうです。年齢層は23歳前後から50歳手前ぐらいまで、永住帰国時の年齢は5、6歳から20歳前後、在日年数も5年から25年前後と幅広い層にわたっていますが、いちばん多いのは今30代で20年ぐらい前に来日した人、つまり、多感な十代の頃に来日して異文化との衝突やアイデンティティ形成上の悩みを体験した人たちが核となっていると言えます。逆に、そのような悩みを共有しているメンバーだからこその強い団結力であるとも言えるでしょう。活動は関東が中心ですが、遠方の会員では仙台や長野、海外では上海(家族で駐在)、北京(留学中)などの人もいるとのことで、日中両国を股に架けたネットワークになりつつあります。
設立以来、活動の中心は裁判支援にあり、バイリンガルの強みを生かして原告団役員会や各地の説明会、報告会の通訳や原告へのアンケート調査などを行ってきました。年齢的に皆仕事や育児で多忙な中、時間を割いてこれらの活動に関わってきています。その合間を縫って会員の親睦のための合宿や飲み会なども開催してきました。メーリングリスト(電子メールを用いたグループ間情報共有システム)でのやりとりも活発です。
また、紙媒体の会報を今までに2号発行しましたが、できれば年に2回出したいとのことです。第二号では「帰国者子女の教育問題」が特集されており、進学情報の不足とその対策、特別枠入試制度の意義、長男と次男を東大と開成へ進学させた二世の体験談などが掲載されており、三世の教育に対する二世の強い関心が窺えます。特集の他には、チベットへの紀行文、本の紹介(同会会員でもある城戸久枝さん著『あの戦争を遠く離れて』、本紙第40号にても紹介)など、多様な記事が掲載されています。
裁判が和解による終結を見た今、会の主たる活動は裁判支援から新支援策実現に関わる支援にシフトしていますが、会員たちの今後の関心は一世の生活支援と自身の仕事や子育てでしょうか。なお、裁判をきっかけに、全国各地でも二世三世による一世支援グループがいくつか設立されましたが、将来的にはそれらのグループとも連携が取れたら理想的と考えているとのことです。
大久保さんにこの2年間を振り返っての感想を問うと、会として微力ながら裁判を支えてきたという自負がある。また、自分たちも活動を通して、一世たちの歴史をより深く知ったこと、日本社会についても再認識ができたことなど、たいへん勉強になった。人とのつながりの面でも、より交流を深めること、広めることができた。今後は上で述べた共通の「関心事」を中心に活動していきたいという答えが返ってきました。
一世の方々にとって、各界で活躍する二・三世が一世に関心を寄せてきたことはどんなにか心強いことだったでしょう。ただ、日々の暮らしに追われて一世の生活を顧みる余裕もない二・三世も少なくないのが現状です。より広く二世三世間で連携を深めていってほしいと願いつつ、会の今後の活躍に大いに期待したいと思います。
(An)
大阪府における多文化共生に向けての取り組みについては、以前NL29号で、府教育委員会の『帰国・渡日児童生徒学校生活サポート情報』という多言語の大変便利なHPを紹介しました。今回はその後新たに始められた施策「日本語教育学校支援事業」(平成17年度〜)について簡単に紹介します。
日本語を母語としない子供たちへの支援策は、地域による格差が非常に大きいのが実情ですが、この支援事業が対象としている“高校への支援”はとくに格差の大きいところです。事業の要となるのが日本語教育支援センター(このリソースセンターの名称は“ピア日本語”)の設置です。具体的な活動内容としては
@ 日本語教材、多言語資料等の設置
A サポート情報の集約
B 「教育サポーター」の登録・養成・派遣
C 担当教員への情報提供と対応
D 日本語指導教員研修の実施
が挙げられています。とくにこの「教育サポーター」は、単なる通訳ボランティアではなく、学校内部の状況も把握したうえで教員・生徒・保護者間をつないでいけるような人材の育成・派遣を目指しているとのことです。支援を必要とする子供を初めて受け入れた高校やそういった子供の在籍数が少ない高校にとって、このサポーターの存在は大きな力となるでしょう。このような支援が行政を中心に進められているという点が注目すべき動きだと思われます。
神奈川でも県教委とNPOとの連携による高校へのサポーター派遣が始まっているそうです。今後こういった“高校への支援”が充実することが、日本語を母語としない子供たちの高校進学や大学進学への道を広げることにつながっていくのではないでしょうか。
平成19年度は、日中両国政府による共同調査において、新たに日本人孤児と確認された4名の方々が昨年11月12日から11月23日までの12日間、集団一時帰国として来日し、永住帰国に向けたオリエンテーション、小学校の訪問、中国帰国者定着促進センター・中国帰国者支援・交流センター・ハローワーク見学などの行事に参加しました。
この間、報道機関、都道府県等の協力により、「劉国新」さんが、11月14日に茨城県在住の方と厚生労働省において対面調査を行い、DNA鑑定の結果、親族であることが確認されました。
厚生労働省としては、今までに身元が判明していないすべての孤児の方々を含め、引き続き肉親捜しに努めてまいりますので、皆様の一層のご協力をお願いします。
★★「新たな支援」の実施についてのご案内 ★★ 本邦に永住帰国された中国残留邦人、樺太残留邦人の皆様に対し、老後の生活の安定を図るため「新たな支援」が実施されます。 |
援護基金は昨年10月21日から約1週間、平成19年度訪中座談会を実施しました。この「座談会」とは、中国在住の残留邦人を対象に援護基金職員が中国に行って永住帰国や集団一時帰国の帰国援護などの説明を行うことで、残留邦人の皆さんが永住帰国や集団一時帰国参加を検討するにあたり、その参考としてもらうために毎年行っている事業です。
中国にお住まいの邦人の方々の中には、高齢などの理由で座談会に参加できない方、また、このような座談会が行われていることをまだご存知ない方もいらっしゃいます。
そこで今回は、黒龍江省、内蒙古自治区において、そうした残留邦人のお宅を援護基金職員が個別に訪問し、帰国援護などの説明を行いました。
基金としては今後もこうした戸別訪問を続けていきたいと考えています。
当基金は事業の一環として養父母お見舞い訪中等への援助を行っています。援助を受けるためには事前に申請書を提出する必要がありますが、例えば養父母の方が危篤状態で急いで訪中しなければならず、申請書の提出が間に合わないというような時は、中国語でも対応しますので、まずはお電話でご相談ください。
(TEL:03-3501-1050 FAX:03-3501-1026)
文部科学省初等中等教育局国際教育課
文部科学省は、外国人児童生徒の保護者等への情報提供をより一層幅広く行うことができるよう、本年10月に平成17年に作成した「就学ガイドブック」を1枚に要約した「就学ガイド」を作成いたしました。本就学ガイドは、外国籍の子どもが公立義務教育諸学校への就学の機会を逸することのないよう、日本の教育制度や就学の手続等について、ポルトガル語、中国語等7言語で作成したものです。
本就学ガイドは、各都道府県・市町村教育委員会へ配付するとともに、法務省や外務省、厚生労働省と連携し、渡日前後の外国人や外国人労働者に対しても広く情報提供を行っています。
本就学ガイドは、文部科学省ホームページにも掲載しておりますので、ご参照下さい。(掲載URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/001.htm#a10)
2007年12月16日、上記定例研究会が開催されました。この研究会は、東京で、現場の教師・研究者・保護者・ボランティア、NPOスタッフ等による、多文化共生教育の交流のネットワーク作りに取り組んでいる研究会です。
第一部では、都立深川高等学校に勤める石塚えりあさんより、都立高校での中国帰国生受入れに関する現状報告がありました。中国帰国者枠による高校入試選抜の実情や、現場の高校の先生方が、普段の学習支援のみならず、生徒の生活面・進学進路面での指導に奔走している現場の様子を聞くことができました。第二部では、大阪府教育委員会の小川裕之さん、多文化共生教育ネットワークかながわ事務局の高橋清樹さんによる、大阪・神奈川における多文化共生ネットワーク作りに関する実践報告がありました。子どもたちや保護者が安心して学校生活を送り、適切に進路選択を行うために必要な情報を得ることができる仕組み作りを、生徒たちの支援に携わってきたNPO・ボランティアと、府・県の教育委員会とが連携して進めているという報告でした。大阪でも神奈川でも、すでに様々な取り組みがなされていますが、特に、高校において、通訳支援や日本語支援を行う「教育サポーター」を育成・派遣している点が印象に残りました。
小中学校のJSL児童生徒の教育支援については、これまでも度々話を聞く機会がありましたが、このたび、高校における実践報告を聞き、改めて、学習内容が高度になり、進路選択が大きな問題となる高校生だからこそ必要な支援があることに気づかされました。彼らを支援するネットワーク作りがさらに進んでいくことが期待されます。
(所沢:齋藤)
2008年5月31日(土)・6月1日(日)/京都外国語大学(京都市)/プログラムは4月に発表 http://www.kufs-kyoyo.net/ibunka29/ 参照
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/shidou/tanoshi_gakko.htm
東京都教育委員会で作成された外国人児童・生徒用日本語テキスト『たのしいにほんご』が同委員会のホームページからダウンロードできるようになりました。同委員会では、公立小中学校に就学する外国人児童・生徒の増加にともない、昭和62年以来『中国引揚児童適応指導の手引』、『たのしい日本語(第1集)』、『たのしい日本語(第2集)』を作成し、特に中国帰国者児童・生徒の日本語指導の充実を図ってきました。それから更に多様化する外国人児童・生徒の言語に対応して日本語指導の充実を図るとともに、学校生活への適応指導も充実させていくことを目指し、平成5年に『たのしいにほんご』を作成しました。当初は冊子で作成していましたが、ひろく多くの方に活用してもらうために、ホームページで公開することにしたそうです。同テキストは児童・生徒用テキストと教師用指導書があります。言語は中国語の他、韓国語・朝鮮語、フィリピン語、英語、スペイン語、タイ語があります。初刊からすでに12年がたち、内容は多少古くなっているところはありますが、帰国者児童・生徒の日本語学習、また学校生活の一助になることと思います。
http://www.je-kaleidoscope.jp/index_ja.html
近年の日本の教科書に対する海外の関心の高まりを踏まえ、歴史教科書の内容を正確に海外に発信することを目的に、(株)ジャパンエコーが外務省の委託を受け、中学校歴史教科書翻訳版を作成しました。対象となるのは、2005年春に文部科学省の検定で合格した中学歴史教科書8冊の、江戸時代末期から明治維新以降の「近代」および最近までの「現代」にかかわる部分です。中国語、韓国語訳があります。英語訳および中国、韓国語訳の残りの部分については、順次翻訳しウェブサイトに公表していく予定だそうです。近代、現代とまだ一部分ではありますが、検定に合格した全8冊の訳があり、中学生・高校生の帰国者生徒の予習復習にも活用できるのではないかと思います。
今回はインターネットで見られる和露漢字辞典ЯРКСИ(ロシア語版)を紹介します。
この辞典は、以下のサイトから簡単にダウンロードできます。http://www.susi.ru/yarxi/上のアドレスを入力すると、「字書」という頁が出てきますから、中央部の yarxi-setup.exe をクリックすると、ファイルのダウンロードのウィンドウが開きます。(そこでこのファイルの「実行」を選んでください。)
同辞典は1995年より和英漢字辞書 JISHOP と共通のデータベースに基づき開発がすすめられました。両者の違いは和露か和英かという外、同辞典は無料だが JISHOP は有料だという点です。インターネット上で利用できる他の電子辞書との相違点は、表に示された631のラディカル(部首)による検索システムをとっていることです(従来、紙の辞書で部首として挙げられていたのは214の部首のみ)。画数を数える代わりに右クリックで表中の部首を選び組み合わせることにより、素早く漢字が検索できます。
また読みや意味がわからない漢字や熟語をコピーして貼り付ければその語を検索することができます。このように、同辞書は漢字学習に役立つばかりでなく、漢字語彙の和露電子辞書として使うことができるので、インターネット接続環境のあるサハリン帰国者にとってとても便利なツールとなるのではないでしょうか。
2006年6月刊 JALアカデミー著 アスク発行 2,400円(税別) A5判493頁
仕事でよく使われる2,220語について、それぞれの意味と、その語を使った表現、仕事場面での例文を、3ヶ国語対訳付きで掲載。いわゆる堅い「ビジネス用語」だけでなく、慣用句やカジュアルな言い回し、短縮語や新語なども網羅しています。それぞれの例文は、基本的に、仕事場で聞かれる口頭表現の形式になっていますので、まるごと覚えて会話の中で使いたいという方にも役立つでしょう。巻末には、いくつかの語についてのイラストによる解説、また、企業組織や役職に関する言葉のまとめもあります。見出し語には通し番号がつけられ、検索用の見出しも奇数ページ上部にふられるなど、引きやすさにも配慮しています。
2007年9月刊 松本節子他著 ユニコム発行 2,800円(税別) A5判251頁
職場で耳にする日本語会話や、マナーについての135問のクイズから構成された本。例えば、上司と部下の短い会話をまず掲載、その中に1箇所言葉が隠れているところがあり、そこに入るべき言葉を3択で選ぶといった形式です。正しい答えがわかったら、後は会話を丸暗記すればすぐに使えますし、さらに理解を深めるための「アドバイス」もついています。会話と注釈には英語・中国語の翻訳もついています。日本語中級以上の学習者向け。持ち運びにも便利なコンパクトなサイズで、CD付きです。
2007年7月刊 奥村真希・安河内貴子著 アスク発行 1,500円(税別) B5判137頁
ビジネス文書の種類や作成時の注意点など、総合的な説明から始まり、「用途別文例集」では、「稟議書とは?」「企画書とは?」など、具体的なビジネス文書についても実例をあげつつ、概要を解説しています。またビジネスメールのマナーにも触れています。ただ、文書の書き方についての解説文には、中・英・韓の翻訳がありますが、実際の日本語ビジネス文書のほうには翻訳がありません。日本語上級者、仕事でかなりフォーマルな文書を作る機会のある方向けの本です。日本語母語話者もあまり知らないような高度な内容も多く、学習者と支援者がともに勉強することになりそうです。
中国帰国者支援・交流センター(以下「首都圏センター」)では帰国者向けに情報誌『天天好日』を発行しています。これは、帰国者世帯に無料で配布されているもので、生活に関する情報や必要とされる情報、帰国者の状況などが掲載・紹介されています。現在は偶数月の2・4・6・8・10・12月の年6回発行されています。また、日本語・中国語の両方の言語で書かれているので、どちらかの言語しかわからない方にも読んでいただけます。
内容としては、例えば、生活に関する情報としては「災害時の安否確認の方法」(23号)や健康診断をした後にもらう結果の見方を説明した「健診の知識」(32・33号)、「健康相談室 メタボリックシンドローム」(28〜31号)などが挙げられます。
そして、普段のニュースで耳にすることばではあるけれど、よくわからないものや、少し解説があったほうがいいようなことばを取り上げた〈ニュースのことば〉では「BSE(牛海綿状脳症)」「原油高騰」「携帯番号ポータビリティ」「裁判員制度」「振り込め詐欺(記事ではオレオレ詐欺)」などが説明されています。
また、〈お役立ち学習情報〉では日本語を学習する上で役立つ情報を掲載しています。中国語訳が付いているビジネスマナーの本の紹介(34号)や各社の中国語の電子辞書の違いを紹介している「中国語電子辞書」の特集(31号)や中国語訳付きのものも紹介されている「カタカナ語の辞書」の特集(33号)などがあります。
帰国者の活動を紹介した〈高齢帰国者向け日本語教室〉(32号〜37号)では各地で行われている帰国者の日本語学習、太極拳、中国音楽の集いなどの活動を紹介しています。また、2・3世向けには、自動車整備士(30号)、介護福祉士(29号)、ホームヘルパー(28号)、通訳案内業(27号)等就職に役立つ資格を紹介するとともに、資格を取得した帰国者の体験談も掲載しています。さらに、2・3世で進学をする人のための奨学金の情報も毎年掲載しています。
もちろん、首都圏センターでの日本語学習遠隔課程(通信教育)の受講生募集情報についても知ることができます。新設されたコースや、新しい募集期(4月期と10月期)の情報を紹介しています。
帰国者の中には『天天好日』を、情報誌としてだけではなく、日本語学習に利用している方もいます。対訳があることに加え、漢字はルビ付きなので『天天好日』そのものを日本語の教材としても利用できるからです。
現在『天天好日』は、全てではないですが、〈ニュースのことば〉、〈お役立ち学習情報〉、〈健康相談室〉などを抜粋して、ロシア語に翻訳されているものもあります。
本紙をご覧の方で、『天天好日』を受け取っていない帰国者世帯をご存じの方は、是非お伝えください。希望される帰国者の方にはこれまでのバックナンバーもお送りできます。(残部がある場合)
連絡先:〒110-0015 台東区東上野1−2−13 カーニープレイス新御徒町6階
TEL:03-5807-3171 FAX:03-5807-3174 メール:info@sien-center.or.jp
※同誌は印刷されたもの以外に、これまでに出た号のすべてを首都圏センターのHPで読む事ができます。
http://www.sien-center.or.jp/magazine/index.html
2007/09/27 韓国系サハリン住民、610人が28日から11月にかけて順次 韓国に 永住帰国※
※これまでに1685人が帰国、さらに1800人が帰国の意思。韓国政府は国民基礎生活保障法に基づき生計給与と敬老年金を支給、医療支援も提供。
2007/09/28 残留孤児4人の名簿公表 11月12日から一時帰国
2007/10/02 残留孤児新支援策 脱・生活保護へ大詰め 給付制約が焦点
2007/10/17 残留孤児支援で都が緊急提案 ― 国の責任で全額国庫負担にせよ
2007/10/23 残留孤児新支援法 今国会成立の見通し 与野党で合意
2007/10/29 中国残留孤児男性 再三の調査申請するも厚労省の認定まで13年
2007/11/01 残留孤児支援法改正案:11月2日に共同提出する方向で自・民合意
2007/11/02 残留孤児支援法:衆院本会議で改正案可決へ
2007/11/06 仙台で初の残留孤児支援法改正案説明会
2007/11/12 中国残留孤児:4人が肉親捜しのため来日 23日まで一時帰国 最少人数
2007/11/15 中国残留孤児:一時帰国の劉国新さんがDNA鑑定へ
2007/11/22 福岡県自立研修センター年内に閉所 九州支援・交流センターに引継ぎ
2007/11/24 一時帰国の中国残留孤児4人、23日に離日
2007/11/28 残留孤児支援法が参院本会議 全会一致で可決、成立
2007/12/05 首相、残留孤児に謝罪 『気付くのが遅く申し訳ない』
2007/12/07 残留婦人:改正支援法を受け さいたま地裁で初めて訴訟取り下げ
2007/12/13 残留孤児東京高裁原告団 訴え取り下げ 全国で初めて終結※
※集団訴訟は、これまでに8地裁で判決が出され(神戸以外は敗訴)、10地裁6高裁で裁判が続いていた。
2007/12/19 18日 一時帰国の中国残留孤児 劉さんの身元判明 3年ぶりの判明
2007/12/19 残留孤児訴訟:国賠訴訟が終結 支援法成立で、原告側訴え取り下げ〈山形地裁〉
原告団、「中国『残留』帰国者 山形の会」を結成
2007/12/23 残留孤児訴訟:広島訴訟、取り下げ方針〈広島高裁〉
2007/12/24 残留孤児訴訟:兵庫訴訟も取り下げ〈大阪高裁〉
2007/12/28 残留孤児訴訟:福岡訴訟も終結〈福岡地裁〉
「公民館」という最も身近な場所で開かれている日本語教室に出向き、中国以外の様々な国の人と知り合うことにより、交際範囲を広めていった残留孤児一世Aさんの手記を紹介します。
(中国帰国者支援・交流センター 情報誌『天天好日』第32号:2007年2月発行から転載)
私は、2003年4月17日に来日し、3年あまりが経ちました。現在59歳です。2004年10月から中国帰国者自立研修センターで日本語学習を始めました。始めた時は平仮名さえも全くわかりませんでした。センターの先生の手助けのもと、2、3ヶ月自立研修センターで学習してやっと平仮名や片仮名が読めるようになりました。
センターの学習は7ヶ月で修了しましたが、修了時には、まだ日本語を話したり、聞き取ったりすることがあまりできなかったので、とても焦りました。どうしようと思っていると、自立研修センターの先生が、公民館で勉強することをすすめてくれました。そこで、週3回、水曜日は勤労会館、木曜、日曜日は公民館の教室に行くようになりました。これ以外にも、火曜日の午前中は、国際交流センターでマンツーマンの日本語指導を受け、月2、3回、土曜日には自立研修センターでも学習をしています。
公民館では、中国人以外にも韓国人やフィリピン人、タイ人やブラジル人と一緒に勉強します。費用は国際交流協会の会員になると年間千円で、3ヶ所で自由に学習することができます。学習時間は、平日は、午前中の2時間で、日曜日は一日勉強します。いろいろな国の人が一緒に勉強しているので、先生は日本語しか話しません。しかも漢字のわからない国の人もいますので、板書は全て平仮名か片仮名だけです。初めは先生の話す日本語が分かりませんでした。宿題の指示も理解できなかったので、何をやったらいいのか全くわかりませんでしたが、先生が一に聞く力、二に話す力、三に読む力をつけようとおっしゃったことを目標に学習を続けた結果、聞き取りの悪かった私も先生の話す日本語がだんだん分かるようになってきました。
しかし、まだ私は日本語がうまく話せません。発音も不正確で、話をするのも恥ずかしいです。ですから、できるだけ中国人以外の同じ日本語レベルの外国人とよく話をするようにしています。日本人と話すより外国人とのほうが、気兼ねなく話せるからです。1年あまりの公民館での学習を通じて、多くの外国の友人ができました。タイの友人の家で、餃子の作り方を教えてあげたこともありますし、ブラジルの友人を家に呼んだこともあります。公民館では、クラスの中で一番年齢が高いことや名前が日本語でいいにくいことから、皆から「お母さん」と呼ばれています。
また、公民館で知り合った日本の友人もいます。みんないい方ばかりです。Bさんは、公民館で中国語を勉強しているのですが、時々私の家にやってきて、お互いに言葉を教えあいます。Bさんは日本語を教えてくれ、その代わりに私は中国語を教えます。Bさんの家で餃子や中国料理の作り方を教えることもあります。またCさんとも公民館で知り合いました。彼女は少し中国語ができます。とても親切で、毎回私や主人の通院に付き添って通訳をしてくれます。Cさんとは家を行き来したりして、とてもよいお付き合いをしています。
昨年の12月に、公民館でクリスマスパーティーがあり、私は餃子を作って持って行きました。会場には、タイ料理やブラジル料理や韓国料理といった各国の料理をはじめ、果物、お菓子などがたくさん並びました。そして歌や踊り、ゲームなどをして楽しく過ごしました。
私は地域の公民館に通うようになってから、いろいろな国の多くの友人を得ることができました。また日本語の力も徐々についてきて、今は日本での生活をとても楽しんでいます。これもすべて公民館ならびに各センターの諸先生方のおかげと思い感謝しています。