HOME > 支援情報 > 機関紙「同声同気」 > 第42号(2008年5月23日発行)  PDFファイル
地域情報ア・ラ・カルト
 中国帰国者定着促進センター(所沢センター)
 東海・北陸中国帰国者支援・交流センター
行政・施策
 厚生労働省から
  平成20年度中国残留邦人対策関連予算の概要
  支援者の皆様へのお願い(別紙リーフレット同封)
 援護基金から
  二・三世に対する教材費援助
  ホームヘルパー養成及び介護関連資格取得にかかわる援助
 文部科学省から
  平成20年度実施事業について
 文化庁から
  「生活者としての外国人」のための日本語教育事業の実施
  文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の設置
研修会情報
 研修会報告
  国立国語研究所 平成19年度 公開研究発表会
 研修会情報
  第7回 移住労働者と連帯する全国フォーラム
  母語・継承語・バイリンガル教育研究会大会
教材・教育資料
 ついに出た!ロシア語電子辞書
 『外国人母親のための子育て日本語表現』
 『みる あそぶ にほんご!』がダウンロードできるようになりました。
 41号掲載記事のお詫びと訂正『日本語ビジネス文書マニュアル』
とん・とんインフォメーション
 《 2008年度の進路ガイダンス 》各地の情報
 『 遠かった祖国への道 奈良中国「残留」孤児・婦人の証言 』刊行!
遠隔インフォメーション
 遠隔学習課程近況
ニュース記事から 2008.01.11〜2008.05.10
事例紹介 資格を逆輸入 ―米国公認会計士の資格を得て―

地域情報ア・ラ・カルト

中国帰国者定着促進センター(所沢センター)

 今年の4月に大阪のセンターが閉所となり、定着促進センターは所沢センターだけとなってしまいました。
 所沢センターでは、また、帰国直後の初期集中研修(6ヶ月)という従来からの事業のほかに、これまで支援・交流センター(首都圏センター)が行っていた全国の帰国者に対する日本語遠隔学習支援事業スクーリング支援事業を受託し、全国各地に定着した帰国者の学習を中長期にわたって支援する役割を併せ持つことになりました。
 帰国したばかりの帰国者を迎え入れ、6か月間の研修を行って定着地に送り出す、これが今までの私たちの主な役割でしたが、大阪の定着促進センターが閉所となった今年度からは、国費帰国者と同伴家族のすべてを所沢センター1ヶ所で受け入れることになります。
 また、センターを修了し全国各地に定着した帰国者に対しても、遠隔学習やスクーリング等の形で支援を続けることになります。今後帰国する人々だけでなく、これまで所沢センターを巣立っていった人々や他の定着促進センターを経て定着した人々、あるいは、定着促進センターを経ていない自費の帰国者や呼び寄せ家族も含め、より多様な帰国者とその家族の学習に対する支援に全面的に取り組むことになります。
 これに合わせて、当センターでは教務関係の組織を改め、今までの初期集中研修を主に担当する教務第一課と遠隔学習及びスクーリング支援関係を中心に担当する教務第二課から成る教務部を創設することとなりました。今後は、このニューズレターの読者の方々の他、自立研修センターや支援・交流センター、都道府県、そして新支援策で支援の中心的な主体と位置付けられている定着地市区町村などと、今まで以上に連携を広げ深めるように努めていかなければなりません。
 本紙でも、今号から新たなコーナー《遠隔学習インフォメーション》を設け、定期的に遠隔学習情報や定着地での学習事情などについて紹介していきたいと考えています。

※従って本紙の編集・制作も、教務課講師会から教務部講師会へと変わりました。本紙についてのご意見・お問い合わせも、新しいメールアドレスにお願いいたします。アドレスは本紙1頁上部に記載してあります。
(電話/FAX番号は変わっていません)

東海・北陸中国帰国者支援・交流センター

 東海・北陸センターは2006年9月に開所し1年半になりました。帰国者とその家族の自立のための学習支援、交流事業、相談事業を行っています。学習支援では、現在、通学課程に延べ250名ほどが日本語やパソコンの学習に通っています。(複数のコースを受講している学習者がいるため実際の人数は約150名。) 平日(水・金)は主に1世世代を対象としたクラスを、土・日は2・3世世代を対象にした様々なクラスを設けています。日本語では「ひらがな」から学べる「日本語文法文型@」コースから「日本語能力試験1級受験対策」コースまで、また、生活者の日本語「医療」「交通」「消費生活」「近隣会話」のクラス、「運転免許学科対応」クラス、就労現場での語彙・漢字や会話を学ぶ「実用日本語」クラス、パソコンでは1世世代を対象とした「ゆっくりパソコン」クラス、主に2・3世世代を対象とした「入門」から「ワード」、「エクセル・電子メール」のクラスと幅広いクラスを設けています。中でも「ゆっくりパソコン入門」クラスは、多分、センターのこのクラスに入らなければパソコンには無縁だったかもしれない方が6ヵ月後にはインターネットで中国のニュースを見たり、年賀状や暑中見舞のはがきを作成したり、簡単な自己紹介文が日本語で打てるようになり、感激です。能力試験受験対策のクラスでは1級、2級で毎年、数名の合格者をだし、日本語への自信に繋げています。一方、遠隔学習のスクーリングも毎月10クラスほど設けています。時間的、経済的に毎週は通学できなくても1ヶ月に1〜2回ならセンターに来られるという方などが、参加しています。
 相談事業では、帰国者の年齢層の拡大、生活環境の多様化などにより、相談内容も多様化してきたので、専門機関、行政機関等と連携し学習相談、就労相談、生活相談などに対応しています。
 交流事業では、「交流サロン」での日本文化交流会を始め、「太極拳教室」、「ピンイン学習」、「はがき絵教室」などセンター内の事業のほか、積極的に外に出て地域の伝統行事や旧跡などを探訪する「地域探索教室」など、帰国者の皆さんが少しでも地域に親しむきっかけになればと期待しています。また、医療や介護への関心も高く「健康づくり教室」も人気で、健康でいきいきした生活ができるよう機会を提供しています。

(東海・北陸センター:巣山・鵜飼)

行政・施策

★厚生労働省から

●平成20年度中国残留邦人対策関連予算の概要

【19年度予算額】 1,780百万円 → 【20年度予算額】 11,145百万円
(※職業安定局及び職業能力開発局計上分含む 1,838百万円 → 11,251百万円

 中国残留邦人に対して、従来の施策に加え、その置かれた特別な事情に配慮した新たな支援策を講ずるため、第168回国会(臨時会)において成立した「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成19年法律第127号)」を踏まえ、老後の生活の安定、地域での生き生きとした暮らしが実現できるよう支援する。

1. 中国残留邦人に対する新たな支援
0百万円 → 9,939百万円

(1) 中国残留邦人に対する支援給付の実施
0百万円 → 9,116百万円
@ 中国残留邦人に対する支援給付
老齢基礎年金を満額受給してもなお生活の安定が十分に図れない中国残留邦人等に対して、新たに生活支援給付、住宅支援給付、医療支援給付などの各支援給付を実施し、生活の安定を図る。
A 「支援相談員」の配置
中国残留邦人に理解が深く、中国語ができる「支援相談員」を福祉事務所等に配置し、円滑な実施体制を整備する。

(2) 地域社会における生活支援の実施
0百万円 → 562百万円
@ 地域における中国残留邦人支援ネットワーク事業
地域における多様なネットワークを活用し、中国残留邦人が気軽に参加できるような仕組みを作り、地域の中での理解、見守りや支え合いなど地域で安定して生活できる環境を構築する。

A 身近な地域での日本語教育支援
中国残留邦人が身近な地域で学べる場を提供し、それぞれの状況に応じた支援を実施する。

(3) 啓発・広報の実施
0百万円 → 53百万円
中国残留邦人問題への国民の理解と協力を得るための啓発・広報等を実施する。

2. 2世・3世に対する就労支援(※職業安定局及び職業能力開発局計上分)
58百万円 → 106百万円
2世・3世の就労による自立を図るため、ハローワークにおけるきめ細かな職業相談・職業紹介や試行雇用の実施等の就労支援を促進する。

3. 定着自立援護(自立研修センター、支援・交流センター運営経費等)
1,103百万円 → 501百万円

4. 帰国援護(帰国旅費の支給、定着促進センター運営経費等)
621百万円 → 645百万円

5. 訪日調査等
56百万円 → 60百万円

◆中国残留邦人に対する新たな支援関連
平成19年度補正予算の概要
  25,368百万円

1. 老齢基礎年金の満額支給のために必要な保険料の追納  25,161百万円
中国残留邦人の老後の生活の安定を図るため、老齢基礎年金の満額支給を行うために必要な年金保険料を全額国庫負担で追納する特例措置を講ずる。

2. 広報事業経費等  207百万円
中国残留邦人に対して新制度の広報等を実施する。

― 支援者の皆様へ ―

以下の情報(本紙に同封のリーフレット)を入手していない帰国者の配偶者や二世三世をご存じでしたら、このリーフレットをお渡しくださるようお願いいたします。
日本語版中国語版ロシア語版あり

帰国者の配偶者や二世・三世の皆さんへ

◎外国籍の方々に対する公的年金制度について
日本の国籍を取得した方や永住者の在留資格を取得した方については、
 @ 日本に住所のあった1961年4月から1981年12月までの期間
 A 海外にお住まいになり日本に住所のなかった1961年4月以後の期間
は、原則として、合算対象期間(いわゆる「カラ期間」)として、年金の受給資格期間に算入されることとなっています。

ただし、この取扱いは、65歳の誕生日の前日までの間に日本国籍又は永住者の在留資格を得ている必要があるので、永住帰国した残留邦人の配偶者や二世・三世の方々はご注意ください。
詳細については、別添リーフレットをご覧ください。また、社会保険庁のHP(http://www.sia.go.jp/)にも掲載されていますので、ご参考願います。

★援護基金から

●二・三世に対する教材費援助

 日本語学習通学課程(各地の中国帰国者支援・交流センターが担当)、また遠隔課程(4月より所沢センターが担当:この事業受託機関の変更については本紙2頁で報告)の教材費は、これまでは、帰国者一世(配偶者を含む)は全額免除、二・三世は全コース一律1000円を自己負担とし残りは当基金が補助していましたが、平成20年4月より当基金が二・三世に対して全額援助を行うこととしました。これにより、二・三世にかかる通学/遠隔  課程受講者の教材費は全て援護基金が援助いたします。

●ホームヘルパー養成及び介護関連資格取得にかかわる援助

 当基金では、ホームヘルパー養成講座受講者に対し授業料の一部の援助を行ってきましたが、平成20年からは、援助の対象となる講座がさらに広がりました。援助の対象となる講座は、

@ ホームヘルパー2級講座
A ホームヘルパー1級講座
B 介護福祉士受験対策講座
C ケアマネージャー(介護支援専門員)受験対策講座

 詳しくは中国帰国者支援・交流センターHP http://www.sien-center.or.jp/magazine/index.html の中国帰国者向け情報誌『天天好日』28-30号をご覧ください。

 援助の対象者は、中国・樺太等帰国者一世、二世及び三世並びにそれぞれの配偶者です。援助額は、当該講座受講料(消費税含む)の80%で、援助額の上限は8万円です。募集は毎月行っていますが、申請書類等は原則として当該講座受講前に提出してください。

お問い合わせ・資料請求
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1−5−8 オフィス虎ノ門1ビル
(財)中国残留孤児援護基金 業務調査課
TEL:03-3501-1050 FAX:03-3501-1026

★文部科学省から

●平成20年度実施事業について

文部科学省初等中等教育局国際教育課

・「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」
 文部科学省は、平成19年度より「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」を実施し、外国人の子どもに対する就学促進や帰国・外国人児童生徒の学校への受入体制の整備等を行う実践研究を実施しています。平成20年度においては、就学前の外国人児童生徒への初期指導教室(プレクラス)の実施、日本語指導の際の補助や学校と保護者との連絡調整等を行う際に必要な外国語のわかる人材の配置等による地域・学校での受入体制の整備を新たに行うこととしています。

【平成20年度予算額 223,082千円】 (平成19年度予算額 157,052千円)

・「JSLカリキュラム実践支援事業」
 文部科学省は、日本語を母語としない児童生徒が日本語で学習に参加する力を育成するため「JSL(Japanese as a second language 第二言語としての日本語)カリキュラム」を開発しました(平成15年7月に小学校編公表、平成19年3月に中学校編公表)。平成19年度からは、JSLカリキュラムを活用した指導の実践及び効果的な実践事例の収集や、教員の指導力向上を目的としたワークショップを開催する「JSLカリキュラム実践支援事業」を実施し、平成20年度においても、引き続き実施することとしています。

【平成20年度予算額 35,467千円】 (平成19年度予算額 41,388千円)

上記事業については、文部科学省ホームページにも掲載しておりますので、ご参照下さい。(掲載URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/001.htm#a02

★文化庁から

●「生活者としての外国人」のための日本語教育事業の実施

 近年、経済のグローバル化が進展する中で、日本国内に定住する外国人が増加しています。これらの人々が地域社会の中で孤立することなく生活していくために必要な日本語能力を習得できるよう、各地の優れた取り組みを支援し、多文化共生社会の基盤づくりに資することを目的に、平成19年度より「生活者としての外国人」のための日本語教育事業を実施しています。
 事業の内容は、上に述べた目的を実現するため、以下に係る事業の企画及び実施を委嘱するものです。

(1) 日系人等を活用した日本語教室の設置運営
日系人等を日本語指導者として活用する日本語教室を実施する事業

(2) 退職教員を対象とした日本語指導者養成
小・中・高等学校を退職した教員を対象に日本語指導者として必要な知識能力を身に付けさせるために養成講座を開設する事業

(3) 日本語能力を有する外国人を対象とした日本語指導者養成
日本語を母語としないが、一定の日本語能力を有する外国人を対象に日本語指導者として必要な知識能力を身に付けさせるために養成講座を開設する事業

(4) ボランティアを対象とした実践的長期研修
ボランティアとして日本語指導に従事している者を対象とした、授業実習等の実践を含んだ長期研修事業

(5) 外国人に対する実践的な日本語教育の研究開発
地域において活用することができる実践的なカリキュラム等を研究開発する事業

(6) 日本語教育ハンドブックの作成・配布
外国人のための日本語教育ハンドブックを作成・配布する事業

19年度に実施した事業の主な成果については、文化庁のHPおよび日本語教育大会等で報告していくことにしています。
詳しくは、文化庁のホームページ(http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kyouiku/seikatsusya/index.html)を御覧ください。

●文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の設置

 外国人の定住化傾向や社会参加の必要性の高まりを受け、文化審議会国語分科会は、平成19年7月25日に日本語教育小委員会を設置しました。そして、現在の日本語教育をめぐる諸課題について検討することとし、まずはそれらの課題を明らかにすることを目指して関係者へのヒアリングと審議を重ねました。そして、平成20年2月1日に開催された第45回文化審議会総会国語分科会報告において、地域における日本語教育の「内容の改善」、「体制の整備」、「連携協力の推進」が今後検討すべき日本語教育の課題として報告されました。続いて第46回文化審議会総会が同月14日に開催され、前期に引き続き国語分科会日本語教育小委員会において課題の検討が行われることになりました。詳しくは、文化庁のホームページで紹介されておりますので、ご覧下さい。(http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/45/pdf/siryou_2_2.pdf

(文化庁文化部国語課 中野敦)

研修会情報

★研修会報告

国立国語研究所 平成19年度 公開研究発表会
『生活日本語』の学習をめぐって ―文化・言語の違いを超えるために―

1月26日(土) 同研究所にて

 国立国語研究所は、毎年、「公開研究発表会」という形で研究プロジェクトの成果を報告している。平成19年度は、日本語教育基盤情報センターにおける4つの研究グループから以下のタイトルで報告があった。

@ 生活のための言葉:国内外先行事例から学ぶこと、実態調査から明らかにすること
A 評価の『ゆらぎ』を問い直す:評価観・評価のプロセスを探る研究
B よくわかる日本語辞書とは
C 日本語教育データベースの構築:その課題と可能性について

 近年、日本社会において外国人労働者の受け入れ、また、定住化が進む南米からの日系人と共にくらすための地域社会のあり方等についての議論が新聞などの紙面に見られるようになってきている。日本語教育の分野においても、留学生やビジネスマンといった特定目的に限定されない「生活のための日本語」が1つの焦点となっている観がある。そうした流れの中での今回の発表は、特に@において、在住外国人の日本語学習環境の現状と課題が概括されるとともに、こうした定住外国人の一典型である中国帰国者に対する日本語教育や、オランダにおける移民に対する言語教育の学習項目/達成目標についての調査結果が報告され、大変興味深い発表となっていた。私たちの不断の問いかけである「生活に必要な日本語力とは何か/何ができるようになることを目指せばいいのか」について、オランダ等移民に対する言語政策が明確に打ち出されている国の資料は大いに参考となるものであった。なお、これらの研究成果の詳細については、国立国語研究所のHP上で閲覧することができる。

(佐藤)

http://www.kokken.go.jp/
研究活動→調査研究の成果
発表@は 調査研究事業「日本語教育における学習項目一覧と段階的目標基準の開発」について を参照

★研修会情報

●第7回 移住労働者と連帯する全国フォーラム
  多民族多文化共生社会の明日のために

2008年6月14日(土)・15日(日)/川崎市教育文化会館/http://www.jca.apc.org/migrant-net/Japanese/whatsnew/080614_15kanagawaforum_j.html
申込用紙に必要事項を記入の上、5月末まで
申し込み先事務局 FAX:044(555)3362 メール:info@kanagawa-f08.sakura.ne.jp

●母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会大会
  「バイリテラル・バイカルチュラルの育成を目指して―実践と課題」

2008年8月10日(日)/桜美林大学プラネット淵野辺キャンパス(PFC)201号室
詳しくは http://www.mhb.jp/

教材・教育資料

ついに出た!ロシア語電子辞書

 サハリン帰国者にとって永らく待望だったロシア語電子辞書のためのソフトCD-ROM XS-SA13とデータ・カード XS-SA15MCが、今年の3月カシオから発売となりました。メーカー希望小売価格¥6,980(税込¥7,329)。データ・カードはもう少し高くなります。電子辞書本体は別売(¥24,000〜42,000)です。
 CD-ROMには、三省堂のコンサイス露和辞典第5版と和露辞典第3版が入っており、パソコンからカシオの携帯用電子辞書、EX-word DATAPLUS4に入れて使うことができます。カードの場合は、直接電子辞書に差し込んで使います。
 さらに同電子辞書には日本語大シソーラス―類語検索大辞典、現代カタカナ語辞典、漢字源をはじめ100ものコンテンツが入っており、ペンタッチによる手書き検索ができるため、とても便利です。ロシア語のキーボード配列はキーボードの下の液晶画面で見ることができ、ロシア語の手書き入力も可能です。パソコンに取り込んだり、新たな単語を追加したりすることができないのは残念ですが、大きな辞書を何冊も持ち歩くことを考えると、使いやすいことは言うまでもないでしょう。若い人たちばかりでなく、紙の辞書の小さい字に悩まされてきた年配の帰国者、支援者にとっても朗報ですね。

『外国人母親のための子育て日本語表現』

2008年3月刊 特定非営利活動法人ヤマガタヤポニカ 編著・発行 A4判91頁

 日本人男性と国際結婚して日本で子どもを育てている外国人女性は、日常会話ではさほど困っていなくても、子育ての場面では自分の言いたいことが日本語でうまく表現できず、戸惑ってしまうことが少なくないようです。そういう場面で日本語母語話者がよく用いる語彙表現は、一般的な日本語の教科書では十分に取り扱われていないことも、その一因と考えられます。
 そうした外国人女性が多く定住する山形県で、彼女たちの切実な声を受けたNPOのヤマガタヤポニカが、子育ての場面でよく用いられる日本語の文型や語彙表現を一冊のテキストにまとめました。それが本書です。
 話題シラバスを採用した本書は、「食べ方のしつけをする」「勉強を励ます」「交通ルールやマナーについて教える」「かたづけを促す」「帰宅時間を注意する」「不審者を警戒させる」「お手伝いをねぎらう」「ものの使い方を注意する」「ペットの扱い方を教える」「テレビの見方を注意する」「けんかのいきさつを聞いて、仲直りを促す」「練習をがんばったことをほめる、励ます」「小さい子と上手に遊べるように諭す」「怪我をした子を慰める」「朝学校へ行く前の支度を促す」「子どもに病状を尋ねる」「お風呂の入り方を教える」「学校からの配布物や次の日の準備を確認する」といった18の場面(課)で構成されています。これらはモジュール形式となっていて、課の順序には関係なく、どの課からでも学習を始めることが可能です。
 各課の構成は、学習者の問題意識を喚起する「はじめに」、関連語彙を取り上げた「言葉」、トピックを会話場面で提示した「会話」、会話の中で登場した特定の文型の発話意図を考えさせる「考えましょう」、文型を練習する「文法」、実際に自分の子どもに話すことを想定した会話練習の「話しましょう」、学んだことを文字で書いて定着を図る「書きましょう」の各部分から成り立っています。
 本書の特徴としては、自然な会話を重視し、助詞を省略した言い方や縮約形をそのままの形で提示している点が挙げられます。また、学習者が自習しやすいように、すべての漢字にルビを振っているのも大きな特徴です。

★お問い合わせは ヤマガタヤポニカ(japonica@mub.biglobe.ne.jp)まで。

『みる あそぶ にほんご!』がダウンロードできるようになりました。

http://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/site/page/kurashi/gyosei/kokusaika/kyouzai/

 以前、本紙第40号9頁でも紹介した、山梨県南アルプス市作成の就学期外国籍児童のための日本語教材が、同市のホームページからダウンロードできるようになりました。同教材は「ひらがな50音」、「ひらがなゲーム・タスク」、「索引・語彙対訳表」から成り、ポルトガル語、英語、スペイン語、中国語、韓国語の対訳付き。可愛らしいイラストも。

41号掲載記事のお詫びと訂正

 本紙41号9頁でご紹介した、『日本語ビジネス文書マニュアル』(2007、奥村他著、アスク)について、一部記載ミスがありました。記事内では、「文書の書き方についての解説文には、中・英・韓の翻訳がありますが、実際の日本語ビジネス文書のほうには翻訳がありません。」とありましたが、巻末に3ヶ国語の対訳集がついています。お詫びして、訂正いたします。

とん・とんインフォメーション

《2008年度の進路ガイダンス》各地の情報

【東京】
JICA地球ひろば(広尾)
@7月6日(日)A10月5日(日)
《NPO法人多文化共生センター東京 TEL・FAX:03-3801-7127 E-mail:tokyo@tabunka.jp

【埼玉】
@7月6日(日)川越地方庁舎
A7月13日(日)草加市勤労福祉会館
B7月27日(日)深谷公民館
C10月12日(日)大宮ソニックシティ市民ホール
《(財)埼玉県国際交流協会 加藤 E-mail:kato@sia1.jp

【神奈川】
9月末〜10月末(下記の県内5会場で実施予定)
@かながわ県民センター
A厚木ヤングコミュニティセンター
Bひらつか市民活動センター
Cさがみはら国際交流ラウンジ
Dいちょう小学校コミュニティハウス
《多文化共生教育ネットワークかながわ http://www15.plala.or.jp/tabunka/index.htm
詳細は上記HPで(6月末にUP予定)

【長野】
9〜10月にかけて、長野市・松本市・上田市・飯田市で実施予定
《(財)長野県国際交流推進協会 春原 TEL:026-235-7186》

【滋賀】
7月末から8月中旬までの間に開催予定
《(財)滋賀県国際協会 光田(みつだ) TEL:077-526-0931》

【三重】
〈津市〉会場:津市高茶屋市民センター
@10月5日(日)高校進学ガイダンス
A12月7日(日)就学ガイダンス
《津市教育委員会人権教育課 TEL:059-229-3253》

【岐阜】
8月23日(日)可児市多文化共生センター
《可児市国際交流協会 TEL:0574-60-1200/1122 E-mail:npokiea@ma.ctk.ne.jp または frevia@ma.ctk.ne.jp》

【京都】
7月27日(日)京都教育大学附属桃山中学校
《京都教育大学附属桃山中学校 佐々木 TEL:075-611-0264 FAX:075-611-0371》

◆今年度も、新たな情報が入り次第、当センターHPにて紹介していく予定です。
当センターHP コンテンツガイド〈進学進路支援情報〉→「高校進学ガイダンス情報」→ ◆2008各地の情報(追加情報)

『遠かった祖国への道 奈良中国「残留」孤児・婦人の証言』刊行!

A4判140頁

 本紙28号で紹介した奈良中国帰国者支援交流会では、昨年より県内の帰国者やその家族の体験談を編集していましたが、この度それが刊行されました。県内の残留孤児・婦人、その家族ら29人が、中国に残留するにいたった経緯と祖国日本へ帰国するまで、そして帰国後の言葉の壁、生活習慣、文化の違いによる日常生活の苦労等がつづられた貴重な資料となっています。750部作成されて、県内の自治体、中高大学や図書館、全国の帰国者支援団体等に寄贈されました。現在残部はありませんが、5月中旬に増刷される予定です。実費として1000円が必要ですが送料は会の負担で入手可能です。

問い合わせ先:奈良中国帰国者支援交流会 Mail:shimomu@iris.eonet.ne.jp(事務局) TEL/FAX:0742-48-1860(井上芳昭会長宅)

遠隔学習インフォメーション

日本語遠隔学習支援(通信教育)は、本紙2頁で紹介したように、今年4月より、実施機関が、中国帰国者支援・交流センター(首都圏センター)から中国帰国者定着促進センター(所沢)に変わりました。

《遠隔学習課程近況》

 今年で7年目に入った《遠隔学習課程》は、現在は、中国、サハリンからの帰国者向けに全部で28のコースを開講するまでになっています (詳しくは次頁の一覧表に) 。2008年5月の在籍者数も延べ1400名に上り、その居住地域も全国43都道府県に渡っています。
 特に今回の上期(4月)募集に対する反応は大きく、前回の大規模募集時(昨年10月)を大きく上回る数の応募がありました。新規応募者も、1世世代と2、3世世代ともに大きな偏りなく含まれており、この応募者急増には、「新しい支援制度」による諸制度活用の推進や、この4月から2、3世の《遠隔/通学 学習課程》教材費が全額補助されるようになったことなどが背景にあると考えられます(詳しくは本紙5頁で紹介)。その結果、4月生は前回の1.4倍にあたる300件を超える受講者数となりました。また、定員を超える応募があったコースも多く、これまでは定員オーバーのため長期間待ってもらわなければならなかったコースは〈医療コース〉だけでしたが、今回、この他に〈入門日本語コース〉等8コースが2ヶ月〜数ヶ月待ちという、応募者には大変申し訳ない状況になっています。
 現在、《遠隔学習課程》および首都圏センターの《通学課程》の利用登録者は3000名を超えていますが、この7年間の応募の状況を見ていますと、この数も実際に日本に定着している帰国者のほんの一部ではないかと思われます。まだまだこの《遠隔学習課程》を知らない帰国者がかなりいること、また、日本語学習機会を必要としている潜在的学習者が全国にたくさんいることを実感しています。今後も全国各地に定着する帰国者が利用したい/利用しやすいコースの充実、そして“待ち時間”なくいつでもどこでも学習が始められるシステム作りを目指して努力していきたいと思います。

現在、開講/募集 しているコースです。

中国帰国者対象
生活場面日本語
 ・交通コースT・U
 ・消費生活コースT・U
 ・医療コースT・U
入門日本語文法文型コースT・U
続・入門日本語文法文型コースAT・U
続・入門日本語文法文型コースBT・U
近隣交際会話コースT・U
中国語ピンイン学習コース
就職対応コース
漢字ゆっくりコースAT・U
漢字ゆっくりコースBT・U
中卒程度 数学コース
高卒程度 数学コース
中卒程度 国語コース
高卒程度 国語コース
漢字学習コースT・U
読解の基礎コースT・U
自己表現作文コースT・U
運転免許学科試験対応コースT・U
ホームヘルパー受講準備コース

サハリン帰国者対象
生活場面日本語
 ・交通コースT・U
 ・消費生活コースT・U
近隣交際会話コースT・U
就職対応コース
漢字学習コース(1)T・U
漢字学習コース(2)T・U
漢字学習コース(3)T・U
漢字学習コース(4)T・U

詳細については 中国帰国者定着促進センターHP http://www.kikokusha-center.or.jp/
お問い合わせや資料請求は下記まで。
※ホームヘルパーコースの応募書類も所沢センターにお送りください。
〒359-0042 埼玉県所沢市並木6-4-2
中国帰国者定着促進センター 受講生募集係
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ニュース記事から

ニュース記事から 2008.01.11.〜2008.05.10.

2008/01/16 「改正中国残留邦人支援法」臨時国会で成立
2008/02/23 残留孤児訴訟、兵庫原告全員が大阪高裁での訴えを取り下げ、終結
2008/03/07 職業訓練校へ 日系外国人の子供たちの入校促進/浜松
2008/03/11 大阪原告団も取り下げ=中国残留孤児訴訟、地・高裁とも終結
2008/03/13 京都原告団、京都地裁での訴えを取り下げ
2008/04/01 広島高裁の原告61人と弁護団 3月31日訴えを取り下げ
2008/04/09 残留婦人体験談に感銘、私財で調布に『不忘の碑』建立 国立の女性
2008/04/10 残留孤児訴訟:振り返る写真展/岡山
2008/04/13 残留孤児を迎えて歴史と現状を学ぶ「2008年平和とくらし展」/倉敷
2008/04/27 残留孤児「支援する兵庫の会」発足1周年、「尊厳を守る会」結成
2008/05/02 高い日本語力の外国人在留条件など優遇へ−外務省
2008/05/03 本格的な「移民社会」到来に備えて「移民政策学会」設立へ

★本紙40号で紹介した帰国者二世 城戸久枝さんの『あの戦争から遠く離れて』(情報センター出版局)が2007年大宅壮一賞を受賞しました。

事例紹介

 13年前に来日した二世青年が米国で公認会計士の資格を取って帰国し、大手企業に就職を果たしたというニュースを聞き、勇んで取材に出かけた。以下、彼の語りをまとめた。
 この稿は、先に首都圏センターNL『天天好日』36号に掲載しています。

「資格を逆輸入 ―米国公認会計士の資格を得て―」

 中国で短大卒だったので、帰国者センターを修了後、四年制大学への進学を希望していたがこのときは果たせず、職業訓練校でOA事務と簿記を学ぶ。卒業後、会計事務所に就職。夜間、専門学校に通い、簡単にとれる簿記1級まではとった。この先は税理士の資格をとって会計事務所開業というのが一般的なコースだが、自分で開業するのは大変だと感じていた。ただ、会計の仕事は自分に向いていると思った。その後、メーカーの経理部に転職。
 この間に帰国者二世と結婚、2人で相談して将来を考えた。会計職としてのキャリアも高めたい、四大卒の資格もずっとほしかった、これからの時代は英語も必要、この3つの理由から、日本の会計士より合格率が高いという米国の公認会計士の資格取得を目指すことにした。合格率の高い大学院もネットで調べ(全米全国平均40%、目指す大学院は7、8割)、退職して渡米の準備をし、翌年、26才で単身渡米。
 半年間現地で英語を学び大学に編入。中国の短大での単位は認められたが、それでも卒業には3年が必要だった。卒業後、大学院の1年間の会計士コースに進んだ。このコースはもともと修了時に会計士の試験を受けるためのコースだが、試験は4科目あり、多くの学生が在学中から1科目ずつ受験を開始する。30人中4人が留学生だった。
 今年1月に合格して帰国、就職活動を開始。3ヶ月後、外資系企業の財務経理部に決まる。

◆米国での生活

 1年目は独りで寂しかったこともあり、日本人の社会人留学生仲間が2人できた。やはり社会経験のある人との方が話が合う。今も連絡を取り合っている。
 学費は貯金とアルバイト、大学の奨学金でまかなった。学費を全額貯めてからでなくても 、初めに半額ぐらい出せれば入学できるので、入学後アルバイトや奨学金で残りをまかなうという方法をとった。
 英語での講義もテキストを予習しておけば何とか講義についていくことはでき、そのうち徐々に聞き取れるようになった。アメリカの大学は1ヶ月に1度テストがあり、小テストはしょっちゅう。アメリカ人でも大変で4年で卒業できるのは半数しかいない。宿題も多く、勉強は大変だったが、仕事の疲れと学業の疲れは違う。勉強は自分1人にだけ返ってくることで、人に迷惑がかかることもないし、責任も感じなくてもいい。だから、もともと勉強することが苦にならない自分は楽な気持ちで学業に専念できた。
 妻が来てからは寂しさも解消、大学の家族寮に入ったため、同じ寮に住む留学生たちと家族ぐるみの付き合いになる。中国人が多かった。妻は主に奥さん仲間と交際。配偶者ビザの人向けの英語クラスに2年くらい通い、その後、町のボランティア教室へ。
 交際仲間には恵まれた。郊外へ交替で運転してハイキングに行ったり、ホームパーティを開いたりと楽しかった。滞在地は山の多い自然豊かな土地で、特に夏休み中はしょっちゅうハイキングやキャンプに行っていた。2人で車で50分の近さのところにある国立公園などあちこちへ出かけた。家の前の庭も自由に使えたので、妻は野菜を植えたりしていた。
 アウトドア以外のスポーツも楽しんだ。2人とも泳げなかったのだが、大学のプールで練習して泳げるようになった。今も毎週、近所のプールに行っている。

◆就職

 外資系を中心に国際化の進んでいる会社を探した。しかし、本命の1つは面接が先にあり、面接はOKだったのだが、対策なしで筆記試験(英語・国語・数学とSPI適性検査)を受けて落ちる。落ちてからネットで情報を得て対策を練った。作文の試験があった会社も、日本語力でだめと言われてしまい、以後、作文のないところで探した。今の会社の試験は国語・数学とSPI検査。採用試験も経験を積めばとるべき対策もわかってくるので、最初は本命のところを受けない方がいい。
 「キャリア採用」で、会社は自分の経験は認めてくれているが、会社として中国との大きなつながりは今のところない。

 努力が苦にならない堅実派だが、ただ堅実なだけなのではなく、情報をきちんと集めて大きな転換へと生かしているところが彼らしい。いきなりアメリカへ行くと聞いたときは驚いたが、視野の広さと綿密な計画があり、今の自分には何がどれだけできそうかとの見積もりも確かだった。彼の滞米生活を支えた奥さんは無邪気な大らかさを持った人で、ベターハーフとはこの2人に言うのではといつも思っていたが、今回話を聞いてますますその思いを強くした。

(An)