中国・サハリン帰国者教育の相互支援ネットワーク |
2015年9月25日号 |
編集・制作:中国帰国者定着促進センター |
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◎目次――――――――――――――――――――――――――――――――
地域情報ア・ラ・カルト
・北海道センターより:通学できない人の出前教室/子どものための入門中国語講座
とん・とんインフォメーション
・報告:中国帰国者 戦後70周年記念公演会〜中国残留孤児・婦人の歴史と今を知ってください〜
・平成28年度 奨学金情報
・2015年度 多言語高校進学進路ガイダンス[各地の情報] 2015.9月現在
・〈進学進路情報〉高校入試特別措置情報/中学編入/特別枠のある大学入試情報
・『中国語を母語とする人のための介護用語・表現集 上巻』近刊予定
・マイナンバー制度 多言語版の紹介
・『東京防災』ハンドブック
・ニュース記事から 2015.8.1-2015.8.31/慰霊祭等
・中国・サハリン等残留邦人 関係書籍特集 その4
遠隔学習インフォメーション
・「日本語遠隔学習課程(通信教育)」に関するニーズ調査から
・「日本語遠隔学習課程」受講者募集中!
北海道中国帰国者支援・交流センターでは10月より2つのタイプの「出前教室」が始まります。高齢の帰国者たちや冬の道路事情から、ここ数年、センターに通学できなくなってしまった帰国者がかなり多くなっています。また、仕事で忙しい二世たちも休日であっても、なかなかセンターまで足を運べないことが多いとのこと。出てくるのが大変なら、講師が帰国者の集住団地等に赴き、コースを開いてはどうかと考えだされたコースです。
「子どものための入門中国語教室」2007年から開始したこの教室は当初、帰国間もない子どもたちが、編入する小学・中学校で何とかやっていけるように、また、母語を忘れてしまわないように中国語を学ぶ場所でした。近年は日本で生まれた帰国者三世四世たちがおじいちゃん、おばあちゃんのことば=中国語 を学ぶための教室になっています。学習項目はピンイン、簡単な読み書きや会話など。 |
事前に観覧希望を募ったところ、700以上あった席が早くから満席になり、300名以上の方にお断りをするというほどの盛況ぶりでした。
公演は2部構成になっており、第1部では「中国残留孤児・残留婦人のあゆみ―記録写真と映像、芝居を交えて―」と題して、ノンフィクション作家で、残留孤児二世である城戸久枝さんの解説に、残留孤児が生まれてしまった当時の記録写真と映像を映し出し、そこに女優の神田さち子さんの心を揺さぶる一人芝居が加わり、終戦直後の悲惨な状況を観客に訴えました。そして、今では周りの日本人に支えられ、幸せに暮らしているという帰国者のインタビューが紹介されました。しかし、中には、苦労して日本に帰ってきたにもかかわらず、うまく適応できず、孤立してしまっている帰国者も存在しているという事例も紹介され、帰国者問題は終わりを迎えていない、帰国者が幸せに人生を全うできる支援が今後も必要であると締めくくられました。
第2部では「所沢中国帰国者交流会」、「NPO法人 中国帰国者・日中友好の会」の方々の舞踏劇・合唱・独唱・雑技が披露されました。中国と日本の架け橋になりたいという帰国者の思いを込めて、中国の歌と日本の歌が歌われ、中国の曲と日本の曲が演奏されました。そして、朗読劇≪孤児の涙―別離≫と題して、残留孤児自らが、体験した状況を演じ、観客の涙を誘っていました。
雨が一日降り続いた足元の悪い中でしたが、たくさんの帰国者も観覧して、同期生との旧交をあたため、楽しいひと時をすごしていました。「有縁千里来相会(縁があれば千里も遠しとせず会える)」
(も)
朗読劇 ≪孤児の涙―別離≫ | 合唱 ≪心のお話・私のふるさと・天路≫ |
日本舞踊 ≪島のブルース≫ | 舞踏劇 ≪中国のお母さん≫ |
・対象:大阪府内に住み、府内の公立高校・公立高専・公立専修学校に入学を希望する中学3年生
・募集期間:平成27年11月1日〜11月25日
・奨学金:月額2万円
・連絡先:Tel 072-266-2522
@大学及び専修学校、日本語等教育機関等への就学、A鍼灸師養成への就学に必要な資金の貸与
・締切り @平成28年1月29日(金) A平成27年12月15日(火)
・連絡先:Tel:03-3501-1050
※詳細は11月2日、ホームページに公開予定 http://www.engokikin.or.jp/
@「坪井一郎・仁子 学生支援プログラム」、A「生活支援プログラム」
−返済の義務なし−
@対象:支給年度に大学3年生以上または大学院在籍者
(4月に大学3年生になる者や、大学院の入学予定者も応募可)
・募集要項公開:10月下旬/応募期間:11月中旬〜12月中旬(予定)
※ 大学生は、「生活支援プログラム」にも応募可(同時受給は不可)
A対象:日本国内の高校、専門学校、大学に通っている方(4月の入学予定者も応募可)
・募集要項公開:10月下旬/応募期間:11月中旬〜1月末(予定)
・連絡先:Tel:03-5449-1331
※ 大学3年生 ・ 4年生は、「坪井一郎 ・ 仁子学生支援プログラム」にも応募可
(同時受給は不可)
※募集要項はホームページ http://www.support21.or.jp/ で公開予定
本年度の進学ガイダンス実施情報をお知らせします。ガイダンスの内容、開始時間、参加申し込み・通訳の予約が必要かどうか等、詳細は事前に連絡先にお問い合わせください。
HPで新情報を随時更新 Top−支援情報− 進学・進路情報
10月11日以降の予定は以下のとおりです。
【神奈川県】
10月11日(日)平塚市・ひらつか市民活動センター
10月12日(月・祝)厚木市・アミューあつぎ7F
主催:神奈川県教育委員会高校教育課
NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ
連絡先:NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net)Tel:045-896-0015
e-mail:info@me-net.or.jp
http://www15.plala.or.jp/tabunka/
【千葉県】
10月11日(日)松戸会場:松戸市民会館
10月12日(月・祝)市川会場:行徳文化ホールI&I
主催:日本語を母語としない親と子どものための進路ガイダンス実行委員会
連絡先:Tel:080-3175-9539(白谷)
【東京都】
10月18日(日)八王子市学園都市センター
主催:八王子市国際協会
連絡先:Tel:042-642-7091(花輪)
10月25日(日)小山台会館(品川区)
主催:IWC国際市民の会
連絡先:Tel:03-3773-4836
【埼玉県】
10月25日(日)かわぐち市民パートナーステーション
主催:かわぐち市民パートナーステーション
連絡先:Tel:048-227-7607/Fax:048-226-7718
e-mail:070.11010@city.kawaguchi.lg.jp
【大阪府】
豊能地区 10月31日(土)豊中市国際交流センター
三島地区 11月7日(土)千里市民センター大ホール
北河内地区 10月11日(日)守口市教育文化会館
中河内地区 10月27日(火)八尾市役所大会議室
〃 11月5日(木)八尾市役所大会議室
〃 12月12日(土)未定(東大阪市)
南河内地区 日時は未定 富田林市役所
泉北地区 10月25日(日)府立泉北高等学校
泉南地区 10月18日(日)府立佐野高等学校
主催:大阪府教育委員会事務局市町村教育室小中学校課
連絡先:Tel:06-6941-0351(内線3504)
◆今年も11月上旬に更新予定!
《全国中国帰国生徒及び外国籍生徒への高校入試特別措置情報》
《昼間の中学校編入情報》
―いずれも47都道府県+政令指定都市のうち12都市の市立高校調査―
◆随時更新!《2016年度(2016年4月入学)中国引揚者等子女特別枠のある大学入試情報 ホームページアドレス一覧》
当センター・ホームページ「同声・同気」トップ → 支援情報 →〈2)進学・進路情報〉
(http://www.engokikin.or.jp/publication/order/tabid/93/Default.aspx)から注文表を印刷し、購入する書籍の冊数及び連絡先をご記入の上FAX(03-3501-1026)送付、或いはメール(kyouzai@engokikin.or.jp)にて注文表を送信してください。
介護を必要とする高齢帰国者やその家族、中国から来て日本で介護職に就いている人のために作られた、介護関連の用語・表現を集めた本です。介護保険の制度及びサービス、高齢者の心身の状態等について解説され、関連する介護場面で使用される会話と語彙がまとめられています。全て日中対訳です。また、必要な語句や表現を検索しやすくするために、中国語、日本語両言語での索引が付いています。介護サービスを受ける人や介護職に就く人だけでなく、支援・相談員など介護関係の通訳者にとっても役立つ資料となることと思います。
構成は下記の通り:
第1章 高齢者福祉サービス/第2章 介護保険制度/第3章 認定調査/第4章 介護保険で利用できるサービス/第5章 介護サービスの利用/第6章 高齢者の身体と心/第7章 認知症/第8章 介護専門職の人へ/資料(アルファベットの日本式読み方、人体各部名称、薬、保健衛生用品 等)/索引(中国語索引/日本語索引)
本書の続編として、実際の介助場面で使われる語彙、会話をまとめた下巻も2016年春ごろに刊行予定。
マイナンバー(社会保障・税番号)制度について、中国帰国者向け情報誌『天天好日』71号(2015年8月)では、導入の理由・メリット・懸念されること・日程等について、日中対訳で解説しています。
内閣官房のマイナンバー制度に関するサイト内にも、外国語で制度の説明が見られるページがあります
(英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、スペイン語、ポルトガル語)。
同サイト内には、住民票がある外国人(中期在留者、特別永住者等)向けの周知文書(PDF)も、日本語、ロシア語、モンゴル語を含め26カ国語でアップされています。
●『天天好日』71号の「ニュースのことば マイナンバー制度―社会保障・税番号制度―」:
http://www.sien-center.or.jp/magazine/list/pdf/m13/no71.pdf
●内閣官房 マイナンバー制度サイトのトップページ:
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/
周知文書(26カ国語)のトップページ:
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/otherlanguages.html
アラビア語、ベンガル語、ビルマ語、カンボジア語、中国語、英語、フィリピン語(タガログ語)、フランス語、ドイツ語、ヒンディー語、インドネシア語、朝鮮語(韓国語)、ラオス語、マレーシア語、モンゴル語、ペルシャ語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、タイ語、チベット語、トルコ語、ウルドゥー語、ウズベク語、ベトナム語
東京都は、各家庭において、首都直下地震等の様々な災害に対する備えが万全となるよう、防災ブック『東京防災』を作成しました。東京の地域特性や都市構造、都民のライフスタイルなどを考慮し、災害に対する事前の備えや発災時の対処法など、今すぐ活用でき、いざというときにも役立つ情報を分かりやすくまとめた防災ブックです。東京仕様ですが、住む場所にかかわらず役に立つ情報も多く掲載されています。
ホームページからは『東京防災』デジタル版(電子書籍)がダウンロードできます。また、多言語版(英・中・韓)もあります。
2015/08/20 中国残留邦人二世 3割が生活保護受給 1府5県で調査/神戸
2015/08/26 日本語が不自由な外国籍県民のため「医療通訳」普及へ検討委員会 飯田下伊那地域でモデルに/長野県
2015/08/27 「中国帰国者 戦後70周年記念公演会」開催/埼玉県・所沢(※今号に報告あり)
今年は戦後70年に当たります。6月〜9月に行われた帰国者に関わる催しや慰霊祭などをニュース記事から集めてみました。
2015/06/12 中国残留孤児の3人が7月に体験語る集会/さいたま市
2015/07/04 NPO法人 写真展開催 『国境を越えた人間愛―中国残留日本人孤児の物語』/東京・有楽町
2015/07/07 満蒙開拓団30人が悼む 法要参列者高齢化で年々減少/金沢市
2015/07/29 江成さん写真展『まぼろし国・満州と戦争孤児』/相模原市
2015/08/03 中国残留孤児は今 「日本の支援策不十分」 神戸大大学院教授が講演/神戸市
2015/08/07 「大鶴開拓団」の苦労しのぶ 平和学習/大分県・日田市
2015/08/09 「引き揚げ」語る約300点の展示会/東京・中央区
2015/08/09 忘れられない満州開拓の悲惨さ 県開拓民殉難者慰霊祭/新潟市
2015/08/13 戦後70年 漫画家の原点、旧満州逃避行に ちばてつやさん語る平和のつどい/岐阜市
2015/08/16 中国残留孤児 平和祈る 墓前で祈願祭 県外の参列者も/福岡市
2015/08/18 旧満州柏崎村開拓団慰霊式典/新潟県・柏崎市
2015/08/18 『大愛無疆−中国帰国者謝恩書画展』
中国帰国者とその家族ら60人余の書画作品等約100点を展示/東京
2015/08/18 慰霊祭続ける決意 豊村満州開拓団の遺族ら/山梨県・南アルプス市
2015/08/18 集団入水自決の悲劇継承 満州開拓団の追悼式/兵庫県・豊岡市
2015/08/22 『平和のための戦争展』 戦時体制、暮らし圧迫、軍用品など700点 残留孤児の苦難解説も/兵庫県・尼崎市
2015/08/23 収容所で家族亡くし満州で孤児に 過酷な引き揚げ語る 平和の大切さ訴え/京都府・亀岡市
2015/08/24 漫画家森田拳次さん「漫画を通じて戦争の残酷さと平和の尊さを後世に伝える活動」講演会/横浜市
2015/08/30 満州開拓団悼む慰霊祭 約100人が参加/新潟県・柏崎市
2015/09/09 「中国残留孤児の体験を聞く会」開催/千葉市
NL36号(2006年5月)、NL49号(2010年10月)、NL58号(2014年10月)で中国残留邦人等の書籍(手記・体験談・研究書・写真集等)を紹介しましたが、今回はそれ以降のものをご紹介します。
「書名/著者/発行所/定価/発行年月/市販されていない場合は問合せ先/内容について」。各書の紹介事項は新刊順。
※以前の書籍紹介は、トップ画面→教材・論文コーナー→6)孤児関連文献等 からどうぞ。
『樺太(サハリン)の残照〜戦後70年 近藤タカちゃんの覚書』
小川岟一 日本サハリン協会03-5453-2931 1200円(税込) 2015/8 日本サハリン同胞交流協会の活動を中心に、活動終了までの25年間の思い出を同協会の3名が語り合う。 |
『聞き書きと調査研究 下伊那から満州を考える2』 満州移民を考える会 飯田市歴史研究所 0265-53-4670 800円+税 2015/7 NL58号で紹介した同会の第二集。6つの聞き書き、6回の例会での報告、寄稿を掲載。 |
『ひいばあちゃんは中国にお墓をつくった〜中国残留日本人の孫たちと学ぶ満州・戦争』 飯島春光 かもがわ出版 1600円+税 2015/7 満蒙開拓団員などとして戦時中の満州に渡った人やその家族への聞き取りをまとめたもの。 |
『石の鐘の物語-いね子の伝言』 和田登・和田春菜(画) かもがわ出版 1,600円+税 2015/7 児童文学作品。戦時中の供出により寺の梵鐘が外され、代わりに吊るされた石の鐘を守り続けた女性僧侶の物語。 |
『世界の果てのこどもたち』 中脇初枝 講談社 1600円+税 2015/6 旧満州で出会った3人の女の子が、戦争で負わされた苦難と共に生きていく物語。取材を重ねての執筆。 |
『元満州中川村開拓団 私の敗戦回顧録』 高橋章 自費出版:高橋さん方:0494-24-8915 1080円(税込) 2015/6 秩父市在住の著者が、終戦直後の旧満州開拓団での体験をつづった回顧録。 |
『満洲難民-三八度線に阻まれた命』 井上卓弥 幻冬舎 1900円+税 2015/5 ソ連侵攻時に満洲から北朝鮮に“疎開”した日本人難民の実態を克明に描いたドキュメント。 |
小説短編集『お灸と宝石』 北島蓉子 問合せ:宮木プリントBee出版、0952-31-0742 1200円+税 2015/5 5つの短編からなっており、表題以外の4編は満洲国での暮らしや戦後の残留孤児を中心人物に据える等、著者の体験が強く表れている。 |
『この生あるは-残留孤児がつづる』 中島幼八 亜東書店 1620円(税込) 2015/4 戦後の混乱の中で1958年、「中国残留孤児」として旧満州からたった一人で帰国した著者の回想録。日中両国での出版。中国版は『何有此生:一個日本遺孤的回憶』 生活・読書・新知三聯書店 2160円(税込) 2015/ 7 |
『私の八月十五日-昭和二十年の絵手紙〈1〉』 森田拳次、ちばてつや他 今人社3200円+税 2015/4 111人の著名な漫画家らがそれぞれに自身の終戦を振り返り、絵と文章でつづった証言集。平成16年刊行の復刻版。 |
『人びとはなぜ満州へ渡ったのか―長野県の社会運動と移民』 小林信介 世界思想社 2700円(税込) 2015/3 満州国で暮らしていた開拓団員、青少年義勇軍ら、「農業移民」を研究対象とする書。 | 『祖国の選択―あの戦争の果て、日本と中国の狭間で―』 城戸久枝 新潮社 1512円(税込) 2015/1 日本と中国の狭間で「祖国」を選択せざるを得なかった人たちからの聞き取り取材をまとめた6つの「落葉帰根」の物語。 |
『(図録)満蒙開拓平和記念館』 満蒙開拓平和記念館 0265-43-5580 1300円(税込) 2015/1 同記念館の収蔵品や証言等を紹介した図録で、満州国の誕生から移民送出、開拓団の暮らし、敗戦時の悲劇、戦後の残留孤児問題と、歴史の流れをたどることができる。 | 『日本最後の帰還兵 深谷義治とその家族』 深谷敏雄 集英社 1800円+税 2014/12 終戦直後、「任務続行」の特命を受けて、中国に潜伏13年、獄中20年4ヵ月。日本軍のスパイが体験した、凄絶な戦争秘史。すべてを伝えるノンフィクション。 |
『(「)畑人(ハルサー)の戦(いくさ)みち―満州へ渡った沖縄人(うちなーんちゅ)の物語』 源河朝良 あけぼの出版 1800円+税 2014/11 満州開拓団として渡った兼城さん(沖縄出身)を描いたドキュメンタリー小説。後半では、残留孤児となった兼城さんの次女を捜す経緯が伝えられる。 |
『フイチン再見!』〈1〉〜〈5〉(現在も連載中) 村上もとか 小学館 各552円+税 2013/10〜 フイチンさんで知られる上田としこの伝記漫画。満州・ハルビン育ちの上田が体験した青年義勇隊の慰問や戦後の収容所生活、引き揚げがリアルに描かれている。 |
今年3月、所沢センターで「遠隔学習課程」に関するニーズ調査を実施した。センターが把握する帰国者の中で、国の援護対象となっている約3000人に対して実施した。約900人(20代〜80代)から回答を得、内、74%が一世世代で、回答者の61%が70歳以上という高齢帰国者の声が中心となった。以下、結果の一部を報告する。回答は全て複数回答。
●「遠隔学習課程を受講する理由」
1位「コースが合っている」(266)、2位「一人の学習が向いている」(200)、3位「添削してもらえる」(177)、4位「スクーリング講師がいる」(151)。
この結果から、「遠隔学習課程」の豊富なメニュー(25コース開講)への評価とマイペースの学習を希望する人が意外に多いことがわかった。一方、手紙での添削のやり取りや、対面で月1回受けられるスクーリング講師の存在も大きいことがわかった。
●「遠隔学習課程を受講しない理由」
1位「健康上の理由」(212)、2位「仕事が忙しい」(104)、3位「教室に通学している」(103)、4位「よく知らないから」(71)
体調に問題を抱える高齢帰国者が多いことが伺える。「仕事が忙しい」と答える85%は60歳未満で、仕事を続けながら学習を続けることの困難さが見える。教室に通っている者は、ほとんどが60歳以上であった。また、本課程が始まって14年目に入るにもかかわらず、「よく知らない」人がいるというのは、帰国者への援護施策が周知徹底していないということであり、今後、更に情報を確実に届ける方法を考えねばならない。
●「開講希望コースと学習動機」
★開講希望コース:1位「高齢者向け簡単日本語」(367)、2位「助詞」(337)、3位「敬語」(267)、4位「介護場面日本語」(214)
高齢の回答者が多かったので高齢者向けの初級の日本語に人気が集まった。一世世代が日本語を諦めたくない気持ちが伝わってくる。また、一世世代の高齢化に伴い本人にもその家族にも介護制度についての知識や介護場面で必要となる日本語についての学習希望が出てきていることが確認できた。
★「日本語が必要な場面や学習目的」:1位「役所や病院場面」(369)、2位「近隣友人との交際場面」(353)、3位「ボケ防止」(285)、4位「買い物・交通・銀行」(281)、5位「祖国の言葉だから」(229)
依然として日常的な生活場面での日本語に苦労している様子がわかる。また、一世世代にとっては日本語学習が健康維持の目的、祖国への帰属意識を支えるものにもなっていることが伺える。20代〜50代の若い世代に焦点を当てて見てみると、日本語で困る場面は「職場場面」、学習動機は「キャリアアップのため」という回答が上位となっている。
●「一世世代の日本語学習への思い」
調査結果から強く伝わるのは、一世世代の日本語に対しての強い思いだ。これは、長年感じている日本語に対する不全感の裏返しかもしれない。しかし、「日本語を学ぶ」ことへの希望は、彼らの日本での老後の心の支えともなる重要なものではないか。このような声に応えられる学習機会を確保するとともに、高齢学習者に向いた負担なく楽しく学べる学習方法、学習素材の開発が求められる。以下、一世世代の声を紹介する。
「96年2月に(所沢センターに)入所して5月に卒業し、今のこの住所に定着した。言葉の習得は難しく、仕事にも疲れ、74歳の今病気がちで、日本語もできないまま学ぶ自信もなくしてしまった。どうすればゼロから学び直せるのか、来日時に日本語を学んだ所沢センターに本当に戻れたらと思う。」(74歳)、「70歳以上の老人にとって外国語を勉強するのはとても難しいこと。気力も体力も足りない。しかし、死ぬまで日本で生活をする中で、周囲は皆日本人、日本語で話したいときに話せない、話しかけられても通じないのはとても焦る、とても苦しい。学習したいという気持ちはまだある。スクーリングの回数が少ないのをどうするか、どのようにすれば遠隔課程の学習への積極性を引き出せるか、有効な施策を打ち出すことを提案したい。」(72歳)、「生きている限り勉強したい。」(80歳) (原文中国語) |
「遠隔学習課程」は、中国帰国者向けに25コース、サハリン帰国者向けに13コース開講されています。本課程は、いつでも、どこからでも常時申し込みができます。忙しい人、自分のペースでゆっくり学習したい人達のニーズに応える、柔軟性のある、生活者のための日本語学習課程です。詳細は、HPをご覧ください。
http://www.kikokusha-center.or.jp/tokorozawa/enkaku/jp/enkaku01.htm
★web版『同声・同気』は、情報掲載時に、その内容をメールにてお知らせすることができますので、ご希望の方は、以下の宛先まで、@お名前(団体窓口者の方は団体名も)とAご自身のメールアドレスをお送りください。
宛先:tongtong@kikokusha-center.or.jp
(お問い合わせは 電話04-2993-1660 FAX 04-2991-1689)