「超簡単!知らない間に文法」教材について 
 ご利用になる前に必ずお読みください

 この教材は、識字力がそんなに高くなく、また文法用語のような抽象的な概念になかなか馴染めない人でも、言語項目の練習ができるペーパー教材が作れないかと作り始めたものです。満足できるものにはなかなかなり得ていませんが、以下に簡単にご紹介いたします。


注)問題文中の「艇」の字は、中国語で「あなた」を意味するninという漢字が化けてしまったものです。
  実物では、日本語の漢字にルビがつきます。  ※印は問題文の日語訳です

4.把下面的漢語単詞翻成日語。請用日本漢字和平仮名。  
       ※次の中国語の言葉を日本語にして下さい。日本の漢字と平仮名で書いて下さい。
例)大( 大きい )  		1) 貴(      )
2) 便宜(      )   		3) 喜歓(       )
 
5.従下面右辺的漢語単詞当中挑選和左辺的日語単詞的意思相符合的、画上圏儿。
  ※右側の中国語の中から左側の日本語に相当するものを選んで○をつけて下さい。
例)おおきくない ( 大 ・ 不大 )    ※実物では「不大」を○で囲んであります。
1)ちいさい= ( 小・不小 )     2)たかくない= ( 貴・不貴 )
3)やすくない= ( 便宜・不便宜 )  4)みじかい =( 短・不短 )
5)おおきい=( 大・不大 )       6)ながくない=( 長・不長 )
7)やすい =( 便宜・不便宜 )   8)ちいさくない=( 小・不小 )
 
6.対于下辺的問題、従4ケ答案中選択艇的意思符合的答案、画上圈儿。
※次の問題について、4つの答えの中からあなたに合ったものを選び、○をつけて下さい。
例)(和艇現在住的地方対比的話) ※あなたの今住んでいるところと比べて
  中国の野菜の値段は どうですか? │高いです 安いです   │※実物は「安いです」を囲んである
 (蔬菜的价格)         │高くないです 安くないです |。
 
1)(和艇現在住的地方対比的話) ※あなたの今住んでいるところと比べて
 中国の野菜の値段は どうですか?  │高いです 安いです   │
 (蔬菜的价格)         │高くないです 安くないです |。


●対象:
・既婚の成人で有職者の方
・学習適性等:識字力がそれほど高くなく、また文法用語のような抽象概念に馴染みにくい人(もちろん個人差がありますが、目安としては、学歴は中卒までの方)
・言語環境と現在の日本語力:日本である程度の期間(半年とか1年以上?)生活してきていて、耳から日本語が入っているため、ほんの少しなら話せる人

●目的:
・入門期の文法項目を使って自分のことを紹介したり雑談のネタにしたりすることができるようになる
・自分の日本語についての知識を 書くことによって整理しつつ、新しい知識も身につけていく

●話題
・日々の天候の挨拶・気分等、昨日の天気、昨日やったこと
・何人(ナニジン)、嗜好、日課
・家族の紹介、好き/嫌いなものごと
・こどものときに好き/嫌いだったものごと
・日本の物価等の事情、日本の気候等
・中国の物価等の事情/中国(東北部)の気候/中国のものごと/ など

●目次  (▲印は未作成または未完成のもの) 
・A 名詞文 …1)「そうです/ちがいます」 2)「〜です」 3)「〜ですか?」 4)「〜です/じゃないです」 5)「〜でした/じゃなかったです」
・B 動詞文 …1)「〜ます/ませとん」 2)「〜(を)…ます」 3)「〜時に …ます」 4)「〜時から 〜時まで…ます」 5)「〜ます/ました」 6)「〜ました/ませんでした」
・C ナ形容詞文…1)「きれいですね」 2)「大丈夫ですか」 3)「〜、好きですか? 好きです/好きじゃないです」 4)「〜です/じゃないです」 5)「きれいでしたね」 6)「どうでした?」 7)「好きじゃなかったです」 
・D イ形容詞文…1)「暑いですね」 2)「暑くないです」 3)「調子はどうですか?(程度の副詞」」 4)「東北の冬は寒いですか? 〜です/〜くないです」 5)「〜かったですね」▲ 6)「〜くなかったです」▲ 7)「〜かったです/くなかったです」▲
・E 疑問詞 …▲いつ/どこ/誰/何/どう/なん+{時/時間/人/}
 
●形態(→見本参照)
 B4またはA3判数枚で1単位。1−2枚目は表現や語彙の提示のページ。その後ろに練習問題がくる。

●留意した点
1)なるべく1対1対応の翻訳ができるものであること 
 (1対1にならないものについては、煩雑にならない程度に解説をつけました。)
2)日常的に使う話し言葉であること
 (つまり、書き言葉ではなく、セリフを読んだり書いたりするような練習となります。助詞も日常的に母語話者が使っていないものは省きました)。ただし、東京方言を中心に考えたため、地域差には対応できていません)
3)なるべく細かいスモールステップを設け、支援者が必要に応じて取捨選択できるようにすること
 (例えば、表記も平仮名だけのものと漢字仮名交じりのものとでは学習者の負担が違いますが、これらのことも細かくステップを踏むことで乗り越えられることを目指しました。そこまで細かいステップは不要の学習者向けにはこれらの練習は省いて下さい。)
4)学習者が日常的に接する話題や自分のことを紹介するときに使えるような話題・語彙を用い、自分のことについての質問に答える形で文法項目の練習もできるようにしてあること
5)文単位の翻訳問題はオプション扱いとしたこと
 (文単位の翻訳問題はやや適性の高い人向けです。この教材の主な対象となる人にとっては、翻訳問題は概念的に非常に難しいため、主な問題には入れませんでした。)
 
●問題点
 この教材はもともと例外の多い原則にもとづいて作成されたものです。そのため、矛盾があったりして使いにくい点があります。以下の点は現時点で解決されていない問題点ですが、他にもあると思います。お気づきの点や解決方法、バリエーションを当中国帰国者定着促進センター教務課までお寄せいただければ幸いです。
1)対象となる人の生きる世界の違い(未婚者、中国北方以外の出身者の話題、職場やつきあう人の違いによる話題の違い、方言差など)に対応するバリエーションがまだできていないこと
★これは現場で支援する方々がバリエーションを作ってくださることに期待しています!
2)言語は本来1対1対応の翻訳ができるものではないので、必ず例外が出てくること
 対応策として別途解説をつけたが、煩雑になりがちであること
3)助詞など文法項目の細かい説明は、ここで対象とする適性の学習者にとってはかえって煩わしいものであるが、かといって説明をしないことも不親切で、適当な線が引きづらいこと
4)話し言葉を目標言語レパートリーに採用したため、書き言葉を口頭で練習させる従来の文法文型積み上げ方式のシラバスと合わない項目が出てくること
 (例)「じゃないです」vs「ではありません」
5) 4)に準ずるが、話し言葉としての自然さを優先させると、その部分についての文法的な説明がかえって煩雑になってしまう場合があること