神 奈 川 モ デ ル T




コース設定

★ニーズタイプ

イ.一般的日本語学習ニーズ

★学習者タイプ

タイプV:日常の生活行動や意思疎通には困らない。比較的早いペース
     で学習を進めることができると考えられる学習者

★コースタイプ
Bハイレベルコース
★コース目標

☆何のために学習するか

     ・職場や日常での生活をより円滑に営むために
     ・近隣、地域社会、或いは親戚の日本人とより深くつきあうため

☆何を学習するか

     ・わかりやすい発音
     ・文法知識の整理、増強
     ・使用語彙や文型の整理、増強
     ・手紙や作文を書く力
     ・お知らせや新聞を読む力
     ・よりスムーズにより適切に会話する力
     ・各種放送やテレビ番組を聞き取る力
     ・日本事情や一般教養
     ・自学自習の方法
     ・コミュニケーションへの積極性
     ・異文化間調整能力

★コース期間・時間

10か月 週1回1コマ(2時間) 計38コマ(76時間)

★曜日・時間帯

日曜日 14:45〜16:45


 
  
 コース設計  
★コースの指導形態

あ.クラス一斉型(1クラスの学習者数は10人まで)

★コースの構成

@プログラムの種類:

Aプログラムの配置:授業はaプログラム中心とし、終わりの15分程度をbプログラムにあてるものとする

★プログラム所要時間数

38コマ(bプログラムはaプログラムのコマに含むものとして)


 
 
 プログラム設計 
「a.トピックによる総合プログラム」
★プログラム目標

知識

@日本事情(職場・日常生活の習慣・人間関係・一般教養等)について知る

技   能

@学習者にとって身近で、日本事情についての知識を深める上で有益なトピックをめぐってよりスムーズに会話できる

    ・トピックに関わる語彙や表現を増やす
    ・話者の意図を正確に理解できる
    ・適切な表現を使って質問したり、答えたりすることができる
    ・自分の意見感想を簡潔に表現できる
    ・場面や相手に応じた待遇表現ができる
    ・わかりやすい発音や自然なイントネーションで話せる

Aある程度まとまった長さの文章の大意が取れる

    (既知語の活用、未知語の処理、文脈の把握等)

B身近なテーマについて作文できる

    ・書きことばの語彙・表現について知り、これが使える
    ・文と文を接続したり、連体修飾の形を用いたりして適切な複文が作れる

態 度

@コミュニケーションに対する積極性を養う
A日本と中国の比較をしながら、それぞれを相対化し日本生活への対処の仕方について考える
B話題のニュースや社会事情に対する関心を持つ

★プログラムへのアプローチ(留意点)

活動の進め方

・テキスト『日本を話そう』は、各課が「導入質問」「会話」「設問」から構成されいる。「会話」はいくつかの段落に分かれているので、1コマ1段落を目安として進めるが、学習者の興味によってコマ数は調整する。興味を持ったトピックの課から進めるのもよいだろう。以下に示したのは、1課を3コマで進めるときの活動の流れの例である。
<1コマ目>
@トピックの話題導入を行う。導入については、テキストの「導入質問」や「設問」の質問を使うこともできる。ここでトピックに関わる語彙・表現の導入も行う。
A「会話」文読解は、音読練習を通して語彙・表現を確認した後、会話の内容について教師とQAをしながら大意をとる。(重要な文型表現については文型練習も組み込む)
B「設問」のうちA部分に該当する問題についてQAを行う。このとき、「設問」を巡ってのやりとりを通して、表現力をつけていくことと日本事情についての知識を深めることを重視する。
<2コマ目>
@1コマ目のABに同じ(やり残した部分は3コマ目にまわす。時間的には2コマ目のAを優先する)
Aこの課のトピックで周囲の日本人に簡単なインタビュー(orアンケート)を行うための質問項目について皆で話し合う。項目は仕事の休憩時間等に同僚に気軽に尋ねられる程度の内容と量にする。
<3コマ目>
@2コマ目の「設問」でやり残した部分があれば行う。(設問は必ずしも全て消化しなくてもよい。内容や時間配分等を考え、臨機応変に取捨選択する)
Aインタビューの結果を発表し、その内容について話し合う。教師が周囲の日本人にインタビューを試みた録音テープの聞き取りを行うのもよいだろう。
○1〜3コマ目のそれぞれのコマで、時間に余裕がある場合は、オプションとしてさまざまな活動を取り入れる。
 例:その課のトピックからテーマを絞り、ディベート(ある意見に対して賛成派、反対派に別れ意見を戦わせる)を行ったり、自分の意見を前もって作文したものをスピーチとして発表したりする
 例:その課のトピックに関わりのある新聞・雑誌の記事の読解や、テレビ番組の録画ビデオの視聴解を行う
 例:フリートーキングスタイルで、学習者が現在抱えている生活上の問題や疑問などについて教師−学習者間、学習者同士で話し合う。必要があれば問題解決のための会話や読解の練習も行う
 例:日頃学習者がよく間違う文型表現や、よく理解できていない文法事項等について復習、整理する

指導のポイント

・テキスト『日本を話そう』のトピックを巡り、読む・聞く・話す・書くの技能をトレーニングするプログラムであるが、テーマによりテキスト利用に強弱をつけ、よりタイムリーで身近な新聞記事等の読解を取り入れるなどして活動のバリエーションを広げる工夫をする。
・テキストの「会話」部分は、会話練習としてではなく読解と語彙・表現の練習として使用する。会話力についてはテーマを巡っての実際のやりとりの中で学習する。
・学習したトピックは、実生活での日本人とのつきあいの中でも閑談時の話題として利用できるようになることを目指している。周囲のの日本人に対するインタビュー調査は、そのきっかけ、あるいはそのための準備として意義があると思われる。但し、学習者の個別の状況に配慮し、無理のない範囲で課題にする。
・実生活の場が学習の場であり、情報収集の場でもあるということが実感できるような活動や話題の選択を心がける。

教 材

『日本を話そう』※(以下、「テキスト」)
『楽しく聞こう』※    ※詳しくは資料6【教材リスト】参照
・作成聴解教材(「日本人へのインタビュー」等)
・その他:新聞記事、テレビニュースの録画ビデオ等

宿 題

・作文、添削された作文の清書
・テーマに沿った簡単なインタビュー(orアンケート)
・項目別文法練習問題
・語彙慣用表現を増やすための練習問題

評  価

・学習者の到達度評価については、コース中間時と終了時に学習相談を通して行う。その際、学習者の自己評価を確認するとともに、教師による評価や今後の学習についてのアドバイスも伝える(学習のポイントをメモにして渡してもよい)。学習相談は授業と並行して個別に行う(1人15分程度)。したがって、この時間は、授業担当の教師と学習相談を行う教師の2名を確保することが望ましい。
・学習者によるコース評価については、コース中間時と終了時に行う
 (方法としては中国語によるアンケートやインタビュー等)。



 ★学習計画表※     ※点線で区切られた1まとまりを1コマ(約1時間45分)とする」


●学習テーマ・学習内容
教 材
備 考

○オリエンテーション
・授業の進め方/教科書の使い方
・学習したいテーマの希望調査
・「b.漢字プログラム」についても学習の目的、教材の紹介、学習の進め方等について説明


・学習者の日本語力レベルの測定については、オリエンテーションのやりとりを通して観察する


●住宅事情
・話題導入
・会話:−家を買う−
・設問:「本文を読んで考えましょう」/「考えましょう・話しましょう@」


テキスト第1課


●住宅事情
・会話:−日本の家−
・設問:「表やグラフを見て質問に答えてください」/「考えましょう・話しましょうA」
・インタビュー:項目準備(現在の住居/満足度/将来の計画等)、練習
・宿題:インタビュー

テキスト第1課
インタビューの課題は初めてなので、どのような場でどのように聞くか(インタビューの切り出し方)を考え、練習する。インタビューの結果を次の時間に発表することも課題とする


●住宅事情
・インタビュー:結果報告、意見交換
・聴解:日本人へのインタビュー
・宿題:作文(「私の住む町」
 「こんな家に住みたい」等)

テキスト第1課
 
 
作成聴解テープ

・残りの時間については
 住宅事情についての新聞記事読解/「同居・別居」についてのミニディベート /不動産広告読解等が考えられる。
 ディベートを組む場合は、意見を述べるときの文型表現を取り上げ練習するのもよい
・宿題は学習者の状況を見て課す。最初の作文なのでテーマは具体的で書きやすいものにする。



●結婚と女性の社会進出
・話題導入
・会話:−日本の結婚−
・設問:「本文を読んで考えましょう」「表やグラフを見て質問に答えてください」
・聴解:「冠婚葬祭のマナー」

テキスト 第2課




『楽しく聞こう』
 第21課

・前回出した課題作文は回収後添削し、次回に返却する


●結婚と女性の社会進出
・会話:−女性の社会進出−
・設問:「本文を読んで考えましょう」「表やグラフを見て質問に答えましょう」「考えましょう・話しましょう」
・インタビュー:項目準備(家事や育児など家庭内の仕事分担/夫婦別姓等)、練習
・宿題:インタビュー

テキスト第2課

・設問「考えましょう・話しましょう」の「A.結婚「B.女性と仕事」のBを読解してから意見を述べ合うのもよい


●結婚と女性の社会進出
・インタビュー:結果の発表と意見交換または討論会
・聴解:日本人へのインタビュー
・宿題:作文(「中国の結婚式」
「中国における女性と仕事」等)

テキスト第2課
 
 
作成聴解テープ

・残った時間で新聞記事読解等を組む
・学習者によるコース評価:
 コースの内容と進め方、学習の速度、取り上げてほしい内容等について意見を聞き、それをもとにコースを修整する


●高齢化社会
・話題導入
・会話:−進む高齢化−
・設問
・聴解:「私の家族」

テキスト 第3課
 
 
『楽しく聞こう』
第11課



●高齢化社会
・会話:−高齢化社会の問題−
・設問
・インタビュー:項目準備

テキスト第3課

・時間に余裕のある人には、調査を課してもよい:
地域の高齢者福祉施設や役所で高齢者福祉サービス等についての資料や案内を集める等
・老後の生活設計や家族の介護 は、日本人にとっても身近な問題なのでインタビュー項目として取り上げやすいだろう

10

●高齢化社会
・インタビュー:結果報告、収集した資料の読み取り、意見交換
・聴解:日本人へのインタビュー
・宿題:作文(「将来の生活設計」等)




作成聴解テープ

・研修に慣れたところで学習相談を行う

11

●日本料理
・話題導入
・会話:−日本食の特色−
・設問
・読解:日本料理の作り方
・宿題:中国料理のレシピ作り

テキスト第4課
 
 
 
作成読解教材


12

●日本料理
以下内容省略

テキスト第4課


13

●日本料理

テキスト第4課


14

●日本的経営

テキスト第8課


15

●日本的経営

テキスト第8課


16

●日本的経営

テキスト第8課


17

●日本人の労働観

テキスト第9課


18

●日本人の労働観

テキスト第9課


19

●日本人の労働観

テキスト第9課


20

●集団意識と肩書き

テキスト第10課


21

●集団意識と肩書き

テキスト第10課


22

●集団意識と肩書き

テキスト第10課


23

●小集団活動

テキスト第11課


24

●小集団活動

テキスト第11課


25

● 小集団活動

テキスト第11課


26

●政治の仕組み

テキスト第13課


27

●政治の仕組み

テキスト第13課


28

●政治の仕組み

テキスト第13課


29

●年中行事

テキスト第12課


30

●年中行事

テキスト第12課


31

●年中行事

テキスト第12課


32

●平等社会と中流意識

テキスト第5課


33

●平等社会と中流意識

テキスト第5課


34

●平等社会と中流意識

テキスト第5課


35

●教育

テキスト第6課


36

●教育

テキスト第6課


37

●教育

テキスト第6課


38

○茶話会/フリートーキング
○修了評価


・学習者によるコース評価
・個別学習相談
・フリートーキングの時間を利用して、今後に向けてのニーズ調査を行う




「b.漢字プログラム」

★プログラム目標

技能

@お知らせ、広告、新聞等によく出てくる漢字の意味を理解し、正しく読むことができる。さらにこれらの漢字語彙が適切に使える。

★プログラムへのアプローチ(留意点)

活動の進め方

・「漢字練習プリント」(内容は「教材」の欄を参照)を1回分ずつ進める
・プリントは2部準備し、1部は宿題として前もって配布し、もう1部はBの活動時に配布する
○宿題:プリントの漢字に読みを記入してくること、読めない漢字や漢語は抜き出しておくことを事前の課題にする
@宿題の答え合わせをする。間違った部分は各自訂正する。
Aプリントに出てくる漢字の音読み、訓読みを確認する。特に複数の読み方がある漢字の場合は、その使い分けについて確認する。
Bプリントを再度配布し(ふりがなが書き込まれていないもの)、1文ずつ音読練習する。
C時間があれば、漢字語彙の使い方の説明やプリント文の読解を行う

教 材

 作成教材「漢字練習プリント」:市販教材(『新聞の漢字と熟語』)や生教材(お知らせ、パンフレット、新聞、雑誌、食品や薬品の説明書き等)から作成した漢字練習シート
 内容は、ふりがなのふっていない漢字かな交じり文からなり、1回分のプリントには40文字程度の漢字が含まれている


評 価

学習者の希望があれば、学習者の指定した範囲の中から出題する漢字テストを行う(解答も準備し自宅でテストおよび自己採点をさせてもよい)


 
 本プログラムは「aプログラム」の初めもしくは終わりに15〜20分程度組み入れる
★学習計画表は省略